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10 Jahre Brocken Moon (Usher-to-the-ETHER)


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10 Jahre Brocken Moon

2008年発表の2枚組企画盤。

ディスク1は、05年の1st「Mondfinsternis」の全曲をそのまま収録。基本は陰鬱なメロディに発狂ヴォーカルと、いわゆる「鬱ブラック」にカテゴライズされる音ではあるんですが、メロディが救いの無い漆黒ではなく、どこか「哀愁」も感じられるモノクロの情景が浮かぶ感じであったり、そのメロの哀感を活かしたメロウな疾走プリブラも演っていたり、FORGOTTEN WOODS風のロック的リズムを取り入れた曲、ダークアンビエントなどもあり、表現の方法はなかなかに多彩。

ヴォーカルは一流の鬱ブラなら標準装備している発狂系絶叫・嗚咽悲鳴を使いこなしているのは当然ながら、怨嗟の篭もった感情を糊上に塗りつけるような、邪悪な中音域が特に素晴らしい。この手には珍しいマイルドで漢らしい普通声も、「もしかしてドイツの葬式ってこんな感じだったりして…」と思わせるような、雰囲気の演出に一役買ってます。

スローテンポでひたすら精神を冒していくだけではない、多彩な作風は鬱ブラック好き以外のブラックファンでも楽しめるであろう間口の広さがあるにも関わらず、「カルト性」が芯の芯まで染み渡っているような暗黒感が素晴らしい。特にヴォーカルの引き千切れそうな中音域がヤバイです。ただ、途中から明らかに音量が変わる音質は個人的にはマイナス。わざとだとしても、こういう聞き辛くしてカルト性アピールみたいなのはちょっと受け入れがたいものがある…。

ディスク2は、99年のデモ「Pain」と02年のデモ「Scattenlicht Des Mondes」に、未発表音源である「Die Leere」を加えた内容。「Die Leere」も1stと同路線の鬱ブラックで良い曲なんですが、それ以上に驚いたのはデモ音源。キーボードや効果音が、時折バンドサウンドを飲み込んでしまう音像で、1stの曲以上に魔的・神秘的な印象があります。

この音像、意図的なものかどうかは分かりませんが…ともかくアンビエント系ブラック・抽象ブラック好きなら垂涎な出来になっているかと。ただ、性質上こっちは1stよりも聴き手を選ぶ感じはします。

…「Mondinsternis」が元々はデモ3つを集めたアルバム、という性格の作品のため、これ一枚で05年までの彼らの音源をコンプ出来るかな…とも思ってたんですが「Vollmond」デモにはMAYHEMの「De Mysteriis Dom Sathanas」のカヴァーも入ってたんですね…めっちゃ聴きたいんですけど、25枚リリースとか聴かせてくれる気は全く無さそうです(笑)。

Usher-to-the-ETHER ★★ (2010-02-27 08:55:00)