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TROLL - Legend Master - The Door ★★★ (2023-11-22 19:37:32)

後半の盛り上がり部分では、一時的にブラストビートを導入している。
コレが理に叶った展開に聴こえ、物凄い迫力を演出している。
こういう奇抜なアレンジを織り込んでもドゥームロックに聴こえるところが天才的なんだよ。


TROLL - Legend Master ★★★ (2023-11-22 19:34:36)

米国産サイケデリック・ドゥーム2019年作
前作Troll(2016年)の衝撃的なハイクオリティ作品から、3年後にリリースされた本作。
こういうヴィンテージかつストーナー要素を含むサイケドゥーム路線は類似作品が多いから購入の優先順位を下げがち。
米国産というのも優先順位を下げてしまう要因でして、結局今年になってゲットしました。
また、Legend Masterという自己主張強めの、いかにも王道路線の先頭を立っている感が、どうにも購入意欲を削いでいた感じだ。
ゲットして思うのは、そんな偏見を捨てて早くゲットしておくのが正解だったなと。確かにこの盤はレジェンドマスターですわ。
ギターの歪みは中音域以上はオーソドックスだが芯が太い、低音部は他の同路線比較で厚く歪んでいる、にも関わらずクリアに聴こえる。
全体的にオーソドックスな録音かというと決してそうではなく、全体的にやや湿度が高めなのが大きな特徴。
ヴィンテージドゥームロック路線でありながらややスロードゥームに寄っており、仄かなダウナー要素が感じられるところも特徴だ。
ヴォーカルの表情豊かな歌唱も特筆すべき点で、クリーンに歌い上げながらも、オドロオドロしさを兼ね備えるところがイイね。
ファズ系のギターエフェクトは深めにかかっているが、ベースラインが明確に聴こえてくる録音に職人気質を感じるほか
若干スタジオ臭のするドラムのラフな感じと、ヴォーカルやコーラスの残響が森林のような霧が立ち込める大自然にコダマする感じ
この相反する音響が何故かベストマッチしているところがスゴイ。森林崇拝的サウンドがツボなボクには最高の録音状態だ。
職人気質のヴィンテージな感じでありながら、湿り気タップリの幽玄なオドロオドロしさを兼ね備えたサウンドは一聴の価値アリです。
また、ヴォーカルの歌唱にクローズアップされる、演奏が静の部分では、中期Danzigの空気に似たジメジメした感じがあって最高です。


WYTCH HAZEL - IV: Sacrament ★★★ (2023-11-22 18:42:59)

英国産ヴィンテージロック2023年作
II: Sojourn(2018年)にハマって、ナンバリングⅢはあまりに酷似した音楽性のためあまり聴かなかったが
完成度は非常に高いバンド。今にして思えばⅢも最初の敷居をクリアすればハマってたんだろうなとは思う。
3年ぶりの本作は、大きく音楽性に変化はなく、オーソドックスで抜群の安定感を誇るサウンドを聴かせてくれる。
とはいえ唯一無二の音で、初っ端から線の細い重厚なギターが登場し、一発でWytch Hazelの音世界に魅了される。
こういうレトロロック路線はドゥーム路線ほど多くは漁っていないが、ボクにとっては5本の指に入るバンドではある。
他レトロバンドとの違いは、レトロ感を感じさせながらも録音は決してローファイ録音ではなく完璧であるということ。
全ての楽器が最適な残響音でクリアに聴こえてくる。ドラムのエフェクトが若干気にはなるが全くもって許容範囲内。
ロックサウンドの鍵盤楽器はチープになりがちなバンドが多い中、このバンドの鍵盤担当はメロトロンの使い手だけあって
音へのコダワリは感じることはできる。ただ、もっと鍵盤を前面に出すサウンドにすればいいのに、と感じるところもある。
海外レビューは結構多く書かれているようで、後半の楽曲の弱さを指摘する記事は散見されたが、こういうサウンドは
BGMとしてライトに楽しめればボクとしては問題ないので、後半の楽曲云々は全く気にならないね。
今年は濃いドゥーム路線が微妙だが、このバンドやTanithの新作などがリリースされてレトロロック路線は充実してる気がする。
近年はこのテのレトロ路線がジワジワと増殖しつつあって、このバンドあたりが牽引していくんだろうと思わせるものの
Wytch Hazelは既に成熟した感があって、このままの路線だと飽きられそう、という危機感を感じるところも僅かにあるかな。


UMBRA NIHIL - Gnoia ★★★ (2023-11-15 02:17:31)

フィンランド産メランコリックドゥーム2005年作
購入時にレビューしているが、きちんと書き直しておこう。
入手から18年経とうとしているが、未だに聴き続ける神盤ドゥームで、コレを凌ぐ鬱系ドゥームには出会っていない。
録音は薄めで、ヘヴィなドゥームに慣れてしまっていると、ヘヴィさが不足しいるように聴こえるかも知れない。
しかし、ギターのリフ自体は重く歪み、減衰時のノイズや残響音に唯一無二の中毒性がある。このギタリストは天才である。
購入当時のレビューでは「カルトドゥーム」としているが、ジャケの印象と「Gnoia」というスピリチュアルなイメージを想起
させるタイトル、また、このギタリストの別プロジェクトAarni初期作品が描く作風から、確かなカルト臭がする。
しかし、この盤で描かれるのはむしろスピリチュアルなファンタジーの世界だ。それはThe Dreams in the Witch-Houseという
非常に完成度の高い楽曲で体験することができる。
唸るようなヴォイスは、慣れるまで「なんじゃコリャ」と思うかも知れない。当時の海外レヴューは満点に近い評価が多い中
このヴォイスで評価が下がっていた記事も目にした。ボクはこのヴォイスだからこそ、作品のクオリティが底上げされていると思う。
この作品の凄さはなかなか一口で語りつくせないが、まず大きな特徴としては、絶妙なテンポチェンジだ。
リフごとに微妙にテンポチェンジしたり、徐々にテンポアップしたりという工夫が、他のドゥームには無い大きな個性である。
基本的に物静かな、深めの残響音の音空間が広がる音楽性だが、線の細いギターノイズが幾重にも連なったりハウリングノイズが
覆いかぶさる様は、非常にサイケデリックで、その高音部と鈍重な低音部の対比が見事なのである。
もうコレを超えるメランコリックドゥームには生涯出会えないんじゃないか、と思えるくらいの神盤なので、陰鬱ドゥームファンは
必ずゲットしよう。


IRON VOID - IV ★★★ (2023-11-13 20:29:14)

英国産ドゥーム2023年作
個人的に神盤認定している前作「EXCALIBUR」 (2018年)から約5年を経て待ちに待った新作が今年初頭にリリースされた。
前作では、水彩画調の木と剣が描かれるジャケ、エピックファンタジーを前面に出した土着的浪漫を感じさせる音楽性で
ハートを鷲掴みされてしまったが、今作は「Ⅳ」のロゴが描かれるシンプルなジャケで、前々作のヴィンテージドゥーム色に
少し回帰した音楽性になった印象。過去2作品の良いところ取りという感じだ。
前作では、演奏のラフさが程よい味わいになっていて、作品全体に漂う土着要素や物語性を引き立てていたが、今作は演奏の
レベルも上がり、録音状態が向上している分、前作の味わいは若干薄められてしまった。より聴きやすく加工されて
やや型にハマった演奏に聴こえ、特にギターソロ部分が浮き出て聴こえるところなどは、ボクとしては残念に感じる部分である。
それでも、演奏の安定感や貫禄、イーヴルなギターの音像は特筆するところ。また、ギターがユニゾンでWytchHazel的にハモる
ところや、アコギのしっとり感など、聴きどころの多い盤である。
前作はジャケの印象に助けられていた感がある分、世界観がスッと入ってきたが、ヴィンテージ色を強める今作は
一聴しただけではスッと入ってこないかも知れない。もしかしたらこのバンドを追い続けてきたファンにしか楽しめない作品かも
知れないが、この作品には、世に乱立するヴィンテージドゥームサウンドには無いエピックファンタジーの味わいがあるんだよ。


IRON VOID - Doomsday ★★★ (2023-11-13 19:54:50)

英国産ドゥーム2015年作
BlackSabbath初期作品の音像を好む人にはワリとツボなんではないかと感じるオーソドックスなヴィンテージドゥームだ。
厚みのあるギターの単音によるリフがゴリゴリでブラッディな温もりを感じさせる。余計な音が一切無いので聴きやすい反面
このテのバンド自体が数多いので、無個性なヴィンテージサウンドに、何かひとつ物足りない感じも若干ある。
現時点の彼らの4作品のうち、最もヴィンテージ臭が高い作品であり、このジャンルのど真ん中の音楽性だ。
ボクにとってはEXCALIBUR (2018年)が抜きん出た名盤であり、その下地を築いた作品という見方をしているね。
最近は週1回ペースで異常気象のオーロラ観測のニュースを目にするが、このジャケにもオーロラが描かれる。
それで「Doomsday」というタイトルだから、なんだか気持ち悪さがある盤とも言える。


ARSAMES - Immortal Identity ★★ (2023-11-13 05:44:16)

イラン産デスメタル2010年作
買いそびれてデジタル作品としてゲットした作品。昔使っていたPCにデジタル作品を保存してたが、壊れてしまって、今はもうウチには無い。
音楽的にはメロデスや正統派メタルに近い音楽性で、イランというメタル辺境地でも高いクオリティではあったが、そんなにハマらなかった。
イラン政府は悪魔的音楽を演奏するメタルバンドに15年程度の長い懲役刑を課すので、イランメタルバンドはよく亡命する。
悪魔的ミュージシャンと見なされるアーティストや、性的象徴と見られるアイドルなんかは、イスラム圏では偶像崇拝と見なされるんだろう。
こういう作品に触れる時は、その作品自体を楽しむ、というよりは、何故イラン政府は神経質にメタルを嫌悪するのか、ということを考えるべきだ。
先日、イラン首相の妻が「悪魔的存在からの圧力」について、多くの国に書簡を送ったというニュースがあった。このソースは中東のニュースを
翻訳して知ったが、読売だったか、日本のニュース記事でも同じようなモノを見た。たぶん、プロパガンダではない事実なんだろう。
この「悪魔的存在」という言葉、ある程度海外ニュースを精査する人や、戦争の情勢を真面目に見てる人は、「悪魔=ネオコンや武器商人」だと
解釈しているんじゃないかと思うが、8割方それは正解なんでしょうが、ボクは、純粋にシンクタンクの悪魔崇拝者を差しているんだろうな、と考えている。
このままだと、将来的に圧力に屈して核武装してしまうイランが世界の悪者になり、メディアにはプロパガンダが一斉に流されるんだろう。
若い頃は、イスラムのメタル音楽弾圧は、クレイジーだなぁと思っていたが、最近はイラン政府が弾圧する理由がなんとなく理解できるようになった。


Folklore Negro - Al Amparo Del Silencio ★★★ (2023-11-09 00:24:47)

メキシコ産ゴシックメタル2022年作
夏頃にメキシコでメタルCDをワゴンセールレベルの激安叩き売りしてるショップを発見して
地雷臭を感じつつも、近2年くらいのリリースのメキシコメタルをまとめ買いしたんですが、まあ、殆どが地雷(汗)。
そもそもメキシコ発のメタルで当たりを引いたことはほぼ無い。ゴア路線Disgorgeくらいで、まあ聴けた作品は僅かだ。
ドゥーム路線のバンドも僅かにいるが、まあ、一枚落ちると言わざるを得ない。
というワケで、まとめ買いから数か月経つも、その低クオリティな予感から、未だ全てのCDを開封していない・・・(笑)
メキシコ産メタル作品全般に言えるのは、一昔前の楽曲とアレンジ。哀愁を込めるバンドがやたら多いというのも特徴で
一口で言えば、「昭和ムード歌謡メタル」という感じのバンドが乱立している、というのがボクの印象だ。
そんな凡作が多い中、この作品だけが一押しのハイクオリティだった。有名バンドなのかな、と思ってAIに尋ねてみたが
AIも知らん、という感じで、全く的外れな別バンドの説明を始めた(汗)。ライナーやジャケデザインもお金かかって
なさそうで、まあ、無名バンドなんだろう。
バンド名から、ラテン民族音楽が融合されたフォークメタルをイメージしてたんですが、フォルクローレ要素皆無のゴリゴリの
ドゥーム寄りゴシックメタルであることに、まず面食らう。この音楽性で、何故このバンド名?というところでまず変な汗が出る。
コード進行やベースラインは、凡作メキシコメタルあるあるの昭和ムード歌謡要素が、特にベースラインで随所に現れはするものの
楽曲クオリティは相当高い。ワザとらしい進行と旋律はあれど、それが全く気にならなくなるほど楽曲アレンジ力に優れている。
また、上質ゴシックメタルど真ん中の鉄分多めのギターの音像にかなり中毒性がある。
音響と楽曲のクオリティが高いが故に、本来マイナス要素であるムード歌謡的展開がむしろ隠し味に聴こえてくるから不思議だ。
Bandcampで試聴できるから、興味ある人は聴いてみたらいいよ。ゴシックファンには超オススメだ。


CIRITH UNGOL - Dark Parade ★★★ (2023-11-07 00:03:34)

このバンドに心酔しちゃうとカルト集団に入信してしまうのでは?
コレを聴いてしまうと、洗脳されてしまうのでは?
なんてことは99.9%無いと思うので予防線を張る必要もないと思うよ。
ただ、ボクはカルトバンドにしか見えないw

まーたKamikoがマニアックな変なコト書いてる・・と健全なリスナーにバッシングされるかもだが(汗)。
まあ、作品鑑賞のスタンスや見方、思想の持ち方こそ自由ですので
健全なリスナーは「変な人」の戯言と思ってスルーして下さい。

昨今、神秘化された魔法や悪魔的要素を含む、音楽・映画・ゲームが随分幅をきかせていることに気持ち悪さを
ボクは感じている。こういうネタは、健全なサブカルチャーが多い中で、隠れて楽しむモノであるべきで、昔はそうだった。
昔はそのテのサブカルチャーは一部のマニアにウケて、稀に、まさに「カルト化」した人気を博すワケです。
ただ、近年はそういう一部のマニア向けということはなくなり、悪魔崇拝といった悪習が大衆化しているなと。
その筆頭は、トールキンの『指輪物語』の焼き直し『ロードオブザリング』だなぁと思っている。
トールキンの死後、この指輪物語から、映画や小説『ロードオブザリング』ブームが巻き起こるワケですが
ワリと「魔法」と「悪魔」にクローズアップされた描き方がされているというのがボクの感想で
更に、後期作品は徐々に「陰鬱」な雰囲気が全面に出てきたな、と思っている。
悪魔を祓うという正義の物語であっても、その演出から、悪魔崇拝に神秘性を感じ魅了された人は多いワケです。
まず、この現象をどう思うか、コレをサブカルチャーによる洗脳・扇動だと思うか思わないか、です。
また、現実に悪魔崇拝というカルトが存在して、暗躍しているということを信じるか、信じないか、です。
実際にロードオブザリングに対しては、宗教論争や批判が起こっている。

このバンドと全く関係ない、と思われるかもしれないが、Cirith Ungolが描く世界観は、トールキンの作品からの
引用が多い。また、このバンド名は、トールキンの小説に出てくるキリス・ウンゴル峠から貰っている。
恐らくバンドメンバーたちは純粋にトールキンのファンであって、そのファンタジーを題材にしているんでしょうが
トールキン死後、そのSFファンタジーが悪魔崇拝文化普及に改編されて広められた感をボクは感じている以上
この題材だと、カルト臭を感じてしまうワケです。

また、普段ダークサイド音楽を蒐集している立場から言わせてもらうと、「ロック音楽という視点」に限れば
悪魔崇拝の発信拠点ルーツは英国であり、第2に米国(ワシントン)
次いでフィンランド以北、スラブ地域のような寒冷地、ある時期から突然増えたオーストラリアetc・・・。
ジャケフェチの立場から書かせてもらえば、初期作品から今作までデザインを手掛けるアーティストの
出身と「受賞歴」なんかを知っていると、(この人自身が悪いと言っているのではない)
このバンドの背後の人間関係には、そういう悪魔崇拝信者がいるのかも、という疑惑は拭えない。
ここらへんの屁理屈は、どうにも一口では言い表せない。

まあ、大衆化した映画のような威力があるとは思えないので、別に普通に楽しめばいい盤です。


MONASTERIUM - Cold Are the Graves ★★★ (2023-11-05 06:15:16)

ポーランド産ドゥームメタル2022年作
ドゥーム寄りの正統派で飾りの少ない音楽性、前作から大きく音楽性は変化していないが、何故か魅力タップリなサウンド。
ヴィブラートを利かせたクリーンな声で歌い上げる、CandlemassのMessiah Marcolinを彷彿させるヴォーカルが魅力だ。
Solitude Aeturnus路線を真面目にやっているバンドも年々少なくなっていると感じるので、このバンドの存在は結構貴重だ。
とはいっても、ドラムの手数が少な目でSolitude Aeturnusよりもヘヴィさ控えめ、雰囲気はSanctuaryのInto the Mirror Blackに近いかも。
海外の反応は微妙な感じで、高評価ではなさそうだ。新時代要素皆無の化石ミドルテンポメタルは今の時代ではウケない、ということか。
ギターの音像もオーソドックス、速弾きは無い、ヘヴィさもそこそこ、特に際立った個性は無く従来メタルバンドあるあるの再現とも言えるが
何故かこのバンドのサウンドはボクのツボをものすごーく刺激する。全体的に90年代ミドルテンポメタルの雰囲気があるからだろう。
際立ったキラーチューンのない佳作揃いな盤だが、過剰演出がない頑固な生真面目なリフと、時折挿入されるアコギの仄かな哀愁で
曲が構成されており、激しさが希薄で地味な音楽性がむしろインテリジェンス。没入度は高めだ。
普段は毒気の多い音楽を多く聴くものの、実はこういう地味目なミドルテンポな過剰演出のないメタルの方が賞味期限が長いんだよ。


KHANATE - To Be Cruel ★★★ (2023-11-04 20:39:32)

