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SADISTIC DRIVE - Perpetual Torture ★★★ (2023-08-28 19:06:17)

フィンランド産デスメタル2022年作
今作はワリと頻繁に聴いているが、前作ANTHROPOPHAGY(2020年)に比べると、なんだか落ち着いた音になったな・・という印象。
前作との違いは、ゴア要素を出そうと思ったのか、ギターの尖った音が少し丸くなり若干湿り気が増したことと、硬質ベースが目立つこと。
ドラムの音質も固く甲高い感じから、中音域以下の質感に変化している。気持ち悪さを引き立てる奇抜なギターの演出も控えめ。
演奏スタイルは大きく変わらないが、前作の破天荒な魅力や爆発力が若干削がれて地味になった。
初期の出過ぎた個性を修正してコンパクトにまとまったセカンドアルバム、というデスメタルあるある・・そこが評価の分かれ目かな。
というワケで、前作ほどの衝撃は無いにしても、安定感のあるゴア要素を含むデスメタルが聴ける。悪い言い方をすれば、普通に近づいた。
ダメ出しはしてみたものの、濃いフィンランド産デスは貴重なので愛聴度は非常に高い。一聴すると米国産に聴こえるがフィンランドというだけで
一歩引いてしまう緊張感が漂い、そこに魅力を感じざるを得ないところがあるね。
なんにしても、この底辺のセンスがいいんですよ。落書き調の粗悪ジャケと気色悪いバンドロゴは健在だ。そこは底辺を貫いていていい感じだ。
こういうバンドは、初期の無茶苦茶感を堅持して、落ち着いてほしくないなぁというのが正直なところだが、このバンドは特に注目しているので
少々不満があってもきっと聴き続けるだろう。完成度は非常に高いデスメタル。ただ、オススメは神懸ったクオリティの前作だね。


SANCTUARY - Into the Mirror Black - Future Tense ★★★ (2020-11-02 22:31:46)

アルバム1曲目、この盤で最も完成度の高い楽曲。
ディストーションを厚めに歪ませながらもベースの重低音をうまく融合させて、激しくも物静かな冷たい雰囲気を作り出している。
伸びやかなハイトーンヴォーカルにサイドヴォーカルが絡み、淡々と展開していく様が素晴らしい。
ギターソロの後に登場するリズム隊主体のリフは、これぞヘヴィメタルといわんばかりの醍醐味を感じさせる鈍重なリフでカッコいい。
また、ラストはテンポアップして疾走して終わる。起承転結がハッキリわかりやすいドラマチックなこの1曲にSanctuaryの魅力が凝縮している。


SANCTUARY - Refuge Denied ★★★ (2020-11-01 21:19:15)

米国産パワーメタル1987年作
雰囲気や完成度ではInto The Mirroe Black(1989年)が断然素晴らしく、ボクはそっちが好きだが、処女作のコレも素晴らしい。
Queensrycheと比較されるのは、曲中にマイナーコードからディミニッシュコードへ移行する印象的なコードワークが酷似している上に
ハイトーンヴォーカルという共通点があるのが理由だろうが、音楽性は美しいQueensrycheとはかけ離れており、醜悪な雰囲気が魅力だ。
また、パワーメタル寄りの音楽性でありながら、彼らがスラッシュメタルとしてメディアで紹介されていたのは、当時のスラッシュメタルで
よく聴かれたリフ構成を結構多用しているからだろう。この作品は押せ押せのスラッシュではなく、ど真ん中のパワーメタルだろうと思う。
重めのスネア、キツめの歪みのギターでザクザク刻む破天荒な迫力、ドゥーミーにネットリと聴かせるミドルパートを融合した演奏に
狂気じみた素っ頓狂なハイトーンヴォーカルが乗ると、濃厚なカルト風味や呪術的な気持ち悪さが漂ってくる。
歌に学のあるWarrel Daneの魅力が発揮されているのは、このバンドの初期2作品だと思う。ただ、ボクは次作の完成度に圧倒されて
この作品はそんなに聴かなかった。しかし、無骨な破天荒さや醜悪な雰囲気はこの作品の大きな魅力で、次作では薄れている。


SANCTUARY - The Year the Sun Died ★★ (2020-04-26 17:35:58)

当時1stと2ndのどちらがツボにハマったかによって評価が分かれそうな作品。
ボクはSanctuaryは2ndのInto The Mirror Blackこそ真骨頂と思っている。
静かなるリフをバックにハイトーンヴォーカルが絡むというコントラストが素晴らしかった。
スラッシュ全盛期にそのスタイルは唯一無二の個性だった。半面、ヘドバンできるような作風ではないからか
スラッシュメタルとは言われながらも、スラッシュフリークに受け入れられたのかどうか疑問な作品ではあった。
ブランクを経ての新作には、当然2ndのあの静寂さえ感じる雰囲気を期待していたが、
残念ながらどちらかというと1stへ原点回帰したような熱いサウンドとなっている。
演奏技術や楽曲のクオリティは当然高いので、相当聴きごたえある好盤だが
ボクとしては、温度を氷点下まで下げた冷たい作風を期待していただけに、2ndの個性が失われたのは残念。


SANCTUARY - The Year the Sun Died - The Year the Sun Died ★★★ (2020-11-02 22:53:14)

アルバム中最も完成度の高い曲かなと思う。Into The Mirror Blackで聴けた冷たさがここに蘇ったか、と思った。
それでもまだ温度が高めだ。作り込んでいるのはよくわかるが、ドラムのバスドラ踏みすぎ。もっとシンプルでいいのにと思う。
また、素っ頓狂なハイトーンヴォーカルが無いのがやっぱり物足りない。
ダメ出ししても★3つなのは、それを差し引いてもカッコいいからだ!


SAOR - Forgotten Paths ★★★ (2021-08-14 03:05:21)

英国産ブラックメタル2019年作
ペイガニズムに寄ったメタルサウンドに浪漫を感じるボクのツボを突くバンドの作品。ペイガンメタルはロシア、特にスラブ地域の作品を多く愛聴しているが
珍しく英国産で、このバンドはカレドニアメタルと言われているようだ。深く調べると、英国の土地、自然、詩をテーマにしているようだ。
Andy Marshallという人のソロプロジェクトだが、恐らくゲストミュージシャンと共に演奏されている。この人は、自然をメタルに融合することをテーマとして
作品を創っているようだ。そういう志向性があるので、ボクのような森林崇拝系ブラックを愛する者としては、どストライクゾーンなサウンドだ。
但し、多くの森林崇拝ブラックのように、濃い空間エフェクトで霧を表現する類いのサウンドではない。適度な残響音でブラックメタル様式の演奏で突っ走るが
音圧は控えめ、落ち着いた感じである。若干クサめな旋律に土着的な浪漫が宿っている。また、楽曲構成自体に才があるな、と感じさせる。
最近は、土着的なブラックの教科書はコレだ、と感じている。なかなかコレを超える同系ジャンルのバンドには出会えないんだよねぇ。オススメ。


SAOR - Origins ★★★ (2023-10-25 23:47:00)

英国産ブラックメタル2022年作
ペイガニズム寄りの浪漫溢れる土着カレドニアメタルで、リリース毎にゲットするのが仕事になってきた。
ペイガンブラックではもはや教科書バンドで、適度なクサさのある旋律、過剰演出のない安定感が最高だ。
多くのブラックメタルが「悪魔」や「鬱」的な路線にシフトしているのに対し、このバンドはそういうところが無い。
ペイガンメタルというジャンルだから、一応背後には領土侵略のようなテーマが見え隠れするんでしょうが
カレドニアのケルト文化に焦点を当て、その文化や土地を愛する空気が伝わってくるところがこのバンドの良いところだ。
従来作品と何が違うのか、と言われると困るくらい、ずっと延長上のサウンドを追求しているが、作品毎に
完成度が底上げされている感はあり、特に録音状態と残響音はリリースの度にレベルアップしてる気がする。
ジャケやインナーのイラストは神秘的で、ケルト文化なのかどうかはわからないが、古代絵のような感じが魅力的だ。


SAOR - Origins - Call of the Carnyx ★★★ (2023-10-26 00:01:46)

CARNYX(カーニクス)は、ケルト人が使っていた動物の角なんかが施された金管楽器。
この曲は、まるで霧深い森で遠方からカーニクスが響き渡るような感じがとても神秘的。
戦闘前にカーニクスが響き渡り、それに応えて戦闘態勢に入る、といった世界観だろうと思う。
凄く印象に残りやすい土着音楽定番ともいえるクサいリフから始まり、ケルトファンタジーがスタート。
こういう曲を1曲目に持ってきて惹きつけるところとか、ホント上手いな、と思うね。


SATANIC WAVES - They Burn ★★★ (2021-06-04 01:03:26)

チリ産ストーナーロック2021年作
先月末にリリースされたメタル辺境国チリから突如現れた、恐らく無名なバンド。しかし、そのレジェンド級の音響から、相当な経験値の高さが感じられる。
もう南米チリは、ボクの中で過去の辺境イメージが先行しているだけで、メタル辺境国とは言えないかも知れない。最近は率先してチリ産に注目しがちだ。
CDでのリリースは無いようでMP3ファイルでゲットしている。PCを開いている時にしか聴いてない上、リリースから数日しか経っていないにも関わらず
今年最も衝撃を受けた上半期ベスト盤と言える。一聴しただけで、その素晴らしさが伝わってくる。もはやストーナー路線はあまり漁っていなかったから
偶然にもこのサウンドに巡り合ったのはホントにラッキーとしか言いようがない。
バンド名からイメージする悪魔的なテイストは無いわけではない。イーヴルで適度な浮遊感はあるが、真性な背徳感や濃厚な酩酊感は無い。
そういう要素を適度に含ませた、粘り気の強いギター、オーソドックスな演奏形態のカッコいいロックサウンド、力強いダーティなヴォーカルスタイルだ。
決して懐古主義的なヴィンテージ寄りサウンドでもない。勢いがありエネルギッシュさが宿っている。
普段は寒々としたサウンドを好むボクだが、このサウンドはどちらかというと真逆で、翳りがありながらもデザートロックのテイストがある。
そういう音楽性なので、デザートロック&ストーナーでまず思い浮かぶKYUSSファンにはストライクゾーンど真ん中だろう。
独特なタイム感は時に凄まじいグルーヴを生み、計算され尽くしたかのようなノイズが仄かな酩酊感を醸し出す。シューゲイザー的な翳りは時として切ない。
ただ、全体的な尺が33分というのは少し物足りなさがある。もっとこのサウンドに浸っていたいと思わせる。
非常に中身の濃いサウンドだが、敷居は高くなく、初心者から玄人までフォローする内容だと思うので、騙されたと思ってYouTubeで視聴してみて欲しい。超オススメ!


SEPTIC MIND - Rab ★★★ (2020-06-22 01:50:01)

ロシア産フューネラルドゥーム2014年作
一応真っ黒い世界観なのでフューネラルドゥームとしたが、一般に想像するフューネラルドゥームほど速度がそんなに遅くなく、あまり淡々とはしていない。
ロシア語を翻訳する気にならないので歌詞はわからないが、過去作含めたジャケから想像しうる世界観は限りなく絶望的で、人生残念ドゥームだ。
よくある遅ーい垂れ流し系とは一線を画し、ワリと起伏のある曲展開をする。また、ギターは常に何か旋律を奏でており、刻む時はトレモロリフを刻む。
ギターの音作りは結構コダワリを感じ、どちらかというとブラックメタル的質感を持つジャリジャリした硬めの音で、単音で弾くと突き刺さるような感じだ。
曲によっては、ワウを結構多用したり、フランジャー的なギターエフェクト(実際は何のエフェクターかはちょっとわからない)を咬ませたりしている。
大作主義の楽曲だが、長時間淡々と聴かせることで鬱々とした気分にさせるタイプとは若干異なり、楽曲構成力で勝負しており、とても奥深いサウンドだ。
サイケとは異なる独創的なギターエフェクトと職人気質な演奏、複雑に作り込まれた楽曲、張り詰めた緊張を伴うヒリヒリした感触など、完成度は非常に高い。
その分、コレを聴くには集中力が必要で、フルで聴くと相当疲労感を伴う。ボクは疲れている時にはとてもしんどくて聴けない。
疲れることが判っているからCDを手に取ってプレイヤーに入れるまでにスタミナを消費してしまう。そんな音だが、この盤はドゥームフリークは必聴盤だ。
しっかりと体力が温存されている時に、腰を据えて聴きたい、相当聴き応えのあるサウンドだ。


SEPTIC MIND - Истинный Зов ★★★ (2020-06-22 02:12:10)

ロシア産フューネラルドゥーム2011年作
この頃は淡々としたスローなフューネラルドゥームをやっていたが、空間系エフェクトが優秀過ぎて緊張感がハンパないので疲れる。
このバンドがやっていることは凄いなと思うし、この盤に感銘を受けて追いかけている節もあるんだけど、疲労感を伴うので敬遠しがちだ。
なんてカオティックで真っ黒いサウンドだろう。この頃から音作りに関してとても前衛的な側面を見せている。
決してヘヴィさや音圧で圧倒されるようなサウンドではないのに、どうしてこんなに疲れるのか・・それほどの威力を秘めている。
一般的には次作が必聴盤(このジャンルに一般もなにもナイが)だろうが、ボクは淡々とした雰囲気のあるこちらの方が好みだ。
このサウンドは、カオティックなダークアンビエント作品が得意で、ドゥームフリークかつブラックメタル的緊張感を得意とする人向けだな、と思う。


SERGEY LYAPUNOV ★★★ (2020-06-13 00:45:39)

今最もハマっているロシアのピアノ作曲家だ。ロシア5人組(ボロディン、バラキレフ、キュイ、ムソルグスキー、ラフマニノフ)や
プロコフィエフ、スクリャービンあたりの知名度までは無さそうだが、とてもアグレッシブで斬新なピアノ作品を多く作曲している。
そもそもリャプノフは技巧派のバラキレフの影響が強い上、同様に技巧派のラフマニノフがリャプノフからの影響が強いように思う。
また、ロシアピアノの基礎を築いたヘンゼルトが、手指を広げた技法を広めたことから、その影響が色濃く、リャプノフの鍵盤技巧は
知名度の高いリストあたりの楽曲に比べても、オクターブ以上の、10度の広がりが普通といった感じで、非常に弾きにくく演奏難易度が高い。
その広範囲な打鍵を駆使したフレーズは独創的なハーモニーを生み出し、また、叙情性も相当深いので、ハマれば抜け出せない魅力がある。
代表曲としては、「12の超絶技巧曲集 作品11」あたりが有名で、YouTubeで聴ける演奏は殆どがこの曲集に含まれる曲だ。
特に「子守歌」「レスギンカ」がよく弾かれているようだ。ボクがこの曲集で最も好きなのは、イスラムのダンスリズム要素が色濃い「レスギンカ」だ。
この曲はとてもファイティングで、まるで戦士が戦場を駆け抜けるかのようなドラマチックな曲展開が魅力で、音数も多くゴージャスな曲だ。
また、この曲集にはもう1曲必聴の曲「幽霊のロンド」があり、圧巻の作品だ。非常にスピーディに展開する超絶技巧かつアグレッシブな鬼気迫る作品だ。
この曲集以外の音源や楽譜は日本ではなかなかお目にかかれないので、ここからは輸入盤や輸入楽譜をゲットしないと深く堪能することはできないが
とりあえずいろんな音源を探してみたところ、「タランテラ作品25」は相当聴き応えのある凄い曲だった。
リャプノフはピアノ作品ばかり残している。まだ全作品を探しきれていないが、凄まじい曲想、技巧の曲がまだまだある筈、と思い
ここ1,2年、かなりのヘビーローテーションなのだ。


SERPENTCULT - Raised by Wolves ★★★ (2020-07-27 22:53:26)

ベルギー産ドゥームメタル2011年作
前作のWeight of Light(2008年作)でMichelle Noconの女声ヴォーカルがクローズアップされがちな印象だが、この作品では脱退している。
濃密なドゥームサウンドをバックにキュートな女声ヴォーカル乗る魔女サウンドもいいが、このバンドの最大の魅力はそこではないとボクは思う。
このバンドの前身、Thee Plague of Gentlemenの鈍重で濃密な真性ドゥームサウンドに一時期ハマったことがあるが、そのヘヴィネスを継承した
演奏にこそ魅力がある。海外レヴューを翻訳すると、どうもichelle Noconが脱退したこの盤は過小評価されがちな感じだが、ボクは前作とではなく
Thee Plague of Gentlemen時代のサウンドと比較してしまう。純粋にドゥーム・スラッジ的濃さではThee Plague of Gentlemenに軍配が上がるが
当時のストレートなサウンドから更なる進化を志向している雰囲気が感じられるこの盤は、ボクのツボに結構ハマる。
この人たちの演奏は、ヘヴィでカオティックで、ファズの効いたギターノイズのザラつきや粘っこさ、無駄の無いタイトなドラムなど、
純粋に音響的な魅力が詰まっている。わかりやすい個性である「女声」を失ってしまったが、もっと評価されるべきサウンドだと感じる。
この盤をラストに全く音沙汰が無いのが残念だ。


