映画『オーメン』に登場する悪魔の子からバンド名を頂戴してDAMIENを名乗った5人組(同名バンドは多いが彼らはオハイオ州トレド出身)が、'89年に発表した2ndアルバム。1st『EVERY DOG HAS ITS DAY』(’87年)では凶悪な面構えの白犬、今作では戦闘機化した犬と、やたらジャケットが犬推しなのも「ダミアンは山犬の子」という映画の設定を踏まえているからなんでしょうかね? それはともかく。本作で披露されているのは高血圧なシャウトとメロディアスな歌い上げをスムーズにこなすVoと、硬軟自在に動き回る2本のGを効果的に用いたJUDAS PRIEST型正統派HM。勿論そのサウンドはアメリカのバンドらしくよりアグレッシブにビルドアップされていますが、一方で単調な力押しに終始することなく、キャッチーなメロディ作りへの拘りから印象的なツインGの絡みに至るまで、曲展開をしっかりと練ってフックを仕込む手腕には、しょせんB級メタルと舐めてかかる輩にカウンター・パンチをぶち込むが如き強力なクオリティが宿っていますよ。 パワフルに押しまくる曲調にふっと引きのパートが差し込まれる技ありのOPナンバー①、熱くドラマティックに盛り上がる③、憂いに満ちたメロディを纏ってスマートに駆け抜けていく⑧…。中でも重厚かつ好戦的な曲調、光沢を帯びたツインGハーモニーに乗せて「マチールダー!マチールダー!」と思わず唱和せずにいられないコーラスが炸裂する④はDAMIEN屈指の名曲じゃないでしょうか。 前作に負けず劣らず聴き応え十分の名盤。今更ですが日本盤出して欲しかったですね。