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The Shadowthrone / SATYRICON
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2008-12-02 17:23:00)
94年発表の2nd。

メロディックブラック/トラッド寄りブラックとしての支持の厚いこのアルバムですが、私はBURZUMとは違う方法論で、ブラックをアンビエントに接近させた作品なんじゃないかと思ってます。特にギターの、時にノイズ質で音像に靄をかけ、催眠的な雰囲気を強めたり、時に中世的メロディで直接情景を描いたりなど、バンド音楽としてのグルーヴは二の次で情景を描く事に専念している音色にそれが顕著。

早い話、Satyrのソロで中世的な世界観を描き出すシンセアンビエントのWONGRAVENを、描く情景はそのままにブラックの音像で表現した感じ。最近VELVET CACOONやALCESTなど、ブラックのノイズ質を利用してアンビエントやシューゲイザーに接近するバンドが認知されはじめてますが…私はBURZUMがこのムーブメントの源流にいると思ってたんですが、初期SATYRICONもこのシーンに強い影響を与えてるのかもしれませんね。

しかし、このアルバムが真に魅力的なのは音楽性が独創的なだけでなく、きちんとメロディックブラックとしての質の高さも両立させていることでしょう。WONGRAVENでも大いに聴かれた中世的なメロディはやはり素晴らしいし、要所でのFrostのブラストも迫力がある。

以前DIMMU BORGIRが初期のアルバムをメタリックな音で再録してましたが…私的にはSATYRICONにこのアルバムでそういう試みを演って欲しかったです。「Dominions of Satyricon」辺りは最近のライブでも演るみたいですが、せめてライブ盤を出して欲しいなぁ…シングルのカップリングじゃ物足りないです。

ブラック関連のアーティストのインタビューなどを読むと、ブラックは最近のものよりも昔のものを好んで聴く人が多いみたいですが…今のブラックのシーンも好きだけど、確かにこの頃のブラックメタルの作品って不思議な魔力みたいなものが宿ってるものが多いと思う。感性なのか計算なのか分からないのは前作同様なんですが、Satyrが天才である事を裏付ける作品だと思います。

→同意