Joe Jacksonの初期作品からのチョイスで原曲をかなり忠実に再現しているカヴァー曲だが ハッキリ言って、ANTHRAXの曲の中で最も心に残っている曲で、当時は相当ツボにハマった。 この曲を知って、Joe Jacksonの作品にも興味を持った程、インパクトの大きい作品だった。 Joe Jacksonもまさかここまでスラッシュファンにウケるとは思ってなかっただろうね。
ベルギー産フューネラルドゥーム2020年作 UNTIL DEATH OVERTAKES MEをメインプロジェクトとするStijn van Cauterによるサイドプロジェクトだ。 フォトショップで頑張って作ったかのような脳ミソと光が描かれたジャケは、相変わらずチープさが漂っており独特の趣きがあってグッドだ。 彼が最も得意とする張り詰めた緊張と静寂を伴う音空間に、歪みまくった極太ノイズに深いリバーブをかけたギターを垂れ流すという定番スタイルだ。 起伏のある曲展開は全く期待できない超スロードローンアンビエント地獄が70分続くという、まるで修行のような苦行サウンド決定版だ。 UNTIL DEATH OVERTAKES MEで聴ける楽曲スタイルでさえ、超スロードゥームなのに、こちらは更に輪をかけて超スローである。 冷ややかさと静けさが素晴らしい絶品のシンセと、彼の持ち味であるギターエフェクトの掛け合いを楽しむ作品。決して過去作のようなチープな音響ではない。 彼が乱発する多くの作品の演奏スタイルは大体似たようなモノなんだが、この盤はリズミカルな要素を全くと言っていいほど排除し、純粋に シンセとギターが織りなすハーモニーの魅力に特化した感じである。近年の作品はもはや音響に限ってはチープさが薄れ、ホンモノ感に溢れている。 通勤中のマイカーで聴くと、仕事の始業時間までに半分、帰路に着くまでに半分で、この盤をフルで楽しむことができる。 雨天時に聴くと雰囲気があっていいんだが、いつもの通勤経路を少し迂回して海岸沿いルートを通ると尚雰囲気があっていい。そういう楽しみ方をしている。 決して万人にオススメできるシロモノではなく、ドローン地獄に耐性があるリスナー向けだ。このスタイルがダメな人にとってはただのポンコツサウンドだが 音響はもはや完成の域に達しそうな感じなので、このジャンルがイケる人は是非試してみて欲しい。
スウェーデン産ヴァイキングメタル2002年作。 Bathory作品は初期作やOctagonのようなVenomによく例えられるアップテンポの作品と、破天荒なヘヴィネスによるヴァイキング作品がある。 ボクは後者こそがBathoryの真骨頂と思っており、ベストアルバムはHammerheart、次いでTwilight of the gods、そしてこのNordland2作品だ。 ちなみに、その次に好きな作品はBlood on iceである。全く受け付けない作品はOctagonあたりの、疾走するタイプだ。 次作のNordland Ⅱと共にマストな作品。壮大なヴァイキング大河ドラマを体験できる。 霊的なコーラス&シンセから入るイントロ、そしてタイトル曲でもある2曲目に突入する時点で、チューニングが合っているのかもアヤシイ極太ギターにノックアウトされる。 しかもこのリフはTwilite of the godsとほぼ同じじゃん!とツッコミを入れたくなるのを抑えつつ聴いていると、クォーソンの乗っけから音程を盛大に外しまくる歌が入り 気付くとその粗雑で大胆な、破天荒で野蛮な世界にのめりこんでしまうのだ。
フィンランド産ダークアンビエント2020年作 先月発見して驚いたが、どうやら昨年冬にリリースされていたらしい。一応ブラックメタルのジャンルにカテゴライズされてきたバンドだが 純粋にブラックメタル様式の演奏を聴かせるバンドではない。決して卓越した演奏技術で聴かせるバンドではなく、真性なカルト色が魅力だ。 最も愛聴したのはDRAWING DOWN THE MOON (1993年)で、フィンランドカルトの凄まじさを思い知らされたが、その後はそのカルト風味に特化していき インダストリアル要素を含む作品に進化していった。純粋なブラックメタル的音響とはかけ離れた音楽性だったが、その内容の濃さはレジェンド級だ。 前作ENGRAM (2009年)で初期ブラックメタルスタイルに回帰したが、今作は一転、完全にアンビエント化している。そのスタイルの変化が評価の分かれ目。 DRAWING DOWN THE MOONやENGRAM時代のスタイルに愛着があるのは確かだが、アンビエント化は歓迎している。というのも、その真性なカルト臭を 表現するには、むしろアンビエントの方が向いている。また、中期のインダストリアル化の方向性からも、その着地点としてとてもシックリくる。 CD2枚組の大作で、タイトル曲Bardo Existsは23分という尺の長さである。ボリューム感でお腹一杯になりそうだが、没入感は高く、長い尺でも飽きさせない。 元来持っている狂信的で尊大なカルト臭に加え、張り詰めた緊張感が加わったことは、旧スタイルを代償としてアンビエント化したことで得た新たな魅力だ。 ノルウェーではアンチBEHERITがいたらしい。思想的なところか、粗暴な音楽性が理由なのかはよくわからないが、少なくともDRAWING DOWN THE MOON時代 以前は忌み嫌われる程の特殊な音楽性だったと感じる。それだけインパクトを放っていた音楽だったと思うが、その醜悪さは今なお健在と言える。 こういうブラックメタルの演奏技術的な醍醐味とは対極にあるカルト風味特化型のスタイルでクオリティの高いサウンドはワリと希少だと感じている。 米PROFANATICAのHAVOHEJの作品群で体験できるカルト臭が志向性として近いが、総合的濃さではBEHERITに軍配、独善的尊大さでHAVOHEJに軍配といった感じだ。
