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Angel of Retribution / JUDAS PRIEST
Blazing Blast ★★ (2006-07-30 23:53:00)
BURRN!でそのニュースを呼んだ時は、心底驚いたと同時に言葉に出来ない"安心感"を感じた。
HALFORDで自分自身を見つめなおしたロブが、自らの"国"であるへヴィメタル界に舞い戻り、自分自身の"家"であるJUDAS PRIESTに帰ってきた。
TWOでの失敗でへヴィメタルファンからの顰蹙を買ったロブだが、彼が自分自身を見つめ直し、出した答えは正しかった。
その強い意志は、HALFORDの傑作「RESURRECTION」にしっかりと刻まれている。
PRIEST側について言うと、リッパーには残念な結果となったであろう。
「JUGULATOR」と「DEMOLITION」という2枚のアルバムで、"ロブ・ハルフォードの後任"と言う名のプレッシャーに押しつぶされそうな中でも、
それに屈することなく、前進し続けた。
そんな彼の姿勢は、間違いなく評価されることであろう。
ロブの復帰後もいろいろと事は進み、そして完成したのがこの「ANGEL OF RETRIBUTION」である。
「PAINKILLER」でのラインナップでの15年振りの作品。
正直、あのアルバムは私がへヴィメタルを聴くきっかけとなったアルバムなので、個人的な思い入れは非常に深い。
だが、本作を聴くまでは「どのような作品に仕上がっているのか楽しみ」な自分と、「PAINKILLERの方とどちらが良いか」と言う気持ちの中で迷っている自分がいた。
結果としては、私の中では「PAINKILLER」を越えることは出来なかった。
当然であろう。
あのアルバムと本作では、自らの置かれた状況も環境も何もかもが全く違う。
では、「「PAINKILLER」の方が良いのだから、本作は駄作か?」
答えはNOである。
「PAINKILLER」の方が良いと言うのは、あくまで個人的な意見の一つであり、その意見だけで本作をつまはじきにするつもりは全くない。
では、本作はどのようなアルバムとしての意味を持っているのか?
ロブ・ハルフォードの復帰。
それはロブ自身だけでなく、グレン、KK、イアン、そしてスコットのPRIEST側にも、大きなプレッシャーとなって圧し掛しかったことであろう。
結果的に、本作はそのプレッシャーの影響を受け、
良い意味で周囲からの圧力というものをそのままサウンドに反映させたものであると言える。
1曲目のJudas Risingで感じられる、へヴィでラウドなサウンド。
リッパー時代のアグレッシヴすぎるサウンドを抑え、さらに正統派のへヴィメタルサウンドを展開している。
「時代と共に、JUDAS PRIESTは進化してきた」
言葉に表すと、正にその通りである。
本作の中にいるのは、デヴュー当時のハードロックバンド然とした姿でもなければ、
圧倒的なツインリードを持って駆け抜けた80年代の姿でもない。
"メタルゴッド"としての宿命を自覚し、自らの行けるところまで前進することを誓った真のへヴィメタルバンド
"JUDAS PRIEST"がここにいるのである。
音楽性が時代と共に枝分かれし、常に混沌とした状況のへヴィメタルシーンにおいて、
本作は一つの投石となる。
ここにあるのはへヴィメタルの"過去"ではない。"今"なのである。

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