SERPENTCULT - Weight of Light ★★★ (2020-07-29 17:45:57)

ベルギー産ドゥームメタル2008年作
Michelle Noconのキュートな女声ヴォーカルが特徴のドゥーム・スラッジど真ん中の真っ黒サウンドだ。
女声というわかりやすい個性がクローズアップされがちだが、このバンドの真の魅力は前身バンドThee Plague of Gentlemen
で培われたハイレベルのドゥームサウンドにあり、そんな贅沢な演奏を携えた魔女ドゥームというスタイルが素晴らしい。
次作ではMichelle Noconは脱退し、Death PenaltyやBathshebaに鞍替えしてしまう。女声を失ったこのバンドの方向性は、
より深みあるサウンドを求めてカオティックな音楽性へと志向していくが、オーソドックスなドゥーム・スラッジの安定感という点では次作よりこの盤が上。
一方でMichelle Noconの歌は、この盤時点では「女声」という個性を放つに止まっていると感じるが、Bathshebaでより
表情豊かな魔女的個性を発揮するに至る。


SEVEN SISTERS OF SLEEP - Ezekiel's Hags ★★★ (2020-04-26 16:45:49)

ローランDeath氏オススメによりゲット。
ジャケの神々しく祭儀的なデザインから、聴く前に予感がしたが重度なドープスモーカー向け昇天スラッジである。
歌詞をよく見ると判ると思うが、描いている世界は苦行を乗り越え涅槃の境地へ辿り着く的な世界観だろう。
そして最後には宿命に従い神の兵を引き連れてWarMasterとして破壊の扉を開く・・という感じかな。
ボクは善良な社会人なので、タバコか葉巻を代用して、このサウンドに浸ってみたい。
鈍重なリフもあれば激しくブラストするパートがあったりするが、基本全体的に重苦しく、霧がかかっている。
ストーナー的要素を大いに含んだ重厚かつアトモスフェアなスラッジサウンド&ストーリー性のあるコンセプトがステキだ。


SEX PISTOLS - Never Mind the Bollocks Here’s the Sex Pistols ★★ (2023-08-30 13:32:55)

英国産パンクロック1977年
まあ、話題になっているようですので・・・一言。
3コードで適度な速度で演奏できる、バンド初心者には持ってこいのサウンドで、バンドビギナーのコミュニケーションツールには最適。
ボクも学生時代は Anarchy in the U.K.とGod Save the Queen、即席バンド組んでやりましたよ。
結局、演奏技術の高低や楽曲構成の優秀さは、必ずしもリスナーの心地よさにはリンクしないということだ。
まあ、反社会的なアイデンティティに心酔し過ぎなければ、至上のエンターテイメントだ。

メディアが搔き立てる、このバンドメンバーの反骨精神や国家への反社思想というのは、若干違うかなぁとは思います。むしろ書かされている(笑)。
というのも、このバンドの仕掛け人は別にいて、裕福なシオニズム思想家と思われる家庭で育った(まあネットで検索したら出てくる)人。
英国ロックで突如名が売れるようなバンドの背後には、そのテの仕掛け人とビートルズ同様TIHR(コレも検索したら出てくる)がいるんだろうなと
まあ、ボクの場合は邪推してしまいます。というワケで、既存社会への破壊思想の流布を社会実験的に行い、彼らはそのアクターという見方をしている。
そもそもレコード会社からの違約金で至福を肥やした歴然とした事実のあるバンドですし、国家からはスパイ的な見方をされていた側面もある。
ジャケフェチなボクの妄想的見方としては、この3色の黄、黒、赤(ピンク)のジャケはものすごーく引っかかるところがあるね。
ウクライナ戦争勃発時から、ウクライナ色(国旗の3色)には神経過敏なボクですが、シオニズム的なキャンペーンやそれ系会社ロゴに
そういう配色が敢えて使われる頻度は高いと感じていて、じゃあ、そういうコトは70年代からあったのか・・というと、
まあボクの見解では、ありました、と。このジャケの3色で思い浮かぶのはまあ、ドイツ、ベルギー、スペイン国旗配色ですが・・
まあ、そもそもそれらの国旗のルーツを辿りますといろいろと背後に見えてくるモノがある。
赤じゃなくてピンクなんだから、妄想じゃん、と思われるかも知れないが・・・
もうちょっと後で登場する同じく英国産パンクのCrashのLondon callingは、黒、緑、ピンク(赤)、のジャケで登場するんだよ。
London Callingという言葉は、被支配地域向け放送で使われる言葉、この配色で思い起こさせる国旗はトルコ以南の地域なんだよね。
同じパターンが同じ英国産パンクから登場したんだから、まあビンゴなんだろうなとボクは妄想を描いております。
まあ、この作品の話に戻しますと、アルバムタイトルにはストレートに、英国の無政府状態、というテーマを掲示して、仕掛け人がそのテの人
なんですから、まあ、そういう音楽なんだろうなと。
こういうことを気にし始めるとメジャー音楽に過剰な猜疑心を持ち始めてしまうので、まあ、気軽に楽しめばいいとは思っているけど
特にこのバンドはそういう色が非常に濃いバンドだなぁとは感じますね。


SEX PISTOLS - Never Mind the Bollocks Here’s the Sex Pistols ★★ (2023-08-30 20:51:35)

あら(汗)
なんか気に障りましたか・・すみません。
別に他人の発言が許せんとか忖度とかそういうことはありません。
あからさまにシオニズムやまんじネタを明記するのも良くないし、ネットで調べればわかるよ、と書いただけで。
それ以降の情報は恐らくもう今の情報統制下ではネット検索ではなかなか出ない情報ではないかと。
TIHRも敢えてアルファベットで記載してますし、ここら辺の情報はもはやビートルズ陰謀論ネタくらいしか情報は出てきません。
ココが色彩心理学をはじめとした研究をしていた情報ソースはむしろネットではなくそっち方面の暴露系メルマガです。
ボクは大学時代はシオニズムとその対極にある勢力のバンドに心酔した時期があって
ココの古参の人たちは、ボクがジェロビアフラをはじめとしたパンクロックに心酔していたことも知ってる人はいるんじゃないかね。
少なくとも音楽は楽しめればいい。ただ、5年、10年前まではそれで良かった、と思いますが
今の社会情勢を思うと、シオニストルーツが濃厚に疑われるモノは知っておくべきだという思いから、つい、書き込みました。
そのテの作品は今、海外作品を買おうと思っても思想的な理由で買うことができず、Youtubeでも視聴制限が随分されている。
ただ、こういう大衆化した作品は聴けるんだよね。
先日はTreat版にも似たようなことを書きましたが・・・そのテの思想や暗示が含まれているよ、ということが言いたかった。
もちろん、そういう思想に反対するからそういうテーマを扱っているケースもあるだろうからTreatはどっちかなーとは思っている。
そういうことなので
まあ、いらんことはもう書かないほうがいいかなともちょっと反省してます。
ちょっと尖ったことを書くと名無しが現れますし。


SHALLOW RIVERS - The Leaden Ghost ★★★ (2020-06-13 01:43:09)

ロシア産デスメタル2015年作
一応デスメタルとしたが、ほんの少しドゥーム寄りな音楽性が見え隠れするものの、ツーバスがドコドコ随所に入り、シンフォニック要素もある。
ブラックメタル的質感のギターもアリという、そんなに珍しい音楽性ではないとは思うが、メロデスでもなくオールドスクールでもない、
一定ではない音楽性から若干ジャンル分けが難しい作品だ。そういった様々な要素を効果的に組み合わせたかなりクオリティの高い作品だ。
ジャケは黒地で左右の山の尾根から太陽が覗き、中心にワンピース姿の女性の後ろ姿のようなモノが描かれているが、ジャケの中身を見てみると
2ページに渡りこのジャケの情景が灰色を基調とした写実で描かれている。幻想的な2つの太陽を見つめるかのような女性の姿が印象的だ。
結構ドスの効いたデスヴォイスと迫力のあるツーバス、ギターもブラックメタル的な禍々しいフレーズや不穏な不協和が登場するものの
シンフォニックなシンセが効果的で、描く世界観はむしろ幽玄な情景からイメージされる内省的な「死」や「冷たさ」であり、叙情性豊かな作風だ。
露骨ではないがややポストブラック的な要素もあり、決してエモーショナルではないが、単にブラックメタル的禍々しさのみには留まらない感覚がある。
激しさと静けさが同居する雰囲気で、不協和なワリにメロディアスな旋律も登場、起伏に富んだ曲展開がドラマチックでかなり奥が深い楽曲が魅力だ。
特にラストを飾るタイトル曲は、近年稀に見るドラマチックさを感じさせる壮大な曲でホント素晴らしい。
結構意表を突く曲展開をするので、ハマればクセになる。ロシア作品は特にこういう路線のバンドのレベルが高いとよく感じる。超オススメ。


SHAPE OF DESPAIR - Monotony Fields ★★ (2020-05-07 20:52:50)

フィンランド産ゴシックドゥーム2015年作。
ここまでの作品は、フューネラル臭まで感じられないゴシック寄りな淡々と流れる感じのドゥーム路線で
新作発表の度に内容も深化しつつも、大きく音楽性を変えることなく、安定感のある作品を発表してきた感がある。
ヘヴィさで聴かせるタイプではなく、各々のパートが織りなすハーモニーをじっくり聴かせる路線ではかなりの好盤。
とはいえ、ボクの中では徐々に順位が下がりつつあり、あまり頻繁に聴く盤ではない。
決してダメな作品ではなく、むしろ素晴らしい内容なんだけど、フィンランド産特有の濃さを期待してしまう。
次作は既にリリースされているが・・・また近いうちに買ってみようと思う。


SHAPE OF DESPAIR - Shades of... ★★ (2020-05-07 19:51:44)

フィンランド産ゴシックドゥーム2000年作。
一応ドゥームサウンドだが、ギターの味わいはあまり奥深くなく、世間でフューネラルドゥームと言われながらも
ボク自身はあまりフューネラル臭を感じず、ゴシックサウンド的な位置づけにあるバンド。
曇り空を思わせる深めの残響音が素晴らしく、濃いカルト臭漂うシンセ&ヴォーカルの存在感が大きい。
正直、Shape of Despairは、今のところこの作品があればいい。これ以降、Monotony Fieldsまで所持しているが
どうも処女作品を凌ぐ進化を感じない。


SHATTERED HOPE - Absence ★★★ (2020-05-24 22:14:15)

ギリシャ産フューネラルドゥーム2010年作
バンド名を直訳すると「打ち砕かれた希望」だ。そのまんま、直球の人生残念ドゥーム決定版だ。
ヘヴィなギター、ムードたっぷりのシンセ、もう立ち上がれないほどに遅いテンポ、唸るようなヴォーカル。
その全てが鬱系ドゥームど真ん中の音楽性で、こういうMournful Congregationぽい世界観のドゥームはワリとよくある。
しかし、このバンドは決して際立った個性派ではないのに、集中力が途切れることなく、その音楽性に浸ることができる。
それだけ、しっかりした楽曲構成力があり、ドラマチックで静かなる迫力を秘めているのだ。
ジャケを含め、非常に地味な印象のあるバンドだが、結構奥深く聴き応えがある。


SHATTERED HOPE - Vespers ★★★ (2021-01-13 03:15:20)

ギリシャ産フューネラルドゥーム2020年作
6年ぶりの新作、処女作Absence(2010年)をゲットした頃は、そのオーソドックスで無個性な感じから、優秀だけどフェイバリットバンドとまではいかなかった。
前作(2nd・Waters Of Lethe・2014年)は、処女作の延長上にある音楽性ではあったが、フューネラル度がアップし、ホンモノ感が増した好盤だった。
とはいえ、他バンドとの差異化という点では、百凡の同系バンドに埋もれそうな無個性に、危機感を感じるサウンドだった。そうは言っても前作は結構な愛聴盤になった。
オーソドックスな路線を貫き、音響的クオリティをアップさせた感触が結構ツボにハマったからだ。新作には、更なる進化というよりは、新要素を加えない深化を望むところ。
リリース元のSolitude Productionのショップでゲットしたんですが、結構大々的に宣伝してるあたり、猛プッシュしたいバンドなんだろうなと思う。
ただ、ボクとしては一応★★★としたが、ギリギリラインといった感じ。音響的な雰囲気はイイ感じに高止まりな印象、ただ作品全体としては、ボクは前作の方を推したい。
多くのフューネラルドゥームバンドが失敗するパターンとして、力作を創り上げようとするあまり、音を詰め込み過ぎたり、より凄みをきかせようとしたりすることで
本来このジャンルに求められる淡白さや静けさが失われてしまう、という失敗をしていることがある。今回この作品については、ちょっと音数が増えた印象を持ったことと
ギターを垂れ流した方が雰囲気が良いのに、刻んでしまったなー、と思わせるリフが散見する。そもそも、処女作がそういう作風で、2ndでその問題が解消した感があるので
処女作にあった不満点を再び抱えてしまった、と思っている。バンド名の直訳が「打ちひしがれた希望」なんだから、刻んで躍動感を出してはダメだよ。
グダグダにドロリーンと垂れ流して無気力な人生残念感を出して欲しかった。ただ、この作品と前作を何度も聴き比べたことで、前作のクオリティが相当高かったことを
再確認できたな、と思っている。ポテンシャルは高いバンドだ。次作に期待しつつ、今作ももう少し聴いてみようと思う。ダメ出ししたけど、良い作品だよ。


SHATTERED HOPE - Waters of Lethe ★★★ (2020-05-24 22:26:22)

ギリシャ産フューネラルドゥーム2014年作
ジャケは前作よりも更に地味になり、ジャケの文字すら薄すぎて見づらい。茶褐色モノトーンジャケに全く色彩はなく
その色気のナイ地味すぎるジャケを見ると、もはや人生に希望が持てないホドに打ち砕かれたのか、とアーティストたちが心配になる。
一応ケースの裏ジャケは茶褐色ながら山と雲の風景が描かれているが、ホントに地味なバンドだ。単にジャケに金かけてないだけかも知れんが。
音楽性は前作の延長上で、全くコマーシャルなところや、明るさなど一切無い、ど真ん中フューネラルドゥームを展開する。
他バンドに比べて際立った個性は相変わらずナイ。音圧もヘヴィだが、決してスゴイ重量ではない。
ヴォーカルもありがちなデスヴォイス、シンセも適度・・・なのに、その音楽性に没頭してしまうから不思議だ。
ホント、きちんと楽曲を作ってる。終始超スローなのに、全く飽きさせないリフ、アレンジ、ドラマチックさが素晴らしい。


SILENT STREAM OF GODLESS ELEGY - Návaz ★★★ (2020-05-12 23:45:13)

チェコ産フォークメタル2011年作
現在地球上で最も先進的・前衛的な音楽が生まれているのはチェコだろうと思う今日この頃だが、メタル路線の鉄板バンドはコレだ!
前作Relic Danceでヴァイオリンとチェロ、デスヴォイスとヘヴンリーな女声ヴォーカルを融合した、当時としては珍しい構成とその音楽性に悶絶した。
この作品は、更に音楽性が深化し、現状ではこのバンドの最高傑作(次作も捨てがたい)だろうと思う、メタラーには必ず聴いて欲しい神盤。
ヴァイオリン・チェロといった弦楽器を大々的に導入して、メタルサウンドに昇華することに最も成功したバンドだろうと感じている。
女声ヴォーカルとデスヴォイスとの対比が美しいバンドは、最近は結構増えてきているが、このバンドは女声が2声かつ相当上手い。
前作と比べると、録音状態の向上で重厚になり、女声ヴォーカルが勢いを増して、哀愁の翳りはそのままに華やかになった印象。正当な進化を遂げている。
日本では無名なのかも知れないが、爆発的にヒットしても驚けないポテンシャルを持っている。入手はそんなに困難ではないはず。


SILENT STREAM OF GODLESS ELEGY - Smutnice ★★★ (2020-05-13 00:05:03)