ベルギー産フューネラルドゥーム2021年作 UNTIL DEATH OVERTAKES MEをメインプロジェクトとする一方で、多くのソロプロジェクトを抱えるStijn van Cauterによるドローンドゥーム。 新型コロナウイルスのせいで、昨年は空輸できない期間があったが、やっと彼の運営するレーベルショップからの空輸が解禁となりゲットすることができた。 受注したらその都度CDrを焼くのだろう。届いた盤からは印刷したてのインクのニオイが漂い、盤の印刷も光沢がある。いかにもPCで個人で加工した感のある ジャケとバンドロゴは、長年彼のポンコツ作品にひたすら散財した者としては、残念感など皆無、逆に妙な高揚感がこみ上げてくる。 普段あまりCDr作品は買わないのだがStijn van Cauterの作品はデジタル作品かCDrしか見かけないから仕方がない。チープなジャケとインクのニオイから 伝わってくる手作り感がたまらなく素敵だ。サウンドは購入前に大体想像がつく。また単調な垂れ流しなんだろう。それでも彼の作品の魅力は絶大だ。 サウンドはUNTIL DEATH OVERTAKES MEの、ギターストロークに合わせてドラムを叩くお家芸スタイルとはまた異なる演奏である。それでもやっぱり垂れ流しだ。 歪んだギターを超長めに垂れ流し、アトモスフェアなシンセが絡むサウンドだ。収録される3曲はそれぞれ19分、17分、19分という大作主義の苦行だ。 これじゃいつもの作品と同じじゃん!と思いつつ、変わらないこの底辺アンビエントドローンスタイルに安堵し、没頭してしまう。素晴らしいの一言。 とりあえず万人にオススメできるシロモノではない。聴く人によってはポンコツサウンドだ。このポンコツ感とレジェンド級が紙一重で折り合っているんだよ。
スウェーデン産デスメタル2014年作 BLOODBATHは我が家にはこの1枚のみある。20年選手の鉄板スウェディッシュデスメタルだ。一昔前なら堪能できたが、最近はこのテの激しさは苦手。 次作「The Arrow Of Satan Is Drawn(2018年)」では、激しさがほんの少し控えめになり、新たなアプローチを見せているが、ゲットしていない。 一般のデスメタルに比べて、禍々しさや激しさが上乗せされるスウェディッシュデス特有の個性が凝縮したようなサウンドが素晴らしい。 アンチクリスチャンな冒涜的な背徳感が濃厚に漂っており、その世界観が大きな魅力となっている。また、ザックリ感あるギターの禍々しさに血の感触がある。 ディレイを深めにかけたギターワークの気持ち悪さも聴きどころだ。血みどろでハイテンションなグルーヴ感が全体を支配し、もはやクタクタになるが スウェディッシュデス路線ではかなりハイクオリティだと感じさせる音楽性だ。
スウェーデン産ヴァイキング・パワーメタル2017年作 Manowarがモーレツに好きなんだろ、と言いたいコスプレ&メイクがツボの8人組によるど真ん中パワーメタル。 ステキなバンド名もさることながら、各メンバーには座右の銘がついており、全員のキャラが立ってて素晴らしい。 メインの女声ヴォーカル(Voice of the Valkyries)&男声デスヴォイス(Battle Cries)&サブキャラ的男声ヴォーカル(Tongue of the God) という3名のヴォーカルはそれぞれ個性的かつ高い歌唱力があり、非常にファイティング。特に女性ヴォーカルはハイトーンが美しく相当上手い。 トリプルギター(Guitar of Lightning、Guitar of Justice、Guitar of Steel)の演奏技術も高く、パワフルかつ華麗だ。 ちなみにベースはMighty Bass of Thunderous Glory、ドラムはAnvil and War Drumsという座右の銘を持つ。 PVを観るとわかると思うが、ヴァイキングな世界観が大好きということが物凄く伝わってきて全員仲良くて楽しそう。ユーモアも持ち合わせている。 ボクはこういうバンドに弱い。PV見た瞬間にゲットしてしまった。こういうバンド結構いると思うが、このバンドはコスプレも楽曲も演奏もレベルが高い。 拳を振り上げたくなるような男臭いコーラスが激アツで、血が滾り、大自然を駆け、甲冑を身に纏って戦いたくなる。 ストレートなパワーメタルで聴きやすい上、何か力が湧いてきそうな元気な気分になるので、朝の通勤途中の車で聴くには持ってこいのサウンドだ。
ボクは愛着や個性などトータルではKing of the Deadが最も好きだが、純粋に楽曲内容では、他の人たちが書き込んでるように、こちらの方がクオリティが高い。 録音状態は少しずつ向上しつつも、低音が薄目の録音は変わらず。過去作はそれがチープさの大きな要因なんですが、この盤はその録音状態が丁度良い。 ジャケが示す通り、Manowar的な世界観がより前面に出て、あの癖のあるヴォーカルがその世界にフィットしているから素晴らしい。 ミドルテンポメインの正統派エピックメタル、Manowar的世界観なジャケ、クオリティ高い楽曲、チープな録音がマッチ、これだけ揃ったら もうB級のダメバンドではなく、この路線の注目バンド最右翼ですよ!