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極彩 / ムック
Usher-to-the-ETHER ★★ (2006-12-11 22:09:00)
「6」を入れなければ6thになるアルバムですね。
感情過多なヴォーカルや、骨のあるアレンジなど今までのムックらしさも残しつつ、
かなり音楽性を変化させたアルバム。大きな変化は以下の3つ。
まず第一に、前作よりも音質が良くなりました。
「是空」「朽木」にも通じるドラムが大きく、ギターがヘヴィなミックスで迫力あり。
音量も丁度良く、気持ち良く聴ける音…っていうか前作が悪すぎな気がします(苦笑)。
第二に、音楽性の幅が広がった事。
今までもジャジーだったり、懐メロっぽい歌メロがあったりと単なるKORNなどへヴィな
バンドの模倣に留まらない個性がありましたが、今回は沖縄(?)っぽいメロあり、
トーキングスタイルのヴォーカルあり、童歌にも通じる程「和」なメロあり、ループを
用いた曲もありでかなり多彩。通常盤ボーナストラックなんて一曲は「ど」メタル、もう一曲は
「ガーベラ」のサーフ版ですからね(笑)個人的には苦手な曲もあって、音楽性が拡散しすぎな
印象もなきにしもあらずですが、バンドの更なる可能性を見せてくれたのではないでしょうか。
第三に、絶望感が希薄になり、全体的に詩が前向きになった事。
前向きと言われる「是空」や「鵬翼」でも「我、在ルベキ場所」「9月3日の刻印」「赤線」
など悲痛な訴えが聴かれる曲が少なからずありましたが、今回はほとんどありません。
また、「是空」の時のような「前向きになる為の前向きさ」もあまり感じられず、「鵬翼」の
延長線上にある前向きさだと思います。シングルの「ホリゾント」などで顕著ですが、
日常の感情の機微を歌おうとしている印象。ただこれに関しては、手放しで歓迎は出来ないですね…
「葬ラ謳」「朽木」の様に、絶望感・悲壮感の漂う作品を作らせたら彼らの右に出る者は
いないと思いますが、日常の機微や前向きな感情をムック以上に表現できるアーティストは
V系のフィールドを離れれば他にも沢山いると思います。正直、この路線で行くには、
もう一段階のステップアップが必要ではないかと…。
取り入れた要素をもっと上手く昇華させれば、更に進化出来ると思うので今後も期待してます。

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