アルバム2枚を残して活動を停止したトニー・ボルグ(G)率いるスウェーデンのALIENが、元MADISONのコニー・ペイン(B)らを新メンバーに加えて復活、’93年にセルフ・タイトルを冠して発表したカムバック作がこちら。通算3作目。 今回シンガーとして起用されたのは、オリジナル・メンバーのジム・ジッドヘッドでも、2nd『SIFTIN’ GEAR』で歌っていたピート・サンドベリでもなく、ダニエル・ザンゲル・ボルフなる日本ではほぼ無名の人物(結構キャリアはある模様)。それでも流石トニーのお眼鏡に適うだけあって歌唱力は上々で、ハイトーン系ではなく中音域をメインにじっくり歌い込むタイプゆえ、それに合わせて音楽性の方も、従来の北欧ハードポップならではのキラキラ感が後退し、曲によってはブルージーなテイストも盛り込む等、より洗練されたAOR/メロハー路線へと若干の軌道修正が図られています。(逆に今回の音楽性の変化にマッチするシンガーを選んだのかもしれませんが) しっとりとスタートするOPナンバー①から早くも明らかな通り、トニーのフックを盛り込んだ作曲センスにもGプレイにもブランクは全く影を落としておらず、特に透明感を湛えた哀メロと、ライブ映えしそうな躍動感を併せ持って駆け抜けていく④や、美しいエレピが奏でるKeyリフも印象的なメロハー⑦、STYXの名曲“BOAT ON THE RIVER”に通じる詩情漂わすバラード⑧等は、「これぞALIEN」と膝を打たずにはいられない名曲に仕上がっています。 帰還の挨拶としてはまずは上々のクオリティを有する1枚ではないでしょうか。
このライブアルバムが素晴らしいのは生々しい演奏もパッケージした清さにもあるのだが、選曲の良さも素晴らしい。特にピートヴァージョンではカットされた1stのDying By The Golden Ruleも聴けたりするのが嬉しい。収録されているギターソロは短めでが、ソロからのつながりで北欧メロディアスサウンドに流れる展開に個人的にはグッと掴まれますよね。ミドルナンバーが多いとか、ポップな曲調は多いなどガチンコメタルが好きな人には少々甘口からも知れないが、メロディ派のメタルリスナーなら絶対に聴いて欲しいエイリアンのライブアルバム。 やはりいい曲とフィーリングを持っているバンドは強いなぁと改めて関心しました。ようやく最近手に入れましたが、苦労しましたよ。
デビュー作がいきなり本国で記録破りの大成功を収めるも、その代償として発生した諸々の雑事に嫌気が差したジム・ジッドヘッドが「もっと自分の時間が欲しい」とアイドル的なことを言い残して脱退。後任シンガーとして当時MADISONで歌っていたピート・サンドベリを加えたALIENが、2nd『SIFTIN’GEAR』発表前の’90年に、ストックホルムで行われたフェスティバルでトリを務めた際のライブの模様を収めた実況録音盤。(詳細に関してはもうリーダーのトニー・ボルグもあまりよく覚えていないらしい) '00年にひょっこり本作がリリースされた時は「こんな音源があったんかい!」と、かなり驚かされました。ライブで歌うピートのパフォーマンスが聴けるのはこれぐらいじゃなかろうか?特に会場の盛り上がりが最高潮に達する大ヒット・ナンバー“ONLY THE WOAMN”における彼のエモーショナルな歌声は実に感動動的ですよ。 “DREAMER”みたいなハードナンバーも演って欲しかったなぁとか、選曲に関しては少々注文を付けたくなる部分がありますし、EUROPEの“THE FINAL COUNTDOWN”を思わすシングル曲①(アルバムには未収録)のファンファーレに導かれてスタートする本編は、差し替えやオーバーダブの類を一切行っていない「文字通りのライブ」(ピート談)のため、歌声やパフォーマンスに少々不安定な場面が散見されるものの、そうした要素が逆にライブならではの臨場感を高めてくれているのもまた事実。 何より、本作のようなお宝音源のリリースに踏み切ってくれたバンドには感謝しかないという。できればジムが歌っていた時期のライブも発表してくれると尚嬉しい、なんて。