米産アンビエント・ドローン2023年作
解散後、忘れた頃に「遺作」として登場した前作から、更に10年以上経った今、突然リリースされたこの作品。
もはや活動終了したんだろうと思っていたが、地道に活動していたのか、再結成なのか・・・。
ヘヴィさ、というよりは、音響と作風から感じられる圧迫感の強さという点では、ずば抜けたヘヴィさを誇るバンド。
To Be Cruelというアルバムタイトルが示すように、絶叫とタメを利かせた音圧のコラボは、凄惨な残虐性が色濃い。
今作でやっていることは、過去作品の類似作品、延長上の音楽であり、過去作を堪能した人にとっては一聴しただけでは
目新しさはさほど感じない内容だろうと思うが、アンビエントかつ超スローという音楽性で緊張を維持し続ける工夫は
随分とレベルアップした、と感じさせる。そもそも圧の高いアンビエントドローン的ドゥーム作品自体が稀少なワケでして
そっち方面のマニアックなファンは、必ずゲットしなければいけない盤だ。
KHANATEの持ち味は、歪んだ図太い重低音ベース&破壊力抜群のギター&じっくり力を溜めたドラム、この三者の同時ストローク
により、巨大な重量級の石で圧し潰されるような感覚に陥るところと、石を落とされるまでの無音・タメ部分のヒリヒリとした
緊張感である。また、そもそも即興演奏ではないだろうが、コード進行やハーモニーが全く排除された感じから、まるで
即興的にやっているように聴こえるところも魅力のひとつだ。
大作主義でありながら、没入度は高い。その上、昔、KHANATEにハマった時期のノスタルジーが蘇る。このバンド登場時期は
重量感は圧倒的にナンバーワンで、ボクにとってはレジェンドなバンドである。前作(遺作)から再び息を吹き返して帰ってきた。
当時ココの掲示板で語り合った人たちは今もココを見てるのかな。コレは「必聴盤」だぞ。


PROFANATICA - Crux Simplex - Cunts of Jerusalem ★★★ (2023-11-04 19:39:45)

聖地エルサレムを侮辱する内容の歌詞は、信者にとっては相当に不快感だろうなぁと思う1曲。
昨今の戦争騒ぎに、宗教戦争と悪魔崇拝が絡む側面があるとボクは思っている。
英米産(コレは米)で、敢えてこの時期にこの曲を爆弾投下するんだから、本人たちが否定したとしても
まあネオナチ疑惑は消えないな。


PROFANATICA - Rotting Incarnation of God - Broken Jew ★★★ (2023-11-04 19:30:47)

他宗教を否定するブラスフェミックメタルと称しつつも、こういう曲を書いてしまうんだから
当人たちが否定したとしても、ユダヤ人やキリスト教への侮辱や敵意が感じられ
ネオナチ疑惑は消えることはない。ただ、よくある悪魔崇拝ブラックで散見される
特定の悪魔を示す象徴も全く描かれない。


PROFANATICA - Crux Simplex - Compelled by Romans ★★★ (2023-11-04 19:17:04)

ギターは、中高音域のメタリックな音像が決してドゥーム向けではないにも関わらず
超スローパートでは、非常にドゥーミーなドロリとした感触を楽しむことができる。


PROFANATICA - Crux Simplex ★★★ (2023-11-04 19:08:19)

米国産ブラック2023年作
危険思想を含む真性ブラックで、相変わらず普通に買うことができる盤。
このテの危険思想をファッションとして掲げて活動するブラックメタルは結構多いが、活動当初から一貫した
思想を基に創作し、全くコマーシャルな妥協が感じられない、本気度の高いバンドは数少ないと感じられる。
活動初期にIncantationから思想的理由で分裂し、伝統的コープスペイントを施し、活動初期からの本気度の高さを
未だ堅持し続ける古参バンドとしては、彼らが筆頭。アングラ帝王の古巣Incantation比較も、もう意味を持たない。
Profanaticaのレビューを書く度に書いている気はしないでもないが、デス・ブラックメタルの音響的クオリティを追求した
Incantationに対して、背徳・危険思想という精神性から見た存在感は、はるかにProfanaticaの方が上なのだ。
そういう核が存在するが故に、単調で無骨な、粗暴な演奏がむしろ、不穏な危険性を孕んだ音に感じられるのです。
音響的な持ち味は、Paul Ledneyの単調なスネアビート、獣のようなヴォーカルの存在感で圧倒されるところだ。
近作は同じような世界観と音楽性で、延長上にある焼き直し感があるにも関わらず、その存在感が圧巻過ぎて脱帽という感じ。
Compelled by Romans、Wipe the Fucking Face of Jesus、Cunts of Jerusalemという曲から、彼らがどの立ち位置に
いる集団なのか窺える。また、悪魔崇拝をテーマとする楽曲が登場しないところは、自身を尊大に崇拝していると
一応の解釈はしている。多くの崇拝系ブラックがルシファーやリリスなどのサタニズムに傾倒しているが、
また、ごく一部ではヤハウェを悪魔的象徴に見立てた冒涜的な作品なんかもあると思うが、他宗教の冒涜に徹し
一体何を崇拝しているのかわからないミステリアスさも、作品の魅力を底上げしている。


GAME OVER - Hellframes ★★★ (2023-11-02 20:25:54)

イタリア産スラッシュ寄りHM2023年作
Burst Into the Quiet(2014年)の直球スラッシュは結構ツボにハマり、続く作品には結構期待したものだが
結局前2作品は佳作といった感じで、ツボにハマらず。スラッシュフリーク世代がスラッシュ愛で創作してる感はあるので
推したい気持ちはあるものの、その思いとは裏腹に、応援に留まり、結局作品をゲットもせず静観、という感じだった。
このジャンルが今の若い世代に新たなムーブメントを起こすほど人気を博すことは、メタル自体衰退してる今、まあ、あり得ない。
彼らより上の世代向けの、スラッシュ全盛期時代を経験した、ボクら世代が最大のターゲットになるんだろうが、
その世代で敢えてスラッシュメタルの盤に手を出そうという者も決して多くはないし、単にノスタルジックなサウンドだと、
耳の肥えた高齢者は納得しない上、若さと勢いの爆発力を前面に出したサウンドというのも、ボクのような高齢者には向かず、
少なからず音楽にインテリジェンスを求めてしまう。
現にスラッシュというジャンルで頑張っているアーティストを、普段どれだけチェックし続けてるだろうと考えてみても、圧倒的に
刺激の強いデスメタルバンドの方が多いワケでして、なかなか、「今日はスラッシュの隠れた名盤を探そう!」という気持ちにはならんのですよ。
スラッシュでチェックし続けるバンドの多くは全盛期時代に名を売った古参バンドが殆どで、全盛期を過ぎた次世代に登場した
若手バンド(そのバンドも年を重ねて10~20年選手になってきたが)は、スウェーデン産WarfectとこのGameOverくらいになったな。
ただ、このバンドも直球勝負の一本調子スラッシュからは脱却し、どちらかというとスラッシュ色の強い正統派ヘヴィメタルという
感じに変貌してきている。コテコテのスラッシュファンであれば、最大の売りだった突進力が薄れてしまった、と嘆くかも知れないが
ボクは、前2作品の佳作で模索し続けた音楽が、徐々に完成しつつある、と受け止めている。
ココのレビューで突進型スラッシュの良作として個人的に推しているBurst Into the Quiet(2014年)の作風からは、やや様変わりはしているが
純粋に生真面目なヘヴィメタルとして完成度が高く、B級感が全く無くなった。発売日にゲットして約2週間くらいになると思うが
当初はすぐ飽きるかな・・と思っていたが、そんなことはなく、1日1回朝のGameOverがちょっと習慣づいてきた。
スラッシュの爆発力、アコースティックな哀愁、前衛路線に走らないドラマチックさといった80~90年代ノスタルジー要素をバランス良く
配合した正統派パワーメタル・ヘヴィメタル、といった音楽性が、かなーりツボを刺激し、普段聴いているデスメタルの「死」「悪魔」的な
負の要素が全く感じられない健全なサウンドが、朝イチの目覚ましサウンドにバッチリとハマる。
いかにもB級に見える、あまり褒める要素を感じないジャケで、日本人だとなかなかコレをゲットしようと思わないんじゃなかろうかと感じるが
そういうパッケージに隠れた名作、というシチュエーションは、ボク的には面白いな、と思うのだ。年配メタラーは是非一聴してみて欲しいな。


MURKRAT - Drudging the Mire ★★★ (2023-10-31 20:13:07)

オーストラリア産ドゥームメタル2011年作
一応ドゥームメタルとしたが、メタル要素が控えめになり、オルガンドゥーム色を前面に出した作品だ。
前作ほどイタいジャケではないが、まあ、子どものような物体が描かれるジャケからは不穏な空気が。
メタルサウンドとしてはオススメできないが、底辺のドゥームを求める人には、まあオススメできる。
世界への絶望と、鬱々とした内省的なコンセプト、そこに子どもの誕生が絡んでくる世界観は相当イタイ。
フェミニズムと人類への憎悪を感じるこの生理的気持ち悪さが、この作品の唯一性でして
ドゥームというジャンルの作品の中では、群を抜いてドゥーム度が高い真性さを帯びた作品なのだ。
この世界観に没頭できる人にとっては、この盤は神盤になるだろうし、生理的に拒絶感を感じる人は
ゴミ以下の、音楽自体を冒涜していると感じてもおかしくない最低の盤、という評価になりそうだ。
ボクは結構この盤は購入当時は聴いたが、好きかと言われると結構微妙。
オルガンを前面に出し、終始スローな展開。ワリと苦行ドゥームフリーク向け。
ただ、急展開する箇所が僅かにあり、そこが聴きどころでして、静から豹変するような女声ヴォーカルに狂気が感じられる。
思想的に良い悪いは別にして、世界観の唯一性というレア度の高さと、このテの思想家が何を思っているのかの資料
としての興味、という点で一応★3という評価にしてみた。


ORPHANED LAND - Unsung Prophets & Dead Messiahs - The Manifest – Epilogue (2023-10-29 19:45:36)

ユダヤ教の教えからピルケーアボート「先祖たちの言葉」に絡めて
朗読調のメッセージが込められる曲。
ザックリ言えば、与えられた仕事に真剣に取り組み、神に感謝せよ。
ということなんだろう。
グローバルな国民的バンドに成長した彼らのメッセージはこういう内容。
次のアルバムで何のメッセージを込めてくるのか、興味があるね。
ただここまでイデオロギー的にも政治的にも濃い内容だと、純粋にエンタメとして楽しめないな。


ORPHANED LAND - Unsung Prophets & Dead Messiahs - All Knowing Eye (2023-10-29 19:32:40)

人間の無知や偽善を批判する内容のメッセージが込められる曲だが
曲のタイトルから、いいようにも悪いようにも解釈できてしまう曲。


ORPHANED LAND - Unsung Prophets & Dead Messiahs - The Cave ★★ (2023-10-29 19:24:31)

プラトンの『国家』第7巻にある洞窟を比喩的に引用していると思われる。
実際に起こっている事象は、洞窟のような閉じた空間では実体を誤認してしまう的な感じ。
それで、後の曲のIn Propagandaあたりに関連してくるんだろう。
今の情勢では、まあ、この曲で描かれるメッセージは妥当なんだろう。
『国家』では哲学者の統治者と、イデア論(神の存在)を提唱しているから、まあ
男性が国の教義を生涯勉強し、女性が労働するイスラエルの超正統派の社会性にビンゴという感想を持つが
敢えて西洋哲学者を持ち出すところは、なんだか違和感を感じるところがあるな。


ORPHANED LAND - Unsung Prophets & Dead Messiahs ★★ (2023-10-29 19:07:27)

一応購入当時に「前作あたりから路線がヤバい」とほのめかしつつレビューしてるんだなw
ジャケットにはプロビデンスの目、それをぶん殴るかのような拳が描かれ、銃社会批判を思わせるイラスト。
ノーベル平和賞にどうだろう、みたいな声も上がったという、初期のポンコツバンドから一気に国民的バンドに
成長した感のあるバンドだ。
戦地出身ミュージシャンが民放放送で紹介されたり、今年行ったウクライナピアニストのコンサートなどで思うのは、
ミュージシャンの本意とは裏腹に「ウクライナ可哀そうプロパガンダ」に利用されているなぁ。。。ということ。
イスラエルも戦争が始まったので、一応この盤を引っ張り出して、この盤が何なのかはちょっと調べておこうかなと。
まあ、購入当時ジャケを見た瞬間に、一歩引いてしまうところがあったのは、冒頭に書いたプロビデンスの目が要因にあるが
それをぶん殴る形で描かれた拳は、見ようによっては、ネオコン勢力を叩こうという平和主義風にも見える。
それできっとこの盤が支持されているんじゃないかとは感じるところがある。
ボクはこの拳自体が別の秘密結社ロゴに見えるし、描かれる拳銃の銃口がこちらを向いているワケでして
まあ、結局疑惑を持ったまま、なんだか気持ちが悪い盤だな、という風に思うんだよ。
リリース当初は結構評価が賛否両論だった、と記憶してるんだが、今ではどこも高評価。うーん、記憶違いだろうか。


SAOR - Origins - Call of the Carnyx ★★★ (2023-10-26 00:01:46)

CARNYX(カーニクス)は、ケルト人が使っていた動物の角なんかが施された金管楽器。
この曲は、まるで霧深い森で遠方からカーニクスが響き渡るような感じがとても神秘的。
戦闘前にカーニクスが響き渡り、それに応えて戦闘態勢に入る、といった世界観だろうと思う。
凄く印象に残りやすい土着音楽定番ともいえるクサいリフから始まり、ケルトファンタジーがスタート。
こういう曲を1曲目に持ってきて惹きつけるところとか、ホント上手いな、と思うね。


SAOR - Origins ★★★ (2023-10-25 23:47:00)

英国産ブラックメタル2022年作
ペイガニズム寄りの浪漫溢れる土着カレドニアメタルで、リリース毎にゲットするのが仕事になってきた。
ペイガンブラックではもはや教科書バンドで、適度なクサさのある旋律、過剰演出のない安定感が最高だ。
多くのブラックメタルが「悪魔」や「鬱」的な路線にシフトしているのに対し、このバンドはそういうところが無い。
ペイガンメタルというジャンルだから、一応背後には領土侵略のようなテーマが見え隠れするんでしょうが
カレドニアのケルト文化に焦点を当て、その文化や土地を愛する空気が伝わってくるところがこのバンドの良いところだ。
従来作品と何が違うのか、と言われると困るくらい、ずっと延長上のサウンドを追求しているが、作品毎に
完成度が底上げされている感はあり、特に録音状態と残響音はリリースの度にレベルアップしてる気がする。
ジャケやインナーのイラストは神秘的で、ケルト文化なのかどうかはわからないが、古代絵のような感じが魅力的だ。


BLACK SABBATH - 13 - Age of Reason (2023-10-23 03:58:48)

購入当時はまあ、あまり深く気にせずに楽しんでましたが、まあ気持ち悪いな・・とは思っていたんですが・・。
Zeitgeist(時代精神)から続くこのAge of Reasonという曲は、うーん、やっぱりかなり違和感がある。
Age of Reasonは、理神論者で政治活動家のトマスペインが書いた著書、でして、別に熟読したワケではないんですが
ザックリ言えば、神の存在を肯定しつつ、その存在に囚われず経済活動してもええですよ、という合理主義的な理屈。
随分昔に学んだ哲学や社会学ですから、かなりアヤシイですが、相反する両者を合理的理由付けで両方認めてしまおうという
ヘーゲルの弁証法的な屁理屈、とボクは解釈してるんですが・・そもそもその考えは後のマルクスやエンゲルスに繋がる思想だったハズ。
このテのマニアックな反社哲学がシレッと曲タイトルになっていると、エンターテイメントの枠を超えてしまってなんか気持ちが悪いんだよな。
そういえば夏頃に〇〇の羊とかいうTV番組で弁証法があたかも素晴らしい哲学として紹介されてたから、母親にそんな番組見るな
と言ったんだが・・。最近はクイズ番組の問題や解答なんかにも違和感を感じることがあるし、哲学や社会学に疎い日本人に
共産主義思想を刷り込んでいる感が、なんだか気持ち悪い、ということがホント増えてきた。
ちょっと脱線したが、こういう曲があると、メディアやサブカルチャーに暗示が含まれてる、というのはまんざら都市伝説とも言い切れないと
思ってしまうんだよね。
それを踏まえてサバスのSabotageあたりからBorn Againあたりまでを振り返ってみると結構興味深いよ。


MEGADETH - United Abominations - Washington Is Next! (2023-10-23 03:04:07)

アメリカ政府の腐敗、自分自身を悪の王に例えて「ワシントンが次は狙われる!」と歌っている。
人々を貧しく愚かに保ちつつ、家族や教会を攻撃して新世界秩序を推進する、といった内容を
古代エジプトやローマ帝国の暗喩を用いて歌詞が作られているようだ。
実際にワシントンのグローバルエリートが失脚するんじゃないか、と思っているボクとしては
こういうネタはエンターテイメントの枠を超えてしまってる感があって、ボク的には生理的に受け付けないんだよ。
このへんからMegadethはおかしくなったよね・・。


MURKRAT - Murkrat ★★★ (2023-10-20 11:21:49)

オーストラリア産ドゥームメタル2008年作
Mandy Andersen含む2人の女性メンバーによるドゥーム作品だが・・・保有するドゥームの中でもかなり濃い強烈な作品。
3曲のドゥーム曲に加え、Murky Ratmass(2007年)のデモ5曲が収録されている。
モノクロジャケではお手伝いさんのような女性が剃刀を振り上げ、ベッドに押さえつけている赤ちゃんの耳から出血している。
床にはネズミが6匹ほど描かれている。かなーりイタイ醜悪な世界観をお持ちである。赤ちゃんにオイタをするジャケだけならまだしも
(いや・・充分ヒドいが)インナーのイラストは更に醜悪で完全にイってしまわれている。
この人自身がフェミニストであると公言している記事を随分昔に読んだことがあるが、現在でも閲覧できる動画からはむしろ
ミサンドリーあるいは極度なミサントロープと言われても仕方がない程の、強い負の感情が伝わってくる。
同郷ドゥームバンドThe Slow Deathにも参加している。こちらもワリと底辺な世界観のバンドだが、Murkratの方が輪をかけて底辺。
また、詳細は書かないが、独特な政治信条をどうやらお持ちのようなので、それが色濃く作品に反映されているなぁと感じる。
その上、アンチクライスト・既存宗教へ冒涜的なオーラも漂うので、ものすごーく背徳的な危険臭がする作品だ。
メインヴォーカル、ギター、鍵盤もイケるマルチプレイヤーで、特に歌はドゥームでは珍しくかなりウマい女声ヴォーカルである。
しかし、何故か、よくある魔女ドゥームの雰囲気は微塵も感じられず、内省的で、絶望的で、とても後ろ向きなオーラが漂っている。
ギターの音に中毒性があり、演奏はウマいので、音響的なところではドゥームファンから一定の支持を集めていたと思うが
一般的には結構な酷評を受けていた印象。まあ、毒の強い世界観が原因で、気軽に楽しめる雰囲気が全く無いからだろうね。
この世界観はDiamandaGalasの描くダークサイドなパフォーマンスがとても近い位置にあると、ボク的には感じるところが多々ある。
とにかく真性で底辺を感じたい人にはお勧めですが、ちょっと毒の強い上級者向けです。ただ、この人の描く世界観を無視
できるリスナーであれば、普通に渋いドゥームメタルとして楽しめるかも知れない。
バンド活動始動が高校時代らしいので、計算するとたぶんこの作品が発表された時にはMandyは20代後半じゃないかと思う。
もっと明るく健全な20代を過ごせばいいのに・・と思う。
また、中東が混乱してきてる今の社会情勢にバッチリとハマるBGMがコレで、そのテの報道を観るとこのバンドが頭をよぎります。


