前作とは打って変わってしまったアルバム。だがそれがいい サタニックなスラッシュメタルだった前作も、まさにオリジナリティ溢れまくりで当然よかったんだけど、本作は完全に独自路線へ進んでます。 いくつも入れ替わるリフ・ワークや、不意に乱入してくるシンフォニー、不釣合いにドライヴ感満載のドラム、吐き捨てに混じって登場する「泣き」のボーカルなど、まさに予測不可能。定型化されたプログレ・メタルよりよっぽどアイデアが豊富じゃないか。こういうのをプログレッシブって言うんじゃないのかな……。 曲ごとの個性もしっかり確立されているし、まさにトータルで聴くべきアルバム。中でも「Mesmerized」「Sorrows Of The Moon」が◎。
M1のどちらかというと明るいノリに度肝を抜かれ、その後の半泣きボーカルに更に度肝を根こそぎひっこ抜かれました。あの天然悪党顔でやってると思うと不気味です。いや、無愛想&邪悪路線からいきなりこういう路線に作品持って来れる才能はもっと怖いですが。 それにしても、デビューアルバムの「Return to the Eve」から彼らは女性ボーカルの入れ方が巧みですね。今回は「Tristesse de la Lune」がその極みかも。
Mega Therionとはあのアレイスター・クロウリーの自称(ここでミスター・クロウリーなんて歌ってはイケマセン)。マーティンいわく、「我々のホーリー・グル」だそうな。ちなみにTherionとはギリシャ語のテーリオンで、新約聖書ヨハネの黙示録に出てくる獣のこと。MonotheistのSinagoga Satanaeにもちょうどその部分のラテン語が歌詞に使われている。 それはそうとして、今聴けば特徴的なリフをもつ普通のスラッシュなんだけど、出た当時ではやっぱりとってもアヴァンギャルドだった。こんなこと書いている私はその時は全く評価不能だったです。我が身の不明を恥じます。ともあれ、まさか日本で生で聴ける日が来るとは。いやはや、感無量。