英国産パンクロック1977年 まあ、話題になっているようですので・・・一言。 3コードで適度な速度で演奏できる、バンド初心者には持ってこいのサウンドで、バンドビギナーのコミュニケーションツールには最適。 ボクも学生時代は Anarchy in the U.K.とGod Save the Queen、即席バンド組んでやりましたよ。 結局、演奏技術の高低や楽曲構成の優秀さは、必ずしもリスナーの心地よさにはリンクしないということだ。 まあ、反社会的なアイデンティティに心酔し過ぎなければ、至上のエンターテイメントだ。
スウェーデン産エピックメタル2020年作 Solitude AeturnusやForsakenあたりの音楽性を持つエピックメタルを日々探しているんですが、良作はなかなか見つからない。 エピックメタルは結構多くバンドが組まれててテクニックも高いんですが、いかんせんツボにハマりにくいのは、ゆったりヘヴィに聴かせるタイプよりも 疾走感で聴かせるバンドの方が多いなぁ、と感じることが多いからだ。ボクが求めるヘヴィメタル理想像はミドルテンポ以下で、エピックに疾走感は求めない。 SorcererはThe Crowning Of The Fire King(2017年作・未所持)を聴いて、割と求めるエピックメタルに近いモノを感じ、ずっと気になっていましたが 今年新作が出るとのことで、予約購入してみた。冒頭で挙げたバンドのインパクトには及ばないが、とても安定感のあるエピックメタルを聴かせてくれる。 ツインリードで聴かせ、卓越したギターソロのテクニックが光るサウンドだ。ボクとしてはピロピロと弾きまくるギターソロは不要なんだが、まあコレはコレで良し。 そういう若干ギターテク寄りな所は気になるものの、キチンと力の入るミドルテンポのオーソドックスなヘヴィメタルをやっており、好感触なサウンドだ。 いかにもエピックなバンド名とジャケもいいね。
オーストラリア産テクニカルデスメタル2014年作 The Scream That Tore The Sky(2005年作)の衝撃は忘れられない。テクニカルデスは星の数ほどいるが、Stagazerのハイテクは群を抜いている。 ギター、ベース、ドラムの三者に言えることは、相当な演奏技術者である上、メタルのジャンルには収まらない多様性を持っていることだ。 サウンドの特徴としては、音の密度の高さだ。ヘヴィな音の厚みで圧倒するのではなく、高密度な音数を用いて高速で刻むリフの迫力が最大の特徴だ。 デスメタルにしてはナマ音に近いエフェクトを施し、各パートの音像がクリアに聴きとれるので、圧倒的な音数によるインパクトが誤魔化しなく伝わる。 そういう音響なので、ベースの音もワリと細部まで聴きとれるが、このベースのテクニックが凄すぎる。ボクはベーシストなので尚更ベースに耳が行くが これほどハイテンションなベースを弾くミュージシャンも珍しい。割とベースが前面に登場するところも、このバンドの大きな特徴だ。 卓越した演奏技術の基盤があり、更に楽曲がメタルの枠に収まらないインテリジェンスさを感じさせる、やや前衛的な造りなので、相当聴き応えがある。 The Scream That Tore The Skyの頃は結構疲れる音楽性だったが、音響的な進化のせいか、高密度な音の束であっても無駄な疲労感を伴わないところがいい。 ハイセンスな楽曲、全体的に漂うイーヴルな感じがホント素晴らしい。超オススメ。
米国産スラッジドゥーム2016年作 Rebecca Vernonという女声ヴォーカル兼ギタリストをリーダーとする結構濃いドゥームだ。既に解散しているのが残念、フルレングスアルバムはコレがラスト。 今年はドゥームバンドの作品はコレばかり聴いている。バンド創設当初よりヴァイオリンを導入したサウンドが特徴で、今作もヴァイオリンが幅をきかせている。 シンセなのか生音なのかわからないが、パンフルート系の音色とヴァイオリンの絡みが心地よく、相当濃い音像の引き摺るようなギターが絡む絶品ドゥームだ。 ボクは彼女の作品はコレしか持っていないが、初期作品は友人が愛聴していた。