スイス産テクニカルスラッシュメタル1996年作 ジャンル分けは一応テクニカルスラッシュとしたが、このバンドの後期作はスラッシュ色はかなり薄れている。 あまりこの盤は出回ってないのか、手に入れるのに結構苦労した。CORONERのワリと熱狂的ファンでありながら、2000年位までこの盤の存在すら知らなかった。 2枚組の一方には未発表曲がいくつか収録され、一方は1995年9月に地元スイスで開催されたであろうライブ音源が収録されている。ライブで演奏される曲は Grin(1993年)からのチョイスなので、この盤が好きならまずまず楽しめる。しかし、演奏とは別の機材から発せられるハウリングノイズがイタイ。 海賊版レベルの粗雑な録音が耳に障る。ライブを楽しみたいならAutopsy: The Years 1985 - 2014 in Pictures(DVD)の方が断然楽しめるし No More Color Tour '90 Live In East Berlin(VHSビデオテープを所持しているが、HDリマスターされた動画がどうやらYouTubeで鑑賞できる)の方が激アツだ。 未発表音源の方は、DAFというパンクバンドのカヴァーが収録されていたり、デジタル処理を施された脱メタル色の強い音源にイマイチ感が半端ナイ。 苦労して手に入れたワリに、内容はかなり微妙である。あくまでファンディスクとして持っておく、という程度のシロモノだ。
ダサいフレーズと風呂場ヴォイスの超ポンコツイカレ宅録メタルだというのに何故か聴いてしまうこの人のサウンド。 昨年末にミニ新作Fossilized(2023年)が出たと思ったら、フルレングスアルバムらしきものが年始に立て続けにリリース。 Creatures From the Dawn ob the Earth(2024年)というタイトルで、両方ともジャケに化石が描かれている。 初期作から化石やらマンモスやら、石器時代のような世界観を徹底しており、Bandcampの新作紹介ページには recorded millions of years ago...(何百年も前に録音された・・・)などと書かれているな(笑) 今回は50チェココルナでゲット。普通はBandcampなら多くのサポーターが登録されているのに、コレに限ってはほぼ無人w 全く相手にされていない孤独な宅録オタクなんじゃないかと想像するところだ。 チューニングがおかしいのか、意図的にハズしているのか、ベースラインとギターの音が全く合っていない独特の響きや 調性とギターソロが全く合っていない故意なのか下手なのかわからない独自のハーモニーは健在だが 前作Blow by Blunt Flintの破壊力が凄すぎて、今作はインパクトという点では以前ほどではない、というより この音楽性に耳が慣れただけ、ということだろう。 大きく進化した点は、従来はどの曲も全く同じテンポだったところが、曲ごとにテンポを変える、という技を覚えたらしい。 1曲目はまさかのスピードナンバーである。 今作も安定の風呂場ヴォイスで悶絶の笑いを提供してくれる。
B級スラッシュメタルの名曲。80年代後半スラッシュメタル全盛期に登場したGothic Slamのこの曲は、当時数少なかったHR/HMテレビ番組で、 毎週のようにPVが放映されて、忘れられなくなるほど刷り込まれた感のある曲だ。当時は目下売り出し中という感じだったんだろうか。 シャツとジーパンを着たお世辞にもカッコいいとは言えない全体的にイモ臭さ満点のファッションセンス、チョビ髭ヴォーカルによる癖のある絶叫スタイル、 Who Died and Made You God!!と全員で叫ぶコーラス、その総じてダサい光景を更に際立たせるカメラワークなど、B級愛をやたら刺激するPVだった。 ギターテクは結構高く、演奏力はあると思うんだが、そのローセンスさに全て掻き消されている。 しかし、毎週のように映像で刷り込まれたせいか、当時のスラッシュメタルでは相当印象に残っている曲だ。
米国産ブラック2019年作 最近最もよく聴くブラックはProfanaticaのRotting Incarnation Of God(2019年作)だが、そのドラマーPaul LedneyがHavohejだ。 ブラックというと悪魔崇拝のイメージが付き物だが、この人は自分自身を崇拝して、濃厚なアンチクリスチャン思想を持っている。 そもそもHavohejはエホバの綴りを反対から読んだモノだ。というワケで、ソロ名義のこの盤も一般のブラックメタルフリークを寄せ付けない 激しさとは無縁な、祭儀的で、尊大で、狂った内容だ。本気なのかファッションでやってるのかわからないが、全くこの人はもう狂人だよ。 ちなみにソロ名義の盤はDethrone The Son Of God(1993年作)も持っているが、この人のスタイルを知らずに聴いた当時は全く理解できず ただのポンコツメタルだな、と思って殆ど聴いていない。しかし、Profanaticaのカルト臭の魅力がジワジワと判ってくると聴こえ方が変わってくる。 Havohej名義の作品においても、ジワジワとそのカルト臭の魅力に憑りつかれていく感じだ。まあ、今更初期作品を聴き直そうとまでは思わないが。 とりあえずProfanaticaの昨年作と同じ年にリリースされたこの盤は、セットで持っておきたい濃厚なブラックだ。 しかし、演奏力や激しさといった音響的な完成度を求めるブラックメタラーは、手を出すと「なんじゃコリャ?」という感じに思うかも知れないね。