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Aurora Consurgens / ANGRA
殺戮の聖典 ★★ (2006-11-26 22:17:00)
錬金術師が編成したとされる文献にインスピレーションを受けて作られた'06年発表の6th。
前作「TEMPLE OF SHADOWS」は中世のテンプル騎士団をモチーフにした一大ストーリー・アルバムであったが、このアルバムも、基になるテーマが存在するという意味ではコンセプト・アルバムであると言えるだろう。
その本作、意識的にそうしたのかは分からないが、俗に言う「クサいメロディ」が若干希薄である。
特にアルバムの冒頭を飾る「THE COURSE OF NATURE」がメロディよりもヘヴィネスに重点を置いた曲であるだけに、これまでのようなメロディック・スピード・メタルによる幕開けを期待したファンは肩透かしを食うかもしれない。
しかし、個人的には前作においてそれまでのサウンド・スタイルの頂点を極めたと思っているだけに、この正統派ヘヴィ・メタルのようなサウンドへの変化は大歓迎である。
ヘヴィなギター・リフとコーラス・ワークが印象的なリーダー・トラック「THE COURSE OF NATURE」、まるで機銃掃射のような激烈さを誇るスピード・チューン「THE VOICE COMMANDING YOU」、雰囲気が目まぐるしく変化する「EGO PAINTED GREY」、エドゥのペンによるキャッチーで爽快なナンバー「BREAKING TIES」、卓越したテクニックで演出されたスピード感と絶品の歌メロを備えた「SALVATION : SUICIDE」、スピード・ヘヴィネス・メロディの三要素を兼ね備えた好曲「WINDOW TO NOWHERE」、ラテン・リズムを巧みに導入した壮大なスケール感の「SO NEAR SO FAR」、エドゥのディープな歌唱が素晴らしい、フェリッペのペンによる「PASSING BY」、小刻みに刻まれるリフとそれに乗るメロディアスなギターとの対比が素晴らしい「SCREAM YOUR HEART OUT」、アルバムを締めくくる美しく叙情的な「ABANDONED FATE」と、一切隙のないアルバム。
ラファエルがヴォーカルをとる日本盤ボーナス・トラックの「OUT OF THIS WORLD」も個性溢れる魅力的な曲だ。

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