認知症と多系統萎縮症の悪化でツアーから身を引くというニュースを目にしたと思ったら、それから殆ど間を置かずに飛び込んできた「急死」の報には驚かざるを得なかったジャック・ラッセル(Vo)。浮き沈みの激しいミュージシャン稼業を送り、バンド名の使用権を巡ってかつての盟友マーク・ケンドールと訴訟にまで発展した時期もあったという彼氏が、JACK RUSSEL’S GREAT WHITE名義で'17年に発表したアルバムがこちら。 GREAT WHITEの看板掲げて制作されているので、本作から流れてくるのは当然過去作の延長線上にある、ブルージーなエッセンスを盛り込んだHRサウンド。マークのGの不在ゆえか、はたまた歌を中心に据え、全体的に落ち着いたトーンが支配的なこじんまりとした作風ゆえか、GREAT WHITEの新作というよりは「ジャック・ラッセルの3枚目のソロ・アルバム」を聴いているような気分になる仕上がりではあるものの、彼のソロ作…特に2nd『FOR YOU』(’04年)を愛聴している身には落胆に当たらず。むしろ望むところですよ。 流石に“ALWAYS”級の名曲は見当たらないまでも、独特のハスキー・ボイスは年を経ても全く衰えることなく健在。哀愁に満ちたOPナンバー①、後期GREAT WHITEに通じる②④、アーシーなバラード⑥といった佳曲は流石の歌いっぷりでエモーショナルに酔わせてくれますし、妖しげな雰囲気漂わすアルバム表題曲⑦、テクニカルなGの存在が映えるアップテンポのHRナンバー⑨のような新味を感じさせる楽曲も魅力的です。 JACK RUSSEL’S GREAT WHITEのポテンシャルが十二分に伝わってくる力作だっただけに、これが最初で最後のフル・アルバムになってしまったことが残念でなりませんね。
酷いドラッグ依存を抱えていた。ジャック・ラッセルが完全復活。二つのGREAT WHITEが存在する歪な構図は気になるも、この絶品の歌声を楽しもう。トニー・モンタナも参加してたりと、けして一人きりの復帰じゃない。がんばれジャック!! 日本盤にはANYTHING FOR YOU(STRIPPED DOWN VERSION)も収録。どちらのヴァージョンも泣けるぞ。