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Monotheist / CELTIC FROST
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2007-06-13 02:00:00)
私もこのアルバムで初めて触れ、そして圧倒されたクチです…好きなミュージシャンが挙って「CELTIC FROSTは凄い」みたいに言っていたので、試しに聴いてみたらホントに凄かった…っていうか凄すぎた作品。

作風的には結構バラエティに富んでいて、爽快感の全く無い激重スラッシュからゴシックから耽美さを抜き取って疫病化したような曲、クワイアと女性のリードヴォーカルという声だけで作られた曲(これは日本盤のみ)、ノイズ寄りの視点から邪悪さを追求した曲、14分を超えるドゥーミーな大作まで幅広いですが、どの曲も共通して病んでいてとことん不吉な空気感が徹底しているのが凄いです。聖櫃ならぬ、この世の全ての疫病を詰め込んだ「邪櫃」みたいなものがあるとしたなら、それはこの12センチの円盤を指す言葉なのかもしれません。

また、このアルバムはギターの音が本っ当に素晴らしい!!これ、メタラーなら誰でも音色を聴いただけで悶絶してしまうのではないでしょうか…。こんなかっこいいギターの音初めて聴きました。これでシンプルながら印象に残る、重々しいリフなんか弾かれたら、そりゃ素晴らしいものが出来るに決まっているじゃないですか(笑)。バンドサウンドによる重さだけでなく、前衛的(というか音響的)な側面からそれを追求したパートも結構あるのが良いですね。重くて病的なだけじゃなくて、知性も感じさせる作風です。

ヴォーカルは…最初は分かりやすい病的さが感じられない為、いまいちだと思ったんですが、聴いていくうちに、教祖のような威厳がある事に気付いて気に入りました。「OBSCURE」等で見せる、苦悩が伝わってくるような表現力も良い感じです。…ほんと、ここまで聴き手に作品と向き合う事を強要するアルバム、なかなか無いですよ。

ジャンルは違いますが、KLAUS SCHULZEの「Irricht」なんかも相対する事を強いる作品ですが、精神力の消耗度は段違い。凄いけど、個人的には軽く聴けないアルバム。でもこの聞き流せなさこそメタルなのかもしれませんね。そういう意味では、メタルが好きならば持って置いて損はない、というか必携の作品と言えるかもしれません。

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