ECTOPLASMA - Inferna Kabbalah - God is Dead, Satan Lives (Rosemary's Baby) ★★★ (2023-10-14 01:17:26)

神は死に、サタンが生まれる。カッコ、ローズマリーの赤ちゃんwという曲。
まあボクくらいの年配者でダークサイド派なら、アイラレヴィンのローズマリーの赤ちゃんはホラーストーリーでは定番だろう。
今更、堂々と、ホラー界では散々使い古されたであろう題材の曲を1曲目に持ってくる潔さとセンスは、むしろ
オールドスクールデスファンのツボを刺激するんじゃなかろうか。
何故だろう、今年は上質デスメタルを結構手に入れたというのに、この夏にコレをゲットして以降、デスメタルはこの盤ばかり聴いてるな。
B級ズトボコ古学校死ファンは絶対手にすべき盤であることは間違いない。


DARK FOREST - Ridge & Furrow - Under the Greenwood Tree ★★★ (2023-10-13 22:12:19)

このアルバムの最後の曲。
ややクサめのリフの旋律や、サビの盛り上げ方から、最も彼ら「らしさ」を感じることができる曲だ。
定番のコード進行をするいわゆる佳作の曲が多い分、心に残る際立った1曲、というのはなかなかないんですが
何故だろう、通して聴くとこの最後の曲の盛り上がりがとても劇的に聴こえ、EPの尺が短いながらも大河ドラマ1本見たかのような
充実感を味わうことができるんだよ。


DARK FOREST - Ridge & Furrow - Ridge & Furrow ★★★ (2023-10-13 22:01:30)

Ridge & Furrowとは、どうやら田畑の畝と溝の模様を意味するようだ。
そういう風景を心に思い描きながら楽しむのがいい鑑賞方法だろうね。
アルバムタイトル曲だけあって、ドラマチックで聴きごたえがあり、壮大な自然を感じることができる。


DARK FOREST - Ridge & Furrow - The Golden Acre ★★★ (2023-10-13 21:55:25)

この曲のタイトルから察するに、豊穣を祝う内容の曲なんだろう。
ギターとヴォーカルが織りなすハーモニーが、そういうお祝い的な雰囲気を醸し出しててグッドだ。
美味しいお米が食べたくなるね。


DARK FOREST - Ridge & Furrow - Skylark ★★★ (2023-10-13 21:50:25)

アルバム1曲目を飾るに相応しいキャッチーなキラーチューン。
空をヒバリが舞う姿を想像しつつ、その躍動感を楽しむ曲だ。カッコいいね。


DARK FOREST - Ridge & Furrow ★★★ (2023-10-13 21:36:59)

英国産正統派メタル2022年
種苗法改悪や種子バンク廃止を、農業従事者以外の国民にはほぼ知られないままシレっと国主導で推し進められた日本とは違い
ハンガリーやスロバキアやポーランドは国内農業を守ろうとEU連合の圧力と戦っているな・・・という風に一応解釈している。
オランダやニュージーランドの農業は脱二酸化炭素うんぬんの屁理屈で随分と追い込まれてしまったが・・・
今週末はポーランドで選挙があると思うので、ボク的には結構注目している・・・
まあボクは農業従事者でも酪農家でもないので、全く論点がズレてるということもあるかもですが、まあボク的解釈です。
農業ネタを一応書きましたが、他国のここらへんの話の詳細はYoutube動画でもあまり出てこず、現地記事を翻訳しないと
なかなか精度の高い情報は入ってこない。
・・・とまあ、メタルレビューじゃないじゃん!と言われそうだが、割と目前に食糧危機が迫ってきたのかなあと感じつつ
大量の備蓄品を既に購入しているにもかかわらず、新たな玄米を追加購入しとこうか・・と先日Amazonで玄米を検索していたが
結局購入したのがこのCDだったというw
というのも、農業問題を思う時に思い浮かぶバンドというのが幾つかありまして、真っ先に思い浮かぶサウンドがこのバンドなんですよ。
前作同様、音響的にはNWOBHMを彷彿させ、メロスピと言ってもいいほどピロピロとギターを鳴らし、佳作揃いの楽曲。
本来であればピロピロ系はボクの毛嫌いするジャンルではあるんですが、このバンドの音は全く持って問題なく受け入れることができる。
バンド名に「Dark」というワードがありながら、そのコンセプトはダークサイドではなく、とても前向きな彼ら。
むしろ、恵みの太陽との対比で、暗い森、というバンド名かな、という印象をボクは持っている。
彼らのサウンドからは、大自然の活力、農作物の実りといった生命力が感じられるところが唯一無二の個性であり、また
彼らの公開するYouTube動画からは、バンドメンバーが仲良しで、各々の持てる力を発揮しつつ1つの作品を創造している感が
伝わってくるところがボクのツボにハマるんですよ。
変に凝ったコードワークは使用せず、ストレートで分かりやすいメジャーコード主体のコードワークがむしろ魅力的で
ライトに楽しめて、何も食べていないのに、なんとなく栄養補給できてしまった感を体現できる、元気が湧いてくるサウンドです。
ダークサイド派のボクが言うのもなんですが、液体が流れるかのようなバンドロゴや禍々しいジャケが蔓延するメタル界では珍しく、
負の要素を感じないコミカルさと大自然のファンタジーを感じられるジャケは100点満点です。
5曲入りのEPで若干物足りなさはあり、早くフルレングスアルバムを出して欲しいなと思っているね。


ASYSTOLE - Siren to Blight ★★★ (2023-10-09 03:58:10)

米国産デスメタル2023年作
北欧情緒を求めて、チョイスする時に米国産は後回しにする傾向にあるものの、ポテンシャルの高さから結局米国産を買ってしまう。
楽曲、暴虐性、演奏力では、やっぱり米国産が一枚上だな、と感じさせるこの作品、オールドファンでも納得の作風でありながら
B級感は全くない。有名バンドに匹敵する、というよりもそれを凌ぐバンドとも言える。今年のゲットの作品中、屈指の完成度だ。
ドラムの手数・バリエーションの多彩さ、変拍子フェチの心を鷲掴みする楽曲構成、不協和音を織り交ぜるハイテクギター。
ただ、ゲットして気付くのもなんですが(というかゲットしないと気づかない)、歌詞カードにはコンパスと定規のロゴが。
ナルホド・・そっち方面の作品をまたゲットしてしまったか。まあ、ダークサイドの音楽を漁っていると知らず知らずにそのテの作品を
ゲットしてしまいます。最近はそういう作品は資料として持っておこうと思って、むしろ重要作品は買えなくなる前にゲットしている。
このテの作品は、アルバムや曲のタイトル、歌詞内容がワリと重要で、シオニストがどういう世界を目指そうとしているのかを
垣間見ることができる。まあ、アルバムタイトルを日本語訳すれば、疫病へのサイレンですから・・。
デジタル化で恐らく多くのメタルリスナーがCDの現物を買う行為をやめてしまっている気がしないでもないが
こういう作品があるから現物をゲットして、作品に含まれる思想、それをリリースするレーベル、アーティストの出自などなど調べたいんだよね。
まあ・・・なんにしても最近はホントこのテの作品に多く巡り合うな。特に米国産。まあ、サウンド自体は鉄板デスメタルですよ。


CADAVER - The Age of the Offended ★★ (2023-10-09 02:43:40)

ノルウェー産デスメタル2023年作
なんだか様変わりしたな・・と思ってましたが、同郷TNTのギタリスト加入が原因ですか。このギターは誰だっけと思ってたが。
元々、真性で危険な感じこそしない反面、暴虐性がウリ(にしようとしてそうでもなかった)のバンド。
バンド名すら忘れそうになった頃に突如リリースされた前作EDDER & BILE (2020年)で、適度なゴア要素と暴虐性を備えた鉄板B級デスに。
オールドスタイルを残しつつ、ブラストを交えつつもシンプルな突進B級ズトボコ感、コレがこのバンドの大きな魅力だ・・・が
随分とカジュアル化した印象、TNTらしさが加わったかというと、ボクの印象では、アクの強いギタリストが加わった(笑)という感じ。
そもそも昔はダブルベースを取り入れたり、何か他のデスメタルとの差異化をしたい意思が割と強く感じられるバンドでもあるので
飛び道具のようなギターがやりたい放題やってる、オールドスタイルからなんでもアリのカジュアル化はワリと納得な感じです。
硬めの音質で演奏されるリズム隊の無骨なズトボコ感は、最低限残されているが、コレは維持していって欲しいな。
ギターが目立つ分、リズム隊の魅力が全面に出た前作の方がボクの好みではある。
しかし、やりたい放題楽しくやってる感が伝わってくる今作は、コレはコレでアリかなと。


TAAKE - Et hav av avstand ★★★ (2023-09-06 19:25:10)

ノルウェー産ブラック2023年作
初期作品を購入した頃は、単にコレクションしているだけ、という感じだったこの人だが
佳作揃いの印象の前作KONG VINTER (2017年)が妙にボクの感性に刺さり、結局ノルウェイジャンブラックはこの人くらいしか
最近はフェイバリットアーティストではない感じです。作品内容の真性さやホンモノ感では他の未知のバンドの方が面白いと
思うんですが、この人の作品には惹きつけられる何かがあります。
本来このジャンルに求める狂気、背徳的な空気、宗教への冒涜や、悪魔や自身への崇拝をはじめとした尊大な感じが
この人の作品からは感じられず、寒冷地の情緒くらいしか感じられない。そういうライトなカジュアルな感じがむしろ
今のボクの感性にフィットするのかもしれない。際立ってスゴイ曲と感じるほどではない佳作揃いな印象は前作同様だが
何故か繰り返し聴きたくなる魔力を含んでいるところが面白い。そんな感じなのでまあ、ある程度楽しんだら聴かなくなるだろうと
前作購入時には思っていたが、結局長く愛聴する盤になっているし、今作もなんやかんやで聴き続けそうな気がしている。
こういう盤は本来、陰鬱な引き籠りブラックなんでしょうが、ライブ映像などを動画鑑賞していると、この人からは
そういう暗さが感じられないのがいい。ノルウェイジャンブラックの音響でカジュアルロックを楽しんでいる感覚になれる。
この盤も日本では手に入れるのが困難、とまではいかないが、通常日本に出回っている盤よりは高額。ボクは4000円くらいだったかね。
空輸代や物価の問題なんでしょうが、音楽収集に余計なお金が日々上乗せされていることを感じさせる今日この頃です。


KING CRIMSON - In the Court of the Crimson King - 21st Century Schizoid Man (including Mirrors) (2023-08-30 21:41:40)

こういう音楽はコッソリと楽しむからいいんであってね。
ゴールデンタイムの真面目な情報番組のオープニング曲に採用するのはちょっと違う。
まあ単に番組制作者の趣味かも知れませんがね。
こういう暗示が近年どんどん増えていることにちょっと気を配るべきだよ。
今日は母親に、そんな番組見ちゃダメだよ、と言ったんだけどね・・。


WILT - Huginn ★★★ (2023-08-30 00:40:20)

カナダ産ブラックメタル2023年作
音源自体は2022年にテストリリースのような形で世に出ているみたいだが、まあ今年の作品。
自然崇拝に寄ったアトモスフィアブラックが定期的に聴きたくなる性癖が発動しまして、いくつかチョイスしたうちの1枚。
ドイツのVendetta Recordsがリリースするブラックを一通り聴いた中で、一際輝いていたバンドがコレだ。
鳥が描かれるジャケに対しては、殊更愛着が沸いてしまい、中身がどうであれ買ってしまう衝動に駆られるんですが
近年出会った鳥ジャケの中ではかなりイイ感じだ。油絵調の質感でカラスのシルエットの中に滝が描かれるジャケにまず惹かれる。
サウンドクオリティも悪くない。激しすぎず、適度にカスカスの粉っぽいギターとオーソドックスなガナリ声ヴォーカルだ。
濃霧ではなく、適度な湿り気で、ジャケにある山林の滝の情景にジャストフィットした自然崇拝ブラックに酔いしれることができる。
このテのブラックをやってるバンドも物凄い数いるから、適当にゲットしてもまあそこそこ楽しめたりはするんですが
適度なギターの歪みで、ボク好みの湿度で、あまり凄みを利かせないガナリ声で、ドラムがあまり煩わしくなく・・・
といった感じで注文をつけていくと、なかなかストライクゾーンを捉える作品というものに巡り合わないんですが
コレはほぼストライクゾーンを捉えている上、ジャケがイイというお宝作品。ただ、残念なのは、収録時間が25分、3曲という
若干ボリュームに欠けるところだ。送料込みで3000円超えたし・・・まあ、それだけの価値は充分にあるんだけどね。
ほぼストライクゾーンと書いたが、概ね許容範囲ながら若干気になったのは、ヴォーカルの熱量が若干好みよりも高めなところと
バスドラがほんの少しだけ音量が大きいかな。繰り返し聴いていたら耳に馴染んで殆ど気にならなくなった・・という程度。
演奏や曲構成が特別凄いかというと決してそうではなく、巷に溢れかえる無名ブラックのひとつに過ぎないといったレベルだと思うが
まあ、ジャケを含めボクの好みにバッチリとハマる珍しいパターンのバンド、ということだ。
ボクの超お気に入りバンド露Янтарные Слезы(Amber Tears)というドゥームメタルバンドがいるが
そのバンドが針葉樹林の烏と風をテーマにした曲を作っている。まあ、そういう世界観がボクはツボなので
それに非常に近い雰囲気を持つこの作品は、とても気に入っている。恐らく向こう何年かは頻繁に手に取る作品になりそうな気がする。


SADISTIC DRIVE - Perpetual Torture ★★★ (2023-08-28 19:06:17)

フィンランド産デスメタル2022年作
今作はワリと頻繁に聴いているが、前作ANTHROPOPHAGY(2020年)に比べると、なんだか落ち着いた音になったな・・という印象。
前作との違いは、ゴア要素を出そうと思ったのか、ギターの尖った音が少し丸くなり若干湿り気が増したことと、硬質ベースが目立つこと。
ドラムの音質も固く甲高い感じから、中音域以下の質感に変化している。気持ち悪さを引き立てる奇抜なギターの演出も控えめ。
演奏スタイルは大きく変わらないが、前作の破天荒な魅力や爆発力が若干削がれて地味になった。
初期の出過ぎた個性を修正してコンパクトにまとまったセカンドアルバム、というデスメタルあるある・・そこが評価の分かれ目かな。
というワケで、前作ほどの衝撃は無いにしても、安定感のあるゴア要素を含むデスメタルが聴ける。悪い言い方をすれば、普通に近づいた。
ダメ出しはしてみたものの、濃いフィンランド産デスは貴重なので愛聴度は非常に高い。一聴すると米国産に聴こえるがフィンランドというだけで
一歩引いてしまう緊張感が漂い、そこに魅力を感じざるを得ないところがあるね。
なんにしても、この底辺のセンスがいいんですよ。落書き調の粗悪ジャケと気色悪いバンドロゴは健在だ。そこは底辺を貫いていていい感じだ。
こういうバンドは、初期の無茶苦茶感を堅持して、落ち着いてほしくないなぁというのが正直なところだが、このバンドは特に注目しているので
少々不満があってもきっと聴き続けるだろう。完成度は非常に高いデスメタル。ただ、オススメは神懸ったクオリティの前作だね。


INCANTATION - Unholy Deification ★★★ (2023-08-28 12:20:49)

米国産デスメタル2023年作
3年ぶりの新譜、このバンドは既に完成の域にあってもはやゲットしなくても中身がわかる(笑)気がしていたがジャケがいい感じなのでゲット。
相変わらず高い完成度、有名老舗デスメタルで、妥協の時代が無く方向性がブレずに突き進むバンドはコレだけじゃないかな。
ドロリとしたドゥーミー要素、アングラ臭漂う黒い感じは健在。近年は無駄にギターソロを奏でる割合がほんの少し増えた感じはするが許容範囲。
一般デスメタルファンであれば、この盤があればもう、他は無くてもいいんじゃないか、と言っても過言ではない程の安定のクオリティだ。
とはいえ、近作から少しずつ気持ちが離れているのは確かだ。まあバンド発祥ルーツを辿った時、分裂したもう一方のバンドProfanaticaの方が
圧倒的に狂気に満ちており、初期からずっと聴いているボクとしては、どうしてもProfanaticaが比較対象になってしまうからだろう。
音響的にも楽曲的にも完全にIncantationの方が上でデスメタルを純粋に楽しむにはこっちなんだよ?
しかしながら、音響的には圧倒的に溝を開けられた感があるにも関わらず、完全に狂気の世界に身を投じてしまったProfanaticaの存在感が故に
魂が欠ける商業音楽に思えてしまう錯覚に陥ってしまう。実際はそんなことはない、入魂のデスメタルなんだが、ボク的にはそう感じてしまう。
元々米国産にあまり趣きを感じず、オールドスクールデスに一定の無骨さやローファイ録音を求めてしまうボクの性癖も手伝って
恐らくこの盤を聴き続けることは無くなるかなぁ、という予感はしているが・・・。
とダメ出しをしてしまったが、コレはあくまでボク個人的な感じ方なので。ここまでスゴイ完成度を誇るデスメタルはそうそうありません。
なんにしても発売直後にゲットしているんだから、ボクもいろいろ文句を言いながらも結局はこのバンドはチェックしてるんだよ(笑)。


