オランダのデスメタル・バンドによる'94年の3rd(『EMBRACE THE DEATH』を1枚目と数えれば4作目)アルバムとなるセルフ・タイトル作です。 ヴォーカル・ベースはこのアルバムのみのRon van Pol。ドラムスとキーボードも今作限りのメンバーなため、ギターのEric Danielsだけが以前からのメンバーという微妙なラインナップ。 しかも私が彼らに惚れた出会いの作品である4th『God Cries』のみEricが不参加だったため、なんとメンバーが一人もかぶらない。完全に次作とは別バンドです。 ちなみにTheo Loomansが歌う『God Cries』の後に聴いたのはMartin van Drunenが歌う1st『The Rack』で、結局私が聴いた3枚はみな歌声が違うんですよね。でも3人ともタイプは違えど私好みで、しかも3枚とも「ああ、ASPHYXだ。良いアルバムだなぁ」と聴き惚れてしまうのです。 それでこのアルバムなのですが、とにかくドゥーム感が強い。重々しいスロー・ナンバーが快感な、ズッシリ系デスメタルになっています。1stにもその傾向はありましたが、更に徹底しています。 特に(1)「Prelude of the Unhonoured Funeral」と(5)「Initation Into the Ossuary」は沈み込み具合や荘厳さが素晴らしく、ドゥーム・デス/ゴシック・デス系を好むリスナーには堪えられない名曲です。 かと思えば(7)「Abomination Echoes」はインダストリアル系バンドのような機械的ズンズン・リフがたまらんし、(8)「Back Into Eternity」のイントロのシンセなんて「これ絶対ブラックメタルが始まるヤツ」って雰囲気で、おいしいったらありゃしない。 ジャンル分けが固まる前の型にはまらないデスメタル。しかもこのラインナップは1枚のみ! 個性的で味のあるメタルが好きなマニアにはおすすめです。
'23年発表の、5th(CADAVER INC.時代を含めれば6th)アルバムです。まあ、私は今作が初CADAVERですが。 で、今作をなぜ聴いたのかというと、ロニー・ル・テクロが加入したっていう驚愕のニュースを目にしたせいです。 同郷ノルウェーのレジェンドであるTNTの、『KNIGHTS OF THE NEW THUNDER』収録曲「DEADLY METAL」をカヴァーさせてくださいって言ったら、ギター俺に弾かせてよって本人がノリノリで、そのままアルバム全部とバンドそのものにまで参加しましたとさ・・・って、どんなおとぎ話だYO! そんな流れからの想定としては、漆黒のデス(一時期ブラック)メタル・バンドがメロデス化する悪夢しか思い浮かばないのに、実際出てきたのはプログ・デスとかサイケ・デスと言いたくなるような狂った音楽っていう斜め上展開。 ロニー・ル・テクロって、透明感のある北欧メタルなんて一時期しかやってなくて、TNTもソロもやりたい放題のごった煮プログなクレイジー野郎でしたね。ついでに自分のスタジオでエクストリーム・ミュージックの収録に立ち合い続けた人みたいです。 DEFILEDの新作もそうでしたが、最近のデス・メタルは本当に自由も自由、みんな尖ってればなんでも良いって好き放題やらかしてくれてます。このアルバムも類型にはまらないんで説明が難しいったらありません。 「ヤバいメタル」って感じの音楽デス。ロニー・ル・テクロの所業かどうか知りませんが、変なギター満載の、マニア必聴な異色作。
少し前にAtonementのコメントを書いた後、この作品をすぐに注文して早速聴いてみました。 やっぱりいい! Kamiko!さんがAtonementのところでおっしゃっていた通り、モダンな音質のせいかこのバンド特有の閉塞感は薄いし、煌びやかになり過ぎている印象も持ちますが、音楽の芯の部分はブレていないと僕は感じました。 ただAtonementとは微妙に作風が違っており、Atonementほど邪悪で荘厳な空気は漂っていません。このKingdom of ConspiracyはそういったImmolation特有のアトモスフィアを意図的に抑え、あえて無機質な凶暴性を剥き出しにした作品だと僕は感じました。 というのもこれの前のMajesty and Decayという作品は邪悪ムード全開の作品だったと僕は思うので、今作はそれとは同じにならないようにあえて路線を少し逸らしたのではないかと思います。なのでimmolationにしては珍しく純粋なブルータリティだけで押してくる作品になったのだと思います。 そう考えると、今までの邪悪オーラ全開のImmolationが好きだった方には合わないというのも分かる気がしますね。 ただ、僕はImmolationを聴くのは完全に後追いなので、このバンドの特定の時期に思い入れがあるわけでもなく、先入観のないフラットな気持ちでこの作品を聴けたから好印象に受け取れたのだと思います。 それに今までに比べて邪悪な空気が薄いというだけで、やはりこれはImmolationだというオーラは変わらず放っていると僕は思いました。 個人的にはImmolationを初めて聴くなら評価の高い初期作より、このKingdom of Conspiracyか次のAtonementの方が分かりやすくて入りやすいのではないかと思います。
アメリカ産のブラッケンド•デスメタルバンド。 「地獄のコイル」というバンド名がピッタリの激烈かつ暗黒なサウンド。 グラインドコアバンドのDead in the Dirts のG&Voが同じパートで在籍している。 ノイズやら激速リフやらスネアの音圧が半端なく、1度や2度聴いたくらいでは何が行われているか分からないだろう。
1990年はJUDAS PRIEST「PAINKILLER」MEGADETH「RUST IN PEACE」SLAYER「SEASONS IN THE ABYSS」そしてPANTERAが「COWBOYS FROM HELL」で、メジャーデビューと、衝撃作・話題作が目白押しだったから、フォローアップされた方も、少なかったと思われる。