この曲を聴け! 

Core / PERSEFONE
Usher-to-the-ETHER ★★ (2007-06-18 16:59:00)
2006年発表の2nd。
ライナーによると1stはデモ発展系らしく、実質的にはこれが1stだとか。
音楽性は、ブラック寄りの喚きデス、デス寄りの咆哮デスに加え、男女クリーンヴォーカルも
取り入れた、煌びやかなキーも入るシンフォニックなプログレ・デスって感じですね。
メンバーのほぼ全員に思い入れがあるというOPETHが比較対象としてかなり近い存在だと
思いますが、OPETHが基本ミディアム~スローテンポで重厚な叙情を秘めた作風に対し、
こちらは華麗なキーボードや疾走パートも多く取り入れた、派手とも言えるスタイル。
DISSECTIONやDARK TRANQUILLTYもルーツにあるだけに、キーボードやギターの
リードフレーズだけでなく、リフにも充分な叙情が込められており実に聴き応えのある音。
今作はペルセフォネ神話を下敷きにした3曲入りコンセプトアルバムで、ZeusとDemeterの
娘である処女神Coreが、冥界の王Hadesに連れ去られ、最終的には冥府の王妃Persefoneに
なってしまうという内容で、その物語を1曲目ではDemeter、2曲目ではHades、3曲目では
Core自身の視点から見た曲になっており、1曲が平均23分という長大な作風。
個人的には、この一つの物語を3つの視点で見るというコンセプトは大正解だと思います。
流石に23分×3曲の作風だと、時系列順に物語が展開していくようにするとダレる気がする。
この作品は1曲だけ聴いたとしても十分楽しめる所がいいですね。
アルバム一枚でミニアルバム三枚分の聴き応えのある、お得なアルバムとも言えるかも(笑)
3曲で70分と言うとちょっと躊躇してしまう方もいるかもしれませんが、このアルバムは
曲の長さの割にかなり聴きやすい方なので、安心して買って良いと思います。
1曲が場面ごとに大体2~5分の、7つから11くらいのセクションに分かれており、更に
セクションごとの音は、例えば娘を失ったDemeterの哀しみを表すパートや連れ去られた
Coreが悲しむパートにはアコースティックな楽器や哀切な歌メロを取り入れたり、Zeusと
Hadesの戦闘パートや豊穣の女神Demeterの哀しみで大地が荒廃していくパートは激しい
デスメタルサウンドで表現されていたり、ストーリーと密接にリンクしたものになっており
リスナーに鮮烈な印象を残し、長大な曲にありがちな何度聴いても曲が覚えられず結果として
焦点のぼけた音になるといった事の無い、構成の巧みさが光るつくりになっていると思います。
とりわけCoreからPersefoneへの変化を描いた、2曲目の第六章や3曲目の第四章などは
各メンバーのソロもふんだんに盛り込んだ劇的なパートで、作品のハイライトと言えるかも。
また、歌詞はコンセプトアルバムながらOPETHの「Still Life」の様に詩的なフレーズが沢山
鏤められていたり、DEATHSPELL OMEGAの各作品のように神学用語が頻出しすぎで辞書と
首っ引きにならなければならないといった難解さは殆どなく、平易な英語で書かれているのも嬉しい。
そういう訳で、私的には歌詞を読んで情景を想像しながら聴くのがお勧めなんですが、もし
歌詞を全く気にしないメタラーが聴いたとしても、各パートのフレーズにフックがあって
充分かっこいいサウンドなため、23分を聴かせきってしまうだろう所もまた凄い…!!
OPETHやVINTERSORGといったプログレッシブなデス/ブラック以外にも、DEVIL DOLLの
ようなシアトリカルでドラマティックな作風や、SOUND HORIZONのような曲を通して物語を
表現していく作風を好む方にもお勧め。無論、デス声大丈夫なのが前提ですが。
ちなみに、買うなら日本盤をお勧め。
対訳も妙にエキセントリックだったり下手だったりすることは無く、物語への没入を助けて
くれると思うし、ライナーもペルセフォネ神話とバンドのサウンドを比較しての分析なども
書かれていてかなり優良なものになっていると思います。
ボートラは蛇足な気がしないでもないですが…まあ曲順プログラムすれば良いわけですしね。
…なんか、めっちゃ長い文章になってしまいましたね…(汗)
でも、熱く語りたくなるくらい素晴らしいアルバムだと思います。
最初3曲70分で日本盤って凄いと思いましたが、このクオリティなら出て当り前。
しかし実質1stでこれって…OPETHもそろそろうかうかしていられないのでは。

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