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Fused / TONY IOMMI
火薬バカ一代 ★★ (2010-05-17 22:08:00)
『SEVENTH STAR』以来となる、トニー・アイオミとグレン・ヒューズのコラボ作品だが、最初に①を聴いた時は、アイオミ謹製の暗く沈み込むようなヘヴィ・リフの上に、グレンの陽性な歌唱が乗っかるそのミスマッチさに、どうにも違和感が拭えなかった。『SEVENTH~』の時はそんな風には感じなかったのだが、正調ブリティッシュHR路線を志向し、且つドラッグとアルコール依存症でヘロヘロだったグレンが雇われシンガー役に徹していたあの作品に比べ、今回は、初期サバスに通じるダークネスとヘヴィネス重視の作風なうえに、野心むき出しのグレンのVoが「これを機会にサクセスしたるでぇ!」とばかりに、前へ前へと押し出してくる事が違和感を強めてる要因か。
とは言え、一級のギタリストとシンガーが手を組んだ作品ゆえクオリティが低い筈もなく、また、当初感じられた違和感も聴き進めて行けば徐々に薄れていく。中盤以降は、『HEAVEN AND HELL』の頃を思わせる転調パートを備えた⑤、ポップな味わいも感じられる⑥、強力無比なグレンの歌唱が曲の持つ劇的さを引き立てる⑦、悲壮感に満ちたGリフが刻まれる⑧、本編屈指の名リフが疾駆する⑨、そして強烈な泣きを伴ってアルバムをドラマティックに締め括る荘厳なエピック・ソング⑩・・・と、様式美サバスを愛して止まない我が身が聴いても「流石トニー!」と惚れ惚れさせられる強力な楽曲が並ぶ。
まぁ、ロニーとかトニー・マーティンとか、もっと暗めの声質のシンガーが歌った方が、よりハマッたと思わなくもないけれどね。

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