チェコ産フォークメタル2018年作
前作Návazからの変化は、コーラスが更に厚みを増したことと、独特な翳りが薄まり、力が湧いてきそうな明るさが前面に出たということ。
更に、どちらかというとゴシック・ドゥームフリークに受けそうな作風だったのが、ツーバスを取り入れるなどのアグレッシブさが加わった。
異国情緒溢れるフォークメタルの鉄板作品、Orphaned Landあたりの音楽性がツボな人は、それよりメタル色はやや薄めだが恐らくストライクゾーンだ。
ボク的には前作と甲乙つけがたいクオリティだが、独特な翳りとドゥーミーさから、前作の方が好きかな。


SKEPTICISM - Ordeal (2020-05-15 21:37:37)

フィンランド産フューネラルドゥーム2015年作
ドゥームゴッドによるライブ盤。ハードロックならライヴの臨場感を自宅で楽しめるのかも知れないが
こういう音楽のライブ録音を自宅で聴くことに正直あまり意義を感じなかった。
このバンドの音は、録音状態のイイ完成度の高いアルバムを物静かに明かりを消して聴く方が雰囲気が出ると思うけどなぁ。
資料としてコレクションするにはアリ。


SKYFOREST - A New Dawn ★★★ (2020-07-28 00:01:21)

ロシア産シンフォニックブラック2020年作
森メタルフェチとしてはバンド名に「Forest」の綴りが入っている時点で注目せざるを得ない。
しかもボクのストライクゾーンど真ん中のロシア産だ。前作Unity(2016年作)は、動物ジャケ、特に鳥ジャケフェチのボクとしては絶対にゲットすべき
作品であるにも関わらず、当時は金欠で泣く泣く見送り、未だにゲットしていない。コロナの影響で停滞していたロシアからの空輸が復活した今
そろそろゲットしないといけない。と思っていたが、先に新作が発表されてしまった。というワケで、先週この新譜がやっと我が家に届き、堪能している。
今作のジャケは、森、自然を感じさせる優秀なジャケだ。ジャケ裏には怪魚が描かれている。盤には草が描かれ、盤を取り出すと、木の根や枝が絡みつく
心臓のようなモノが描かれている。最高だ。近年稀に見る、想像力を掻き立てるファンタジックなジャケに、まず心を奪われる。
ギターの音がナマ音に近い浅めのエフェクトのため、大自然で森や鳥が騒めくようなテイストが感じられるのが素晴らしく、一般のブラックメタルより
ギターの攻撃性は控えめだ。しかし、シンセが厚めに導入されており、聴き応えは充分だ。ポストブラック的なエモーショナルさがあり、前向きな音楽性だ。
ブラック特有なガナリ声は、濃密な霧の向こうから聴こえてくる感じ。朗々とクリーンに歌い上げる様は、自然の美しさを表現している感じでステキだ。
普段ツーバスやブラスト満載のバンドはあまり好まないが、このバンドは、そういうパートで盛り上げる箇所がカッコいい。血圧が10くらい上がりそう。
濃いブラックメタル派には向かない音楽性かも知れないが、森メタルに浪漫を感じるリスナーにとっては、かなりツボを突かれる作品だと思う。
木が茂る山の頂きで日の出を見ながら聴くとバッチリとハマりそうだ。ボク的には2020年上半期ベストアルバム候補に一気に浮上した感がある悶絶作品だ。


SKYFOREST - A New Dawn - Along the Waves ★★★ (2020-07-28 00:13:23)

シットリとしたアコギパートから、仰々しいシンフォニックなシンセとドラムが入るパートに移行した時に
森が騒めき、木々から鳥が一斉に飛び立つようなシーンが思い浮かぶ。
その後、激しいブラストをバックにガナリ声ヴォーカルが続くが、霧が立ち込める壮大な大自然が感じられるから不思議だ。
もうね、こういう森ファンタジーな曲は大好きなんだよ。


SKYFOREST - Unity ★★★ (2020-10-09 12:45:55)

ロシア産シンフォニックブラック2016年作
随分前から欲しい欲しいと思いつつも、あまり高評価ではない世間評と金欠から購入を躊躇していたが、先にゲットした「A New Dawn」(2020年)の
素晴らしさに惚れてしまい、ついにこの作品もゲットしてしまった。相変わらずロシアからの空輸は時間がかかる、随分待たされたが、待った甲斐があった。
森&鳥ジャケフェチにとってどストライクな、水彩画調の、夕焼けに染まる山々、湖から飛び立とうとしている巨大鶴の美しいジャケから
どんな森ファンタジーなサウンドを聴かせてくれるんだろうというワクワク感と興奮が芽生える。盤には夜空が描かれ、鳥の星座があしらわれている。
プレイヤーにCDを入れる前から、そのファンタジックな世界観に高揚感を覚える。サウンドが流れた途端、美しく森ファンタジーな世界に魅せられる。
ギターのシャリシャリ感と湿度が森度合いを決定づける一般的な森林崇拝ブラックに比べると、ギターの質感が前面に出ているサウンドとは言い難く
森に木霊する残響音は、むしろ大々的に取り入れているシンセサウンドが担っている。この点はコアなブラックメタラーには向かないかも知れない。
しかし、その手法は、多くの森林崇拝ブラックが夜・曇り空・雨天を想像させるのに対して、このサウンドは雨上がり・朝焼け・夕焼け・木漏れ日を思わせる。
後ろ向きな陰鬱な空気ではなく、清々しい爽快感・大自然の生命力・躍動感といった前向きな感覚がこの音楽性には詰まっている。
根暗サウンド満載のロシア産にしては珍しい作風、また、今の季節(10月)の夕暮れ時の景色が、何故かとてもマッチする。最近の帰宅途中のサウンドはコレだ。


SLAMMER - Nightmare Scenario ★★★ (2021-01-04 19:31:52)

英国産ヘヴィメタル1991年作
我が家のコンテナ奥深くのどこかに眠っているが、お払い箱になるようなサウンドではなく、割と完成されたカッコ良さのあるサウンドだ。
ジャンル分けはどちらかというとスラッシュメタルとして浸透していたと思う。この盤はスラッシーに疾走するパート8割とミドルテンポでリフを刻むパート2割で
構成される楽曲群で、純粋なスラッシュメタルの楽曲もあれば、ドゥーミーなテイストが仄かにあるミドルパートをメインとした曲もあるといった感じの音楽性。
一口で言えば純度の高いヘヴィメタルだ。楽曲構成力が高く、複雑怪奇に展開するスラッシュが好みというリスナーのツボにもハマるんじゃないかと思う。
購入は大学入学頃だったと思うが、高校時代にMetallicaのコピーバンドをやっていたこともあり、ヴォーカルスタイルと楽曲の組み立て方、ミドルで奏でるドゥーミーリフが
Master of Puppetsの頃のMetallicaに通じるものがあると感じ、愛聴した思い出がある。
また、ベースを前面に出す感じとディミニッシュコードで構成するリフ部分は、Anacrusisを彷彿させる瞬間があり味わい深い。


SLEEP - The Sciences ★★★ (2020-05-01 00:03:33)

米国産ドープスモーカー向けドゥーム。
前作Dopesmokerは名作Jerusalemのリマスター&未発表曲アルバムなので、それをカウントしなければ
完全新作としての復活は実に24年ぶりくらいになるか。Dopesmokerは完全新作と思っていなかったのでゲットせず
Jerusalemをゲットしたのは2000年以降なので自分にとっては10数年ぶり。
とはいえ、Jerusalemは神盤と思っているので、この10数年聴く頻度はワリと多く、長く愛聴してきた。
大麻合法国のマリファナデーを発売日に設定してリリースされたが、その情報を遅れて知ってしまい発売日過ぎてゲット。
一応予約購入したというのに、発売日をチョイ過ぎて届いてしまった。
Jerusalemではマリファナ騎士団が聖地を目指していたが、今作はジャケのとおり、ついに宇宙に行ってしまった。
濃厚なストーナー臭を帯びたギターリフが繰り返され、スペーシーな酩酊感を楽しむことができる逸品だ。
ドラムがオリジナルメンバーからNeurosisのドラマーに交代しているが、Neurosis的なひねくれ感はなく、ドラミングは大きく変化してない。
というか、Jerusalemの頃とほぼ音楽性やコンセプトは変わらず、もうマットパイクが好き放題やってる作品だ。
そもそもSleepファンは、それを望んでいる筈で、再びJerusalemの酩酊感を堪能できる作品であればOKなんだよね。
Jerusalemは1曲50分越えの、陶酔に没頭する有り得ない曲の長さがウリだったが、今作は前作より短い曲が6曲。
そういうところのインパクトが薄れた感は否めないが、曲間に無音があったからといって別に大した問題ではなかった。
ギターの厚みやストーナー感はより深みを増した印象で、会心の復活作品だ。
日本では大麻所持は犯罪なので、覚醒剤や危険ドラッグと同等な危険なモノと勘違いしている人が多いが
多くの国が合法化している流れに乗って、日本でも合法化されて、この作品を楽しむという日が来ればいいなと思う。


SOJOURNER - The Shadowed Road ★★★ (2022-03-27 22:14:35)

多国籍メンバーによるシンフォニックブラック2018年作
メンバーはニュージーランドやスウェーデン、英国、イタリアなど全員が出身地が異なる。
ピアノやシンセ、女声、ティンホイッスル(アイルランドの縦笛)を導入したドラマチックな楽曲が大きな魅力。仰々しくなくライトに楽しめる。
ジャケは霧で霞む断崖絶壁と湿地、朽ちた橋に石造りの建築物が描かれる。前作も似たような建築物ジャケだったが、このいかにもRPGファンタジーな
感じがベストマッチしているサウンド。このジャンル大将格SAORほどではないが土着的な雰囲気もある。また、バンドロゴに鳥が描かれているのは
鳥フェチなボクとしては嬉しい。突出した個性派ではないが、スッと入ってきやすい旋律、高い作り込み度、適度な湿り気、適度な音圧など
完成度、総合力の高さでイチオシだ。購入当初はたまに聴く程度だったが、最近はハマり始めたのか、このCDを手に取る回数も増えつつある。
普段は濃いサウンドを愛聴しつつ、中休み的にこういうライトに楽しめる作品を楽しむ、そういう聴き方をしているね。


SOL NEGRO - Dawn of a New Sun ★★★ (2020-06-07 21:39:25)

米産デスメタル2012年作
たぶん無名なバンドで、フルレングスアルバムはこの作品だけだろうと思う。
作風はブラック的でもありドゥーム的でもあるが、オールドスクールデスというのが最も妥当だろうと思う。
血を感じさせる赤と黒で彩られたジャケ、ジャケ裏面の骸骨をモチーフにしたイラストのとおり
ギターにはザックリとした血液の質感が感じられ、走り気味のズトボコ感のあるドラムが非常に魅力的。
演奏テクニックはあるので、走り気味の演奏はむしろ鬼気迫る感じでかなりカッコいい。
また、一聴してバタバタしているので楽曲がポンコツなのかと思いきや、相当作り込まれており、アヤしくもカッコイイのだ。
基本激しい曲調だが、時に祭儀的な雰囲気があり、まるで体を切り刻まれ、肉片があちこちに散らばっていくような感じが素晴らしい作品だ。
また、この作品には、Paradise Lostの名盤Gothic収録の「Dead Emotions」のカヴァー曲が含まれている。
恐らくギターの質感は、ディレイこそかかっていないが、Gothicの無骨さを出そうとしているように感じる。
もう活動していないのかも知れないが、このメチャクチャなバタバタした血塗れ感満載のデスメタルの次作を聴きたい。


SOMNOLENT - Renaissance Unraveling (2020-07-25 00:10:31)

ウクライナ産ポストロック2011年作
前作Monochrome Philosophy(2008年作)はローテクで粗削りながらも凄まじいインパクトを受けた異端作品だった。
確か、当時は2008年のベストアルバムにチョイスした筈だ。ウクライナのダークサウンドの神髄に驚愕したものだ。
3年越しの新譜に当時は狂喜したものだが、中身は全く予想外の音楽性で、ドゥーム路線を脱却し、かなーりヘコんだ作品。
とりあえず処女作のフューネラルドゥームの魅力は全く無い。アヴァンロックに鞍替えし全く別路線の持ち味を追求している。
まあ、前作リリース後に見たライブ映像を見ても、ライブではフューネラルドゥーム的魅力が薄めで、こういう前衛的な路線への
志向性は感じられないでもなかった。今作がダメなのかといえばそうではなく、前作のローテクが嘘のようで、力の入った作品だ。
しかし、前作とは真逆の路線変更に置いてけぼり感が半端ナイ。どうしてこうなってしまったんだろうねぇ。
前作の淡々とした雰囲気は無くなり、アツく吠えるヴォーカルとドラムの存在感が増大したエネルギッシュな作風だ。
ワウを多用しながら結構弾きまくるギターは、鈍重なドゥームとは真逆のリフを刻み、前衛的なアプローチを見せる。
サウンド自体はかなりレベルが高い。この盤からファンになった人はたぶん好盤として受け止めることができるだろう。
前作に感銘を受けたボクとしては、高い音楽性は認めつつも、このアツいエネルギーが煩わしくて仕方がない。


SORCERER - Lamenting of the Innocent ★★★ (2020-06-22 00:54:08)

スウェーデン産エピックメタル2020年作
Solitude AeturnusやForsakenあたりの音楽性を持つエピックメタルを日々探しているんですが、良作はなかなか見つからない。
エピックメタルは結構多くバンドが組まれててテクニックも高いんですが、いかんせんツボにハマりにくいのは、ゆったりヘヴィに聴かせるタイプよりも
疾走感で聴かせるバンドの方が多いなぁ、と感じることが多いからだ。ボクが求めるヘヴィメタル理想像はミドルテンポ以下で、エピックに疾走感は求めない。
SorcererはThe Crowning Of The Fire King(2017年作・未所持)を聴いて、割と求めるエピックメタルに近いモノを感じ、ずっと気になっていましたが
今年新作が出るとのことで、予約購入してみた。冒頭で挙げたバンドのインパクトには及ばないが、とても安定感のあるエピックメタルを聴かせてくれる。
ツインリードで聴かせ、卓越したギターソロのテクニックが光るサウンドだ。ボクとしてはピロピロと弾きまくるギターソロは不要なんだが、まあコレはコレで良し。
そういう若干ギターテク寄りな所は気になるものの、キチンと力の入るミドルテンポのオーソドックスなヘヴィメタルをやっており、好感触なサウンドだ。
いかにもエピックなバンド名とジャケもいいね。


SOUL DISSOLUTION - Stardust ★★★ (2020-07-29 19:09:34)

ベルギー産ブラックメタル2018年作
まるでスマホの待ち受けにありそうな、海と星空の幻想的な景色が印象的なジャケ、Stardustというアルバムタイトルからも
自然崇拝的なポストブラックをやりたいんだろうということがヒシヒシと伝わってくる好盤。
よくある森林崇拝系ブラックと比較すると、低音を全くカットしておらず、空間系エフェクトが若干浅めなところがあり
このサウンドが自然を表現しきれていないという印象は持っている。星屑を高音部のトレモロリフで表現しようとする感じも
とてもよく理解できる。が、録音状態をもう少しローファイな感じにしないと、自然崇拝的な音に感じられない。
ダメ出ししたが、美しい星屑の夜空をポストブラックで表現したい思いが物凄く伝わってきて、ホント惜しいなと思わせるものの
とても好感触で、頑張ってほしいと思うサウンドだ。霧立ち込める森林を表現することに比べて、霧のかかっていない夜景を
表現するのは、なかなか難しいんじゃないかなぁと思うが、100点満点に近づくにはあと一歩、というところだ。
現状では、とてもオーソドックスな、ほんの少しポストブラック寄りのブラックメタルで、ガナリ声、トレモロリフといった
ブラックメタルの演奏様式で聴かせるタイプ。一般の自然崇拝モノよりも霞んでなく、重量感が厚めだ。
今年ボクがイチオシしたい米産ポストブラックAstronoidのサウンドを、夜景バージョンにしたような世界観は、とても魅力的だ。
この路線を更に追求して欲しい。次作で進化することに期待感を感じずにはいられないサウンドだ。ホント頑張ってほしいと思っている。


STAR GAZER - A Merging to the Boundless ★★★ (2020-08-13 12:30:35)

