ARMORED SAINTの作品と対峙するのは随分と久し振りなのですが、お~全然変わっとらんのぞ、と。そう言えば、以前に『SYMBOL OF SALVATION』を聴いた時も「この人ら、(良い意味で)全然変わらんなぁ」との感想を持ったことを思い出しましたよ。 但し、甲冑風の衣装を身に纏い、“キエフの大門”で華々しく幕が開いた名盤『MARCH OF THE SAINT』のイメージで本作に挑むと、今回の地味というか地に足が着いてるというか・・・な作風には肩透かしを食うことになるではないかと。ここには勇壮なスピード・ナンバーやエピック・ソングといった判り易いタイプの楽曲は見当たらず(実のところ『MARCH~』だって表題曲を除けばそんな感じだったのですが)、また、熱いのか醒めてるのか、やる気があるんだかないんだか分かり辛いジョン・ブッシュ(Vo)のぶっきらぼうな歌い回しも、そうした印象に拍車を掛けます。いや単に声質がオッサン臭いだけで歌の上手い人であることは、硬派な憂いが匂い立つ④や、7分以上に及ぶドラマティック⑦等を聴くまでもなく明らかなんですけどね。 聴き様によってはモダンにもオールドスクールにも耳に響く、ヨーロッパ産の同系統バンドとは一味違う骨太で乾いた哀感渦巻くパワー・サウンドは、威勢良く叩きつけられるOPナンバー①から、メランコリックなバラード⑧を含む後半戦に至るまで、噛めば噛むほど味わいが増す(ありがちな表現ですが)スルメ系の魅力が横溢。じっくりと対峙することをお薦めする1枚に仕上がっています。 購入当初は「星二つかなぁ」ってなもんでしたが、今や三ツ星評価に何ら躊躇はありませんですことよ。