Lethal Outcome(Летальный Исход ) - И​з​б​ы​т​о​ч​н​а​я С​м​е​р​т​н​о​с​т​ь ★★★ (2023-08-25 01:10:40)

ロシア産オールドスクールデスメタル2022年作
未知のデスメタル発掘で発見したハイクオリティサウンド。バンド名はAIに翻訳してもらったから、英語名で活動しているかは不明。
バンド名の意味は「死に至る結果」、アルバムタイトルは「超過死亡率」と訳されるんだろう。
二つの山の谷の部分にある洞窟から血のような赤い液体が滝のように流れ、そこを人間が歩き滝壺に落ちているイラストのジャケ。
一見ローセンスなチープなジャケで、購入時も若干躊躇してしまったが、バンドコンセプトや楽曲タイトルを思えばこのジャケはピッタリ。
Самоистязание : 自虐、Суицидальное жертвоприношение : 自殺的な犠牲
というような曲名と、ジャケの雰囲気、バンド名とアルバムタイトルからコロナパンデミックをテーマにしているのかなと思ったが
Огонь : 火、という曲があるし、活動歴3年で2022年11月末にリリースされているので、むしろ戦争をテーマにしているのか。
恐らくどちらかのテーマがコンセプトになっているサウンドだろう。
サウンドスタイルは典型的な古学校死というよりは、そのジャンルに寄ったスラッシーなHMといった感じだ。視聴段階では気づかなかったが
インナーのメンバー写真を見ると、ヴォーカルは女性のようで、完成度の高いデスヴォイスを聴かせてくれる。
古学校死スタイルを含むギターの質感と雰囲気だが、楽曲構成がドラマチックで、シンセによる演出、聴かせるギターソロなどもある。
コンセプト的にやや抵抗を感じてしまうところはあるにしても、純粋に聴きごたえのある楽曲と適度な熱量の演奏は、かなりツボにハマる。
AIにこのバンドのことを尋ねてみたところ、ロシアのレーベル Metal Race と Satanath Records の共同リリースで・・・(中略)
・・・このアルバムは、ロシアのヘヴィメタルシーンに新風を吹き込んだ作品として評価されています、とのことだった。
共同リリース部分は当たってる。新風を吹き込んだと評価されているかどうかはウラが取れない。AIは平気でウソつくからね(笑)


ECTOPLASMA - Inferna Kabbalah ★★★ (2023-08-24 22:58:12)

ギリシャ産オールドスクールデスメタル2022年作
最近は真性なダークサウンドよりも、古学校死サウンドを好んでゲットしている。特にB級路線。
そういうワケでデスメタル黎明期から活躍する老舗バンドも結構手にするんですが、むしろ影響を受けた次世代バンドの方が
より古学校死度が高いということを近年はヒシヒシと感じる。老舗バンドは一度完成しちゃうと演奏技術は上がっても味わいが欠落しがちだ。
というワケで、今月は未知の古学校死サウンドを発掘、いろいろ視聴して厳選して最もツボにハマったのがコレだ!
昨日空輸で届いたんだけど、もう、ずっとCDかけっぱなしです(笑)。
もうね、完璧。ボクがこのジャンルに求めるモノが全てこの1枚に凝縮されていると言っても過言ではナイ。ストライクゾーンど真ん中です。
このバンドのルーツをいろいろ調べてみたが、一時期は4人編成だったようだが、基本はデュオのようだ。
ブラッディなデスメタルを世に広めるために活動しているらしい。本人たちが言うように、このバンドの音の魅力はそのブラッディな感触だ。
特筆すべきは、ギターソロのような飾りが無いことだ。近年のデスメタルはやたらメロディアスな茶目っ気を加える甘えバンドが多いが
このバンドは気持ち悪いリフとたまにブラストありのズトボコドラムを主とする古典デスメタルスタイルで真っ向勝負している潔さが素晴らしい。
そしてデスヴォイスの空気量が完璧で、抜群にウマい。このテのブラッディデスは結構星の数ほどのバンドがあるがその多くは
音圧で凄みを出そうとしたり、安直にピッチを下げて下水道ヴォイスにしたり、奇声を発したり等々、ゴアリー要素を過剰に演出しがちだ。
このバンドはそういう過剰演出が全く無く、オーソドックスな古典デスの範疇から外れることのない適度な熱量で聴かせるところがいい。
だから疲れないし延々聴き続けることができる。シンプルな古典サウンドなのに全く飽きることなく楽しめる。
低音部のこもった音質もグッドだ。コレがB級デスの味わいに一役買っている。古参の老舗バンドの殆どが失ってしまった魅力である。
ホントに古典的なデスメタルなので、特に際立ってスゴイ楽曲があるワケではないのに、何故か魅力たっぷり、中毒性が高い。
そして、なんといってもこのジャケが素晴らしい。80~90年代B級デスメタルを彷彿させる謎シチュエーションの骸骨ジャケが美しい。
その上、このバンドロゴも、いかにもB級デスっていう感じで、デザインセンスも完璧だ。
2016年頃から活動しているらしく、過去作品も全て買うか、と思ったが、過去作品はこの盤ほど完成されていないのでやめました。
ボクの中の古学校死サウンドランキングの上位に一気に駆け上がったダークホースです。このジャンルが好きなら必聴盤だ。


OBSIDIAN SEA - Pathos ★★★ (2023-08-23 00:41:45)

ブルガリア産ドゥームロック2022年
Solitude Productionsがリリースする盤をひたすらゲットしていた時代に出会ったバンド。現在はドゥームストーナー専門レーベルに移籍。
初期作品からマメにゲットしていたが、水準以上のクオリティがあるワリにはあまり聴き続けなかったバンドでもある。
Between Two Deserts(2012年)は歌唱に若干クセのあるストーナー寄りドゥーム作品で、楽曲も固有のウネリがあり面白い作品だった。
今にして思えば、どうしてあまり聴かなくなったのか・・・きっとこの独特なヴォーカルが若干合わなかったのかも。
もはやドゥームストーナー路線は星の数ほどのバンドが犇めいている状況なので、敢えてチョイスするバンドというのも限られてくるワケで
短期間楽しんだらお蔵入りになるんですよねぇ。長く聴き続けるバンドはむしろ癖の無いオーソドックス路線で熟練したサウンドだ。
というワケでこの盤、初期の若干耳に障った癖はもはや無くなり、オーソドックス路線から外れることなく円熟したサウンドを聴かせてくれる。
無駄な凄みやコマーシャルなところが無くなったヴォーカルはサイドヴォーカルといい感じでハモって魅力的になった。
派手過ぎず地味過ぎず、過剰にストーナーな感じではなく、仄かなイーヴルさ、静のフレーズでのしっとり感など、適度なギターの歪みがいい。
ワウの使い方や残跫音の作り方など、職人気質を感じるし、印象に残るフレーズが結構多く、楽曲も相当練り込んでいるね。
こういうサウンドのバンドは多いが、アタマひとつ抜きん出た高品質サウンドだ。
この路線の音は他にも幾つか購入しているが・・しばらくこの盤を聴き続けそうだ。耳の肥えたオールドロックファンに超オススメ。


TREAT - The Endgame ★★ (2023-08-18 17:10:02)

スウェーデン産HR2022年作
このサイトの数少なくなった常連さんが高評価してるこの盤、ということで聴いてみた。コレの音響はスゴイ。
ハイクオリティで心地よく、年配HRファンの心を鷲掴みする適度な感じ、特にこの北欧情緒がボクのツボにハマる。

ただ、ボクがメジャー路線の盤にあまり手が伸びないのには理由がありまして。
現在進行形の世界的な混乱や戦争の暗示を感じさせるコンセプトや、偏向的な思想を思わせる内容が見えにくい形で
含まれていそうな盤に生理的な抵抗を感じてしまう。まあね、ボクの妄想なんですがね。
直近ではMegadethの盤なんかがそうでした。まあ、それでもYouTubeにチャンネル登録してるファンなんですが(笑)。
Treatは初期2作品がウチのCDコンテナのどこかに眠ってると思いますが・・それ以降はほぼノーマーク。
Tungska(2018年)に興味を持ち調べたのが昨年、まあこのタイトルがボクの検索に引っ掛かったワケでして
ロシアの地名がバンド名やタイトルに使用される、このメタル界七不思議にヒットしてしまったワケで・・・
こういう盤は曲のタイトルを翻訳したりジャケを観察したりするボクの性癖が発動します。
総合的に見て前作のサウンドは◎でも生理的にどこか受け付けない何かが存在するボクの被害妄想が発動。
で、今作・・・目玉か卵子のようなモノに精子が泳いでいるロゴ、タイトルはエンドゲーム。
1曲目には精神分析専門用語、2曲目はラビットホール、3曲目に共生を意味する単語
8曲目にはハリウッドからのイエス、この4曲のタイトルがボクのチェックに引っ掛かった。
Freudian Slipはまあ、端的に言えばうっかりミス、誤認。ラビットホールは直訳すればウサギの穴ですが
コレは一度踏み込めば後戻りできないような非常識な世界・・とボクは解釈している。
それに続く曲がSinbiosis(共生)です。で、後半にハリウッドからのイエス、という流れです。
ハリウッドで作成されたと思われる映像がフェイクニュースとして氾濫する現在の認知戦のなか
世の中がSDGsなんかの共産主義思想に偏った共生社会に向かっているという危機感をボクは妄想的に持っている。
かつ、予防医療の接種の影響で生殖能力が低下している異常事態が静かに進行している現状を思うと・・・
この盤で暗示される内容に生理的違和感を感じずにはいられない・・というのが正直な感想。
前作に引き続いて、今作もコンセプト的に抵抗を感じるんですよねぇ。

こういう盤は結構多い。過去はファンだったOrphaned Landが特に露骨だったが、大御所Ozzy、BlackSabbathにも
そういうテイストが色濃く感じられることに近年気付いた。
Treatに近い音楽性で言えば筆頭はTeslaでしょうか。

まあ、こういうことを強く気にし始めると、メジャー路線の音楽鑑賞自体に若干の抵抗を感じてくるんですがね。
今回は歌詞まで翻訳してませんが・・HRファンの多くはワリと曲に含まれるタイトルや歌詞はあまり気にしていないんじゃないかな。
普段ダークサイドの偏った思想の音楽ばかり愛聴しているボクが言うのもなんですがね。
そういう盤は手に取る時に、もうこの人たちは狂ってるんだよということが予め判ってるからいいんですよ。
メジャー路線盤は綺麗で健全に作られてそうで、いざ手に取った後からジワジワとそういう生理的に受け入れがたいモノを感じる
ということが結構あるんですよね。まあ、完全にボクの妄想ですからね。
というワケで・・・音的に満点ですが、★は2個とさせて頂きました。そう言いつつ今、聴きながら書き込んでるんだけどね(笑)


DUNGEON CRYPT - Blow by Blunt Flint - Mammoth Hunters ★★★ (2023-08-15 03:14:18)

世の中には素晴らしい名盤が沢山あるというのに、またこのポンコツサウンドを再生してしまった!
単にギターのパワーコードに乗せたヴォーカルラインが、どうしてこんなに笑いを誘い、中毒性があるのか。
そもそもこの人は何故マンモスと戦おうとしているんだ?
一体どんな世界観を思い描いているんだろう。


IN LOVING MEMORY - The Withering ★★★ (2023-08-12 00:15:41)

スペイン産ドゥーム寄り様式美HM2022作
NEGATION OF LIFE(2011年)から10年、結局この前作の愛聴度は高く10年間頻繁に聴いてきた。
展開下手だなぁと思いつつも、結局その完成された音響の魅力の虜になってしまったワケでして・・。
際立ったハイテクニックや曲展開ではなく、オーソドックスな造りから外れない。とはいえ聴けば一発でこのバンド固有の音だとわかる。
もはや生活の一部と化したこのサウンド、昨年新作が出て狂喜したんですが、デジタルDLは簡単にできても
CDを手に入れるのには相当苦労した。だいたいこのバンド名は検索に引っ掛かりにくく、売ってるショップを探すのが一苦労。
うまく検索したら売ってる場所が見つかるんでしょうが、全世界あらゆるショップを探して、日本に空輸してくれるお店は
カザフスタンのショップ1つだけしか発見できず。初めてカザフスタンのショップで買い物したよ。。。ケースなしで届いたけど。
さて、前作から何が変わった?と言われると、音像そのままに曲の構成がちょっと変わっただけ。芯がぶれないというか、ホント変わらない。
音響は既に完成の領域にあり、変に雰囲気が変わるような音作りをする必要もなく、これでいい。前作と何が違うん?とか思うかもしれないが
ボクとしては100点満点、変に新しい挑戦をせず、延長線上の音楽性でいい。このまま路線変更せず熟練の域に行ってくれればいいんです。
鈍重でジャリジャリの金属が擦れるような重低音、ゆったりとしたテンポ、冷たい湿った空気を漂わせる残響とSE。
聴きようによってはゴシックメタルにも聴こえるしドゥームにも聴こえる丁度中間点を突く適度な陰鬱さを備えてて
真性な根暗サウンドではないところがいい。そして、ゴシックメタルあるあるの仰々しさや女声といったコマーシャル的なものも皆無。
こういう硬派で真面目な、様式美に寄ったミドルテンポメタルは希少価値があるとボクは思うんだよね。ホント無いんだよこういう音。
超オススメですが、デジタルでしかもう発見できません。


WITCHNIGHT - Old Steel Breath - Tyrannical Warlock ★★★ (2023-07-23 18:29:58)

この盤の後半戦に入る頃の、気合の入った突進型スラッシュ。
熱量高めのハイテンションなギターソロ、シケシケギターなのに突如ブラストビートになる展開・・
この人たちの演奏テクニックが非常に高いことがわかる1曲。


WITCHNIGHT - Old Steel Breath - Into the Old Black Mountain ★★★ (2023-07-23 18:26:44)

このリフの刻み方もMessiahにとてもそっくりだ。
全くの偶然かも知れんが・・この人たち、結構Messiah好きなのかも。


WITCHNIGHT - Old Steel Breath - Southern Warriors ★★★ (2023-07-23 18:24:46)

Messiahの衝撃の再結成作Fracmont(2020年)の冒頭の曲そっくり、というか同じリフで始まる。
音響はMessiahの白クマジャケExtreme Cold Weather(1987年)頃にそっくりという・・
Messiahファン(がどのくらいいるかわからんが)であれば狂喜する作品だ。
おお、コレはスゴイ!と思いながらしばらく聴いていると、突然素っ頓狂な裏声シャウトで秒殺される。


WITCHNIGHT - Old Steel Breath ★★★ (2023-07-23 18:07:01)

アルゼンチン産スピードメタル2022年作
敢えてスピードメタルと書いたが、ジャンルとしてはスラッシュと言っていいだろう。ただ、音圧があまりになさ過ぎて
ブラストビートが登場する箇所があったとしても何故かスラッシュ以上の激しいジャンルのサウンドには聴こえない。
この盤はダメ作品かというとそうではなく、真逆である。ボクは敢えて海外に注文して今か今かと1か月待ち続けたんだよ。
だいたいWitchのスペルを含むバンドはハズレを引かない。この盤も然りだが、まあ、ちょっと趣きが違う。
オッパイを曝け出した魔女が、謎のサークル内で斧と骸骨を振り上げているチープでヘタクソなジャケ。まずコレがいい。
ここまで潔く下品なジャケは久しぶりだ。魔女の風貌から、Mentorsを思い出したよ。
メタル全盛期頃から、敢えて名盤と呼ばれる有名作品は買わず、このテのチープジャケ作品のC級メタルをチョイス
してしまう性癖はもう治らない。この盤は、そのチープさの趣きが何とも言えず香ばしく大きな魅力だ。
この作品はEPに続くフルレングスアルバムとしてはファーストアルバムだ。この時代にシケシケな音で
スピードメタル寄りのスラッシュをやるバンドはとても希少価値があるね。少なくとも演奏はウマいから
確信犯的にこういう音楽を追求しているんだろう。決してアルゼンチンは音楽発展途上ではなく
上質なメタルバンドは結構いるから、ジャケの印象だけで単に辺境の粗悪作品という見方をしてはダメだ。
音響は線の細い高音域にイコライジングしたシケシケギターの音作りが、スイスのMessiah初期作品にそっくりなので
そっちが好みのリスナーはこの音響に狂喜し一発で超お気に入り作品になるだろう。
C級らしさを醸し出す演出も忘れていない。笑いを誘う素っ頓狂な裏声シャウトが大きな特徴でポイント高い。
コレはC級のポンコツ作品ではない。あくまで80~90年代でローセンスポンコツジャケ&録音で表舞台に出なかった
隠れたマニア向け作品の空気を、現代に再現した名盤だと言いたい。
そういうマニア向け作品を漁ってきたコアなリスナーであるほど、この作品の面白さを堪能できるだろう。


AVANDRA - Prodigal ★★★ (2023-07-18 21:17:23)

プエルトリコ産プログレッシヴメタル2022年作
日本への空輸可能なショップが減り、興味あってもスルーすることが多くなった今日この頃。そもそもメタル作品を買う頻度が減ってしまった。
もはや、正統派路線で、どうしてもCDで手元に持っておきたいバンドとして購入し続けているのは、この人たちだけかも。
掘り下げれば裾野が広いプログレメタルのひとつに過ぎない無名バンドなんでしょうが、相変わらずそのポテンシャルは高い。
サルサやレゲエの南国イメージが強い国の出身なのに、濃霧に覆われた湿り気たっぷりの冷たいメロハー要素を多分に含むAOR的雰囲気を持つ。
スペイン人が多いお国柄だからなのか・・タイフーンマリアで水浸しの被害に遭遇したからなのか・・この水分量高めの北欧情緒がツボ。
ドリームシアター的なテクニカルな曲構成は、従来作品同様に複雑さを持つものの、改良が加えられ若干耳に馴染みやすくなったという印象。
そもそもレビュー記事自体殆ど発見できないが、Skylighting(2020年)が圧巻のクオリティだっただけに、今作は若干世間評が下がっているように見える。
ボクとしては、初期作品はドリームシアターの焼き直し感が強かったが、アルバムを重ねるにつれて、そのサウンドはバンド固有の色となり
一聴しただけでAVANDRAの音楽という独自性を確立できていると感じている。そして、その音空間の虜になっているなあと思うのです。
ただ手放しに完成度が高いか、というと、その重厚なギターにディレイやリバーブが深めにかかり、ウィスパーヴォイスやシンセの電子音が絡むと
音像の輪郭が壊れやすいという難点があり、相変わらず初期から同様の問題を抱えているなぁ、と思ってしまう。ただ、その無理筋な残跫音こそが
このサウンドの魅力でもあるワケです。また、ピアノ音源とその旋律は、ボク自身がピアノ弾きだからどうしても安直でチープに聞こえてしまう。
そういったマイナス点を差し引いても、高い演奏技術に裏付けられた説得力のある楽曲群に圧倒される、充分な魅力を備えた作品だ。
今作は少年が銃を携えているジャケ、曲タイトルを見ても、戦争のテーマが根底にあるのは明らか。
世界中が混沌としている今、アメリカ合衆国の自治国でこのテの世界観の作品だと、何やら重いコンセプトが背景があるのではと勘ぐってしまう。
実際そうなのかどうかは知らないが、そう感じさせてしまう作品でもある。ボクとしては最近はそういう作品を避けて、ライトに楽しめる音楽を
チョイスしている。その点も若干マイナスかな。繰り返しになるけど、そんなマイナスを差し引いても必聴版なのだ。
・・・しかし、デジタル主流の時代なのか、辺境国のCD入手が日に日に難しくなっていると感じる。この盤はリリース後1年も経たないのに
約6000円と結構お高い買い物だった。その半分は空輸代なんだよね・・。なんとかならんのか。


