Varg Vikernesによるブラックメタル・アンビエントのプロジェクト・バンド。録音の際、ボーカルとすべての楽器をヴァーグ自身が担当している。バンド名はモルドールの暗黒語で「闇」を意味する burz に複数形の接尾辞 -um を足したもの。Burzum の活動の中で、Vargは Count Grishnackhと名乗っていたが、Grishnackh は『指輪物語』に登場するオークの名グリシュナッハ Grishnákh から取られている。また Count は一般には「伯爵」の意だが、Varg自身の主張によれば、語源であるラテン語のComtes(仲間) を意識しているという。
Vargはナチズムの信奉者として有名で、民族主義的色彩の強いゲルマン異教思想の一種である Wotanism や Odalism の信奉者でもあるが、Burzum で扱うテーマはもっぱら指輪物語と北欧神話からヒントを得ている。また、Vargはメタル、ひいてはロックが黒人音楽にルーツを持つことを否定的に捉えているが、メタル自体に対しての否定はしていない。
いわゆる「デス声」とはまた異なる喚き散らすボーカル、極度にノイズが乗り音が割れたギター、同じフレーズの反復、北欧神話をモチーフとした歌詞などからなる独自の世界観を築き上げており、現在でも世界中に根強いファンを持っている。
ヴァーグが刑務所に収監された後に録音された後期の2枚のアルバムは完全なインストゥルメンタルとなっている。これは刑務所の独房内に楽器の持ち込みを禁止され、小型のシンセサイザーの使用のみ許されたためである。とはいえ、投獄前に製作されたアルバム、Filosofem の全6曲中の後半3曲もシンセを多用したインスト曲で構成されており、仮にユーロニモスの殺人がなかったとしても、同じような方向性に向かった可能性が高い。再始動後の Belus ではシンセサイザーによるインストゥルメンタル曲はなく、初期の作風に回帰している。