オーストラリア産テクニカルデスメタル2014年作
The Scream That Tore The Sky(2005年作)の衝撃は忘れられない。テクニカルデスは星の数ほどいるが、Stagazerのハイテクは群を抜いている。
ギター、ベース、ドラムの三者に言えることは、相当な演奏技術者である上、メタルのジャンルには収まらない多様性を持っていることだ。
サウンドの特徴としては、音の密度の高さだ。ヘヴィな音の厚みで圧倒するのではなく、高密度な音数を用いて高速で刻むリフの迫力が最大の特徴だ。
デスメタルにしてはナマ音に近いエフェクトを施し、各パートの音像がクリアに聴きとれるので、圧倒的な音数によるインパクトが誤魔化しなく伝わる。
そういう音響なので、ベースの音もワリと細部まで聴きとれるが、このベースのテクニックが凄すぎる。ボクはベーシストなので尚更ベースに耳が行くが
これほどハイテンションなベースを弾くミュージシャンも珍しい。割とベースが前面に登場するところも、このバンドの大きな特徴だ。
卓越した演奏技術の基盤があり、更に楽曲がメタルの枠に収まらないインテリジェンスさを感じさせる、やや前衛的な造りなので、相当聴き応えがある。
The Scream That Tore The Skyの頃は結構疲れる音楽性だったが、音響的な進化のせいか、高密度な音の束であっても無駄な疲労感を伴わないところがいい。
ハイセンスな楽曲、全体的に漂うイーヴルな感じがホント素晴らしい。超オススメ。


STRAPPADO - Exigit Sincerae Devotionis Affectus ★★★ (2020-09-29 03:18:21)

米国産ブルータルデスメタル2019年作
激しすぎるサウンドが最近苦手でブルデスはあまり買わないんだけど、この残酷かつ笑えるジャケでゲットせずにはいられなかった。
ジャケを見て目がいってしまうのは、素っ裸で逆さ吊りにされている男の股を覆面の男たちがノコギリで切ろうとしているイラストだ。
バンド名を訳すと「吊るし責め」だろう。少なくとも、この拷問をされている裸の男は今作の大きなテーマになっているんだろう。
アイアンメイデンの傍でハリツケにされるオバサンや、万力で体を引っ張られる老人など、鬼畜で残虐なワリに笑えるジャケに趣きがある。
さぞエグイ内容のゴアリーなサウンドなんだろうと期待したが、内容は案外音圧が適度で、聴き易いブルデス、ボクでも充分楽しめる内容だ。
大きな特徴はスネアドラムのチューニングを高めにして、その連打を前面に出しているところだ。これが拷問をテーマにしたサウンドにマッチしている。
低めのデスヴォイス、ザックリ感あるギター、悲鳴を織り交ぜるサウンドから、仄かなゴア要素が感じられ、なかなか聴き応えがある。
もう少しゴアリーに責めて欲しかったところはあるが、ライトに楽しめるブルデスで、処女作としては充分なクオリティだ。次作のジャケが楽しみだ。


STRAPPADO - Exigit Sincerae Devotionis Affectus - Death by Sawing ★★★ (2020-09-29 03:24:55)

ノコギリを引く音、男の悲鳴で始まる。ジャケで吊るし責めにされるカワイソウな男がテーマのサウンドだろう。
ゴリゴリのギターと下水道に近いヴォイス、スパパパパンと軽快に連打するスネアが刺激的だ。


STRAPPADO - Exigit Sincerae Devotionis Affectus - Dislocated by the Rope ★★★ (2020-09-29 03:38:58)

このタイトルを日本語訳すると、「ロープで脱臼」だろう。このタイトルがウケる。
終始ブルータルに突っ走っている曲なので、一体どのあたりで脱臼したのか気になるところだが
強いて言えば、2分30秒あたりで脱臼したのかな?


STRYPER - Even the Devil Believes ★★ (2020-10-25 23:03:51)

米国産クリスチャンHM2020年作
再結成後はずっとスルーしてたが、ちょっとゲットしてみた。一時期トレードマークの工事現場カラーが緑になりスイカになったこともあるが
結成時から黄色と黒のストライプをトレードマークとしているビジュアルは唯一無二の個性。目が痛くダサいが、神々しさを上乗せしてカッコいい。
STRYPERのサウンドは毒気が少なく前向きな感じがイイ。ジャケの中を見るとメンバー写真では黄色と黒のシマシマカラーのマスクを着用しているが
新型コロナウイルス対策をきちんとしようというメッセージなのかね。また、若くして事故で亡くなった女性の写真とメッセージを載せている。
直訳すると「あなたは地球上の天使だった。そして今、その天使は天国へ逝った。我らはあなたを忘れない、また会おう」という感じか。
クリスチャンバンド作品はウチには僅かにあり、どれも大抵、そういう全人類愛的な思想が仄かに感じられる。このバンドも然りだ。
普段は逆さ十字気味な音楽ばかり聴いているが、無宗教なボクは宗教は音楽のエッセンスとして受け止めており、このバンドの優しい感じはイイね。
サウンドの方は、すごーくオーソドックスで、80年代定番メタルそのまんまの楽曲を円熟させた感じだ。奇をてらった展開は皆無でノスタルジーすら感じる。
目新しい要素は無いが、エッジの効いたギターの音が年季を感じさせる。このバンドの売りであるコーラスワークもしっかり聴かせてくれる。
ただ、そのコーラスワークをもっと大々的に披露して欲しかったと思う。昔の聖歌を思わせる美しい響きは、若干影を潜めていると感じる。
まあ、老舗バンドの好盤だ。あまり深く考えずにBGMとしてライトに楽しみたい。


SUBROSA - For This We Fought the Battle of Ages ★★★ (2021-08-23 01:08:22)

米国産スラッジドゥーム2016年作
Rebecca Vernonという女声ヴォーカル兼ギタリストをリーダーとする結構濃いドゥームだ。既に解散しているのが残念、フルレングスアルバムはコレがラスト。
今年はドゥームバンドの作品はコレばかり聴いている。バンド創設当初よりヴァイオリンを導入したサウンドが特徴で、今作もヴァイオリンが幅をきかせている。
シンセなのか生音なのかわからないが、パンフルート系の音色とヴァイオリンの絡みが心地よく、相当濃い音像の引き摺るようなギターが絡む絶品ドゥームだ。
ボクは彼女の作品はコレしか持っていないが、初期作品は友人が愛聴していた。そもそも濃いドゥームと化したのはNO HELP FOR THE MIGHTY ONES (2011年)からで
初期2作品はどちらかというとポストパンク的サウンドだった。当時からギターの音の濃さはあったが、どちらかというとドゥーム的ではなく、あまりウマい例え
ではないがSonic Youth的なアートノイズ系な感覚だったと思う。新しいサウンドを追求する空気と女性ヴォーカルという編成から、粗雑だがお洒落で、前向きな精神が
割と色濃く感じられ、また、英国Siouxsie and the Banshees影響下の後続バンドの色があったので、ドゥーム化した後もポストパンク精神が宿っているように感じる。
ドゥーム化した後は、路線としてはJex Thothと大いに被るところがあって魅力的なんですが、Jexの方は「死」「葬式的な冷たさ」を感じさせるのに対して、
「生」「前向きな生きる力」が感じられるところは大きく異なる。アルバムタイトルからも、雑草のように戦いの時代を生きていく的なコンセプトが感じられる。
やや長文なので引用こそしないが、アルバムのインナーにも生と死に関して前向きなメッセージが込められる。サウンドは鈍重なドゥームだが、この人の前向きな
メッセージを想像しながら愛聴すると、鈍重なドゥームサウンドが、葬式ドゥームに聴こえなくなる。メンバー全員が女性というワケではないが、この音からは
決して単なる魔女ドゥームではない、繊細でありながらも力強い女性の生き方を描いたかのような、オンリーワンな個性を感じることができるのだ。


SUFFER YOURSELF - Rip Tide ★★★ (2022-03-12 02:01:10)

スウェーデン産フューネラルドゥーム2021年作
一応スウェーデンとしたが、活動拠点がそうなんだろう。トリオ編成で2人はウクライナ、もう1人はポーランド出身のミュージシャンのようだ。
メタルに関しては露、ウクライナやその周辺諸国の作品ゲット率が50%くらいなので、ロシア侵攻でこの地域の作品が楽しめなくなると思うと悲しい。
ウクライナルーツで直近ゲットしている作品がコレで、戦争報道を観ながら、このサウンドに没頭しつつ残念感に浸っている感じだ。
このバンドの作品はコレが3作品目、過去作はYoutubeで楽しんだ程度。今回の作品は音像こそオーソドックスだが全体的に非常に完成度が高い。
ヘヴィでゴリゴリなギター、カオティックでありながら無駄に力むことのない唸り声、手数やバリエーションの多いドラムが魅力的だ。
鈍重に垂れ流す感じではなく、楽曲には起伏があり、音数も多めだが、それが全く気にならず、しっかりフューネラルドゥームしている。
特筆すべきは、楽曲中の意表を突くテンポチェンジ、曲展開だろう。大作主義でドラマチックに展開するそのコンポジションが光る。
また、描く音世界は、荒れる海を描いたモノクロジャケの印象通り、温度が冷たく、ドス黒く、激しさと鬱蒼とした感じが同居するサウンドだ。
演奏の背後に響き渡るSEやサウンドエフェクト・絶妙な残響音など、暗闇の海原で凍てつく風を感じているかのよう。この冷たさがたまらなく素敵だ。
真性さが宿るこのサウンドは、フューネラルドゥームを聴き倒した猛者に是非聴いて欲しい。ホント素晴らしいクオリティである。
ちなみに、1曲目が大作フューネラルドゥームで、それ以降はアンビエントサウンドである。この展開がバッチリ世界観にハマっているんだよ。


TAAKE - Et hav av avstand ★★★ (2023-09-06 19:25:10)

ノルウェー産ブラック2023年作
初期作品を購入した頃は、単にコレクションしているだけ、という感じだったこの人だが
佳作揃いの印象の前作KONG VINTER (2017年)が妙にボクの感性に刺さり、結局ノルウェイジャンブラックはこの人くらいしか
最近はフェイバリットアーティストではない感じです。作品内容の真性さやホンモノ感では他の未知のバンドの方が面白いと
思うんですが、この人の作品には惹きつけられる何かがあります。
本来このジャンルに求める狂気、背徳的な空気、宗教への冒涜や、悪魔や自身への崇拝をはじめとした尊大な感じが
この人の作品からは感じられず、寒冷地の情緒くらいしか感じられない。そういうライトなカジュアルな感じがむしろ
今のボクの感性にフィットするのかもしれない。際立ってスゴイ曲と感じるほどではない佳作揃いな印象は前作同様だが
何故か繰り返し聴きたくなる魔力を含んでいるところが面白い。そんな感じなのでまあ、ある程度楽しんだら聴かなくなるだろうと
前作購入時には思っていたが、結局長く愛聴する盤になっているし、今作もなんやかんやで聴き続けそうな気がしている。
こういう盤は本来、陰鬱な引き籠りブラックなんでしょうが、ライブ映像などを動画鑑賞していると、この人からは
そういう暗さが感じられないのがいい。ノルウェイジャンブラックの音響でカジュアルロックを楽しんでいる感覚になれる。
この盤も日本では手に入れるのが困難、とまではいかないが、通常日本に出回っている盤よりは高額。ボクは4000円くらいだったかね。
空輸代や物価の問題なんでしょうが、音楽収集に余計なお金が日々上乗せされていることを感じさせる今日この頃です。


TAAKE - Kong Vinter ★★★ (2021-07-09 22:41:11)

ノルウェー産ブラックメタル2017年作
Ulvhedin Hoestという人のバンドだが、このバンドを知った当初はアルファベットの「A」を連ねる人名が北欧でよくあるので
バンド名であるTAAKEはこの人の名前だと勝手に思い込んでいた。TAAKEは「霧」を意味する言葉らしい。フェイバリットバンドにCeltic Frostを
挙げているところや、ライヴ映像でCeltic Frostを思わせる「ウッ」という吐き捨てヴォイスを披露しているあたり、初期はかなり影響を受けていたのだろう。
過去のPVやジャケはやたらと本人の姿をクローズアップした感じから、ナルシズムや尊大なイメージはあるものの、実際の音からは独善的な狂気は感じられない。
BATHORYのUNDER THE SIGN OF THE BLACK MARK (1987年)を影響を受けた盤と公言しているあたり、自身を崇め奉るカラーはここからの影響かなと想像する。
濃いプリミティヴブラックスタイルではあるものの、先に挙げた2大バンドのような魔性や尊大さは、この人の作品群からはボクの感性ではあまり感じられない。
俗に言う初期3部作を一応所持しており、ハマってよく聴いたのは1作目だが、ノルウェイジャンプリミティブブラックのど真ん中の粗雑さが魅力的な音響で
直線的に攻撃性を前面に出した作風に加え、魔性や尊大さではなく、土着的なヴァイキングな感じ、寒冷地の叙情を思わせる作風が結構ツボだった。
また、理に叶った進行をする楽曲と、濃い音響でありながらも印象に残りやすいパッセージを織り交ぜてあるのがこのバンドの固有の魅力だ。
この2017年作品はごく最近発見してゲットしたが、過去のそういう音楽性の集大成的な感じではあるが、プリミティヴな感触を残しつつ激しさは若干大人しめになった。
佳作揃いというのが一聴した印象だったが、この人の曲は印象に残るパッセージが散りばめられているからか、ふとメロディラインが脳裏に浮かび、聴きたくなる。
曲を覚えてくると、ジワジワとそのカッコ良さに惹き込まれていく。突出した濃さや個性で勝負する感じではなく、オーソドックスで完成度が高い。
コマーシャルではないのにキャッチーでライトに楽しめる。寒冷地の土着的スパイスを含ませた、硬派でクールな感じがいいね。


TAAKE - Kong Vinter - Inntrenger ★★★ (2021-08-18 13:51:30)

アルバム中、最も旋律が印象に残る。キャッチーでありながらとてもカッコいいギターワークがふと脳裏によぎると、またこの盤を手にしている。
なかなか中毒性の高い音質とクールな楽曲である。そんなサウンドが終盤に差し掛かる頃、ラジオヴォイスによる語りが挿入され、コレがまたカッコいい。
佳作揃いの盤で、凄い名盤という印象こそないものの、なんだかんだで今年はこの盤のこの曲を最も愛聴している気がするね。


TANITH - In Another Time ★★★ (2021-10-23 14:35:58)

米国産NWOTHM2019年作
中年層より上のツボを突くと思われるHMを量産するドイツのUnderground Power Recordsというのがあるが、そのレーベル発の加Freeways、芬蘭Angel Sword
とコンピレーションCDで名を連ねたバンドがコレ。少なくとも、先に挙げた2バンドは鉄板級バンドなので、そこに肩を並べるならきっと凄いバンドだろうと
フルレングスアルバムをゲットした。但し、この盤はMetalBladeからのリリースで、NWOTHM的イメージが全く沸かないレーベルに若干不安を感じつつも
作品としては完璧に近いの内容、録音は古典的ロックを意識した必要最小限のエフェクトを志向しているが、細かい事を言えば、音量差にアンバランスさを
感じさせる箇所が散見されたり、いくら70年代的雰囲気を前面に出すからと言って、各々の楽器の最低限度の輪郭が崩れるほどの意図的な劣化はやり過ぎなのでは
と思うところがあったりと、録音面でもう一押しのクオリティアップを望まないでもない。ただ、マイカーで聴く分には少々の粗さは殆ど気にならない。
Russ Tippinsの前身Satanのドンシャリ感満載のギターに比べると、大人しめで落ち着いた雰囲気。Satanのやたら男臭い雰囲気はボクにとってはマイナスだったが
こちらはツインヴォーカルの一方が女声であり、聴いた最初はバービーボーイズかよ、と思ったが、コレがとても良い味わいになっている。
このバンドは米国産だが、70年代の雰囲気と仄かな英国情緒がある。初期Blue Oyster Cultに近い感覚がある。楽曲がとても作り込まれている上、演奏力は高く
その割にカッチリした演奏ではなく適度なラフさとグルーヴ感がある。そういう演奏とジャケイメージから、中期Uriah Heepの作風にも近い、と思わせる。
この盤を手に取る頻度はとても多く、愛聴度は結構高い。それだけ楽曲クオリティが高い。ただ、ひたすら集中して傾聴してしまうと録音の弱点に惜しいと感じる。
現時点でとても強力な盤なので、次作で難点を改善しクオリティアップすれば、歴史的名盤を作ってくれるんじゃないか、と相当期待しているバンドだ。


TEARS OF MANKIND - Memoria ★★★ (2020-05-14 01:02:33)

ロシア産デスドゥーム2011年作
前作Silent Veil of My Doomのレビューをボクが11年前に書き込みしてるのを見て、全くわかってナイなぁと反省している。
何度か聴いただけではこのサウンドの味わいは判らない。ドゥームサウンドにヘヴィさや異端的な濃さばかり求めていると、こういう作品はスルーしがちだ。
前作をダメ出ししたワリに一応抑えたこの作品は、愛聴盤になっており、就寝時に聴きながら眠りにつくことが多い、リラクゼーションドゥームだ。
というか、ドゥームに分類されているショップをよく見かけるが、もはやドゥームと言えるのかどうかもわからないほどライトなドゥーム作品だ。
ワンマンバンドということもあってか、各々の楽器の音は作りこまれてはおらずワリと単調で淡々としているが、かえってそれが味わいになっている。
軽い感じのギター、手数の少ないドラム、あまり濃さがないヴォーカル、暗くなり過ぎない翳りが少しある楽曲、あまり手の込んでいないアレンジ
薄めに絡みつくシンセ、浅めのリバーブ、どれを取ってみても控えめで、凄みは全くナイ。どちらかというとゴシック寄りのライトな作品だ。
しかし、ひとつひとつはインパクトに欠ける音である筈なのに、そのパーツが組み合わさると、何故かセンチメンタルなノスタルジックな感情がこみ上げてくる。
セピア色の大木ジャケのような、愁いを帯びた情景が心に浮かび、淡々とした起伏の少ない曲でありながら徐々にその世界観に飲み込まれていくのだ。
物静かな音作りと、そよ風のように優しいシンセがとても素晴らしく、全体のライトな音を引き立てている。
重量感を求めるリスナーには全く不向きなサウンドだが、とても味わいのある美しい作品なので、一聴してみて欲しい。


TERRORIZER - Caustic Attack ★★★ (2020-04-24 00:46:05)

年齢を重ね感受性が衰えているんだろうが、少なくともWOFを超える衝撃に出会えることは無いと思っているし
TerrorizerはWDFさえあればOKなのだが・・
正直2作目以降の作品はあまり好きになれず、コンテナの奥深くに収納されることに。
前作はピートサンドバルが復活していたこともあり、高密度なドラミングではあったが
どうもコレジャナイ感があった。
というワケで、今作もあまり期待はせずにゲットしたんですが、コレはスゴイ。
まあ、名盤WDFは若い頃に受けた衝撃の大きさが半端ナイので、それを超える衝撃とまではいかないが
WDF時代の作品を期待するメタラーとしては、限りなく期待通りの作品だ。
ギターの音圧はこれくらいクリアな方が丁度いいんだよ。
購入当時(2年前くらい?)は結構品薄で、きっとこの作風に狂喜したファンが多かったに違いない。
ここのレビューが全くナイのは不思議でならない。
やっとあのTerrorizerが帰ってきた!と思わせる好盤だ!


