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The Great Maddening (Usher-to-the-ETHER)


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The Great Maddening

2007年発表の1st。

「名は体を表す」と言いますが…その言葉をこのバンド以上に体現しているバンドっていないんじゃないでしょうか。楽曲の端々に戯曲的な雰囲気を醸し出すパートを挟み込んでくるシンフォニック・ブラックメタルバンドは少なくないですが、全編がそういうパートで構成され、尚且つバンドサウンドではなく、シアトリカル極まりないオーケストレーションの方が主役になってしまっているアンサンブル…というと、このバンドを置いて他には無いんじゃないでしょうか。

ジャンルとしてエポックメイキングなだけでなく、楽曲の魅力自体も素晴らしい。戯曲を思わせるオーケストレーションが矢継ぎ早に繰り出すメロディは、前衛的・狂的であっても常に美しさやキャッチネスに満ちていて、劇場に入ったが最後、どんなに気が乗らない気分であっても着席を余儀なくされる…そんな心を掴む魅力があるように思います。クサメタラーも間違いなく悶絶できるメロさ。

また、オーケストレーション主導の展開ながら、メタルとしても妥協してないクオリティなのもポイントですね。リズムを強調しヘヴィに刻むだけではなく、ここぞという所でメロさや狂性を演出するギターワーク、むせるほどに笑い狂ったり、ホイッスル音混じりの壊れた叫びを聴かせるなど、演技派ながら通常時のパフォーマンスではしっかりした芯のあるデス声を聴かせるヴォーカルなど、メタルとしてのかっこよさもガッツリ備えている感じ。

…ある意味、シンフォニック・ブラックの一つのスタイルの完成形を見たという気がします。替えが効かない音、かつ鬼クオリティの作品を出したバンドだけに、現在活動していないようなのが勿体無い…。

Usher-to-the-ETHER ★★★ (2016-05-19 23:54:37)