そもそも濃いドゥームと化したのはNO HELP FOR THE MIGHTY ONES (2011年)からで 初期2作品はどちらかというとポストパンク的サウンドだった。当時からギターの音の濃さはあったが、どちらかというとドゥーム的ではなく、あまりウマい例え ではないがSonic Youth的なアートノイズ系な感覚だったと思う。新しいサウンドを追求する空気と女性ヴォーカルという編成から、粗雑だがお洒落で、前向きな精神が 割と色濃く感じられ、また、英国Siouxsie and the Banshees影響下の後続バンドの色があったので、ドゥーム化した後もポストパンク精神が宿っているように感じる。 ドゥーム化した後は、路線としてはJex Thothと大いに被るところがあって魅力的なんですが、Jexの方は「死」「葬式的な冷たさ」を感じさせるのに対して、 「生」「前向きな生きる力」が感じられるところは大きく異なる。アルバムタイトルからも、雑草のように戦いの時代を生きていく的なコンセプトが感じられる。 やや長文なので引用こそしないが、アルバムのインナーにも生と死に関して前向きなメッセージが込められる。サウンドは鈍重なドゥームだが、この人の前向きな メッセージを想像しながら愛聴すると、鈍重なドゥームサウンドが、葬式ドゥームに聴こえなくなる。メンバー全員が女性というワケではないが、この音からは 決して単なる魔女ドゥームではない、繊細でありながらも力強い女性の生き方を描いたかのような、オンリーワンな個性を感じることができるのだ。
ノルウェー産ブラックメタル2017年作 Ulvhedin Hoestという人のバンドだが、このバンドを知った当初はアルファベットの「A」を連ねる人名が北欧でよくあるので バンド名であるTAAKEはこの人の名前だと勝手に思い込んでいた。TAAKEは「霧」を意味する言葉らしい。フェイバリットバンドにCeltic Frostを 挙げているところや、ライヴ映像でCeltic Frostを思わせる「ウッ」という吐き捨てヴォイスを披露しているあたり、初期はかなり影響を受けていたのだろう。 過去のPVやジャケはやたらと本人の姿をクローズアップした感じから、ナルシズムや尊大なイメージはあるものの、実際の音からは独善的な狂気は感じられない。 BATHORYのUNDER THE SIGN OF THE BLACK MARK (1987年)を影響を受けた盤と公言しているあたり、自身を崇め奉るカラーはここからの影響かなと想像する。 濃いプリミティヴブラックスタイルではあるものの、先に挙げた2大バンドのような魔性や尊大さは、この人の作品群からはボクの感性ではあまり感じられない。 俗に言う初期3部作を一応所持しており、ハマってよく聴いたのは1作目だが、ノルウェイジャンプリミティブブラックのど真ん中の粗雑さが魅力的な音響で 直線的に攻撃性を前面に出した作風に加え、魔性や尊大さではなく、土着的なヴァイキングな感じ、寒冷地の叙情を思わせる作風が結構ツボだった。 また、理に叶った進行をする楽曲と、濃い音響でありながらも印象に残りやすいパッセージを織り交ぜてあるのがこのバンドの固有の魅力だ。 この2017年作品はごく最近発見してゲットしたが、過去のそういう音楽性の集大成的な感じではあるが、プリミティヴな感触を残しつつ激しさは若干大人しめになった。 佳作揃いというのが一聴した印象だったが、この人の曲は印象に残るパッセージが散りばめられているからか、ふとメロディラインが脳裏に浮かび、聴きたくなる。 曲を覚えてくると、ジワジワとそのカッコ良さに惹き込まれていく。突出した濃さや個性で勝負する感じではなく、オーソドックスで完成度が高い。 コマーシャルではないのにキャッチーでライトに楽しめる。寒冷地の土着的スパイスを含ませた、硬派でクールな感じがいいね。
動画のラストに書いてたよ。TNTに何度も加入したり脱退してるTony HarnellのバンドSTARBREAKERの曲。 Die For YouはStarbreaker(2005年)の1曲目だね。 ちなみにボクは持っていない。Dysphoria(2019年)を買おうかどうしようか悩んで結局買わなかった。
