米国産スラッジドゥーム2016年作 Rebecca Vernonという女声ヴォーカル兼ギタリストをリーダーとする結構濃いドゥームだ。既に解散しているのが残念、フルレングスアルバムはコレがラスト。 今年はドゥームバンドの作品はコレばかり聴いている。バンド創設当初よりヴァイオリンを導入したサウンドが特徴で、今作もヴァイオリンが幅をきかせている。 シンセなのか生音なのかわからないが、パンフルート系の音色とヴァイオリンの絡みが心地よく、相当濃い音像の引き摺るようなギターが絡む絶品ドゥームだ。 ボクは彼女の作品はコレしか持っていないが、初期作品は友人が愛聴していた。そもそも濃いドゥームと化したのはNO HELP FOR THE MIGHTY ONES (2011年)からで 初期2作品はどちらかというとポストパンク的サウンドだった。当時からギターの音の濃さはあったが、どちらかというとドゥーム的ではなく、あまりウマい例え ではないがSonic Youth的なアートノイズ系な感覚だったと思う。新しいサウンドを追求する空気と女性ヴォーカルという編成から、粗雑だがお洒落で、前向きな精神が 割と色濃く感じられ、また、英国Siouxsie and the Banshees影響下の後続バンドの色があったので、ドゥーム化した後もポストパンク精神が宿っているように感じる。 ドゥーム化した後は、路線としてはJex Thothと大いに被るところがあって魅力的なんですが、Jexの方は「死」「葬式的な冷たさ」を感じさせるのに対して、 「生」「前向きな生きる力」が感じられるところは大きく異なる。アルバムタイトルからも、雑草のように戦いの時代を生きていく的なコンセプトが感じられる。 やや長文なので引用こそしないが、アルバムのインナーにも生と死に関して前向きなメッセージが込められる。サウンドは鈍重なドゥームだが、この人の前向きな メッセージを想像しながら愛聴すると、鈍重なドゥームサウンドが、葬式ドゥームに聴こえなくなる。メンバー全員が女性というワケではないが、この音からは 決して単なる魔女ドゥームではない、繊細でありながらも力強い女性の生き方を描いたかのような、オンリーワンな個性を感じることができるのだ。