この曲を聴け!
Written in Waters / VED BUENS ENDE
mokusatu ★★ (2006-05-06 01:43:00)
当時のノルウェーブラックメタル界のタレント達で結成されたバンド、もしくはプロジェクト。メンバーはDODHEIMSGARDやAURA NOIR他様々なバンドに関わっているCarl-Michael(Vo&Dr)、DODHEIMSGARDのVicotnik(G&デス声)、ULVERのSkoll(B)の3人編成。
メンバーからして当然、ブラックメタルを期待して聴き始めるが、聞こえてくる音はミドルテンポ中心の、不気味な3ピースアンサンブルと気だるい歌唱が延々続く内容で、ブラックどころかゴシックでもなく、メタルというのも首を捻るような、アヴァンギャルドとかプログレッシブとしか表しようのない、アンビエント・メタルもしくはブラック・ジャズ・メタルだ。音像をカテゴライズするのは非常に難しい。
最初は印象を言葉にする事も出来なかった。ブラックメタルのような暴力性はほぼないし、メロディックでもなく、歌が上手いわけではないし、でも気味の悪さだけは徹底されていて、「不思議で謎めいたアルバム」という事で一旦結論を出してしまった。
だが、歌詞を読むと突如、印象が鮮明になる。
正確に訳したわけではないが、歌詞の印象は、後悔や失望や居直りや諦めが繰り返される悪夢的幻惑の世界で、歌詞を読みながら聴いていくと、孤独と絶望の泥沼に沈みこんで抜け出せなくなる。覇気のない歌も、引き攣るギターも、蠢くベースも全て、生きれば生きるほど醜く汚れていながら、救われる気もない人間の病的な暗黒を描写しているようで、それが約60分揺るぎなく続くわけである・・・。
ゴシックでもドゥームでもなく、ブラックメタルの病から生まれた輝かしい奇形児。
再発輸入盤ジャケットのゾンビの群れは、紛れもなく、私達の姿であろう。
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