アルバム『Sacrifice』に伴うツアーの模様を収めたライブアルバム。MCもカットされずソロパートもあるために完全実況盤としての様相を呈しているがバイオは分からないで割愛させてください。 彼らがセント・ジョージの日を大切にしているのはファンなら周知の事実ですが、その日にマンチェスターで行われた音源というのもファン心理をくすぐりますよね。 アルバムは比較的ヘヴィで武骨なパワーメタル色が強かったのですが、ライブではサクソンらしいブライトな音質に変換されており、良い意味で古い曲と混ざり合っても違和感がない、むしろ昔のヒット曲とならんでも違和感のない仕様になっているのだが、2014年に、ここまで現役感の強いスタイルを保持している事に驚かされる。老いては益益壮んなるべし、このバンドに陰りはみえない。 活きのいいステージと同じくらい貫禄を出しているのだが、その深みが増した旧来の楽曲における、いぶし銀のプレイの数々にニヤリとさせられますね。中盤は腰の据えたミドルナンバーが多いのですが、後半は畳みかけるように代表曲を連発、その中に新作から『Stand Up And Fight』が混じっても違和感を抱かせない統一感にこそ、サクソンが変わらずに自分たちの音楽を研磨してきた事を知らしめます。日本以外の国と言うか、日本でも一部の熱狂的なメディア信者の影響のみで語られるアメリカンナイズドSAXON時代の名曲も、このアルバムでは映えまくり、『Power and the Glory』『Broken Heroes』『Crusader』などは、ライブでも重要なレパートリーとして機能、彼らがどれくらい多くのロックアンセムを所持しているか知るでしょう。 新旧の魅力を違和感なく伝えた渾身のライブアルバム。このバンド、スタジオ作に負けないくらいライブアルバムを出しているのだが、どれから手にして良いか悩むでしょうね。特に若い人は大変かと思います。とりあえずサクソンは何時の時代もタテノリの曲をヨコノリではやっていませんので、安心してどの時代からでもチャレンジしてください。