AUTOPSY - Morbidity Triumphant ★★★ (2023-07-03 04:38:18)

米国産デスメタル2022年作
ココ最近はメタルCDをトンと買わなくなりまして・・ココにお邪魔する機会も随分減りましたが
古参の古学校死はチョイチョイチェックはしとります。
まあ、大御所ですから、前作Puncturing The Grotesque(2017年)もクオリティの高い安定感抜群のサウンドでした。
ただ、聴き続けたかというとそんなでもなく、初期作品への愛情を超えるモノは無かったというのが正直なところ。
ゴアリーな質感とバラバラ死体を思わせるバタバタ感は、やはり若干コモり気味の湿度高めでカビ臭く、ドラムがベコベコな初期作
特にMental Funeral(1991年作)の質感が、当時のボクのツボに刺さりすぎて、それ以降の作品は仕事のように買うだけ
という感じでしたが・・・もちろん仕事ですから今作も買いましたよ。
いつもと同じ感想になるんだろうなと、実はあまり期待もしていなかったんですが、コレは!当時の質感と作風が蘇っている!
ボクのようなオールドファンは、もはやこういうバンドは新しい何かを求めているんじゃないんですよね。コレでいいんですよ。
ドロリとドゥーミーパートの後で、ズトボコのバタバタドラムで走り、搔きむしるような気持ち悪いギターソロで攻め立てる。
やってることは非常にMental Funeral時代に近く、且つ、熟練の演奏技術が加わってるワケで、久しぶりにガッツリ心を鷲掴みにされた感じだ。
いやー、コレですよコレ。Autopsyに求めていたモノは!オールドファンは全員買おう!


DUNGEON CRYPT - Blow by Blunt Flint - Tragedy in Teriatry ★★★ (2023-06-16 02:07:09)

なんでこんなギターソロにしたのか。
この音のハズしかたは確信犯だろ・・・ホント楽しい。
クセになる。


DUNGEON CRYPT - Blow by Blunt Flint - Blow by Blunt Flint ★★★ (2023-06-16 01:56:31)

アルバムタイトル曲。
過去様々なC級以下ポンコツメタルを聴いてきた。まあ、このバンドに期待するのは「笑い」なんですが
サウンドクオリティは置いておいて、お笑い部分は期待以上のクオリティをいつも提供してくれる。
この曲はアルバム1曲目ですが、初っ端から笑いのツボを突きまくる。
ギターの音質は決して悪くないのに、何故か笑いが込み上げてくるダサいリフ、いつもと変わらない同じテンポ
チャイナシンバルのカシャーンっていう音やカンカンカーンと鳴り響く金属音を多用するところ
ワザとキーを外したような微妙でダサいギターソロ・・・安定のいつもと変わらない唸り声・・
再生してすぐに秒殺されました。このセンス、ホント好き。


DUNGEON CRYPT - Blow by Blunt Flint ★★★ (2023-06-16 01:37:51)

チェコ産ヘヴィメタル2023年作
昨日リリースの出来たてホヤホヤ。相変わらず同じようなミドルテンポ独りポンコツ宅録メタルを聴かせてくれる。
前作Paleozoic Times(2020年)はデジタル作品に2ドル払いました。今回は20チェココルナ(約140円)でゲット。
今までの作風と全くと言っていいほど変わっておらず、3年間一体何をしていたんだよ・・と言いたくなるが
コレがまた何故か中毒性の高い、微笑ましいポンコツメタルなのだ。
せめて曲ごとのテンポくらい変化をつければいいのにいつも同じテンポの曲なので笑える。
この人の癖として、ギターとタムを刻みながら下降する、ミドルテンポメタルあるあるのリフを多用するんですが
コレが妙にツボにハマるんですよ。ホント面白い。で、風呂場音響の低クオリティな唸り声に、中毒性がある。
YouTube再生回数もすごーく少ないから、殆ど見向きもされていないんだろう。
タダでダウンロードできるのに、リリースの度に謎の日本人が投げ銭のように買っている(笑)から
きっとボクは、毎回お金出して買ってくれる謎の日本人として認識されてるだろうな。


CHAR - Fret to Fret ★★★ (2022-08-16 03:20:16)

国産ロック2021年作
若い頃のボクはバンドマンだった癖にステージパフォーマンスには全く興味がなく、ライブ活動は嫌い。
客としてのライブ参戦においても、どうにも性に合わない出不精なんですが、CHARのライブはマメに行っている。
今年は体調を崩してずっと自宅療養しているんですが、それでも体にムチ打ってライブ行ってきました。
それくらいCHARは好きなギタリストだ。この盤は何故か一時期品薄状態で、結局ライブ直前にゲットした作品だ。
彼の作品はPink Cloud時代が最も好きだが、この盤はその頃のロックサウンドの空気が蘇る、ライトに楽しめる好盤だ。
彼の白髪交じりのルックスを見ると、更に歳を取ったなー・・と思ってしまうが、昔から変わらず熱いロックであり、且つ
清涼感溢れる大人のサウンドを提供してくれる。ギター愛をとことん追求した曲作りや演奏への生真面目さが伝わってくるところと
コミカルにならない範囲でのユーモアを持ち合わせていることと、ロックサウンドを愛していることが感じられるところは
いつの時代においても素晴らしいと感じさせる。この盤に突出した目新しい要素があるワケではないが、熟練の卓越したギターワークは健在。
長くファンを続けていると、彼のヘタウマヴォーカルと特有のギターワークによる安定感があれば、それでいいんですよね。
ライブ参戦以降はマイカーサウンドはずっとコレです。


RAVENTALE - Planetarium II ★★★ (2022-08-16 02:42:28)

ウクライナ産独りゴシックメタル2020年作
Planetarium(2017年)の続編を思わせるナンバリングタイトル。前作MORPHINE DEAD GARDENS(2019年)ではフューネラルドゥーム的
アプローチで楽しませてくれたが、ここにきてドゥームともブラックとも言い切れない、一聴してゴシックメタルを思わせる音楽性に。
シンセを多めに使用し、シンフォニックさがアップ。ツーバスやブラストも登場する。理に叶ったコード進行、ドラマチックな曲展開。
そういう音楽性から、とてもライトに楽しめる、過去作の敷居の高さが一気に低くなった、という印象を持った。
初期作品から愛聴しているだけあって、ウクライナ作品では最もお気に入りのバンドで、何故かボクの感性にものすごーくフィットする。
初期の個人的名盤Давно ушедших дней (2008年)や前作に比べて聴き込み度合いこそ低いものの、最近のお気に入りだ。
演奏スタイルがキャッチーになったとはいえ、長くこの人の作品に触れてきた身としては、特有の粉っぽいギターの中毒性があれば
スタイルなんてどうでもいいと思えてくる。あまりこのバンドを知らない人が一聴すると、もしかしたら、この音像のどこに魅力があるのか
さっぱり理解できないかも知れないし、曲の感じから、単なるゴシックじゃん、と思うかも知れない。
荒廃的なサウンドであり、独りメタルというスタイルのせいもあってか、音響的には必ずしも完璧とは受け止められない人もいそうだが
この録音の質感がたまらなくいい。随所にこの人らしいアレンジが加わり、知性を感じるところは、長年のファンでなければわからんかも知れない。
そういう意味で、キャッチーだが、必ずしも初心者向けでは無い気がする。
彼のFacebookは1年以上更新されずにいるのは寂しい限りで、ウクライナ戦争のせいなら残念に思う。
ウクライナ産がなかなか手に入りづらくなってきたが、頑張って活動を続けて欲しいバンドの筆頭だ。


MEGADETH - The Sick, the Dying… and the Dead! - We’ll Be Back ★★★ (2022-07-25 06:21:03)

Rust in Peace(1990年)までしか受け入れられないんですが、この新譜のこの曲は素晴らしい。
先月くらいにMegadethのYouTubeチャンネルが更新されて、この曲のPVが追加されたんよね。
まあ、相変わらず映像は戦争や暴力を彷彿させて、最近の社会情勢的にはなんだか抵抗があるんですが
カッコいいんですよ、この曲。
ヒリヒリする緊張を伴うギターのリフ、サビの後のブレイクなんか、良い頃のMEGADETHが帰ってきた!と思わせる。
久しぶりに映像で見ると、なんか老けたなぁと思うんですが、音は全く衰えていません。


CONVOCATION - Ashes Coalesce ★★★ (2022-05-25 19:31:14)

フィンランド産ドゥームメタル2020年作
ヘヴィで気合の入った獣のようなヴォーカルから過度な疲労感を伴うので、滅多に聴かないが、圧倒的クオリティの高さを誇る。
いやぁ、最近はあまりに濃い内容だとダウンしてしまうので避けてましたが、夏バテに追い打ちをかけるような即死級サウンドで
臨死体験をしたくなる日もあります。やはりそういう時は真性度が高く北欧の冷たさを含むフィンランド産に限ります。
しっかりとドゥームしている曲もあれば、トレモロリフでプリミティヴなブラックフリークが喜びそうなサウンドをベースに
ドゥームしている曲なんかもあって、且つ、圧し潰すような重量がある。ホンモノ感溢れるカオティックさに圧倒されるサウンドです。
ディミニッシュコードで危機感を煽り、重厚なヴォーカルエフェクトで襲い掛かる様は、本来であればクタクタになり過ぎて
敬遠したくなるんですが、まあ、クオリティの高さから有無を言わさず納得せざるを得ない。
バンド名や曲名から、宗教的悲愴感が濃厚に漂い、後ろ向きな負の感情が支配している。歌詞カードがナイのでわからないが
ものすごーく背徳的で危険なヒリヒリした張り詰めた空気、緊張感がある。密教的なカルト臭は、好きな人にとっては病みつきになるかも。


PORTRAIT - At One with None ★★ (2022-05-18 07:34:10)

スウェーデン産HM2021年作
最近たまに楽しんでいる作品。MetalBladeからのリリースなので、恐らく肌に合わんだろうなとは思っていたが、案の定合わない。
特にドラムが煩いんだよね。バスドラが刻み過ぎだし、スネアもバシバシ力一杯叩いてて、なんだか平べったい。
だったら聴くなよ、と思うかも知れないが、このラフの感じと、ギターのリフ、質感はなかなかツボにハマるんですよ。
もう少しギターのリフもスリムな音質だったらいいのに、とは思うが、刻み過ぎではあっても、鈍重なリフがカッコいい。
スピーディーなリフも多く登場するが、意外に受け入れることができている。ガムシャラな感じが結構心地よい。
そういうリフにギターソロが乗るところの雰囲気も申し分ない。だからこそ、全体的に賑やか過ぎる点が勿体ない。
そういう今一歩足りないバンドは多いと思うが、このバンドが捨てがたいのは、ヴォーカルスタイルに魅力があるからだ。
まるでKingDiamondのような裏声が登場するんですが、コレが結構シビれる。随分昔にハマったKingDiamond的ノスタルジーが魅力である。
楽曲は結構カッコいいし、走り気味の独特のグルーヴ感もいいね。しかし。なんにしてもMetalBlade録音から離脱しないとボク向けではナイな。


ANGEL SWORD - Neon City ★★★ (2022-05-12 21:39:37)

フィンランド産NWOBHM2019年作
鉄板のB級メタル路線、粗暴な濁声ヴォーカル、適度にシケシケなギター、メロディを割と大切にした楽曲で程良いダサさがある。
衝撃的な前作Rebels Beyond The Pale(2016年)ほど70~80年代を意識した録音状態ではないが、現代録音によるNWOBHM路線では
かなり好きな音である。完全に懐古主義になることなく、よく聴くときちんとエフェクトが施されていたりする。
それでいて粗暴な感じに聴こえるのは、全てヴォーカルのせいだな。このアンバランス感がなんとも愛らしくてイイ。
このサウンドには、シケシケギターによるハードさや、ノーエフェクトを思わせるベースなどの魅力が込められているんですが
そんな粗雑な音であるにも関わらず、割と哀愁が深く、実はウマいのに下手に聴こえるヴォーカルがわざとらしく哀愁を込めるところが魅力だ。
前作のジャケも凄かったが、今回は2丁銃を持ったミュータント的な人物が描かれる。楽曲タイトルにもなっているElectric Manだろうか。
バンド名と全然違うキャラが描かれているのがいい。天使じゃないのかよ、飛び道具じゃなく剣持ちなさいよ、とツッコミたくなる。
また、ジャケ裏を見ると、この電気男がベッドで裸の女2人を抱いている。そっちも2丁拳銃か、とツッコミを入れたい。


COBRA SPELL - Anthems of the Night ★★★ (2022-05-12 21:03:19)

オランダ産ハードロック2022年作
80年代HR愛が込められたScorpions似ノスタルジックバンドによるEP第2弾。ギタリストSonia Anubisのファンなので
センターで楽し気に歌うAlexxという男が羨ましけしからん。まあ、それは置いといて、40年前くらいのあの空気が蘇る好盤だ。
まあ、前作Love Venomの額縁に入れて飾りたくなるジャケインパクトと、哀愁の深さを思えば、今作は無難な作品とも言えるが
このバンドは応援しているのでストライクゾーンは広め。問題ない。サイトのショップで帽子とアクセサリーまで買ってしまった。
YouTubeのチャンネルでは、結構頻繁に動画をアップしてくれるので、楽しくバンド活動していることがヒシヒシ伝わってくる。
相変わらずSoniaの基本スケールを重視したお手本ギターがイイ。変にトリッキーなことをしない、理に叶ったコードワークは
80年代サウンドの基本形を堅持し、それがむしろ個性となっているね。もうね、このバンドはこのスタイルのままでいい。


SOJOURNER - The Shadowed Road ★★★ (2022-03-27 22:14:35)

多国籍メンバーによるシンフォニックブラック2018年作
メンバーはニュージーランドやスウェーデン、英国、イタリアなど全員が出身地が異なる。
ピアノやシンセ、女声、ティンホイッスル(アイルランドの縦笛)を導入したドラマチックな楽曲が大きな魅力。仰々しくなくライトに楽しめる。
ジャケは霧で霞む断崖絶壁と湿地、朽ちた橋に石造りの建築物が描かれる。前作も似たような建築物ジャケだったが、このいかにもRPGファンタジーな
感じがベストマッチしているサウンド。このジャンル大将格SAORほどではないが土着的な雰囲気もある。また、バンドロゴに鳥が描かれているのは
鳥フェチなボクとしては嬉しい。突出した個性派ではないが、スッと入ってきやすい旋律、高い作り込み度、適度な湿り気、適度な音圧など
完成度、総合力の高さでイチオシだ。購入当初はたまに聴く程度だったが、最近はハマり始めたのか、このCDを手に取る回数も増えつつある。
普段は濃いサウンドを愛聴しつつ、中休み的にこういうライトに楽しめる作品を楽しむ、そういう聴き方をしているね。


FUOCO FATUO - Obsidian Katabasis ★★★ (2022-03-19 05:14:49)

イタリア産フューネラルドゥーム2021年作
珍しくイタリア発のバンド。というのも、イタリアといえばメロディックでクラシカルでスピーディなバンドが多いイメージ。
ボクの趣味と真逆の音楽性を持つバンド群なので、積極的にはイタリア産を漁るということはしない。
コレは昨年発見してゲットした作品。気難しそうな世界観、いかにも底辺の地獄絵図のような暗いジャケとバンドロゴ。
予備知識も無くジャケと曲名でゲットしたんですが、音楽性も結構底辺のフューネラル感を伴うズルズルドゥームでした。
10年選手でこの作品はどうやら3作目。なかなか聴き応えのあるギターノイズ、垂れ流しでありながらドラムはある程度の手数があり
単にノイズだけで聴かせるのではなく、アコギの物悲しい悲愴感なども楽しめる。レジェンド級とまではいかないが、聴き応え充分。
類似するバンドというのもあまり思いつかないが、近いところでは、フィンランド真性ドゥームTYRANNYをややライトにした感じか。
ライトリスナーを寄せ付けないTYRANNYの濃すぎる音楽がキツい人には、ほんのちょっと薄めた感じのこちらがいいかも。
それでも濃いドゥームではあるし、万人にはオススメすることができないワリと上級者向けではある。


SUFFER YOURSELF - Rip Tide ★★★ (2022-03-12 02:01:10)

スウェーデン産フューネラルドゥーム2021年作
一応スウェーデンとしたが、活動拠点がそうなんだろう。トリオ編成で2人はウクライナ、もう1人はポーランド出身のミュージシャンのようだ。
メタルに関しては露、ウクライナやその周辺諸国の作品ゲット率が50%くらいなので、ロシア侵攻でこの地域の作品が楽しめなくなると思うと悲しい。
ウクライナルーツで直近ゲットしている作品がコレで、戦争報道を観ながら、このサウンドに没頭しつつ残念感に浸っている感じだ。
このバンドの作品はコレが3作品目、過去作はYoutubeで楽しんだ程度。今回の作品は音像こそオーソドックスだが全体的に非常に完成度が高い。
ヘヴィでゴリゴリなギター、カオティックでありながら無駄に力むことのない唸り声、手数やバリエーションの多いドラムが魅力的だ。
鈍重に垂れ流す感じではなく、楽曲には起伏があり、音数も多めだが、それが全く気にならず、しっかりフューネラルドゥームしている。
特筆すべきは、楽曲中の意表を突くテンポチェンジ、曲展開だろう。大作主義でドラマチックに展開するそのコンポジションが光る。
また、描く音世界は、荒れる海を描いたモノクロジャケの印象通り、温度が冷たく、ドス黒く、激しさと鬱蒼とした感じが同居するサウンドだ。
演奏の背後に響き渡るSEやサウンドエフェクト・絶妙な残響音など、暗闇の海原で凍てつく風を感じているかのよう。この冷たさがたまらなく素敵だ。
真性さが宿るこのサウンドは、フューネラルドゥームを聴き倒した猛者に是非聴いて欲しい。ホント素晴らしいクオリティである。
ちなみに、1曲目が大作フューネラルドゥームで、それ以降はアンビエントサウンドである。この展開がバッチリ世界観にハマっているんだよ。