THE DEVILS BLOOD - III: Tabula Rasa or Death and the Seven Pillars ★★★ (2020-07-13 12:05:13)

オランダ産サイケ・カルトロック2013年作
ブラックやドゥームではないのに濃厚なサタニズムが感じられるサウンド、純粋なハードロックでもなく濃いサイケデリックロックでもない。
かといってKing Diamondのようなホラーエンターテイナー的なコマーシャルなサウンドでもなく、一口では言い表せない音楽性の持ち主だ。
ローファイな録音、ナマ音に近いギターから、70年代のBlack SabbathやBlack Widowあたりが近いが、ヘヴィではなくオルガンも無い。
初っ端20分超の大曲で、魔性を帯びた女声ヴォーカルやコーラスが前面に登場することで、濃いサタニズム体験を味わうことができるが
Guns and Rosesのスラッシュをフェイバリットギタリストに挙げるギターヴォーカルのSelim Lemouchiの味わい深いギターワークが
このサウンドの最大の聴きどころであるのは間違いない。なるほど、トリッキーなギターワークに偏らないスラッシュ的な味わいが感じられないでもない。
また、この作品は未完成作品をCD化したものだ。というのも、非常に残念だがこのギタリストは33歳で自殺し、バンドも解散している。
サタニックな世界観で70年代的なロックサウンドをベースに、やや前衛的なフレーズ、味わい深いギターワーク中心の音楽性というサウンドだ。
厚手のボール紙のようなCDケースには背表紙にも全く文字が書かれておらず、手に取っただけでは一体誰なのかさっぱりわからない。
中身のライナーも魔性を帯びたフォントで書かれた文字で、デザイン的に素晴らしいが、こういう作品は収納や扱いに若干困るのが玉に瑕だ。
濃いサイケデリックではないと冒頭に書いたが、サイケ臭は薄めに漂っている。サタニック路線では一線を画すとても面白いサウンドで
古典的手法に近い演奏様式なので、ブラックやドゥームといった濃いリスナーよりも、70年代を好み、やや前衛寄りを好むリスナーにオススメだ。


THE DEVIL'S BLOOD - III: Tabula Rasa or Death and the Seven Pillars ★★★ (2020-07-13 12:05:13)

オランダ産サイケ・カルトロック2013年作
ブラックやドゥームではないのに濃厚なサタニズムが感じられるサウンド、純粋なハードロックでもなく濃いサイケデリックロックでもない。
かといってKing Diamondのようなホラーエンターテイナー的なコマーシャルなサウンドでもなく、一口では言い表せない音楽性の持ち主だ。
ローファイな録音、ナマ音に近いギターから、70年代のBlack SabbathやBlack Widowあたりが近いが、ヘヴィではなくオルガンも無い。
初っ端20分超の大曲で、魔性を帯びた女声ヴォーカルやコーラスが前面に登場することで、濃いサタニズム体験を味わうことができるが
Guns and Rosesのスラッシュをフェイバリットギタリストに挙げるギターヴォーカルのSelim Lemouchiの味わい深いギターワークが
このサウンドの最大の聴きどころであるのは間違いない。なるほど、トリッキーなギターワークに偏らないスラッシュ的な味わいが感じられないでもない。
また、この作品は未完成作品をCD化したものだ。というのも、非常に残念だがこのギタリストは33歳で自殺し、バンドも解散している。
サタニックな世界観で70年代的なロックサウンドをベースに、やや前衛的なフレーズ、味わい深いギターワーク中心の音楽性というサウンドだ。
厚手のボール紙のようなCDケースには背表紙にも全く文字が書かれておらず、手に取っただけでは一体誰なのかさっぱりわからない。
中身のライナーも魔性を帯びたフォントで書かれた文字で、デザイン的に素晴らしいが、こういう作品は収納や扱いに若干困るのが玉に瑕だ。
濃いサイケデリックではないと冒頭に書いたが、サイケ臭は薄めに漂っている。サタニック路線では一線を画すとても面白いサウンドで
古典的手法に近い演奏様式なので、ブラックやドゥームといった濃いリスナーよりも、70年代を好み、やや前衛寄りを好むリスナーにオススメだ。


THE HOWLING VOID - Bleak and Everlasting ★★★ (2020-05-17 21:23:45)

米産フューネラルドゥーム2019年作
このバンドは、CDをまとめ買いする時に何かとその中に混じっていたバンドで、気付けばNightfall(2013年作)まで全て所持している。
その作品までは、少なくともボクにとっては若干コレジャナイ感を感じさせる、何かもうひとつ物足らない感じだった。
処女作から徐々に録音状態がアップしていき、一貫して欝系の淡々としたサウンドを創造しているが、どうも他のバンドとの差別化が見いだせず
コード進行の巧みさに欠けるサウンドに、どこかもどかしさを感じさせる作品群だった。
久々にこのバンドの作品を手にしたのは、その退屈な楽曲構成が若干改善されて、とても雰囲気のある作品に仕上がっているからだ。
劇的な曲展開というのは全く期待してはいけない。美しく物悲しい垂れ流しシンセに淡々とギターが乗るサウンドが終始続く。
Nightfall時点で、ある程度高度な録音状態と雰囲気は出せていたが、それにプラスアルファを期待した当時の思いが叶った、といった感じ。
地味な作品だが、やっとフューネラルドゥームの一線級に肩を並べることができる、と感じさせる渾身の作品だ。


THE HOWLING VOID - Bleak and Everlasting - Bleak and Everlasting ★★★ (2020-11-03 01:35:14)

昔から変わらず判りやすい短調の旋律を淡々と超スローに垂れ流してはいる。しかし、シンセとギターの音のクオリティが格段に上がった。
真性なフューネラルドゥームへと進化しつつあると感じさせる奥行きのある音響は、百凡のドゥームバンドを一蹴するだけのインパクトがある。
過去作の難点は楽曲だった。このままハ短調の単調な旋律のまま終われば、雰囲気だけのサウンドで過去作と同様に面白くもなんともない。
しかし8分を過ぎたあたりから徐々に調性が変化し、途端にグッと惹きつけられるサウンドに展開していく。この曲を体験した時に
ついにこのバンドもホンモノになりつつある、と感じた。このバンドには結構散財したが、この作品をゲットして充分元は取れたなー、と思っている。


THE HOWLING VOID - Nightfall ★★ (2020-05-17 21:32:12)

米産フューネラルドゥーム2013年作
とりあえずこの作品まではコレクションしているが、ここまでの作品は楽曲が単調という点で若干物足りない。
コード進行がありがちで、単純な和声的な短調の曲をギターでやってます的な感じ。
ただ、従来の作品と比べると、各々のパートの音のクオリティは高くなっており、雰囲気だけは最高だ。
高級レストランで、最高のお皿が出てきたが、食べ物がナイ、といった感覚だ。
ただ、確実に作品ごとに進化はしてきている。ボクはこの盤で追いかけるのを止めたが・・・
とりあえず2019年リリースの作品で、やっとボクの納得がいく作品に出会えたので、興味ある人はそこからゲットしたらいいと思う。


THE MORNINGSIDE - Yellow ★★★ (2020-08-14 02:38:51)

ロシア産ドゥーム寄りプログレッシヴメタル2016年作
ミドルテンポ以下でじっくり聴かせるヘヴィメタルサウンド、クリーン&ブラック的ガナリ声ヴォーカル、フォーク調のパートが登場したりと
音響的にとても説得力のある硬派なサウンドが魅力だ。演奏の安定感と楽曲の素晴らしさは折り紙付き、ガッツリとしたギターに仄かなエモ要素
が絡み、叙情性や哀愁、ダウナーな雰囲気が病みつきになる鉄板サウンドだ。
このバンドは自身のホームページで「愛と平和」を掲げており、前向きな曲想を持っていて興味深い。
この作品は、スローターハウス5というカートヴォネガットという人の小説がコンセプトになっているらしい。小説を読む気にはならないが
ウィキペディアで小説のストーリーは知ることができる。路面電車が描かれる非メタル的ジャケは、その小説の時代背景から描かれたのだろう。
捕虜になった主人公が宇宙人に誘拐され、何故か時を旅するようになり、自分の死の瞬間を目撃する、という第2次大戦時代のSFファンタジー小説
から曲想を得たと思われるそれぞれの楽曲タイトルを自分なりに空想しながら聴くと、そのサウンドがとても魅力的に聴こえ、惹き込まれる。
今回このバンドの作品を初めてゲットしたが、そのコンセプトから、とてもイマジネーションを刺激され、どっぷりとハマっている。


THE MORNINGSIDE - Yellow - ... Then He Walked ★★★ (2020-08-14 02:52:44)

アルバムラストの曲。
Depot Only~Clockの曲の流れで、小説にある時を移動するSFファンタジーの設定を空想しながら楽しんだ後、
「そして彼は歩いていく」的な前向きな、元気が湧き出るようなサウンドに、ステキな爽快感を感じることができる。


THE MORNINGSIDE - Yellow - Depot Only ★★★ (2020-08-14 02:48:00)

メランコリックに歌うシューゲイザー的雰囲気が魅力的な、このアルバム中最も盛り上がる大作。
優しいヴォーカルと硬派なメタルサウンドの対比がとても美しい。


THE SLOW DEATH - Ark ★★ (2020-05-15 00:10:15)

オーストラリア産ドゥームメタル2015年作
録音状態が若干向上したが、前2作品に比べて若干作風に変化が出ている。
ほんの少し残響音が深めになったことと、重厚さが増したこと、シンセとドラミングのバリエーションが増えたことで
かなり力の入った作品ということがわかる。が、若干詰め込み過ぎでシンプルさを失い、淡々とした没入感は若干ダウンした印象。
中身は濃い作品だが、ボクは前作の方が好みで、次作に期待といったところかな。もうチョイギターは薄めがフィットすると思うね。


THE SLOW DEATH - II ★★★ (2020-05-14 23:59:59)

オーストラリア産ドゥームメタル2012年作
録音状態が向上し、前作のスタイルそのままに正当進化した作品で、前作がツボに入った人は安心して聴ける作品だ。
大作主義は変わらず、1曲目の「The Long March」は24分の大作。後半は僅かだが徐々にテンポを上げるという荒ワザが光る鉄板曲だ。
相変わらず徐々に魅了されていくこの感じがいい。楽曲のクオリティは半端ナイ。素晴らしい楽曲に惚れ惚れする。
地味にコードワークの巧みさがあって、長い曲でありながら没入感が途切れることなく、徐々に展開させる楽曲は素晴らしい。
この作品は相当聴きこんだ愛聴盤だ。ジャケがダサく演奏技術は普通レベルで派手さがなく地味に聴こえるかも知れないが
中身は相当濃い作品で、自信を持ってオススメする。


THE SLOW DEATH - Siege ★★★ (2024-01-18 03:20:50)

オーストラリア産フューネラルドゥーム2021年作
MurkratのMandy Andresenがヴォーカルとキーボード、アートワークを描くなど、彼女が関わる作品なので、ひたすら底辺の世界観だ。
The Slow Deathの作品はⅡ(2012年:2作目)が最も愛聴した作品。醜悪な世界観ながらフューネラル系では聴きやすいところが好きだった。
前作Ark(2015年)で大コケしてしまって、MurkratもThe Slow Deathも終わっちゃったなぁ・・と思っていたが見事復活したのが今作。
Mandy Andresenの世界は、人類に対する憎悪を思わせる生々しいミサンドリー臭で、ダーク路線が好みの人でも生理的嫌悪を感じるかも。
ただ、個人的印象としては、Murkratほど気持ち悪くないのがThe Slow Death(1stを除き)で、真性さと聴きやすさが折り合っている。
ひたすらスローで大作主義、シンセが霊的に響き渡り、ブラッディなザックリ感のあるギターが淡々と刻まれる作風は初期2作品の良さを
成熟したような感じだ。前作の前衛路線が意味不明な空振りだっただけに、元路線に回帰したのは大歓迎、かつ、完成度が高い。
まあ、世界が戦争と病気の時代に突入した感があって、こういう世界観のサウンドを気軽にエンタメとして楽しめるような時代では
なくなってきてるのかな、という気持ちが正直なところで、最近はあまり積極的には聴いていないが、近年のフューネラル系では
群を抜いて完成度が高いと感じさせる高品質サウンドだね。


THE SLOW DEATH - The Slow Death ★★★ (2020-05-14 23:41:15)

オーストラリア産ドゥームメタル2008年作
描く世界はフューネラルドゥームだが濃厚な感じではない。ギターの音は適度な歪みを持ち、メタルサウンドのギターに近い。
特徴は、男声デスヴォイスと霊的な女声ヴォーカルというツインヴォーカル、ギターの淡々としたリフに物悲しいシンセが絡むサウンド。
全ての曲は10分越えの大作主義、スローなドゥームメタルを長い時間かけて少しずつ展開させていくスタイルだ。
この女性ヴォーカリストがデザインしたジャケからは、相当チープなサウンドをイメージしがちだが、中身はかなり素晴らしい内容だ。
コアなフューネラルドゥームと比較すると重量感がナイと感じるかもしれないが、このバンドはこれくらいの重量が丁度よいと思う。
時間をかけて魅了されていく没入感、時折登場するヘヴンリーな女声、悲しみを帯びた旋律が素晴らしい作品。


THE WIZAR'D - Sebado Negro ★★ (2020-06-02 22:50:16)

オーストラリア産デスドゥーム2007年作
コレはライヴ音源含むEPで、ボク的にはコレがこのバンドの最高傑作だと思っている。
魔法使いのようなジイサンがギターを掻き鳴らしているシュールなジャケがとても印象的だ。
とりあえずこのバンドの作品は、このEP以外のフルレングスアルバムは一応聴いているが、ゲットする気はない(2020年の新作はゲットしたが)。
ココから濃密なドゥーム路線に発展して欲しかったが、若干路線が違い、少なくともこの作品以上のインパクトはボクは得られなかった。
この作品はジャケの素晴らしさが際立っているが、中身も結構魅力的で、ドゥーミーな作風と、初期作品にしかない歪んだギターの質感が素晴らしい。
しかし、このバンドはヴォーカルがイマイチ弱い。後期作品では味わいとして感じられるが、この時点では微妙な感じで、そのせいでB級臭が漂っている。


THE WIZAR'D - Subterranean Exile ★★ (2020-06-02 23:44:00)

オーストラリア産70年代風ロック2020年作
3ヶ所くらい海外サイトの低得点レビューを翻訳しながら解読し、全曲繰り返し試聴した上で購入に踏み切った。
CDと同じくらいの海外からの輸送代金を払い、その上コロナウイルスの影響で1か月以上待たされ、先日やっと到着した。
とりあえずそこまで苦労してゲットしたが、コレはゲーマーが敢えてクソゲーを買う的なB級作品で、B級愛を持つコアなリスナー向け作品だ。
フルレングスアルバム発表直前のEPがドゥーミーで味わい深い、かつB級臭漂う佳作だったが、その後は佳作を超えられない微妙な作品を連発。
というのも、10年選手でありながらローファイな録音とローテクな演奏、かつヴォーカルがヘタという弱点を抱えている。
金が無くて録音状態が微妙なのかと昔は思っていたが、10年経ってコレということは、(まあ薄々感じていたが)故意に70年代的な
ローファイ作品に仕上げているんだろう。低音をカットし、高音部を際立たせて軽くリバーブをかける音処理をしている。
仮にそういうコンセプトだとしたら、Witchcraftの1st路線だが、少なくともWitchcraftには残念ながら到底及ばない。
ギターの高音部が目立ちすぎて若干耳に障る感じで、70年代的ではあるけども、まだまだ課題を抱えているなぁと感じさせる。
というワケで、70年代を意識したローファイ志向サウンドだが、若干失敗したポンコツ紙一重な味わいを持つ濃厚なB級愛を感じる作品だ。
ヘタなヴォーカルは騒々しいコーラスで誤魔化しつつ、愛情を注ぎたくなるオーラを醸し出している。また、もはや初期の歪んだドゥームとは程遠く
かといってヴィンテージドゥーム的でもなく、正統派HMとも言い難い、「70年代風ロック」というのが最も妥当だろうと思う。
でも、この路線を突き進めば、いつかツボにハマる名盤を作ってくれそうな予感がするんだよ。次作はB級臭の残り香を携えながらの進化を期待している!


