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Octavarium / DREAM THEATER
Straysheep ★★ (2005-08-01 21:21:00)
現在アメリカで大ベストセラーとなっている、ロス・ブラウン著「ダヴィンチ コード(2003年刊)」に触発されて製作したであろう作品。
本作中に顕著に見られる 5 と 8 の数字は、上記小説中に登場する「フィボナッチ・ナンバー」の最重要数字のことである。
フィボナッチ・ナンバーとは、世の中の森羅万象を数値の組み合わせによって解き明かそうとする、古来より西洋に伝わる風水や占術のような民間学問の一種なのだが、この小説にはその他にも理性の優位に基づく近代科学の世界では長らく無視・蔑視され続けて来た、言わば「庶民の生活の中から生まれた智慧の体系」とでも言うべき様々な民間学問について述べられている。
ドリーム・シアターのオリジナルメンバー3人は恐らく、第2次世界大戦より60年が過ぎ、明らかに行き詰まりを見せている近代科学文明に代わる、大げさに言えば人類全体が着目すべき新たな価値体系を発見するための有効な手掛かりを、それら「智慧の体系」の中に見出したのではないだろうか。
60年×6=360年前頃に発生した「Order of Reason」 の進化の歴史、つまり発明・発見の歴史の終焉を彼らは本能的に感じ取り、彼らの感じ取ったものと同質の「感じ」を「ダヴィンチ コード」で展開される「智慧の体系」の中にを見て取ったのではないだろうか。
この「智慧の体系」の復権をROCKの世界で訴えた作品に「In The Court of The Crimson King」がある。
行為において「動機を重視する弁証法的発想」から「結果を重視する帰納法的発想」への人類意思の転換、更に言えば近現代から中世への歴史的回帰のスパイラルが回り始めたことを、私と同じくDTオリジナルメンバー3人も感じているのだろう。
恐らくはピート・シンフィールドも。
本作はドリーム・シアターに属する3人のStraysheepが見つけた未来への展望、そして決意の記録である。
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