MIRACLE FLAIR - Angels Cast Shadows ★★★ (2022-03-12 01:15:00)

スイス産ヘヴィメタル2016年作
スイスを代表する神バンドCoronerが再結成して、ニューアルバムはまだかまだかと待ち続けてGrin(1993年)から約30年目が来ようとしている。
その後未発表曲の盤やDVD作品なんかはリリースしているが、フルレングスアルバムについては未だ続報は無い。まあそれは置いといて・・・
CoronerのギタリストTommy T. Baron(今は本名Tommy Vetterliで活動中のようだ)は、地元スイスの後続バンドのプロデュース・ミキシングに
力を入れているようで、このMiracle Flairはそのバンドのひとつだ。(我が家にはもうひとつ69 Chambersというアーティストの盤もある。)
また、有名どころではEluveitieというバンドにも深く関わりを持っているようだが、こちらは完成しすぎ感がボクの好みに若干合わない。
さてこのバンド、ギタリストは専らこのバンドのみで活動しているようだが、そのギターの音像は、割とCoronerのGrin時代の音に近い感触があり、
Tommy Vetterliがミキシングに関わっている影響はかなり強いと感じられる。なので、彼のギターが好きだったリスナーは結構ツボにハマるだろう。
このバンドは女性ヴォーカルが割と真面目に正統派な歌い方をし、楽曲もHR的なアップテンポが多い。キャッチーでクラシカルな印象を持つ。
その点で、Coronerのインテリジェンスでダークな音楽性とは全く異なるが、ギターを始め全体的に心地よく結構ハマって聴き続けた盤だ。
Synchronism(2020年)も素晴らしい作品だが、更にクラシカルさが前面に出た印象で、どちらかというと僅かに完成度はこっちが上かなと思う。
また、69 Chambersも女声ヴォーカルのバンドで結構ギターの音作りがCoronerっぽいが、バンドスタイルにちょっと癖があって好みが分かれそう。、
まあ、どちらも捨てがたいが、こっちのバンドの方がボク好みである。また、気が向いたらこれらの盤もレビューしてみようと思う。
ちなみに、再結成したCoronerのドラマーはDiego Rapacchiettiとなっているが、このバンドやEluveitieにも参加している。


ADELE - 30 - To Be Loved ★★★ (2022-01-18 23:53:48)

単純なピアノの白玉コードのみの楽曲に、切なく歌い上げる入魂のスローバラード。結局この盤は、こういう純粋な歌モノが得意でないとダメなんだろう。
今までのアデルの作品には無い、かなりストレートに感情的に歌い上げ、後半は体裁を捨て絞り出すような声を張り上げる感じである。
ココを「感動」と受け止めるか「下手」とするかで大きく評価が分かれそうな気がする。歌う事が好きだと、コレを聴くとカラオケで練習したくなる。
全く早くコロナウイルス騒動が終わってほしいよ。


ADELE - 30 ★★★ (2022-01-18 23:37:56)

英国産R&B2021年作
コロナウイルス感染拡大で随分リリースが遅くなった、ボクとしては結構待望の新作。女声ヴォーカルモノとしてはかなりボクの好みで、ゲットし続けている。
有名どころに食指がいかない性分だが、この人の作品にはメジャーどころの産業音楽的な、「売るために作られた感」が無いので、ツボにハマるのだ。
しかし、世間評は結構割れているようで、鉄板曲が無いとか、全部スローな曲で飽きるとか、酷評が散見される問題作・・ボクは問題無いんだけどねぇ。
今までの看板曲Rolling in the DeepやHelloのような特徴的な楽曲を求めるリスナーは退屈するかもしれない。が、今作の魅力はそこではない。
確かにスローなR&B調の楽曲が占め、楽曲構成の面白さを楽しむ類の盤ではなく、純粋にアデルの「歌」を堪能する盤である。相変わらずファルセットの裏返りが
切なさを醸し出し、高めの声部は現年齢(33歳)プラス10歳の声質のように聴こえ、何故か心地よい。ダイエットをしたのか、風貌がスリムになっているが、
決してパワーは衰えていない。この作品はライトに楽しむ作品ではなく、恋の悩みを抱えているような時に部屋の明かりを消して没頭することで癒される、そんな作品だ。、


EDUARD BAGHDASARIAN ★★★ (2022-01-16 18:01:01)

アルメニアの作曲家。アルメニアのクラシック作曲家はハチャトゥリアンぐらいしか有名どころはいないと思うが、最近ヘヴィローテなのがこの人だ。
バグダサリアンはアルメニア国内ではかなり有名なようで、24のプレリュードというピアノ曲がある。第6番、24番は探せば動画が見つかる。コレが美しい。
この2曲がよく弾かれてるんだろう。この曲集の中でも特に心に残る楽曲だ。
絶版になっているピアノ譜をRaffi Besalyanという演奏家が誤植を校訂して、昨秋ピアノ譜を発売したので、即買いしました。
第6番はスピーディで流れるような楽曲なのにゆったりと聴かせる、ラフマニノフばりの重厚さをも併せ持つ鉄板曲だ。第24番はテンポを落としてしっかり聴かせる感じで
これまたハーモニーが美しい。とりあえず簡単そうな第24番から覚えようかと思ってたが、ゴージャスな第6番の方がかっこいい。でも難しい。
まあ、ここにピアノファンがどれだけ見に来てるかわからないが、小品でありながら歯ごたえのある曲を探してるなら、売り切れる前にこのスコアはゲットした方がいい。
ちなみに、CDは相当手に入りにくい、と思う。「EDUARD BAGDASARIAN:Piano and Violin Music」という盤が2014年にリリースされているモノをゲットしているが
アルメニア作品のオムニバス的な盤にもしかしたら収録されているかも知れないね。


QUERCUS - Verferum ★★★ (2022-01-03 01:32:18)

チェコ産フューネラルドゥーム2019年作
メタルガチャがあるとしたらポンコツメタル率の高いチェコ産ですが、コレはホンモノ感のある、今時珍しいワリとストレートなオルガンドゥームだ。
本場フィンランドオルガンドゥームに匹敵するとまでは言わないが、10年選手でもあり、とても質の高いオルガンドゥームを聴かせてくれる。
鈍重なオルガンドゥームかと言えば意外とそうではなく、結構ドラムは手数が多く、スローから徐々に手数を増やすような、ベタな判りやすい展開が
チェコメタルな感じである。ギターの歪みにホンモノ感があるワリに、キャッチーな曲展開を見せる楽曲が固有の魅力となっている。
ベタと書いたが、あくまでそういうアレンジが登場する、というだけで、全てがそうではない。どちらかというと独創性を前面に出すために
リフや楽曲は結構凝っている。ただ、そのリフや旋律に露骨さや仰々しさがあって、ベタな盛り上げ方に感じられる。そこが面白い。
過去作品はジャケセンスがボクにフィットせず静観してきたバンドだが、今作は湿地の風景画のようなジャケとシンプルなフォントを使用したバンドロゴが好印象だ。
最近は真面目にオルガンドゥームをやっているバンドに出会うことが少ないので、ちょっと追いかけたい。


HEAVY LORD - Balls to All ★★★ (2022-01-03 00:59:09)

オランダ産サイケデリックドゥーム2011年作
イーヴルでヴィンテージ臭漂うラフでありながら職人気質な感じのドゥームだが、そういうスタイルでクオリティの高いバンドは結構数多いので
ジャケが気に入らないとまずゲットしない。このバンドはとりあえずジャケで買う気にならないバンドで、我が家にはTHE HOLY GRAIL (2004年)だけあったんですが
ロシアのショップで買い物をしたときにオマケでこの盤がプレゼントされたので、年末はコレを結構聴いた。ジャケはアレでも中身はホンモノ感があることは
もはや聴く前から判っている鉄板バンドなので、なかなかプレイヤーにCDを入れようと思わないものの、一度プレイヤーに入れてしまうと聴き続けてしまう。
ギターの歪み具合と粘り気、僅かにスタジオ臭のする物静かなパートと、激しさと適度な浮遊感を漂わせるカオスパートの対比が素晴らしい。
たぶんショップ一押しのバンドなんだろう。レジェンド級のクオリティである。ただ、最近のボクはあまりヴィンテージドゥームを追いかけていない。
最初に書いたが、こういう職人気質ヴィンテージドゥームは数多いんだよね。ただ、このバンドは頭ひとつ抜きんでているのは確かだ。


INTAGLIO - Ⅱ ★★★ (2022-01-03 00:30:40)

ロシア産メランコリックドゥーム2021年作
恐らく現地で爆発的にコロナウイルスが拡大したことでリリースが1年延期になったんだろう。一昨年には今作に収録されている「The Memory Of Death」が
先行シングルとして発表されたが、それからのスパンが長く随分待たされた感がある。「The Memory Of Death」が結構良作だっただけに、今作は待望の1枚だった。
一昨年はコレではなく処女作のリメイク盤がリリースされ、なんで新作じゃないの?と憤りすら感じた時期はあったが、まあ、リメイク盤で1年間お茶を濁し
やっと昨秋この新作をゲットできた感じだ。前作から実に15年ぶりの新作、セカンドアルバムでシンプルに「Ⅱ」というタイトルである。
フューネラルドゥームに分類されるんだろうが、処女作は重さは控えめで、どちらかというとメランコリーと冷たい空気感を淡々と楽しむ作風だったが、
そのテイストは引き継がれている。楽曲の雰囲気自体は、前作の延長上で劇的な変化は無いが、彼らに求めるサウンドのハードルは余裕でクリアしている。
前作の延長上と感じさせる大きな理由としては、コードワークに特有の癖があり、一聴しただけでINTAGLIOだと判るカラーがあるからだろう。
無駄な音が無く無音との対比を楽しむ感触は、前作同様である。今作は楽曲構成ではなく、バンド編成に大きな変化があり、とても挑戦的だ。
フルート・チェロ・女声が大々的に導入され、元々そんなにヘヴィではなかったギターは更に歪みと残響が浅めになっている。そういう演奏様式だから
チェンバーロックとドゥームの融合といった印象が強く、クラシカル要素が若干増した感じだ。また、前作とリメイク版のモノクロジャケイメージから一転して
色彩豊かな幽玄なジャケに変貌したことで、メランコリーにファンタジーがプラスされた感じがかなりツボにハマる。とりあえずヘヴィさを求めるリスナーには全く不向き。
旋律がキャッチーだがコマーシャルなところが無い。重厚に音が重なることが少なく、必要最小限のハーモニーだが、単純なコード進行をしないので聴き応えがある。
雨の日に薄暗い部屋で、ちょっとメランコリーに浸りたい時に聴きたいサウンドだ。聴いてて全く疲れないのにしっかりドゥームしているところがイイ。オススメ。


MASSACRE - Resurgence ★★★ (2021-12-02 00:04:14)

米国産デスメタル2021年作
From Beyond(1991年作)は高校卒業前に愛聴していたのをよく覚えている。当時はB誌を購入しては、レビュー低得点作品やモノクロページの広告を見て、
得体の知れない気持ち悪いジャケのメタルにバイト代をつぎ込んでいた。今にして思うのは、高得点レビュー作品よりもモノクロ広告通販の盤の方が愛聴度が高かった。
MASSACREはまさにそれだ。当時友人から貰ったライヴ音源(未だに出所がよくわからない盤、海賊版だろう)の方が内容が素晴らしかったのは玉に瑕だが、
From Beyondは何故かツボにハマった。しかし、PROMISE(1996年作)は一定期間努力して聴いたが、結局ボクのツボには全くハマらず、どう評価して良いのか、
よくわからない作品だった。ここでボクの中で過去のバンドになってしまう。
Back from Beyond (2014年)は、このあからさまなアルバムタイトルとジャケに猜疑心を持ちつつ、試聴してもシックリこない感じで結局静観した。
結局この路線は、MASSACREは見限り、Bolt ThrowerやBenedictionあたりを追いかけ続けた感じだ。
このバンドに求める魅力は、ズトボコB級楽曲でありながら、最高の音像で奏でられるギター&リズム隊、という作風だ。Bolt Throwerに求めるモノと同等だ。
Bolt Throwerよりもやや突進力があったところも魅力のひとつである。その音楽性を保っていたのは、From Beyondのみであり、それ以降はかなり微妙である。
このバンドはメンバーが固定せず、恐らくメンバー内で対立がある。結局、今作品はBarney Kamalani Lee(当時のヴォーカル)が復活、他のメンバーは
一体誰?という布陣で、前作までのメンバーは全員去っている。もはやMASSACREじゃないだろ、という世間からの酷評が聞かれそうな予感はしている。
メンバー構成に疑問はあるものの、サウンド自体はまさにMASSACREに求めるモノを備えており、なかなか上質なデスメタルを聴かせてくれる。
そもそも国内では酷評を受けたバンドであり、オリジナルメンバーがヴォーカルのみで、デスメタル黎明期を体験した世代向けの化石オールドスタイルなんだが
果たしてコレをゲットしようと思うリスナーはどれくらいいるんだろう、と思う。ただ、B級オールドスタイルのデスメタルとしてはかなり上質だと思う。
また、購入の決め手となったのは、このジャケである。Wes Benscoterという人が描いているジャケだが、この人の描くジャケから漂うB級デスの雰囲気
特に骸骨の描写はホント素晴らしいと思う。最近では、Crypta「Echoes Of The Soul」やHooded Menace「The Tritonus Bell」をジャケ買いしているが
この人の描くジャケが作品のクオリティを随分底上げし、ワクワク感が沸々と湧いてくる。
今作のジャケ、骸骨に纏わりつくタコ足のようなモノや、目玉のついたモノリスっぽい物体、翼の生えた緑色の得体の知れんバケモノは何なんだ?ウケる。
Benedictionもまだまだ頑張っているし、Massacreもちょっと追いかけようか、という気持ちにさせる好盤。最近の通勤中のBGMはコレだ。


CAULDRON BLACK RAM - Slaver ★★★ (2021-11-07 00:28:03)

オーストラリア産デスメタル2020年作
鼻詰まりのようなズルズルとしたギター、手数多くバリエーション豊かなドラム、コモり気味の吐き出すようなヴォーカルが素敵なマニア向けデスメタル。
ギターソロのようなメロディアス要素は殆ど排除され、単なる変拍子に留まらない、拍が取りにくい独特のテンポチェンジを多様するリフを基本として
構築的に楽曲を組み立てている。その作風は昔から変わらない。決して一般受けしそうにない唯一無二の個性派で、ボクのデスメタルランキングではかなり
上位に位置するバンドだ。高音域のギターが殆ど登場しないので、かなり地味な印象を受けるかも知れない。その上、過去作品よりも更に地味な印象を受ける楽曲。
湿度の高い重低音ギターのノイズによるリフをメインとしているが、慣れないうちは、低音で何やらグシャグシャとノイズを掻き鳴らし、バタバタとドラムが鳴り
吐き捨てヴォーカルが唸るその音楽性に、何じゃコリャ?と思うかも知れない。しかしコレがハマってしまうと、彼らの描くダーティーな海賊ワールドの虜になる。
この不思議なリズム感で演奏がジャストで合うことに凄さを感じる。地味に聴こえるワリにどの作品もかなり卓越した高度な演奏だと思わせる。
オールドスタイルのデスメタル寄りであっても、その作風は、類似するバンドというものが思い浮かばない個性派だ。濃いアングラ臭とB級っぽさを漂わせるのもイイ。
今までの作品は、ワリとアルバム前半にキラーチューンがあったが、今作はどちらかというと目立つキラーチューンは無く、後半になるにつれて激しくなっていく。
判りやすさでは2ndだが、彼らのやりたい放題を堪能したいなら、前作と今作だ。今作は一風変わった濃いデスメタルを求めるリスナーにオススメしたい1枚だ。


TANITH - In Another Time ★★★ (2021-10-23 14:35:58)

米国産NWOTHM2019年作
中年層より上のツボを突くと思われるHMを量産するドイツのUnderground Power Recordsというのがあるが、そのレーベル発の加Freeways、芬蘭Angel Sword
とコンピレーションCDで名を連ねたバンドがコレ。少なくとも、先に挙げた2バンドは鉄板級バンドなので、そこに肩を並べるならきっと凄いバンドだろうと
フルレングスアルバムをゲットした。但し、この盤はMetalBladeからのリリースで、NWOTHM的イメージが全く沸かないレーベルに若干不安を感じつつも
作品としては完璧に近いの内容、録音は古典的ロックを意識した必要最小限のエフェクトを志向しているが、細かい事を言えば、音量差にアンバランスさを
感じさせる箇所が散見されたり、いくら70年代的雰囲気を前面に出すからと言って、各々の楽器の最低限度の輪郭が崩れるほどの意図的な劣化はやり過ぎなのでは
と思うところがあったりと、録音面でもう一押しのクオリティアップを望まないでもない。ただ、マイカーで聴く分には少々の粗さは殆ど気にならない。
Russ Tippinsの前身Satanのドンシャリ感満載のギターに比べると、大人しめで落ち着いた雰囲気。Satanのやたら男臭い雰囲気はボクにとってはマイナスだったが
こちらはツインヴォーカルの一方が女声であり、聴いた最初はバービーボーイズかよ、と思ったが、コレがとても良い味わいになっている。
このバンドは米国産だが、70年代の雰囲気と仄かな英国情緒がある。初期Blue Oyster Cultに近い感覚がある。楽曲がとても作り込まれている上、演奏力は高く
その割にカッチリした演奏ではなく適度なラフさとグルーヴ感がある。そういう演奏とジャケイメージから、中期Uriah Heepの作風にも近い、と思わせる。
この盤を手に取る頻度はとても多く、愛聴度は結構高い。それだけ楽曲クオリティが高い。ただ、ひたすら集中して傾聴してしまうと録音の弱点に惜しいと感じる。
現時点でとても強力な盤なので、次作で難点を改善しクオリティアップすれば、歴史的名盤を作ってくれるんじゃないか、と相当期待しているバンドだ。