THRON - Abysmal ★★★ (2020-07-29 22:00:27)

ドイツ産デスメタル寄りブラックメタル2018年作
過去にロシアに同名のブラックメタルバンドがおり、既に活動していない筈と思いつつ調べると、ドイツの別バンドだった。
女体に似せた石造建築物の門扉(女性の恥部の部分にあたる)に、拘束具のアイアンメイデンが描かれ血が流れている。かつ、白で描かれたバンドロゴが
精子に見えてしまうという、ローセンスなバカなジャケにまずゲンナリする。ちなみに、PossessedのBeyond the Gates(1986年作)の名作ジャケが
カオのような門のようなB級愛を感じさせるジャケだったが、この盤の1曲目が「Beyond the Gates」という曲名。偶然とはいえウケたのでゲットしてみた。
音楽性は至って真面目でオーソドックスな、ブラッキンデスメタルで、特に特有の個性を感じるサウンドではないが、素直に刺激的でカッコいいサウンドだ。
この路線がツボのリスナーなら、結構納得のクオリティじゃなかろうか。相当鬼気迫る気合の入った作品だ。
ただ、ボクのツボからは若干ズレている感じなので、暫く堪能するとしても、将来は頻繁には聴かなくなるかなとは思っている。
しかし、ジャケにコダワリがあるコレクターは、是非このバカジャケ作品をゲットしてもらいたい。


TNT (2021-02-28 16:43:43)

動画のラストに書いてたよ。TNTに何度も加入したり脱退してるTony HarnellのバンドSTARBREAKERの曲。
Die For YouはStarbreaker(2005年)の1曲目だね。
ちなみにボクは持っていない。Dysphoria(2019年)を買おうかどうしようか悩んで結局買わなかった。


TOTO - Old Is New ★★★ (2020-07-27 21:46:14)

米産AOR2020年作
ワリとゲットし続けているTOTOだが、主要メンバーだったボーカロ3兄弟のベーシストも亡くなり、TOTO XIV (2015年)がラストアルバムだと
思っていたが、偶然この作品を先日発見して即ゲットしてみた。完全な新曲は数曲あるが、どうやら未発表曲を現メンバーで再録しているようだ。
Steve Lukatherのギターさえあれば、TOTOの固有の魅力は感じられるのは確かだが、個人的には近作2作品は若干詰め込み過ぎな印象を持っており
ワリと長い期間マイカーに常備していたが、イージーに聴ける佳作といった感じで、猛烈にハマったという感じではなかった。
この作品は真逆で、ストレートでシンプル。過去録音に被せ録りしているためか、録音状態が地味で、むしろコレが初期TOTOの雰囲気に非常に近い。
そういう盤なので、最近よくある還暦バンドの往年の円熟した作品!という雰囲気ではなく、初期TOTOにハマった頃のノスタルジーが宿る好盤だ。
過去の未発表曲がベースになっているからか、既に亡くなったボーカロ兄弟が在籍していた頃の作品に聴こえるような錯覚をしてしまう。
熱心なTOTOファンから批判されるかも知れないが、少なくとも、前2作品よりは、ボクのツボにハマった。
いろいろ調べてみたが、どうやらこの盤はBoxSet「All In」(2018年)に同梱されていたようだ。まあ、高額なBoxSetをゲットする程の熱心なTOTOファン
ではないので、新作として改めてこの盤を発売してくれたのは素直に嬉しい。


TOTO - Toto IV - Africa ★★★ (2020-07-27 22:03:00)

最近は喘息気味で暫く歌っていないが、過去にカラオケで一生懸命練習した曲だ。
アフリカというタイトルと、シンセの音、旋律が、何故か動物が大地を駆けているシーンを想起させる。
動物的な曲は、何故かボクはものすごーく心奪われる。
初っ端の単純なシンセのメロディーが、どうしてこんなに魅力的なのか、ホント不思議だ。


TOWARDS DARKNESS - Barren ★★★ (2020-05-15 01:01:53)

カナダ産フューネラルドゥーム2012年作
前作の暗闇お城ジャケから打って変わって、砂漠ジャケに変化、アルバムタイトルからも、不毛な土地といったテーマなんだろう。
前作の楽曲構成力とアヴァンギャルドなアレンジから、作風は一変し、描く世界が変わり、前作で聴けた迫力や恐怖感は若干薄れた印象。
その代わり、静けさや孤独感が感じられる音に変化し、ややアンビエントサウンドが占める割合が増えた。
処女作のインパクトが大きかったこともあり、また、ドラムの音数が随分減ったことで若干地味に聴こえるが、荒涼とした雰囲気が出ている。
徐々に重厚になっていく曲展開や、電気的なノイズを挿入して独特な世界を描くなど、コレはコレで素晴らしい内容で聴き応えがある。


TOWARDS DARKNESS - Solemn ★★★ (2020-05-15 00:42:25)

カナダ産フューネラルドゥーム2007年作
霧で霞む闇夜に浮かび上がる城のようなジャケのイメージにかなり近い、重厚で硬派なフューネラルドゥームが聴ける。
鈍重で引き摺るようなギターとややブラックスタイル寄りのデスヴォイスが特徴のドゥーム、かなり雰囲気のある作品だ。
暗闇をイメージさせる演出がうまく、暗めのシンセ、地響きのようなギター、古城を思わせる深めの残響音が素晴らしい。
理に叶った適度なアヴァンギャルドさがツボで、薄っすらとノイズを重ねたりといった小技や、単調にならない曲展開がイイ。
重厚で迫力のある作品、非常にドラマチックに展開する、聴き応え抜群の作品だ。


TOWARDS DARKNESS - Tetrad ★★★ (2020-08-27 00:59:32)

カナダ産ポストドゥーム2020年作
ドゥーム路線ではボクの中でかなり上位に位置する彼ら。今年の新作は充分に聴き込んでレビューしようと思い、かなり聴き込んだが・・
処女作の非常に判りやすい世界観から、前作は独創的な世界観に変貌、今作は更に難解なサウンドに進化しており、一体どう捉えればいいのか
随分と悩みながら聴いた。アルバムタイトルTetrad(4つの組?4元素?)から受ける印象もなんだか小難しい。ただ、楽曲タイトルから
割と前作に近い延長上の世界観かな、とボクは捉えている。ちなみに前作は、不毛の土地をテーマにした固有なインダストリアルな
フューネラルドゥームを展開した。今作はややフューネラル臭が薄まった。曲の骨格自体は至ってシンプルで、相当地味に聴こえるが、
音に含まれる強調された倍音からその音素材への相当なコダワリは感じる。その迫力に圧倒されるが、疲労感も伴う。
元々凄みを効かせるヴォーカルスタイルだが、今作でも同様に凄みがある。インダストリアルなギターの感触が更にアップしている分、
このヴォーカルが乗ると更に疲れが増して集中力が削がれる。但し、地味な楽曲構成とのバランスが取れていて、疲れるものの聴き易さもある。
このサウンドを愛聴して繰り返し聴けば、この疲れは慣れてくる。
こういう難解な盤は、慣れるまでひたすら繰り返し聴かないと、その魅力になかなか辿り着けない。最近やっと耳が馴染んで慣れてきた感じだ。
このサウンドの魅力をなかなか一口で言い表せないが、このバンドが影響を受けたとされるミュージシャンを挙げると、その志向性が見えてくる。
Sonic Youth、Sun O)))、Pink Floyd、Chelsea Wolfe,、Russian Circlesに影響を受けたらしいが、まぁ、Sun O)))あたりはドローン的な志向が
あるバンドがよく挙げるので納得だし、スピリチュアル志向があればPink Floydの影響も頷ける。面白いのは、女性シンガーChelsea Wolfeを挙げている点だ。
Chelsea WolfeのBirth of Violence(2019年作)の世界観や雰囲気が結構近い。また、Rossian Circlesはボクは未所持だが、一聴した感じからすると
このバンドのポストロック感やギターの質感は結構近いものがある。濃いドゥームサウンドでありながらも、純然なドゥームバンドからの影響を
公言していないところが面白い。
処女作から完成されたサウンドだったが、2nd、今作とアルバムを発表する度、全く新しい難解な要素を盛り込んでくる。
下手すれば消化不良に陥るかも知れないが、想像力を働かせて自分なりに解釈しつつ、このサウンドと付き合う必要がある。処女作のストレートさは
もはや微塵も感じられないが、このバンドは独創性を発揮してどんどん難解な世界を描いていって欲しい。ただ、これ以上疲れるサウンドは困るけどね。


TREAT - The Endgame ★★ (2023-08-18 17:10:02)

スウェーデン産HR2022年作
このサイトの数少なくなった常連さんが高評価してるこの盤、ということで聴いてみた。コレの音響はスゴイ。
ハイクオリティで心地よく、年配HRファンの心を鷲掴みする適度な感じ、特にこの北欧情緒がボクのツボにハマる。

ただ、ボクがメジャー路線の盤にあまり手が伸びないのには理由がありまして。
現在進行形の世界的な混乱や戦争の暗示を感じさせるコンセプトや、偏向的な思想を思わせる内容が見えにくい形で
含まれていそうな盤に生理的な抵抗を感じてしまう。まあね、ボクの妄想なんですがね。
直近ではMegadethの盤なんかがそうでした。まあ、それでもYouTubeにチャンネル登録してるファンなんですが(笑)。
Treatは初期2作品がウチのCDコンテナのどこかに眠ってると思いますが・・それ以降はほぼノーマーク。
Tungska(2018年)に興味を持ち調べたのが昨年、まあこのタイトルがボクの検索に引っ掛かったワケでして
ロシアの地名がバンド名やタイトルに使用される、このメタル界七不思議にヒットしてしまったワケで・・・
こういう盤は曲のタイトルを翻訳したりジャケを観察したりするボクの性癖が発動します。
総合的に見て前作のサウンドは◎でも生理的にどこか受け付けない何かが存在するボクの被害妄想が発動。
で、今作・・・目玉か卵子のようなモノに精子が泳いでいるロゴ、タイトルはエンドゲーム。
1曲目には精神分析専門用語、2曲目はラビットホール、3曲目に共生を意味する単語
8曲目にはハリウッドからのイエス、この4曲のタイトルがボクのチェックに引っ掛かった。
Freudian Slipはまあ、端的に言えばうっかりミス、誤認。ラビットホールは直訳すればウサギの穴ですが
コレは一度踏み込めば後戻りできないような非常識な世界・・とボクは解釈している。
それに続く曲がSinbiosis(共生)です。で、後半にハリウッドからのイエス、という流れです。
ハリウッドで作成されたと思われる映像がフェイクニュースとして氾濫する現在の認知戦のなか
世の中がSDGsなんかの共産主義思想に偏った共生社会に向かっているという危機感をボクは妄想的に持っている。
かつ、予防医療の接種の影響で生殖能力が低下している異常事態が静かに進行している現状を思うと・・・
この盤で暗示される内容に生理的違和感を感じずにはいられない・・というのが正直な感想。
前作に引き続いて、今作もコンセプト的に抵抗を感じるんですよねぇ。

こういう盤は結構多い。過去はファンだったOrphaned Landが特に露骨だったが、大御所Ozzy、BlackSabbathにも
そういうテイストが色濃く感じられることに近年気付いた。
Treatに近い音楽性で言えば筆頭はTeslaでしょうか。

まあ、こういうことを強く気にし始めると、メジャー路線の音楽鑑賞自体に若干の抵抗を感じてくるんですがね。
今回は歌詞まで翻訳してませんが・・HRファンの多くはワリと曲に含まれるタイトルや歌詞はあまり気にしていないんじゃないかな。
普段ダークサイドの偏った思想の音楽ばかり愛聴しているボクが言うのもなんですがね。
そういう盤は手に取る時に、もうこの人たちは狂ってるんだよということが予め判ってるからいいんですよ。
メジャー路線盤は綺麗で健全に作られてそうで、いざ手に取った後からジワジワとそういう生理的に受け入れがたいモノを感じる
ということが結構あるんですよね。まあ、完全にボクの妄想ですからね。
というワケで・・・音的に満点ですが、★は2個とさせて頂きました。そう言いつつ今、聴きながら書き込んでるんだけどね(笑)


TRIPTYKON - Melana Chasmata ★★★ (2020-05-05 00:27:55)

スイス産ブラッキンエクストリームメタル2014年
ジャンルは勝手にボクが作ったが、トムウォーリアー(今はフィッシャー?)のサウンドはなんとも形容しがたい固有のモノがある。
Celtic Frost時代のMonotheist(2006年作)の音楽性を突き詰めたような音楽性は、迫力があり硬派で真っ黒な世界だ。
トムは結構お茶目な性格で、普段は暗い人物ではないと思うし、一時期Apollyon Sunのような全く黒くないデジロック的バンドを組んだこともあるが
結局はこういう真っ黒な世界を描く方が断然カッコいい。
ただ、ボクとしてはどうしてもCeltic Frost時代の初期作&Vanity/Nemesisの頃の強い癖のあるダミ声が断然好きで、Triptykonの音楽性とクオリティを認めつつも
ヴォーカルがクール過ぎて個性を失ってしまっている、と思ってしまう。そこだけ。
このまま真っ黒ズブズブ路線を突き進んでほしい。


TRIPTYKON - Requiem (Live at Roadburn 2019) ★★ (2021-02-11 23:22:38)

スイス産ダークアンビエント2020年作
ロードバーンフェスティバルのライブを収録した作品で、Celtic Frost時代のRequiem2曲と新曲1曲を、リアルオーケストラを携えて演奏している。
少なくともTom Warriorの癖のある歌唱とズブズブ感を伴うエクストリームメタル要素は殆ど無く、ヘヴンリーヴォイスの女声ヴォーカルによる
ゴシック路線、ダークアンビエント路線という新境地に挑戦した作品だ。メタルサウンドを期待していると肩透かしを食らうだろう。
邪悪で醜悪な個性は秀でているかなと感じないでもないが、メタル色がここまで薄まり、クラシカル要素が前面にでてしまうと、比較対象は
宗教音楽・教会音楽ルーツのダークウェイブ路線になってしまうが、そちらを専門とするアーティストの足元にも及ばないと言わざるを得ない。
やりたい音楽がそうだったんだから仕方ないだろうが、本来持っている唯一無二のヴォイスパフォーマンスとエクストリームサウンドに代わる魅力があるかというと
残念ながら新たな魅力よりも、喪失感の方が大きい。新曲はなかなかの大作で、聴き応えがない訳ではないが、耽美が前面に出て魔性は感じられない。
ボクが魅力を感じるところは、CELTIC FROSTのINTO THE PANDEMONIUM (1987年)のRex Irae (Requiem)を再現しているところだ。当時この盤は賛否両論の問題作
だったと思うが、従来のエクストリームメタル度が低下しゴシックダークウェイヴテイストをデジロック風に織り込んだ作品は、ボクは結構ツボにハマった。
そのサウンドをリアルオーケストラで再現した作品(1曲目)に、懐古の情とクオリティの高さを感じる。それ故に、後続の新曲はイマイチ嵌りきれない。
ラストはMONOTHEIST (2006年)のTriptych: III. Winter (Requiem, Chapter Three: Finale)をリアルオケで再現しているが、そもそもこの曲を再現することに
あまり意義を感じない。この盤はファンディスクとしてゲットしなくてはいけない盤だったが、たぶんあまり聴かなくなるだろうな、と思っている。


TRIUMPH - Edge Of Excess ★★★ (2020-05-04 02:52:45)

カナダ産ハードロック1992年作
ダークサイド派の自分としては正統派路線でアルバムコンプリートしているバンドは少ない。Triumphはそのうちのひとつ。
リックエメットが脱退しちゃったらもうTriumphじゃないだろ、と思いつつも結構な愛聴盤である。
一方で、脱退したリックの当時のソロ作品にはコレジャナイ感を感じていたこともあり、こっちの方を愛聴していた。
初期作品から、カナダ作品でありながら北欧情緒をも思わせる透明感があり、同時に大陸を思わせる解放感も感じさせる鉄板作品を発表しているが
リックの抜けたこの作品でも、その音楽性は保たれており、必聴作品である。
しかし、自分としてはやっぱりSurveillanceが一番好きな作品ではある。まあ聴いた回数がもう違うし仕方ないよ。
リックはAirtimeやresolution9での素晴らしい作品を提供してくれているが、ボクの知る限り、リックを含めて再結成している筈。
リック含めた新生Triumphの新譜が出るまでは、この作品でガマンだ!


