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宮部みゆき
悲嘆の門
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悲嘆の門
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1.
Usher-to-the-ETHER
★★★
(2015-01-17 00:02:19)
昨日(2015/1/15)発売された新刊。
「英雄の書」と世界観を共有する、現代×ファンタジー作品ですが、ストーリー自体は独立しているため前作を読んでいなくても十分に楽しめます。
…これ、めっちゃ面白かったです。ハードカバー2冊分と相当なボリュームでしたが、休日一日潰して一気読みしちゃいましたよ…(笑)。まず素晴らしいのが、読み味が各章によってかなり異なる点。第1章や第2章では主人公達の日常に徐々に非日常が侵食していくような、サスペンス的な雰囲気が強いですが、章を跨ぐ毎に非日常と主人公の関係性がどんどん形を変えていくのが面白い。
そしてページを捲る手が止まらなくなるような、「引き」の上手さも素晴らしい。例えば第1章のラストとか、第3章のバイト仲間との食事中に届いたメールとか、もうあざといくらい期待を持たせるような展開なんですが、もうまんまと引き込まれてしまいました…。そして章を跨いで幾重にも張られた伏線…というよりは凶兆、それらが終章で実を結び、意外かつ劇的に転がっていく物語…もう、ほんとエンターテイメント小説として完璧ですよ!孝太郎の大学生活に対する煩悶とか、山科社長の犯罪に対する見解、主人公二人の非日常への関わり方の違いなど、随所に鏤められたエピソードもまた「読ませる」んですよね。心地良い読書体験です。
ハードカバー2冊分となると値段も馬鹿にならないし、読むのだって数時間は掛かる代物ですが…これは正しいお金と時間の使い方です。そう断言出来るくらい、本当に面白い小説でした。宮部さんは最近は現代物イマイチだと思ってましたが、それを詫びたくなるくらいの快作です。こういう本が読みたかった!
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