HALLOWED BUTCHERY - Deathsongs From The Hymnal Of The Church Of The Final Pilgrimage ★★★ (2021-10-09 23:59:05)

米国産フューネラルドゥーム2020年作
最近は米国産ドゥームは静観しがちな上、真っ赤なブラッディなジャケが好みに全くフィットしないんですが、サウンドのクオリティが高いのでゲット。
Ryan Scott Fairfieldという人の独りプロジェクト。カセットテープリリースだが、今年CDに再録されて発売されたモノを購入している。
底辺の上質フューネラルドゥームは、カセットテープリリースに注目すべし、という格言がボクの中にできつつある。しかし、カセットを楽しむ機材が無いので
こうしてCD化されたものを片っ端からチェックするようにしている。とはいえ、ポンコツドゥームも多いので試聴せずにゲットするのはハイリスクだ。
このバンドは最近のカセットテープリリースの作品中、かなり衝撃を受けたバンドだ。アルバムタイトルが示す通り、限りなく底辺を行く人生残念サウンドだが
ホンモノ感、真性さが半端ナイ。カセットリリースだとローファイ感を味わいとしている作品が多いが、この作品はそうではない。音自体はハイクオリティだ。
歪んだ鈍重なギターとアコースティックギターが織りなす、ドゥームとアングラフォークをミックスしたような楽曲に、エクスペリメンタルテイストを盛り込み
重厚な圧がありながらも、静寂とのコントラストを楽しむ感じだ。ギターサステインの減衰部分の倍音にシンセを絡ませるなど、残響をとても大切にしている。
粘り気の強いノイズや空間を劈くハーモニクスは計算され尽くされている。結構単調な楽曲だが、曲展開云々ではなく、響き渡る音響を楽しむサウンドだ。
「DEATH SONGS」というだけあって、デスヴォイスとクリーンヴォイスによる「歌モノ」という側面もある。死をテーマにした歌を歌っている感じに真性さがある。
楽曲によっては、デジロックの感触があるほど、エクスペリメンタル度は高い。そのワリに楽曲は沈み込む程に重い。そこが面白い。
そういう音楽性なので、サウンドスケープを盛り込んだPERSISTENCE IN MOURNINGあたりのサウンドがツボの人は、必ずやストライクゾーンにハマるだろう。
ボクは毎日は聴けない。この真性さはちょっとしんどいので、ちょっと根暗な気分になりたい時に、たまーに聴いて嗜む、という程度でいい。


CRYPTA - Echoes of the Soul - From the Ashes ★★★ (2021-10-04 19:03:12)

音数多めのタテ乗りドラムは、決して突っ込み気味に走ることなく、微妙なタメを持たせながら独特なリズムを刻み、決して一本調子にならない。
ベースヴォーカルのガナリ声ヴォーカルが耳に心地よく、とても刺激的だ。また、デスメタルでありながら結構キャッチーなコード進行を見せる。
そういった演奏が、他のありがちな過激なデスメタルとは一線を画すところで、丁度良い刺激がボクのツボをつきまくる。
ギターソロは2人のギタリスト各々が分担しつつ華麗に演奏するが、このバンドスタイルの特徴は、あまりデスメタル的ではないキャッチーな旋律で
盛り上げるところだ。平成生まれなんでしょうが、基本的なスケーリングで昭和のロックの旋律を思わせるこの感じと、デスメタルのギャップがいいんだよ。


CRYPTA - Echoes of the Soul ★★★ (2021-09-27 02:54:46)

オランダ産デスメタル2021年作
個人的に一目置いている女性ギタリストSonia Anubisが在籍しているレディスデスメタルバンドの作品。一応オランダ産としたが他メンバーはブラジル出身。
ヴォーカル兼ベースのFernanda LiraとドラマーのLuana Damettoは、元々故郷ブラジルでNervosaというスラッシュバンドをやっていた(未所持)ようで
かなーり若い十代頃からメタルにどっぷりハマっていたのだろうと想像するところだ。そういうこともあり、濁声ヴォーカルはかなりウマいと感じる。
そういう下地があるので演奏は安心して聴ける高いレベルにはあるが、決して職人芸的なハイテクニックではない。エフェクトも音圧も標準レベルで、
ブルータル度の高い最近の一線級デスメタルと比較すると激しさという点では物足りないと感じるリスナーもいるかも知れない。
ギターソロはワリと基本的なスケールに忠実な組み立て方で、ストレートな旋律が多く、不条理な予想外のコード進行が無く気持ち悪さは控えめだ。
リズム隊がタテ乗りの演奏をしても突進する感じが無く、重心が後ろ側にあるかのような独特なノリは、このバンドの大きな特徴と言える。
余談かも知れないが、Fernanda LiraはCannibal Corpseに愛を感じているらしく、そのプリントTシャツを着てるショットは何度か見たことがある。
また、Sonia AnubisはサイドプロジェクトのCOBRA SPELLで80年代黄金期を再現したサウンドを聴かせ、80年代メタルシーンを溺愛している人である。
推定20歳代のレディスバンドだが、キュートなメンバーたちの演奏は、決して古臭くはないが、かなり各々の好みに寄ったオールドスタイルだ。
若さ故に円熟の余地を残す楽曲と演奏に、古学校死愛が融合した結果、ノスタルジックなのに初々しさを併せ持つ魅力的なサウンドに化学変化を起こしている。
そこが最大の魅力で、モーレツにハマっている。悪魔的だがB級っぽさが濃厚なジャケセンスも、いかにも80年代古学校死的で最高だ。
Sonia AnubisはCryptaのオフィシャルサイトでギターレッスンの生徒を募集しているようだが、残念ながらボクは日本在住だ。近所なら絶対習いに行くだろうな。


WARFECT - Spectre Of Devastation - Pestilence ★★★ (2021-09-26 20:02:39)

オフィシャルビデオになってる曲。典型的な突進型スラッシュだが、その爽快感は素晴らしい。
割と教科書通りの起承転結ある楽曲、ハイスピードのリフ・ギターソロに、ものすごーく職人気質を感じる。
アルバムの最初を飾る曲で、まずココでコテンパンに打ちのめされる。


WARFECT - Spectre Of Devastation - Rat King ★★★ (2021-09-26 19:46:07)

ネズミ王をテーマにした、前半で最も盛り上がるキラーチューンだ。
走り気味の突進型スラッシュで、キレッキレのカミソリギターとトリッキーで華麗なドラミングが魅力だ。
ここまでストレートに突進されると、もう無条件で納得してしまう。ホント、カッコいい。


WARFECT - Spectre Of Devastation ★★★ (2021-09-26 19:20:24)

スウェーデン産スラッシュメタル2020年作
過去作品のジャケクオリティに惹かれつつも、今更スラッシュメタルをゲットするのも・・と思いつつ静観してきたバンドだが新作をゲットしてしまった。
丑三つ時に石造りの建物にて、バッハのような長髪のガイコツ王が、3匹のネズミに鎖のリードをつけて直立しているジャケ。全く強そうじゃないのがいい。
2曲目Pestilence(疫病)3曲目Rat King(ネズミの王)4曲目Left To Rot(腐ったまま)という流れの隙間キャラを描いたB級世界観の汚い感じが素晴らしい。
楽曲の8割は突進型スラッシュだが、コレが歪みや重量に頼ることなく、クリアな音質で圧倒的な音数を以って攻めてくるところがイイ。
カミソリのような切れ味を持つギターと、ハイテクニックなドラムによる高速リフは魅力的、そんなサウンドに濁声ヴォーカルが乗るスタイルだ。
また、ハイスピードのギターソロもカッコイイ。そういうトリッキーな演奏をジャストタイミングで演奏するからとても痛快である。
過去作品の演奏も今作ほど突出した突進型ではなかったがスピード感がありハイテクニックに挑戦していた。が、今作のようなジャスト感に欠けていたと思う。
エフェクトが軽めなところが、今作のネズミテーマに物凄くフィットしている。ハイスピードでネズミに柱をかじられてる感がとても爽快だ。
すぐ飽きてしまうかなと思っていたが、そうでもなかった。職人気質な演奏力の魅力が詰まった上質な突進型スラッシュなので超オススメ。


COBRA SPELL - Love Venom ★★★ (2021-09-20 21:33:15)

オランダ産ハードロック2020年作
バンドのメンバーは多国籍で、バンドが運営するショップがオランダにある。17分程度の4曲入りEPだが、ボクがゲットした時期は発売から間もないワリに
あまり流通しておらず50ドルが相場といった感じだった。ボクはオランダのショップで会員になって8ドル程度でゲットできたが、現在はショップでもSOLD OUT。
随分前にドゥームバンドBURNNING WITCHの盤を探している時に、たまたまBURNNING WITCHESというレディスバンドを発見したのが最初。
そこで存在感を発揮していたSonia Anubisというキュートなギタリストにボクは一目置いている。とある動画ではPossessedのTシャツを着て楽しそうに
ギターを演奏していたが、この人が80年代ロックシーンにドップリとハマったんだろうということは、一連の動画を鑑賞するとヒシヒシと伝わってくる。
超絶技巧ではないが、この人の演奏スタイルは、80年代の輝かしい時代の空気を現代に蘇らせる味わいがある。おまけに物凄く楽しそうにギターを演奏する。
現在はCryptaというデスメタルバンドで活躍しており、恐らくそちらがメインバンドなんでしょうが、80年代黄金期ロックサウンドを蘇らせるために
Sonia Anubisを中心に有志が結集したこのレディスバンドCOBRA SPELLは相当クオリティが高い。80年代ロックサウンドあるあるを存分に堪能できる。
ただ単に80年代ロックのモノマネに留まらず、楽曲がホントカッコよくて、演奏には貫禄すら感じられる。ホント、ヨダレが出そうである。
Come On Tonight、Poison Bite、Love Venom、Shake Meという4曲が収録されるが、このいかにもレディスハードロックバンドっぽい曲名がウケる。
また、このバンドロゴは80年代らしさを表現するために相当練られたらしい。ゴールデンな光沢にコブラのアタマというデザインのロゴのクオリティも高い。
なんといってもジャケがまたツボだ。OMENを彷彿させるアナコンダ級にデカいコブラが、ガラスを突き破り、裸体の女性に襲い掛かろうとしている。
一体どんなシチュエーションなのかさっぱりわからない、いかにも80年代っぽいジャケクオリティに悶絶する。
80年代黄金期と一口に言っても、どのバンドが近いかというと、SCORPIONSあたりのテイストが近い気がする。当時の空気が蘇るこのノスタルジックな感触は
当時のハードロックにハマったおっさん達には是非体験して欲しい。


IRON VOID - Excalibur - Dragon's Breath ★★★ (2021-09-20 20:12:06)

近年のエピックドゥーム作品では最もお気に入りだ。通勤途中のBGM率が相当高い。
過剰なエフェクトを避けた適度な歪みで、早すぎず遅すぎずのミドルテンポで、無駄な演出を排除しつつも聴かせどころが多い。
イーヴルなギターをバックに朗々と歌い上げ、男臭いコーラスがハモると、まるで自分が勇者にでもなって戦いに向かっているかのような気分になる。
仕事前にマイカーで聴くと、適度にテンションが上がって、なんだかやる気が出てくる。こういうサウンドをもっと蒐集したいんですが
なかなかコレに匹敵する良作には出会えない。


HESPER PAYNE - Beneath the Alum Shale ★★★ (2021-09-20 01:35:00)

英国産デスドゥーム2016年作
UNCLEAN RITUALS (2010年)のCDをギリシャのショップで発見したので、愛聴頻度は圧倒的にUNCLEAN RITUALSが多いんですが、このバンドの最高傑作は
このアルバムだ。デジタル作品で所有しているが、いくら探してもCDは見つからない。CD化されていないのかも知れないが、売ってたら誰か教えて欲しい!
今まで数多くのドゥーム作品をまるで仕事のように聴き倒してきたが、コレは歴代デスドゥーム作品中ナンバーワンアルバムと言っても過言ではナイ。
既存のドゥーム作品には無いぶっ壊れた作風、全く予想のつかない展開、音像全体が巨大な渦のように雪崩れ込んでくるこの感じ、ホント狂ってる作品だ。
ダウンチューニングの重低音を重厚に積み重ね、ギターコードの調性から明らかにズレるシンセを大胆に響かせる作風がこのバンド最大の個性だ。
鈍重で病的な音の渦が支配する30分超の楽曲だが、決して単調にならず、曲中盤から壮絶な迫力と猛毒を以って劇的に展開していく。
この曲を知って5年経つが、様々なアヴァンドゥームを漁ってみても、この作品ほど突き抜けた壊れ方と迫力を備えるバンドには出会っていない。
この人たちは、ドゥームとかメタルとかの枠では収まりきらない創造性豊かな感性を持っている天才だと思う。


DANTESCO - Pagano ★★★ (2021-09-20 00:40:13)

プエルトリコ産ヘヴィメタル2008年作
オペラ調の音痴ヴォーカルの音程外し率が低下しつつも、朗々と歌い上げて音程のズレを誤魔化してる感が否めない感じは固有の魅力であると同時にクドい。
そこにB級愛を感じつつ鑑賞しよう。前作の死神通り魔ジャケから一変、清々しい青空の下で天使を踏みつけるミノタウロスのジャケとなったことで
メタルオペラ的な音楽性と古代エジプト的世界観がピッタリとフィットした。ジャケクオリティは処女作のインパクトには敵わないが、こっちの方がシックリくる。
愛聴した頻度は圧倒的にこの盤が多いので、彼らの作品中最もお気に入りだ。このくらいのややシケ気味のギターの音像でパワフルに演奏するスタイルが渋い。
豪胆な歌唱が暑苦しいが、ギターソロやアコギの旋律にも南米的なアルゼンチンタンゴ的な熱めの哀愁が漂うのは、いかにもプエルトリコ産という感じがする。
このバンドは楽曲の完成度が高く、しっかり作り込まれてとても聴き応えがある。アクの強さが前面に出ているのでどうも過小評価されがちだ。
CIRITH UNGOLを堪能できるリスナーは、このサウンドが猛烈にツボにハマるんじゃないかと思う。


DANTESCO - De La Mano De La Muerte ★★★ (2021-09-20 00:01:56)

プエルトリコ産ヘヴィメタル2005年作
ボクとしては15年選手のベテランのイメージがあり馴染み深いんですが、このバンドを追加する時に検索に引っかからなかったということは無名なんだろう。
初期作品はどうもあまり評価されていないようだが、まあ、その理由はわからないでもない。オペラ調のヴォーカルスタイルに癖があってクドいのだ。
おまけに大胆に音程を外すくらい、音痴なんだよね。後期は改善されて決して下手ではなくなるんですが、コレを味わいとして受け入れられれば、結構ハマる。
結構ガチンコパワーメタルな感じなんですが、コレは処女作だけあって録音は万全とは言えない。しかし、この作品はそこが大きな固有の魅力となっている。
ギターが若干シケシケでペラいながらも、演奏はパワフル。コレが絶妙な味わいで、ギターソロをガムシャラに弾きまくる豪胆な感じは最高にカッコいい。
まあ、なんといってもジャケが素晴らしい。田舎道をスキップしている少女の背後にカマを持った死神が変質者のように忍び寄るジャケが美しすぎる。
今年の初めにこのバンドの新作がリリースされたんですが、初期の無骨な荒々しさは薄れ、ボクの好みからちょっとずつズレてきているのが残念。
総合的な完成度ではWe Don't Fear Your God(2013年)をオススメするが、B級愛を注ぎたくなる個性的な盤としては、初期2作品をオススメしたい。


PERSISTENCE IN MOURNING - God is Not Here ★★★ (2021-09-19 22:57:39)

英国産フューネラルドゥーム2012年作
サブタイトル「The Fifth Year Of My Idiotic War」含め、日本語訳をすると「神はここにいない、私の愚かな戦争の5年目」だろう。
ケースが大きいので購入を控えていたが、先月ついにゲット。DVDやPS4のソフトと一緒に収納せざるを得ないサイズでちょっと困る。
もはやこのタイトルで、聴く前から底辺の残念感が漂い、大方サウンド内容の暗さは予測できるが、中身は人生残念感を堪能するドゥームというよりは
ダンジョンシンセ・ダークウェイヴあたりの音楽性と言った方がいいかも知れない。
10年前の作品で、録音状態は時代相応と感じさせるが、ノイズの工夫やさりげないサウンドスケープにスキルを感じさせるところは固有の魅力だ。
ここまで残念度が高いと、Andy Lippoldtという人物、果たして友達はいるのか、一体どんな人生を歩んできたんだろうと心配してしまう。
それくらい絶望感が溢れている。この作品は近作よりもアンビエント寄りで静寂の表現中心で、激しさは僅かにあるものの物静かな暗さの方が勝っている。
Dying in Darkness(2020年)の方が録音がクリアで、起伏があり判りやすい音楽性。どちらも濃い盤だが、ダンジョンシンセ的サウンドなので
今作の方がより上級者向けな気がするね。Until Death Overtakes Meの空気を好むリスナー向けだ。
若干コモリ気味の録音状態はむしろ味わいとして感じられ、Dying in Darknessとは異なる趣きの作品という捉え方をしている。


DUNGEON CRYPT - Twilight of the Stone Age ★★★ (2021-09-16 22:23:58)

チェコ産ヘヴィメタル2020年作
コレを売ろうというセンスがスゴイと感じる超ポンコツ宅録メタルだが、また再生ボタンを押してしまった!
もはや長年メタル作品を愛聴していると、普通に完成度の高い作品は、ありきたりで喜びを感じられなくなるのか、ボクの感性が退化しているのか。
最近は3日に1回くらいはDUNGEON CRYPTを聴いている。確かに、ミドルテンポで刻むメタルはストライクゾーンだが、流石にコレはポンコツ過ぎる。
そう思っているものの、何度も繰り返し聴いてしまう謎の中毒性を秘めている。録音や演奏技術はポンコツであっても、惹きつける何かがある。
凄みも無ければ劇的に展開するような楽曲でもない。相変わらず風呂場で唸っているかのようなデスヴォイスだ。ダサいフレーズも結構多い。
きっとそういうダサさが凝縮した感じと風呂場ヴォイスのコラボレーションが絶妙にツボを突くのだろう。ホント面白い作品だ。
将来完成度が上がって普通のサウンドになるか、凄いサウンドに化けるのか、とても楽しみなバンドだ。


