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Ghastly Waves & Battered Graves

アメリカの老舗レーベルMetal Bladeよりリリースされた2枚目のフルアルバム。これがコチラの期待を裏切らない成長度を披露。前作より全てにおいてスケールアップ。メロディの練り具合もキレのあるツインギターも魅力的なフレーズを連発、スピードの特化しつつも、馬鹿にならない聴かせ方も上手く、どこかダークテイストが漂っているのもシリアスさに拍車を掛け、メタルを愛する者の好奇心を擽り続けます。無難だが安定感を増してきたのが、このバンドが醸し出すスリルを倍増させている。そして、この手の古典スピード/スラッシュメタルを知らない若者にとっては、相当なインパクトを残すクオリティでしょうね。
もっとヘボかったはずなのに、ギラリと感性を研ぎ澄ませてきた。そのキレっぷりに身震いさせられるほどの強面感を音に出してきたのだが、こうなると、この癖の強い素っ頓狂なハイトーンが評価を分けるでしょうね。でもこの声あっての、このバンドと個人的には思っているので、マニアならハマるでしょうよ。ExciterだってRavenにRazor、Destruction、Agent Steelも、個性的な声があってのサウンドですからね。先人達の影響を自分達流儀に再構築したプレスラッシュと呼べる切れ味鋭いスピードメタルの数々は、必ずや需要があるでしょう。スピードメタルマニアにも十分に訴求するだけの、構成力も魅力ですよ。

とはいえ前作よりも正統性が強まったのが、行儀が良くなったと感じたらマイナスに働くかも知れませんが、これは単に理論性然とした音楽性の成長と受け止める方が正しいかと思います。ドがつくへヴィメタルってのは気持ちがイイねぇ。

失恋船長 ★★★ (2019-08-21 19:37:42)


The Guillotine

ドイツ産のスピードメタルバンドによるデビュー作。この手の音を聴いて真っ先に思い出されるのがAgent Steelだったりすのですが、正統派メタルにも通ずるツインリードの旨味、ストレートに疾走する合間にねじ込まれるメロディアスかつスピーディーにギタープレイ、良くも悪くもやりに言っている感満載の個性剥き出しのハイトーンヴォイスなど、このバンドが目指したい方向がハッキリと見えてくる。
それだけに、その辺りのルーツを楽しめるマニアには元ネタ愛も含め、ニヤニヤされっぱなしも若手バンドとなるのだが、耐性のない方には少々、耳障りな印象を与えるでしょうね。

ここで聴かされる興奮を煽りたてる構成力の高さ。一歩間違えれば長尺と感じさせる展開、リフの構成がクドイとか、リズムがもたつくとか、あるんだけども、そんなこたぁどうでもよいと思わせるスピードメタル愛溢れるアレンジに胸が焦がれます。

オールドスタイル故に真新しさは少ないのですが、ここまでやりきれば文句など出ません。清いまでの先人達の影響下にあるサウンドとリスペクトしまくる姿勢。マニアご用達では終わらない魅力が詰まっていると思います。
プレスラッシュとも言える古典スピードメタルに興味がある方なら、楽しんでもらえるでしょうね。

失恋船長 ★★★ (2019-08-20 13:46:44)


Adrian's Cradle / The Guillotine
不気味なイントロで聴き手を十分に焦らしてから激走開始。
ドカスカと強引に突進するリズムに乗っかって、
ハイトーンVoが喚き倒し、ツインGが荒れ狂うという
B級スピード・メタルかくあるべし!な名曲。
(人によっては迷曲か)
禁止薬物を使用したIRON MAIDEN的感触もあり。

火薬バカ一代 ★★★ (2018-02-27 23:54:25)


The Guillotine

レザー&スタッドで全身を固めたメンバーの出で立ちも頼もしいドイツの4人組が、'17年にHIGH ROLLER RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
ジャッロ映画風イントロでスタートを切る本編にて炸裂するのは、ツインGを切り込み隊長役に荒々しく突っ走る、スラッシュ・メタルと呼ぶにはメロディアスで、正統派HMで括るにはアグレッシブ過ぎる、まさに「スピード・メタル」なる形容が打ってつけのサウンド。Voもハイトーンで終始テンション高くシャウトしまくっていますが、例えばロブ・ハルフォードみたいな表現力の深みや中音域の魅力は皆無で、ひたすら壊れた蛇口よろしく「出しっ放し」「漏れっ放し」なバカ度高めのハイトーン・スタイルな辺りも、EXCITERやAGENT STEELの系譜に連なるこの手のサウンドにマッチしているという。
近年だと同系統のバンドとしてはEVIL INVADERSが思い出されますが、現代っ子バンドらしいキレキレな演奏力が、鋭利なカミソリの刃の如きスタイリッシュなカッコ良さを際立たせているあちらに比べ、技術よりも気持ちが先走った、前のめりなドタバタ感溢れる本作はより濃厚に80年代風味を背負っていて、DEEP PURPLEの名曲“嵐の使者”のブチ壊しカヴァー⑩もそんなバンドの特性が強く出ているのではないかと。正直、嫌いじゃないです。
そんなわけで他人には薦め辛くとも、個人的には非常にツボな1枚。同郷の先輩バンドVECTOM(知ってます?)に通じるスピード・メタル・サウンドにほっこりさせられましたよ。特に映画『ローズマリーの赤ちゃん』のメイン・テーマを引用して、2本のGが派手にハモり倒しながら疾走する⑤はメタル魂にボッと火を点される名曲ではないでしょうか。

火薬バカ一代 ★★★ (2018-02-26 22:55:46)