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Sideshow Symphonies / ARCTURUS
mokusatu ★★ (2006-09-29 02:41:00)
前作でこのバンドに見切りを付けていた昨日までのワタクシは遥か彼方へ吹っ飛んで、宇宙の藻屑と消えました。「ARCTURUSの中心人物はGarmだったんだろう」という私の憶測は、見当外れの大嘘でした。申し訳御座いません、とキャプテン・ Sverd(Key.)に土下座しなければなりません。05年発表3年振りの4th、これは嬉しい誤算の大傑作です。

このアルバムは、広大な宇宙の未知なる暗黒に対峙しているような、やるせない、しかし飲み込まれそうな恍惚感を丹念に描写しているかのように思えます。聴いてると宇宙の塵として漂い、消え入りそうになります。
ブラック・メタル的な攻撃性は全く中核に置かれず(このバンドはそんなものを中核にした事は一度もありませんが)、漠然とした暗鬱な不安感と、それを嘲笑うような可笑しさが、(シンフォニック・メタルにありがちな大味さでなく)プログレッシブ・ロック的な繊細さで美しく描写されていきます。結果、このバンド史上最も穏やかな作品となりました。
今作でついにメイン・ボーカルとなったSimen(DIMMU BORGIRのB.)の声質は今作の静謐とした音楽性に本当によく調和しており、この完成度ならば、私は「Gramに抜けてもらって良かった」と思います。単純に高音域の幅はSimenの方が圧倒的に広いですし、中性的な色気は独自の魅力です(つまりそこまで声域が高い)。加えてデス声は完全排除と言っていい上女声まで取り入れられ、「歌もの」として成り立っている点がまた聴き易い。
2ndのような不条理の域まで拡散を止めないシアトリカル・メタルではなく、シアトリカルの焦点を絞ったプログレッシブ・ブラック・・・いや、ブラックの要素など皆無といえるのだから、これはつまりノルウェジアン・プログレッシブ・メタルだ。私の中のメジャー・ブラックの理想的なスタイルであり、ARCTURUSミュージックの完成形と言いたい。本当に素晴らしい!!(ちなみに音質については他の方が言われている通りです)
ただブラック・メタル・ファンにウケないだろうし普通のメタル・ファンでも微妙である。プログレが大丈夫な方に、ブラック・メタルというカテゴリは忘れて、是非手に取って頂きたい。
ベースの座に再びHugh Mingayが復帰(粘っこいプレイが相変わらず素敵です)。さらに二人目のギタリストとして加わったTore Morenはヨルン・ランデのソロ「Jorn」というバンドでプレイしていた人であるらしい。いきなりブラック・メタルがイングウェイとつながってしまいましたけどw。というかそのJornの2ndでドラム叩いてるのHellhammerだし。かなり笑わせて頂きました。

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