PERSISTENCE IN MOURNING - A Tongue of Bone ★★★ (2021-09-15 22:59:52)

英国産フューネラルドゥーム2020年作
Andy Lippoldtという人のドローン寄りインダストリアルドゥームプロジェクト。多くがカセットテープや他バンドとのスプリットなので長く購入を控えていたが
CDでのリリース作品を発見したので即ゲットした。恐らく録音年はもう少し前なんじゃないかなと思う。ちなみにDying in the Darkness(2020年)が最新作
ではないかと思うが、コレはカセットテープでのリリース。底辺の良作ドゥーム作品はカセットテープリリースが多いと感じる今日この頃だ。
人生残念ドゥームは結構多いが、WORSHIPやUNTIL DEATH OVERTAKES MEあたりの、群を抜いて底辺を行く絶望感を漂わせるバンドにはそうそう出会えない。
このバンドはそんなレジェンドに匹敵する底辺サウンドを聴かせてくれる。純然たるドゥームといった感じではなく、結構エクスペリメンタルテイストがある。
叫び・嘆きのようなヴォーカルは、ヴォコーダーを咬ませているような電子処理がされ、鈍重な音像のギターによるドゥームを展開させるが
ナイロン弦の質感があるギターを織り交ぜ、まるでアングラフォーク独特の翳りとも言える残念感をも併せ持つ。録音の残響は万全とは言えないが
冷たい緊張を表現する様々なサウンドスケープ、蠅が飛び交っているかのような醜悪なノイズなどが、サウンドクオリティを随分と底上げしている。
近年のUNTIL DEATH OVERTAKES MEと同様、ビートを排除した楽曲。底辺の残念感を表現するのに軽快なビートは不要だ。
このサウンドからは、焦土と化した全てを喪失したかのような世界、死体すら腐りきったかのような、孤独感と絶望感が感じられる。
上級者向けドゥームだが、限りなく底辺の残念ドゥーム且つインダストリアル風味を盛り込んだ前衛的なドゥームに興味があれば、コレは必聴盤だ。


HESPER PAYNE - Red Maggies Lantern ★★★ (2021-09-07 23:17:19)

英国産デスドゥーム2021年作
昨年に続いて1曲のみデジタル作品をリリース、フルレングスアルバムは作らないのかと不満が募りつつもゲット。
いつもの、森の異形イメージとは打って変わって、海辺に立つ貝を持つ魔女っぽい女性のジャケ。今作品はRoberta Wilkinsonという方がゲスト参加。
曲中で登場するクリーンな女声を担っているのだろう。紹介文に「Roberta Wilkinson appears courtesy of Geologise Theatre」という文章がある。
語学が微妙なボクですが、この人は地質学者か考古学者なのだろうか。この人のルーツを辿ると地質に関する博物館ぽいページに辿り着く。
醜悪なサウンドイメージとは全く異なる清楚な雰囲気の、全くミュージシャンに見えない風貌から、同姓同名かと疑いつつも、紹介文面からはこの人っぽい。
確かに従来の作品は森の異形、土壌汚染といったテーマが感じられる。果たしてそのコンセプトと地質博物館が関係があるのかないのかわからないが
このバンドの理解の手がかりになるかも知れない。今作品が海ということは、今回は海洋汚染がテーマなのか?抽象的な歌詞からはハッキリわからない。
まあ、そんなイメージを持ちながら、この濃厚な毒気を含む鈍重なドゥームを楽しんでいる。このバンドが描く狂気・毒気は更に輪をかけて劇薬と化している。
女声、オルガン、調性が不安定なSEが大々的に導入されたことで、従来の作品に比べて、妖艶な魔女的雰囲気が濃くなっている。森的な要素が消えたが
海際ジャケと魔女イメージが新たな世界観を想像させる。喉に詰まった異物を吐き出すような狂気のヴォーカルと重厚なギターが織りなす不安定なハーモニーは
相変わらず気持ち悪い。前作以上に、底辺の病的デスドゥームを聴かせてくれる。不快感の塊のようなアヴァンギャルっている不協和を駆使した楽曲といい
地響きのようなダウンチューイングを施したギターといい、一聴しただけでHESPER PAYNEだと判るオンリーワンな個性に圧倒される。


ANTHRAX - Persistence of Time - Got the Time ★★★ (2021-09-06 22:36:41)

Joe Jacksonの初期作品からのチョイスで原曲をかなり忠実に再現しているカヴァー曲だが
ハッキリ言って、ANTHRAXの曲の中で最も心に残っている曲で、当時は相当ツボにハマった。
この曲を知って、Joe Jacksonの作品にも興味を持った程、インパクトの大きい作品だった。
Joe Jacksonもまさかここまでスラッシュファンにウケるとは思ってなかっただろうね。


KORPIKLAANI - Ennen ★★★ (2021-09-06 22:28:36)

フィンランド産フォークメタル2021年作
最近はAIがウチのPCに勝手に、この動画を見ろと言わんばかりに、最新PVやツボを突く動画などを送ってくる。
このバンド自体、あまりにメジャーになりすぎて、無名バンド発掘に生き甲斐を感じるボクとしては敢えて聴こうとは思わないバンドではある。
が、飲んだくれフィンランド民族楽器バカバンドのこの空気は嫌いではない。
露産BROTHERS OF METALに近年結構ハマっているが、それと同等のおバカな感じや宴会的雰囲気の突き抜けた爽快感はストレス解消にもってこい。
今日この曲の最新PVがPCに届いたワケだが、コレはJoe Jacksonの処女作Look Sharp! (1979年作)のGot The Timeのカヴァーで、
少なくともボク世代(40~50歳代)でスラッシュメタル全盛期を経験したメタラーは、この楽曲タイトルでJoe JacksonではなくAnthraxを思い出す筈。
たぶんこの人たちもAnthraxがカヴァーしたGot The Timeにハマったんでしょうよ。民族楽器を駆使してホント楽しそうに演奏しててイイね。
この曲はシングルなのかフルレングス盤に収録されるのかはわからないが、とりあえずデジタル作品でこの曲単体で販売されているのは確認できた。
しかしこのチョイスはズルいな。きっとスラッシュメタルファンのツボ突きまくりでしょう。


IMMOLATION (2021-09-06 21:34:53)

〉悪い悪魔さん

こんばんわ。そのランキング
初期3作品、最新作、中期の最も邪悪な盤で5位までを占めて、Kingdom of Conspiracyが最下位という
ものすごーぐシックリくる妥当なランキングだと思うよ。
近年のIncantationやMajesty and Decayあたりの濃さは、もうボクにはしんどくてクタクタになるからあまり聴こうとは思わないが
Immolationの作品で、らしさがあって、オールドファンのノスタルジーを抜きにして、上質のクオリティの盤をチョイスするなら
AtonementとMajesty and Decayだと思うよ。


BEYOND BLACK VOID - Voidgaze ★★★ (2021-09-06 00:29:12)

ベルギー産フューネラルドゥーム2019年作
2枚組ドローンドゥーム地獄。完成形に到達したと感じるWraith Crag(2021年作)があれば、敢えてゲットする必要はないかも知れないが
DESOLATE (2003年)の衝撃作品のチープノイズの残り香が仄かに感じられる分、完成形への過程と感じられるところは魅力的である。
Stijn van Cauterの作品は、近作になるにつれて、打楽器をどんどん排除している。もはや、彼がイメージする音世界にビートは不要という
ことなのだろう。更にこのプロジェクトは旋律を奏でるということさえ否定するかのような一本調子なサウンドだ。むしろそんな苦行だからこそ
ハーモニーに特化した魅力がストレートに伝わってくる。この盤は2枚組で結構お腹一杯になるが、2枚のうち1枚目の方に特にハマった。


IMMOLATION - Here in After ★★★ (2021-09-05 23:52:53)

米国産デスメタル1996年作
同時期の気持ち悪い旋律を武器に表舞台で活躍するデスメタルと比べて、かなり地味に聴こえるのは、一本調子で展開下手な固有のスタイルのせいだろう。
このサウンドは、印象に残るメロディやキャッチーでドラマチックな展開とか絶妙なギターワークとか、そういった次元で語るサウンドではない。
そういうコマーシャルな茶目っ気を排除したところが大きな魅力で、真っ黒な、閉塞的なギターの重低音とドラム乱打の塊が渦となって襲い掛かる様を
堪能するためのデスメタルだ。濃いアングラ臭を漂わせ、黒い塊となって暴れ回る音像からハーモニクスが飛び道具のように突き刺す、濃厚な魔性が魅力だ。
その作風に惹かれるが、そもそもそういう一本調子な音楽性であるが故に、この作品以降の類似した作風が受け入れられず、また、キャッチーさが加わると
尚更敬遠したくなる。ボクにとっては同時期の同路線INCANTATIONは、より凄みを増して進化していった分、溝を開けられたという印象を持ってしまい
この盤までは愛聴盤だったが、それ以降は離れてしまった。


DUNGEON CRYPT - Paleozoic Times - Primitive Ammonite ★★★ (2021-09-01 01:29:05)

アルバム中、最も不可解で笑える作品だ。曲名を日本語訳にすると「原始的なアンモニート」だろうか。
ミドルテンポ以下のドゥーミーなバッキングに、笑いを誘う唸り声ヴォーカルが乗る楽曲なんですが
1分過ぎたあたりから、プールの中でブクブクと息を吹き出しているような謎のサウンドスケープが結構な尺で挿入される。
川の底に住む原始アンモニートの生態を表現しているのだろうか?
ポンコツサウンドで描かれる謎の世界観がシュール過ぎて、愛情を注ぎたくなるのだ。


DUNGEON CRYPT - Paleozoic Times ★★★ (2021-09-01 01:06:15)

チェコ産ヘヴィメタル2020年作
地球上で最も先進的で挑戦的な音楽が生まれている国はチェコ共和国だと常々感じている。が、メタルに関しては超のつく辺境国というイメージがある。
アヴァンロックやジャズではハイクオリティなバンドが多い国なので、メタルもスゴいバンドがある筈だと思いつつ結構普段から気になる国なんですが
多くが驚くほどのポンコツ作品だ。ゴアグラインド路線は結構気になる作品はあるものの、結局チェコ産でゲットするのは非メタルの別路線作品ばかりである。
このバンドはそんなチェコ産ポンコツメタルのひとつではあっても、何故か愛情を注ぎたくなるボクのツボを突くB級以下のポンコツ宅録独りメタルだ!
試聴段階では笑いを誘うそのポンコツっぷりに愕然としたんですが、ラストまで聴いてしまった上、2ドル払ってデジタル作品をゲットしてしまった。
まず、ジャケのセンスが笑える。夏休みの水彩画の宿題のようなクオリティのジャケだ。針葉樹でもない何の木かわからない木々に囲まれた三差路の中央に
ヘタクソなトンボが大々的に描かれる。バンド名からイメージすると、3Dダンジョンゲームでトンボの雑魚キャラが現れた的なジャケ。ウケる。
サウンドはローテクでチープなエフェクトのミドルテンポ以下のメタルだ。ヴォーカルはまるでカラオケのエコーがかかったような風呂場ヴォーカルなんだが
全く凄みの無い唸るようなデスヴォだ。そんなヴォイスでありながら、ほんの少しメロディに乗せようとする歌い方が愛らしい。とりあえずこのバンドに愛着
を感じる点はこの憎めない魅力を秘めるヴォーカルである。このヘタクソなダサい演奏に風呂場ヴォイスが乗るサウンドに、何故か中毒性がある。
この作品の最大の山場は、ラストのMorticianのカヴァーである。Morticianは米産ゾンビゴアグラインドだが、ゾンビ化する前の初期作品から
Dead And Buriedという曲をチョイスしている。この曲はPV化される代表曲だが、人々に捕らえられた男性が火あぶりに遭う内容である。
曲の導入部分で、焼かれる男の悲愴感溢れる悲鳴が聴けるなかなかイタイ作品なんだが、それを真面目にコピッて宅録で再現しているところが笑える。
いやー、悶絶してしまいました。そのラストの曲を聴いて気付いたんだが、この人の歌唱はMorticianをかなり意識している。よほど好きなんだろう。
この作品はポンコツサウンドに一喜一憂できるマニアにしか理解できないサウンドなので、クオリティを求めるリスナーはお金を出してゲットしてしまうと
ものすごーく情けない気持ちになると思うので気を付けよう。ボクはこの作品だけでなく、前作にも2ドル散財しているが、何故こんなポンコツ作品に散財
してしまったんだろうと、後悔こそナイが、そんな自分の感性にゲンナリしてしまう。
ふと仕事中にこのサウンドが脳裏に浮かび、帰宅してつい再生してしまう。たぶん次作が出ればまた2ドル払ってゲットするだろう。


SUBROSA - For This We Fought the Battle of Ages ★★★ (2021-08-23 01:08:22)

米国産スラッジドゥーム2016年作
Rebecca Vernonという女声ヴォーカル兼ギタリストをリーダーとする結構濃いドゥームだ。既に解散しているのが残念、フルレングスアルバムはコレがラスト。
今年はドゥームバンドの作品はコレばかり聴いている。バンド創設当初よりヴァイオリンを導入したサウンドが特徴で、今作もヴァイオリンが幅をきかせている。
シンセなのか生音なのかわからないが、パンフルート系の音色とヴァイオリンの絡みが心地よく、相当濃い音像の引き摺るようなギターが絡む絶品ドゥームだ。
ボクは彼女の作品はコレしか持っていないが、初期作品は友人が愛聴していた。そもそも濃いドゥームと化したのはNO HELP FOR THE MIGHTY ONES (2011年)からで
初期2作品はどちらかというとポストパンク的サウンドだった。当時からギターの音の濃さはあったが、どちらかというとドゥーム的ではなく、あまりウマい例え
ではないがSonic Youth的なアートノイズ系な感覚だったと思う。新しいサウンドを追求する空気と女性ヴォーカルという編成から、粗雑だがお洒落で、前向きな精神が
割と色濃く感じられ、また、英国Siouxsie and the Banshees影響下の後続バンドの色があったので、ドゥーム化した後もポストパンク精神が宿っているように感じる。
ドゥーム化した後は、路線としてはJex Thothと大いに被るところがあって魅力的なんですが、Jexの方は「死」「葬式的な冷たさ」を感じさせるのに対して、
「生」「前向きな生きる力」が感じられるところは大きく異なる。アルバムタイトルからも、雑草のように戦いの時代を生きていく的なコンセプトが感じられる。
やや長文なので引用こそしないが、アルバムのインナーにも生と死に関して前向きなメッセージが込められる。サウンドは鈍重なドゥームだが、この人の前向きな
メッセージを想像しながら愛聴すると、鈍重なドゥームサウンドが、葬式ドゥームに聴こえなくなる。メンバー全員が女性というワケではないが、この音からは
決して単なる魔女ドゥームではない、繊細でありながらも力強い女性の生き方を描いたかのような、オンリーワンな個性を感じることができるのだ。


PESTILENCE - Exitivm ★★★ (2021-08-22 19:40:53)

オランダ産オールドスクールデス2021年作
前作「Hadeon」(2018年作)で、Pestilenceの復活の兆しを見たので、今作は結構期待していた。彼らの作品でボクが認めるのは初期の神盤2作品
CONSUMING IMPULSE (1989年)、TESTIMONY OF THE ANCIENTS (1991年)である。前作はその当時のサウンドに回帰した上、新たな挑戦を感じる
ギターワークに感銘を受けた。但し、前作はまだ完成形とも思えず、良い頃の作品に匹敵するとまでは言えない、と思っている。
今作品、とりあえず1曲目を聴いた瞬間、前作1曲目に酷似しているリフの感じで、全く前作と同じ音楽性かと猜疑心が沸いてしまう。
ところが、決してそうではなかった。没入感と楽曲の作り込み度合いは、こちらの方が素晴らしい。かなり内容の濃い作品に仕上がっている。
Pestilenceのギターリフの特徴として、敢えてスッキリと帰結しない、2度間隔の移動を駆使して調性のわからないリフを刻む独特のクセがある。
また、前作から前面に出してきたギターソロ部分の摩訶不思議な旋律という、この2つの固有の手法を元に、複雑に曲を構成している。
Patrick Mameliの手癖も含めて、オンリーワンな個性である。調性不明な不安定さを綿密に計算、複雑怪奇に組み立てている頭脳派な楽曲だ。
ドラムの手数が多く、ヴォーカルの攻撃性が増していることもあり、疲労感が半端ナイのはマイナスだが、やっと本領発揮の渾身作が聴けたと感じる。
まあ、神盤2作品を超えるのは厳しいにしても、ボクは相当気に入っている。難点はまあいくつかあるが、当時と比較して最も差を感じるのは
ヴォーカルスタイルだ。当時は、やるせない嘆きのようなデスヴォイスにマゾっ気があって、疫病に感染しちゃった感が素晴らしかったのだが
現在は無駄に攻撃力があってサディスティックなところに違和感を感じる。コレ、当時のマゾヴォイスだったら、相当素晴らしい盤になったのでは?
と思うんだけどねぇ。


TAAKE - Kong Vinter - Inntrenger ★★★ (2021-08-18 13:51:30)

アルバム中、最も旋律が印象に残る。キャッチーでありながらとてもカッコいいギターワークがふと脳裏によぎると、またこの盤を手にしている。
なかなか中毒性の高い音質とクールな楽曲である。そんなサウンドが終盤に差し掛かる頃、ラジオヴォイスによる語りが挿入され、コレがまたカッコいい。
佳作揃いの盤で、凄い名盤という印象こそないものの、なんだかんだで今年はこの盤のこの曲を最も愛聴している気がするね。


WYTCH HAZEL - III: Pentecost ★★ (2021-08-16 02:24:42)

英国産ヴィンテージロック2020年作
ツインリードのハモりとコーラスがオンリーワンな個性を放ち、必要最小限のエフェクトでヴィンテージ感溢れるサウンドを聴かせる。
この作品は発売日まで調べて即ゲットしたが、意外とボクの心に響かなかった。というのも、前作「II: SOJOURN」(2018年)の音楽性から
ほぼ変化を感じない作風で、とりあえず前作以上の魅力を感じなかった。愛聴した回数が多い分、前作の方が断然ボクのツボである。
ゲットして暫く経つが、やはり前作のインパクトが大きかったせいか、この盤を頻繁に聴くというところまでいかない。
決して悪くないんだけど、前作路線の作品をもう1枚作ってみました、という感じで、残念感のある作品になったという印象だ。
好きなバンドだけに、次作は心に響く作品を作ってほしい。