TROLL - Legend Master ★★★ (2023-11-22 19:34:36)

米国産サイケデリック・ドゥーム2019年作
前作Troll(2016年)の衝撃的なハイクオリティ作品から、3年後にリリースされた本作。
こういうヴィンテージかつストーナー要素を含むサイケドゥーム路線は類似作品が多いから購入の優先順位を下げがち。
米国産というのも優先順位を下げてしまう要因でして、結局今年になってゲットしました。
また、Legend Masterという自己主張強めの、いかにも王道路線の先頭を立っている感が、どうにも購入意欲を削いでいた感じだ。
ゲットして思うのは、そんな偏見を捨てて早くゲットしておくのが正解だったなと。確かにこの盤はレジェンドマスターですわ。
ギターの歪みは中音域以上はオーソドックスだが芯が太い、低音部は他の同路線比較で厚く歪んでいる、にも関わらずクリアに聴こえる。
全体的にオーソドックスな録音かというと決してそうではなく、全体的にやや湿度が高めなのが大きな特徴。
ヴィンテージドゥームロック路線でありながらややスロードゥームに寄っており、仄かなダウナー要素が感じられるところも特徴だ。
ヴォーカルの表情豊かな歌唱も特筆すべき点で、クリーンに歌い上げながらも、オドロオドロしさを兼ね備えるところがイイね。
ファズ系のギターエフェクトは深めにかかっているが、ベースラインが明確に聴こえてくる録音に職人気質を感じるほか
若干スタジオ臭のするドラムのラフな感じと、ヴォーカルやコーラスの残響が森林のような霧が立ち込める大自然にコダマする感じ
この相反する音響が何故かベストマッチしているところがスゴイ。森林崇拝的サウンドがツボなボクには最高の録音状態だ。
職人気質のヴィンテージな感じでありながら、湿り気タップリの幽玄なオドロオドロしさを兼ね備えたサウンドは一聴の価値アリです。
また、ヴォーカルの歌唱にクローズアップされる、演奏が静の部分では、中期Danzigの空気に似たジメジメした感じがあって最高です。


TROLL - Legend Master - The Door ★★★ (2023-11-22 19:37:32)

後半の盛り上がり部分では、一時的にブラストビートを導入している。
コレが理に叶った展開に聴こえ、物凄い迫力を演出している。
こういう奇抜なアレンジを織り込んでもドゥームロックに聴こえるところが天才的なんだよ。


TROLL - Troll ★★★ (2020-06-14 00:51:52)

米国産サイケデリック・ドゥーム2016年作
昨年ジャケ買いしたオールドスクールデスバンドOSSUARIUMの作品に感銘を受け、ドラマーのRyan Kogerがこのバンドに在籍していることから
このバンドを知った。北欧のブラックメタルバンドに同名バンドがいるが、全く無関係。音の方もOSSUARIUMのようなデスメタルではない。
森を歩くトロルらしき毛むくじゃらの巨体が描かれるジャケの素晴らしさにまず惚れた。もうこの時点で音が佳作以上なら満足という気持ちだったが
CDを再生すると、物静かながら浮遊感のあるサイケな雰囲気が漂い始め、いかにも怪物が登場したかのようなコテコテのリフで「やられたー!」
と悶絶してしまった。クリーンに朗々と歌う様と、オーソドックスなサイケデリックドゥームな感じが、ものすごーく雰囲気があってカッコいい。
ホント王道と言ってもいいくらいど真ん中なサイケドゥームロックで、こういう音は飽きるほど聴いている筈なのに、猛烈に今ハマっている。
楽曲が素晴らしいのはもちろんだが、湿っぽいナマ音に近いギターを織り交ぜているから、妙に森の雰囲気が感じられるのかも知れない。
まあ、冒頭で書いたOSSUARIUMというバンドも、やたらツボをわかっている人たちだと感じたので、こちらもそういうメンツが集まっているのだろう。
余談だが、森の中のトロルをテーマにしている作品は、かなり前にも出会ったことがある。もはやウチのコンテナの奥深くに眠っていると思うが・・
Trollmann Av Ildtoppbergという英国ドゥーム・アンビエントバンドでThe Forest Of Doomという隠れた名作をリリースしている。
音の内容は180度全く違うが、描く世界は、森の浪漫と空想のトロルという怪物ということで一致している。ボクはこういう森林に浪漫を感じる作品に弱い。
話は戻って・・ちなみにこのバンド、昨年Legend Masterという作品をリリースしている(未所持)。いずれ手に入れようとは思っているが
音楽がどんなに素晴らしい内容であっても、この処女作のジャケの雰囲気と衝撃には敵わないだろうと思い、未だゲットしていない。
この盤は、想像力を掻き立てるジャケって音楽と同じくらい大事だ、ということを知らしめる作品だ。


TROLL - Troll - The Summoning / Troll ★★★ (2020-09-06 21:59:53)

アルバム1曲目、タイトルを訳すと、召喚/トロル、だろう。
森で魔術師が毛むくじゃらのトロルを召喚する光景が、濃いサイケデリックロックサウンドで表現されていてスゴイ。
パワーコード部分を重厚に更に重ねるリフ、気怠く歌うヴォーカル、やたら玄人臭のするリフなど、完璧だ。
おどろおどろしいリフから導入する感じや、途中のシットリ感、ロック原点的な音と手法に浪漫を感じるところなど
若い頃、Black Sabbathの処女作を初めて聴いた時の感覚に非常に近いモノを感じ、更にそこへ森林崇拝的要素が加わるんだから
ボクのツボにハマらないわけがない。


TROLLMANN AV ILDTOPPBERG - The Forest of Doom ★★★ (2021-03-04 23:19:18)

英国産ドローンドゥーム2001年作
カセットテープ作品は基本買わないので、カセットテープによるリリースを基本とする彼らの作品の多くはゲットできていない。
基本CDr作品も買わないんだが、ボクはこのバンドの作品に対してレジェンド級の評価をしているので、今作を含めCDrの作品を2作品ゲットしている。
近作As The Fog Clears But For A Moment, Weary Travellers Behold The Majesty Of The Snow​-Clad Mountains Of Crom, Bathed In Ancient Starlight(2015年)
でさえ、Dungeon Tapesからカセットテープでのリリースである。デジタル時代にカセットテープにこだわる姿勢に最近は興味が沸きつつあり、むしろ
カセットテープでコレクションしておくべき作品ではないか、と思い始めている。カセットを再生できる機材が無いので、近々ゲットしようかと考えているところだ。
音響的にはパルス的ノイズで孤独感を描いたArcane Runes Adorn The Ice-Wrought Monoliths Of The Ancient Cavern Of Stars(2003年)の方が素晴らしいが
作品の存在感はこちらの作品の方がインパクトが大きい。極太のベースとシンセのみ、しかもFM音源レベルのチープなシンセだ。
ギターレスといえば知名度からもOMの登場が思い浮かぶが、それよりも前に、このバンドが最小限ユニットで濃いドゥーム作品を残しているところがスゴイ。
CDケース裏にインスピレーションを受けたアーティストとして多くの名前が挙げられている。そのまま抜粋すると・・・
「Steve Jackson & Ian Livingston、Burzum、Lovecraft、Thergothon、SunnO)))、Mortiis、Earth、Skepticism、Evoken、Saint Vitus、Graveland、Empyrium、Ulver」
面白いのは、アドベンチャーゲームブック著者のSteve Jackson & Ian Livingstonを挙げているところで、恐らくこの盤は、その著作である「The Forest of Doom」から
着想を得ていると思われ、長いバンド名もきっと彼らの著書に由来している。Lovecraftは怪奇小説やクトゥルー神話を描いた米国小説家Howard Phillips Lovecraftだ。
ボクも幼少の頃、選択肢を選んで指定のページにとぶRPGのような小説を読んだことがあるが、このバンドはこのテの小説から多くの影響を受けているようだ。
チープなシンセの味わいは、まさにBurzumの影響を感じるし、ミニマル&ドローン系だけでなく、Thergothon、Skepticismのようなフューネラルドゥームバンドに加え
森林崇拝系Ulverをチョイスしているところが素晴らしい。単調でチープな音源でありながら、まさにここに挙げられたバンドが持つ趣きが感じられる作品に驚愕する。
極太のベースの音圧や振幅、微妙なノイズ、目立たないチープなシンセが絶妙に絡み、情緒的な不安定さを醸し出し、独特な孤独感を描いている。
アンビエント作品の中でも近年一般的になってきたDungeon Synthというジャンルが表現しようとする音響・雰囲気・スタイルが感じられ、時代を先取りしていると感じる。
頻繁に聴きたくなるサウンドではなく、次作の方がクオリティは高いが、この時代に、最小限ユニットで、孤独を掻き立てる森をテーマにした世界観でこの作品を
世に出したこと自体がスゴイ。コレは万人にはオススメできないシロモノだが、ドゥーム上級者は資料として保存しておきたい神盤だ。


TROUBLE - The Distortion Field ★★★ (2020-06-27 00:48:11)

アメリカ産ドゥームロック2013年作
Troubleはとりあえず全て必聴盤だ。特に一時バンドを解散するまでの3作品はサイケデリック路線を明確にしたサウンドが魅力だ。
ただ、ボクは初期2作品が聴いた回数も多いので好み。また、復活作のSIMPLE MIND CONDITION (2007年)も素晴らしい。
この作品は、前作で華麗に復活し、6年のブランクを空けてのリリース。リリースから1年後くらいにゲットしたかな、確か。
濃厚に酩酊することのない適度なサイケデリックサウンドかつ奇をてらう事なくオーソドックスに聴かせるオールドスタイルは相変わらず好感触だ。
前作からヴォーカルがチェンジして、声が野太くなっているが、この人は、バンド解散から復活までの数年間在籍していたとされる人だ。
声質は随分と変わってしまったが、このバンドの魅力の原点はそこではないので、若干違和感を覚えるも、慣れれば普通に聴ける。
このバンドもPentagramのような、オーソドックスかつ熟練が売りになってきたなと感じる。そういう定番化石ドゥームロックを期待するならマストだ。


TYRANNY - Aeons in Tectonic Interment ★★★ (2020-06-06 20:38:16)

フィンランド産フューネラルドゥーム2015年作
前作から10年のスパンがあるので、もはや活動していないのかと思っていたが、2作目が発売されていたことを知り2年前にゲット。
フューネラルドゥームバンドの中でも屈指の重さ、曲展開のような茶目っ気など無視した単調さ、全く救いのナイ暗黒空間が特徴で
前作の延長上の音楽性ながら、更に音質が向上してホンモノ感が増した印象だ。フィンランド産はこういうコアな音が結構多い。
延々と禍々しい歪んだギターとハウリングが織りなす暗黒空間が続き、超スローで、巨大なハンマーで叩きつけるようなヘヴィなドラム
旋律というよりは一撃必殺のダウンストロークで圧死させるようなギター、終始ケモノのように唸るデスヴォイス、とにかく救いがナイ音だ。
もはやフューネラルドゥームフリーク以外のリスナーには、コレの何が一体面白いのかと思うかも知れない。
この苦行を堪能するということは、もはや修行だ。相当なマゾ体質でないとコレはなかなか厳しい内容だが、この真性さは素晴らしい。
普段ミディアムボディのライトな安ワインを飲んでても、たまに度数の高いガツンとくるやや高額なフルボディワインが欲しくなるのと同じで
たまーにガッツリとこういう音が欲しくなる、毎日はしんどいので、ホントにたまに聴く。ボクはそういう楽しみ方で聴いている。
とにかくヘヴィで禍々しい音を求めるコアなリスナーには、どストライクかも知れない。


TZUN TZU - Kunoichi - Gaijin ★★★ (2020-06-09 00:13:58)

オールドテイストなサウンドで、かなりカッコいいリフ、ギターソロ、ドゥーミーなサビなど短い曲ながら音響的にも魅力たっぷりだが
「I am not pure」「I am a foreigner」などの歌詞の後、サビでは濃厚なデスヴォイスがハモりながら「ガイジーン!」と連呼するという
特大のインパクトを誇る、シュールな日本観が魅力の迷曲だ!


TZUN TZU - Tzun Tzu ★★★ (2020-06-08 23:49:34)

オーストラリア産デスメタル2012年作
燃え盛る寺と武士の甲冑が描かれるジャケ。コレは和風デスメタルだ。B級愛はラトヴィアの辺境和風デスメタルYOMIに譲るが、完成度はこっちが上。
フルレングスアルバムはコレのみ、EPでの作品が多く、この盤以外にウチには、迷曲「Gaijin」が収録されるKunoichi(2008年作)がある。
また、濃いアンダーグラウンドテクニカルデスを多くリリースするチェコのLavadome Productionsから新作(またEPなのが残念)がリリースされ
買おうかどうしようか悩んでいるところだ。というのも、もともとブルータル志向はあったがKunoichiの頃のオールドテイストは薄れ、
どんどんブルータルデスにシフトしてきており、ボクにはしんどい。ただ、和風な曲名を見ると、やっぱり手に入れたくなるんだよ。
さて、この盤は1曲目「Zazen」からラストの「Hara Kiri」まで、「和」にこだわった世界観だ。坐禅なんだから静かなイントロダクション的な
サウンドから始まるのかと思いきや、禍々しくツーバスで走りまくる高密度なデスメタルを展開、もはや心落ち着かせ坐禅など組んでいられない。
また、6曲目には「Without Zen」という、まるで坐禅で解脱したかのような曲名の楽曲が登場、日本文化をナメてるのかと思いきや
この曲がこの盤で最も盛り上がるなかなかのクオリティで、処女作と思われる盤の看板曲にもなっている。
全曲通して聴くと、相当クタクタになるほど重低音な音質で、特に常に叩きまくっているドラムひとつひとつの音が重い。
また、ヴォーカルも一般のデスヴォイスよりもやや低音で、かなり密度の濃い疲労を伴うデスメタルを展開している。
楽曲はブルータルな部分はもはや音程すら判らないほど不可解な不協和音だが、旋律が聴きとれるところは、結構和風な陰旋法を用いている。
Kunoichiには三味線や尺八が入って、和メタル要素が多めだったが、この盤は琴が入ったりもするが、若干少なめになっている。
それでも和へのコダワリが強く感じられる味わい深い盤である。何を歌っているのか歌詞を見ながら鑑賞すると、より和を感じつつ堪能できるぞ。


TZUN TZU - Tzun Tzu - Shi ★★★ (2020-06-09 00:01:18)

この曲のタイトルは「死」だ。
歌詞の全文はこうだ。
「息は吐息になり、最期の心臓の鼓動が乗る(乗る?ちょっと意味不明)」
「血流は止まり、魂は暗闇に散る」
「命は尽き果てたのだ」
コレをきちんと日本語で歌っているが、濃厚な重低音デスヴォイスなのでよーく聴かないとわからない。
また、歌詞はローマ字表記で書かれているが、「暗闇」が「KARAYAMI」と書かれているところがちょっとウケる。


UMBRA NIHIL - Gnoia ★★★ (2023-11-15 02:17:31)

