その昔、どこぞの慌て者がデンマークのJACKALの作品と勘違いして購入するぐらい(ちくしょうめ・・・)似た名前のバンドが多数存在していてややこしいのですが、本作はオランダのJACKALが'89年に500枚限定でリリースし、マニアの間で評判を呼んだ6曲入りEP。 メタルバブル爛熟期真っ只中に産み落とされたのに、飾り気に乏しいプロダクションから、イキのいいツインG、そして少々頼りないハイトーンVoまで、真っ向から正統派HM一本勝負を挑んでくる本作は「バブル?何それ美味しいの?」状態。洗練とかゴージャスといったお洒落キーワード0っぷりで、GRAVESTONE、TALON等の80年代前半の独産メタル・バンドを引き合いに出して語られることの多い、浮かれトンチキな世間に背を向けたソリッド過ぎるサウンドが男らしいったら(単にお金がなかっただけかもしれませんが)。 ついでにジャーマン勢に比べると、メロディのクサ味や大仰な曲展開に対する拘りはアッサリ気味で、むしろ溌剌と突っ走る元気の良さの方が強く印象に残る辺りが、流石スピード/スラッシュ・メタルをいち早く受け入れ評価したオランダのバンドであると。特に、尻上がりにテンションを高めていく4曲目の“NIGHTMARE”と、後に続く彼らのテーマ曲とも言えそうなインスト・ナンバー“CRY OF THE JACKAL”はスリリングな名曲。 今となっては「うっかり間違えて買ってみるもんだなぁ」と感慨深い1枚です。フル・アルバムが聴いてみたかったな。