この曲を聴け! 

Kezia / PROTEST THE HERO
メタラァ ★★ (2006-12-16 18:45:00)
この作品を試聴させてくれたTOWER RECORDS様に、まずは感謝の意を表さねばなるまい。ありがとうございます、こんなに素晴らしいアルバムを紹介していただいて。
本当にこの作風、音楽性を表現するのは難しいですねぇ…。
『このバンドについて語れ!』にもあるようにTHE DILLINGER ESCAPE PLANをメロディアスにしたような…、という表現はかなり的を射たモノだと思います。
複雑に、狂気と混沌を撒き散らしながら展開していく楽曲はまさにかのバンドに近い感じ。
ただ、やはりこのバンドは非常にメロディアスなんですよ。バックがどんなにカオティックに暴走していようと、基本的にヴォカルはクリーンにメロディアスに歌い上げ(まぁ、たまにスクリームというかデス声というかハードコア声というか、歪んだ声も登場しはするけど、頻度はさほど高くないし、そこがアクセントになっていてクリーン・ヴォイスとのコントラストになって双方がさらに印象的に)、またギターも狂気と狂気の間にメロディを挟み込むこともしばしば。さらに③DIVINITY WITHINのラストにはクラシカルなピアノ・ソロ、⑥BLINDFOLDS ASIDEの終盤はアコギをバックに女声と爽やかに軽やかになんて場面まで登場します。アルバム全体が混沌に彩られているといったところにこういうパートを盛り込むところがまたセンスが良い!!
演奏力も非常に高く、個々のリフそれぞれが非常にテクニカルであるにも関わらず更に展開まで複雑というギター、またそのギターはリード・プレイにおいてもテクニカル且つメロディアスだし、ベースはギターとユニゾン決めたりするしバックに徹しているときでもグルーヴィでメロディアスでテクニカル。手数足数が多く難解な展開をリードしていくドラマーも恐ろしいまでのテクニシャン。
ヴォーカルは声ちょい高めで、声域もズバ抜けて広いわけじゃないしズバ抜けてパワフルでもないしズバ抜けて巧いわけでもない。…だのに、何故かわかりませんがこの音楽に凄く合ってるんですよね。こんな道(笑)に入ってきていなければエモ系のバンドで歌ってても不思議ではない声です。気合の入り方はまるで違いますが(笑)
…で、このバンド、PVでは演奏しながらギターやベースぶんぶん振り回したりして「PVだからって張り切っちゃって…」なぁんて微笑ましく思ってたら、なんとまぁ、ライヴ映像を観てみるとそこでも普通にそんな感じでした(笑)楽器ぶん回すわ、ヘドバン激しいわ、ヴォーカルたまに狂ったような動きするわで、ナンジャコイツラ……と。
更に更に加えて、この人たち、見た目がか~なり普通のアンちゃん!(笑)ホント、そこいらのエモ系バンドみたい。眼鏡掛けちゃったりね。(ま、長髪の方もいらっしゃいますけど)
ま、そんなこんなで、どこを切ってもカオティック満載のバンドです。
無理矢理言えば、インテレクチュアル・スラッシュ×カオテッィク・ハードコア非常にメロカッコイイ(メロディがカッコいい)ヴァージョンっていう感じです。
アルバム全編が同じようにハイテンションで、そういった意味では「DRAGONFORCEみたいでアルバムに起伏がないねぇ」なんて言われそうですが、大体の曲が4分前後に纏められているにもかかわらず(まぁ6分台も2曲あるけど)、様々な音楽的要素を詰め込み、爆走パートもグルーヴの心地よいパートも曲によっては静かなパートも合唱したくなるパートも登場するという激しい曲展開のお陰で"平坦なアルバム"という印象は全く受けませんでしたし、トータルで45分弱というもの時間的に良い塩梅だと思います。その点は大丈夫だ!!と勝手に確信してます。
サウンド的にはパンク(エモやハードコアも含む)よりもメタルに近いのでメタラーにはたくさんの人に聴いて欲しいし、また単に素敵な音楽でもあるんで、ある程度人は選びそうだけど幅広いリスナーに聴いて欲しいです!
個人的には今年の"ベスト・メタル・アルバム候補"です!!
ちなみに"ベスト・アルバム"となるとJACK'S MANNEQUINの『Transit In Everything』(外盤は2005年、日本盤は2006年4月発売)とMY CHEMICAL ROMANCEの『The Black Parade』が超強力なライバル!!

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