フィンランド産メランコリックドゥーム2005年作
購入時にレビューしているが、きちんと書き直しておこう。
入手から18年経とうとしているが、未だに聴き続ける神盤ドゥームで、コレを凌ぐ鬱系ドゥームには出会っていない。
録音は薄めで、ヘヴィなドゥームに慣れてしまっていると、ヘヴィさが不足しいるように聴こえるかも知れない。
しかし、ギターのリフ自体は重く歪み、減衰時のノイズや残響音に唯一無二の中毒性がある。このギタリストは天才である。
購入当時のレビューでは「カルトドゥーム」としているが、ジャケの印象と「Gnoia」というスピリチュアルなイメージを想起
させるタイトル、また、このギタリストの別プロジェクトAarni初期作品が描く作風から、確かなカルト臭がする。
しかし、この盤で描かれるのはむしろスピリチュアルなファンタジーの世界だ。それはThe Dreams in the Witch-Houseという
非常に完成度の高い楽曲で体験することができる。
唸るようなヴォイスは、慣れるまで「なんじゃコリャ」と思うかも知れない。当時の海外レヴューは満点に近い評価が多い中
このヴォイスで評価が下がっていた記事も目にした。ボクはこのヴォイスだからこそ、作品のクオリティが底上げされていると思う。
この作品の凄さはなかなか一口で語りつくせないが、まず大きな特徴としては、絶妙なテンポチェンジだ。
リフごとに微妙にテンポチェンジしたり、徐々にテンポアップしたりという工夫が、他のドゥームには無い大きな個性である。
基本的に物静かな、深めの残響音の音空間が広がる音楽性だが、線の細いギターノイズが幾重にも連なったりハウリングノイズが
覆いかぶさる様は、非常にサイケデリックで、その高音部と鈍重な低音部の対比が見事なのである。
もうコレを超えるメランコリックドゥームには生涯出会えないんじゃないか、と思えるくらいの神盤なので、陰鬱ドゥームファンは
必ずゲットしよう。


UMBRA NIHIL - The Borderland Rituals - Welcome to the Borderland ★★★ (2020-10-09 04:29:41)

アヴァンギャルドドゥーム路線では、Markus Marjomaaというギタリスト率いるユニットの、Umbra NihilとAarniが最もボクのツボを突く。
意外と海外では評価されず無名なのかも知れないが、このギタリストの奏でる旋律、ギターの歪み、病的な不協和音、適度なサイケさなど
どれをとってみても強烈で、この人にしか作れない独創的な、癖のある、毒気を含んだ音楽に圧倒される。
Aarniが世に出たデモ音源ですら、そのギターの音が鳴った瞬間に、この人はホンモノだ、と思わせるインパクトと固有の毒気がある。
作品的には前作のファンタジック・メランコリックドゥーム「Gnoia](2004年作)が好みだが、純粋にMarkus Marjomaaが奏でるギターワークの
魅力を楽しむとしたら、こちらの盤だ。この曲はアルバム最初を飾る曲だが、ぶっ壊れた、イーヴルな、シュールな、気持ち悪いリフ満載な
Markus Marjomaa固有の魅力が詰まっている。この人が奏でる音は、Aarniの一連の作品にある森のジャケイメージも手伝ってか
濃厚な毒・瘴気と共に、音に植物の蔦が絡み合うかのような気持ち悪さがある。誰にも真似できないオンリーワンな個性を放っている。
この盤に限っては、そういった濃厚な毒がジャケイメージと作品の世界観によって、イーヴルかつ背徳的な感じに昇華されている。
ずっと新たな作品を待ち続けるが、最近は全く音沙汰が無く、活動しているのかどうかも不明。再び危険な異端ドゥーム作品を作ってくれることを願う!


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - And Be No More ★★★ (2020-08-10 22:15:44)

ベルギー産フューネラルドゥーム2020年作
2枚組CDが存在している筈だが、リリースから間もないというのに全く見つからない。たぶんセルフリリースだろうから
直接連絡取って注文しなくてはいけないんだろう。で、やっと作者のサイトまでたどり着いたものの、コロナウイルスのため
発送は行っていない云々の記述を発見。日本語訳に自信がナイが、それなら仕方ない。またデジタル作品をゲット。
もはや定番シンセをバックに、ギターをジャーンと鳴らすと同時にドラムを叩くスタイルはお家芸である。
また、近作と何が違うのかというと、延長上の音楽性で、強いて言えば、音程とジャーンと鳴らすタイミングが違う・・。
さっき書き込んだベスト盤と全く同じことを書いているが・・だって、感想が同じなんだから仕方がない。
もうこの人の音楽は、こうでなくてはいけない。今後も同じような作品でも構わない。ボクはひたすら追い続けるよ。
同じような作品を連発しているというのに、どうしてこんなに魅力的なんだろう。もはやフューネラルドゥームレジェンドと言いたい。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - AnteMortem ★★★ (2020-05-17 20:17:15)

ベルギー産フューネラルドゥーム2017年作
冷たく適度な湿度を感じるアンビエント空間に、過去作とは違って適度な音圧と歪みを持つギターが響き渡り
低音テスヴォイスが唸る。基本ビートが不要な音楽性なので、打楽器は殆ど無く、必要最小限に加えられている。
やっとこの路線の完成形が見えてきたといった感じで、昔のポンコツ感は皆無、真性な人生残念サウンドが聴ける。
シンセの使い方がどのバンドよりも卓越しているので、淡々と同じような白玉リフが繰り返されても没入感が半端ナイ。
この人の作品は、そこらへんの百凡のフューネラルドゥームバンドを飲み込むだけの破壊力を秘めている。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Days Without Hope ★★ (2020-04-24 01:38:43)

2006年に自分がこのバンドを追加登録して書き込んでいるのを見ると笑える。
少なくとも当時は、このバンドが自分のフェイバリットバンドになるとは到底思っていなかった。
あまりのポンコツさに金を支払った自分が情けないとも思った。
それでもこのバンドのCDを買い続けたのは、他では聴けない濃厚な孤独感、静寂、真性さが宿っているからだ。
音はポンコツでも、その根暗なコンセプトに対して全く妥協していないところに惹かれるのだ。
シンセを垂れ流し、分厚いギターを垂れ流し、疲れた犬のように唸るタイプのフューネラルドゥームをやりたいんだろう。
で、結構な枚数、ポンコツサウンドに投資し、やっとこの盤で期待に少し応えてくれた、という感じだ。
とりあえず残念人生サウンドとこのトゲトゲ&尾根の太陽ジャケは非常にマッチしている。
この作品の素晴らしいのは、1曲目のギターが入るまでのシンセサウンドだ。この人が作るシンセサウンドはシンプルかつ根暗だ。
それ以降の曲は、やりたいことはすごくわかるのに、ギターのリバーブが深すぎてポンコツ感が拭えない惜しいサウンドである。
しかし、この盤以降の作品では、音のバランスや録音が向上していき、唯一無二の作品になっていく。
この盤がその転換期の重要作品(と自分は思っている)なのだ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Days Without Hope - Cruel ★★★ (2021-06-17 01:04:07)

恐らくこの盤を最も多く愛聴しただろうと思う。コレ以前の作品はよほど彼の音楽性を理解しないと、あまりのポンコツさで聴くに堪えないだろう。
底辺の根暗サウンドを創り続ける彼の真骨頂、大きく進化したと思わせたこの盤で、最も素晴らしいと感じた楽曲は、この1曲目のシンセサウンドだ。
本来は2曲目以降のギターが登場するところから盛り上がるんだろうが、シンセ、ギター、唸り声の掛け合いというスタイルはこの盤時点では未完成だ。
しかし、冒頭の導引部分のこのシンセサウンドのクオリティは非常に高い。これを聴いた当時は、この単純なコード進行のシンセサウンドに
根暗サウンドの神髄を垣間見た気がした。山と太陽とトゲトゲの気持ち悪いジャケにベストマッチである。
時代のトレンドに逆行する極端に偏った音楽性と世界観を持ち、ひたすら根暗サウンドを創り続けるこの姿勢、こういう人が天才なんだろうなと思うのだ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Flow of Infinity ★★★ (2020-05-16 01:29:57)

ベルギー産フューネラルドゥーム2017年作
超大作主義の人生残念サウンド決定版。これもどうやらCD化はされていないようでデジタル作品をゲットしている。
ヘヴィなギターとシンセの絡みつく感じを楽しみながら鬱々と死にたくなっていく作品。
しかもラストの曲は57分の超大作&終始垂れ流しシンセという、近年稀にみる苦行で、インパクトは絶大だ。
ドゥーム界の異端になるには、これくらい極端でないとダメだ。
しかし、ラストの曲は、1日の24分の1の時間を割いてまで、わざわざ聴こうとは思わない。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Herald of Sorrow ★★★ (2020-08-10 21:56:47)

ベルギー産フューネラルドゥーム2019年作
2018年から2019年までのシングルカットされた作品を寄せ集めたベスト盤・・ということらしい。
たぶん日本でこのバンドの作品をコンプリートしている人って、何人いるのかわからないが、僅かだろうと思う。ボクはその一人だが
ワリとマメにチェックしているボクでさえ、そんなシングルなんて存在を知らない。あちこち探してみたが、コレがどこにも見つからない。
まあ、それはそれでいいとして、またデジタル作品しか見つからない。きちんとCDかLP化されたものが欲しいのに。仕方なくデジタル作品をゲット。
近年の作品の延長上の音楽性で、お得意の白玉垂れ流し系ドゥームだ。定番シンセをバックにギターストロークと同時にドラムを叩くスタイルは
もはやお家芸で、一聴して、ああUntil Death Overtakes Meのサウンドだと判る唯一無二のモノがある。
垂れ流しシンセをバックに犬のように唸りながら、コードをジャーンと鳴らすだけの簡単なお仕事だというのに、相変わらず惹き込まれる魅力がある。
ここ最近の作品と何が違うのかと言われると、そう変わった感じはない。音程とジャーンと鳴らすタイミングがが変わっただけ、とも言える。
それでもこのバンドはこうでなくてはいけない、変わってほしくないという思いがある。
複雑に作り込むのではなく、ノイズを垂れ流し、シンプルに淡々と、絶望感を感じながら、無気力で演奏することがフューネラルドゥームの
神髄なのかも知れない。このバンドはそんな風に思わせるインパクトがある。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Herald of Sorrow - Herald of Sorrow ★★★ (2020-08-11 00:25:57)

アルバムタイトル曲。近作の音楽性と一体何が変化しているのか全く判らないくらいに、お家芸の白玉垂れ流しドゥーム決定版。
しかもそれが延々と31分半続くという近年稀に見る苦行だ。これくらい極端な修行のような大長編の方がインパクトは大きい。
シンセの音も定番のサイン波と矩形波の音だというのに、それがとても味わい深いのが不思議でならない。
また、相変わらず風を感じるアンビエント空間の作り方が職人気質で、単調な楽曲なのに没入感が半端ナイ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Interludium I: Funeral Path (2020-05-16 00:55:31)

ベルギー産ダークアンビエント2004年作
とりあえずドゥームとしてカテゴライズされるバンドだとは思うが、この盤はシンセのみサウンドだった。
確かにシンセの使い方としてはかなり優秀な内容だが、そういうのを期待していたワケではないのだ。
購入当時はCD(CDRでリリース)をガスオーブンで焼こうかと思うほどイラッとした。
今となっては好きなバンドなので、改めて聴くとこの頃から格段に空間系シンセの音使いが細やかにアレンジされていることが判る。
ちなみに、昨年この盤はリマスター版が出ている。買おうかどうしようか迷っているところだ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Missing ★★★ (2020-05-17 20:32:55)

ベルギー産フューネラルドゥーム2018年作
リリースからもうすぐ2年が経とうかというのに、Youtubeの再生回数が未だ700回位というのだから、相当無名なんだろう。
昔から孤独で濃厚に根暗な音楽性を貫き、遂にこれ以上ナイくらいに人生残念ドゥームを創り上げた。
この作品に出会うまでに何作品ポンコツサウンドにお金を投資したことやら。実にその散財の価値があったと思わせる納得の作品だ。
今後もこの路線を突き進んで欲しい。欲を言えば、前作Antimortemでも感じたが、あまりにお金がかかってないと思わせるジャケを
もっと雰囲気のあるデザインにして欲しい。ワードアートで簡単に作れそうなバンドロゴもホンモノ感を出して欲しいところだ。
完成されたアンビエント空間、ギターとシンセの垂れ流し、デスヴォイスが唸る、という音楽性は前作と変わらない。
単調で曲展開など殆ど無い。上級者フューネラルドゥーマー向けの作品だ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Symphony I: Deep Dark Red (2020-05-16 00:46:56)

ベルギー産フューネラルドゥーム2002年作
犬のように唸るヴォイス、バリバリ感満載のギターなのかシンセノイズなのかよくわからないノイズなどが相変わらずポンコツサウンドだ。
アコギやSEの質はまあまあで、普通に聴けるが、とりあえず当時は聴いた瞬間、お金返して!と思い、CD(CDRでリリース)をコンロで焼きたくなった。
ただ、今となっては好きなバンドなので、ふと思いなおして聴くと、ダークアンビエント作品としては十分聴ける内容ということがわかる。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Symphony II: Absence of Life ★★★ (2021-06-17 00:35:20)

ベルギー産フューネラルドゥーム2002年作
このバンドの作品をレビューするのはなかなか大変だ。どの盤も似たような音楽性で、よほど愛聴しないとその違いが判らない。
リリース数も多いので、未だに一聴しただけでどの盤に収録されている楽曲か少し考えないと迷うこともある。イントロクイズにしてしまえばいいのに。
この盤はチープな過剰に歪ませたノイズが大きな特徴だ。彼の作品を蒐集し始めた当時は、試聴してゲットするのを避けた盤だったが
ワリと最近ゲットしている。これ以上歪まないだろうと思える程バリバリのノイズなので、果たしてコレがギターなのかシンセなのかわからない。
そういうノイズとシンセ、唸り声の掛け合いが延々続く音楽性だ。シンセはパイプオルガンの音響に近いので、何やら神聖な雰囲気が漂う。
ノイズのチープさに慣れれば、コレが不思議と味わいに変化してくる。シンセの効果から、物寂しい朽ちた教会、暗闇といった情景が思い浮かび、
轟音のようなノイズは、稲妻を思わせる。悪天候の日に教会の中で悲愴感に浸っているかのような気分になれる。
まあ、この人のサウンドに耐性が無ければ、ただのポンコツノイズだと感じるだろう。そのハードルを越えれば、このサウンドがとても面白くなるのだ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Symphony II: Absence of Life - And Death Took Her Smile Away (2020-05-16 00:39:02)

ベルギー産フューネラルドゥーム2002年作
あまり作りこまれていないFM音源のようなシンセと、ギターなのかシンセノイズなのか判別できないようなビリビリ感のあるノイズ
ケモノのように唸る超低音ヴォーカル、まあ、やりたい事、描きたい世界観はよく判るが、いかんせんポンコツ感のするサウンドだ。
初期作はこういう作品で、購入した当時はCD(しかもCDRでリリース)を円盤のように窓から投げようかとも思うほどチープに感じたものだ。
ただ、長年このバンドを追いかけて、いざ振り返って聴いてみると、このバンドの持ち味が出ているサウンドだということがわかり、味があると思える。
購入当時はフェイバリットバンドになると思ってなかった。資料として持っておきたいと思っている。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Symphony III: Monolith ★★ (2020-05-16 01:04:32)

ベルギー産フューネラルドゥーム2006年作
前作のシンセのみアンビエント作品に、ギターかシンセノイズかよくわからないノイズが乗った感じのダークアンビエント色の強い作品。
若干やりすぎなノイズが乗ると、聴き様によってはポンコツサウンドに聴こえる。購入当時は趣きを感じることができなかった。
購入当時は、ノイズが乗った瞬間に、次のゴミの日がいつだったか調べたくなった。シンセはとてもいいのにもったいないと思った。
今は好きなバンドなので、ワリと聴ける。ダークアンビエントサウンドとしては、ワリと優秀な部類に入るかも知れない。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Well of Dreams ★★★ (2020-05-16 01:19:58)

ベルギー産フューネラルドゥーム2016年作
森の中の井戸ジャケが素晴らしい作品だというのに、CDで発見できず(リリースしていないのか?)やむを得ずデジタル作品として持っている。
今まで散々このバンドのポンコツサウンドに散財した甲斐があったと思えるほど、録音の質がアップし、非常に音のバランスが良くなった。
必要最小限のドラム、超スローテンポの中で分厚い歪んだギターとシンセをジャーンと弾くだけ、という簡単なお仕事。
しかし、シンセの音空間とギターノイズのコントラストは流石に今までアンビエントな作風にこだわっていただけあり、クオリティが高い。
同時期に複数作品をリリースしているが、突如スゴいサウンドに変貌しているので、全てオススメである。