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Gothic Kabbalah / THERION
火薬バカ一代 ★★ (2007-10-21 21:06:00)
LOUD PARK 07で待望の初来日を果たし、期待通りのドラマチックなショウを展開してくれたスウェーデンの
個性派シンフォニック・メタル・バンドが、'07年に発表した10thアルバム。
壮大なオーケストラ・サウンドが、より自然に楽曲の中に織り込まれた事で、従来の優雅さと劇的さを保ちつつも、
ヘヴィ・メタリックな攻撃性を取り戻した本作は、リーダーのクリストフェル・ユルソンが尋常ならざる創作意欲を
発揮した結果、前作『LEMURIA/SIRIUS B』に続いて2枚組仕様と相成ったわけだが、ボーナス・トラックを含めて
全17曲収録、トータル・ランニング・タイムが90分を超えるボリュームにも関わらず、捨て曲なし、
埋め曲なし、ダレ場なしと、相変わらずそのクオリティの高さには微塵の揺るぎもない。
オペラVoに対抗するマッツ・レヴィンのメタルな歌声、リフにソロにとアグレッシブに動き回るG、
スピーディに疾走するリズム隊等、バンド・サウンドが楽曲の主導権を握った事で、一層強化された
ヘヴィ・メタル・テイストが、冗長さを排して作品全体をガッチリと引き締めているのが重要なポイント。
またメロディも、前作より更にドラマ性と煽情力を高めていて、それも如何にも北欧風の寒々としたモノではなく、
中東や南米の古代遺跡が目に浮かぶような、呪術的な神秘性と怪しげな味わいが非常に素晴しい。
クリスティアン・ニエマンのウリ・ロートばりのGソロが胸に染みるDISC-1③、フルートが大活躍するDISC-1⑦、
ハードな疾走チューンDISC-2④⑥、URAIAH HEEPのケン・ヘンズレーによるKeyも良い仕事をしている、DISC-2のラストを
ドラマチックに締める大作⑦といった楽曲には、そうした両者の魅力が判り易く表れているんじゃなかろうか。
THERIONのアルバムをここまで聴き込んだのは(正直な話)結構久し振り。5th『THELI』以来の傑作だ。

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