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中山七里
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1.
Usher-to-the-ETHER
★★★
(2014-09-16 10:04:34)
2012年にハードカバー、2014年に文庫化された小説。
文庫化にあたって再購入し、読み返してみたんですが、やっぱり中山七里さんの作品は面白いですね。ハードカバーでの最新刊「アポロンの嘲笑」にはかなりガッカリだったんですけど、この作品の文庫版を読んでそれを再認識しました。まず驚いたのは、麻薬取締捜査官が主人公という舞台設定ですね。今までの中山さんの作品って、作中において「音楽」が重要なキーになるものが多く、どこか上品な印象があったんですが…まさかこんな泥臭い刑事モノ(厳密には主人公は厚生労働省所属の公務員だけど)を書くとは…。
今までと舞台は大きく異なっても、中山さんの作品の特徴である、「キャラ立ちした登場人物」と、「スリリングな展開」、「リーダビリティの高い読み口」は変わらないのが素晴らしいです。今作も、麻薬の中毒性が効かない特異体質を持ち、おとり捜査も辞さない破天荒な捜査官の七尾や、暴力崇拝の匂いのしない、勤め人風ながら交渉術に長けた曲者の暴力団組員の山崎を始め、主要な人物はどれも漫画やドラマのキャラクターに通じる存在感がありますね。
ただ、今作は後半から良くも悪くも、アクションを中心とした映像的な展開になってくるので、麻薬を軸に様々な人間の思惑が絡んでくる、サスペンス的な展開を期待すると若干肩透かしに感じるかもしれません。とは言っても、アクションシーンでも窮地の切り抜け方に今までの伏線が生きていたりしますし、ラストには(やや唐突ながら)作者お約束とも言える「どんでん返し」もありますし、エンターテイメントとしてはやはり一級品であることは間違いないです。大ベテランの東野圭吾さんと比較されるのも良く分かりますもん。
電車で移動中に読んでると、思わず目的地を乗り過ごしそうになるくらい、夢中になって読める作品。東野さんや貴志祐介さん辺りが好きであれば、この中山七里さんの作品もかなりお勧め。取り敢えず「静おばあちゃん」の文庫化を待ち望んでます。
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