この曲を聴け!
RACING/音速 / LOUDNESS
HELL-BITES ★★ (2005-01-22 22:08:00)
オリジナル再結成初の作品、「Spiritual Canoe」で僕を虜にし、「Pandemonium」で僕を悪い意味で裏切り、「Biosphere」「Terror」に関しては、試聴しただけで購買意欲が湧かなかったという、罪深き日本の大御所バンドLOUDNESSですが、本作では、珍しくB!誌での評価も高く(それは前作もか)、さまざまなサイトでオールドファンからも絶賛を受けていたので、試聴する機会がなくても、ここに来てやっと買いました。
で、聞いた感想・・・良い意味で裏切られた!!!
まず、前評判がとても良かったものだから、僕はきっと、本作は「80年代ラウドネスへの回帰」的なサウンドであると思っていたのだが、その予想は、全くではないものの、大方裏切られた。
楽曲のヴァラエティに関しては、かの再結成1作目「Spiritual Canoe」に遠からずだが、「Spiritual Canoe」が、意図的に懐古的側面を見せていたのに対し、本作は80年代、90年代、そしてオリジナル再結成後の要素全てのミックス&咀嚼、結果的な前進、未だ現役だぜ~進化中!!といった印象を受けた。よって、正統派HMなサウンドもあれば、怒濤のヘヴィナンバーあり、エスニックな感覚あればヒップホップ的要素もあるのだが、それら全ては、「ラウドネス・サウンド」を形成する上でのスパイス的なもので、本作の肝は、彼らが80年代から世界を股に掛けてやっているというHMバンドとしてのプライドであり、よってどんな路線でやろうが、HMから逸脱しない、精神的な意味での重さ、スピード感が、本作では久しぶりに見られたような気がする。90年代後半以降の、意図的にHMから逸脱しようとしていた作品群とは、そこが大きく異なる。
楽曲に関しては、2004年盤「ラウドネス(1st収録曲のこと)」とも言うべき1~2を筆頭に、デスラッシュの如くツービートで疾走する3、初期のプログレ的な展開も見せるヘヴィ・ナンバーの4、過去の「ロンリー・プレイヤー」「エンジェル・ダスト」などを時に想起させる6と7など、とにかく前半の掴みが良い。8以降は、前作まででも見られたダーク&ヘヴィネス路線が展開されている楽曲が多く、ヒップ・ホップなどの要素も垣間見える(無機質なリズムに浮遊感漂うリフって感じ)が、それでも本作においてはやはり「HMであること」の比率が多く、メロディーの充実もあって、結果的にその要素達が、飽くまで味付けの1つにしか聞こえないあたりが凄い。そして、感動の名曲14である。「バーニング・ラヴ」や「夢・ファンタジー」を想起させるこの楽曲に関して言えば、80年代の名曲群と比較しても遜色のない出来と言える。
結果的に1番気に入ったのはどれか?と言われれば、シングルとしてもリリースされた8「クレイジー・サムライ」だろうか。この楽曲は、オリジナル再結成後、もっと言えば山田雅樹時代から彼ら(高崎)が追求してきた、ラウド&ヘヴィ路線の1つの答えであり、その路線での最高傑作であろう。楽曲の路線がどうであれ、いかに日和であれ、この曲は僕の心を捕らえて離さない。凄いテンションです。
今回の作品で、注目すべきは、高崎の超絶技巧でもなく(だって当たり前にピロピロしてるんだもん)、二井原の天才的歌詞でもなく(全盛期に比べればこのぐらい大したことない)、やはりどんなヘヴィな楽曲にも流れる、キャッチーなメロディでは??
結論を言うと、80年代回帰型サウンドではないので、「80年代限定」を求める向きには今回も賛否両論だろうが、今もまだ現役であり、彼らが進化しているという証を見たい(聴きたい)向き、そして、2000年以降でもっともHMな彼の音に触れたい向きへなら、間違いなくお勧めできる。まあ、好きな人も嫌いな人も、日本人なら、この「クレイジーな侍」達を誇りに思おう。
「奇行続けてきたんだ 不思議がられてきたんだ
殻に籠もって何が悪い?
行方知らずのままに その日暮らしのままに
流れに逆らうサムライ」 ~LOUDNESS[Crazy Samurai]より引用
その通りです。ワタクシ、一生ついてきます。世界を斬れ!ラウドネス!
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