英国産ドローンドゥーム2001年作 カセットテープ作品は基本買わないので、カセットテープによるリリースを基本とする彼らの作品の多くはゲットできていない。 基本CDr作品も買わないんだが、ボクはこのバンドの作品に対してレジェンド級の評価をしているので、今作を含めCDrの作品を2作品ゲットしている。 近作As The Fog Clears But For A Moment, Weary Travellers Behold The Majesty Of The Snow-Clad Mountains Of Crom, Bathed In Ancient Starlight(2015年) でさえ、Dungeon Tapesからカセットテープでのリリースである。デジタル時代にカセットテープにこだわる姿勢に最近は興味が沸きつつあり、むしろ カセットテープでコレクションしておくべき作品ではないか、と思い始めている。カセットを再生できる機材が無いので、近々ゲットしようかと考えているところだ。 音響的にはパルス的ノイズで孤独感を描いたArcane Runes Adorn The Ice-Wrought Monoliths Of The Ancient Cavern Of Stars(2003年)の方が素晴らしいが 作品の存在感はこちらの作品の方がインパクトが大きい。極太のベースとシンセのみ、しかもFM音源レベルのチープなシンセだ。 ギターレスといえば知名度からもOMの登場が思い浮かぶが、それよりも前に、このバンドが最小限ユニットで濃いドゥーム作品を残しているところがスゴイ。 CDケース裏にインスピレーションを受けたアーティストとして多くの名前が挙げられている。そのまま抜粋すると・・・ 「Steve Jackson & Ian Livingston、Burzum、Lovecraft、Thergothon、SunnO)))、Mortiis、Earth、Skepticism、Evoken、Saint Vitus、Graveland、Empyrium、Ulver」 面白いのは、アドベンチャーゲームブック著者のSteve Jackson & Ian Livingstonを挙げているところで、恐らくこの盤は、その著作である「The Forest of Doom」から 着想を得ていると思われ、長いバンド名もきっと彼らの著書に由来している。Lovecraftは怪奇小説やクトゥルー神話を描いた米国小説家Howard Phillips Lovecraftだ。 ボクも幼少の頃、選択肢を選んで指定のページにとぶRPGのような小説を読んだことがあるが、このバンドはこのテの小説から多くの影響を受けているようだ。 チープなシンセの味わいは、まさにBurzumの影響を感じるし、ミニマル&ドローン系だけでなく、Thergothon、Skepticismのようなフューネラルドゥームバンドに加え 森林崇拝系Ulverをチョイスしているところが素晴らしい。単調でチープな音源でありながら、まさにここに挙げられたバンドが持つ趣きが感じられる作品に驚愕する。 極太のベースの音圧や振幅、微妙なノイズ、目立たないチープなシンセが絶妙に絡み、情緒的な不安定さを醸し出し、独特な孤独感を描いている。 アンビエント作品の中でも近年一般的になってきたDungeon Synthというジャンルが表現しようとする音響・雰囲気・スタイルが感じられ、時代を先取りしていると感じる。 頻繁に聴きたくなるサウンドではなく、次作の方がクオリティは高いが、この時代に、最小限ユニットで、孤独を掻き立てる森をテーマにした世界観でこの作品を 世に出したこと自体がスゴイ。コレは万人にはオススメできないシロモノだが、ドゥーム上級者は資料として保存しておきたい神盤だ。
オールドテイストなサウンドで、かなりカッコいいリフ、ギターソロ、ドゥーミーなサビなど短い曲ながら音響的にも魅力たっぷりだが 「I am not pure」「I am a foreigner」などの歌詞の後、サビでは濃厚なデスヴォイスがハモりながら「ガイジーン!」と連呼するという 特大のインパクトを誇る、シュールな日本観が魅力の迷曲だ!