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THE MARROW OF A BONE / DIR EN GREY
Usher-to-the-ETHER ★★ (2007-02-09 17:04:00)
このアルバムを聴いて最初に浮かんだのが、タカ&トシの「欧米か!?」でした(苦笑)。
前作よりも音がやや太くなり、楽器隊の主張もより激しくなったと同時に、曲の方も
更に激しい曲の割合を増し、更に海外のメタルに近付いた感じのするアルバム。
ただ、個人的にはやっぱりちょっと物足りない…。
Dir en greyは、海外のメタルコア等が持たない、歌謡曲が栄えている日本という国ならではの
歌メロのキャッチーさや叙情性、V系特有の猟奇性や耽美性を持っていて、それが個性に
なっていたと思うんですが、それらの個性とメタリックさのバランスに優れた前作と比べて
今回はメタル方向に舵を切りすぎた印象。それらの要素はもちろん無くなった訳ではなく、
「Conceived Sorrow」「凌辱の雨」「The Predge」辺りにはそういうバランスの良さが
窺えますが、「Lie~」「Agitated~」といった曲はいまいち個性に欠ける感じがします。
こういう方が洋楽ファンや海外のファンには受けるんだろうけど…
Dir en greyがこれから洋楽の代替品のようなバンドにならないかちょっと心配。
ヴォーカルは今回は良い所ももちろんありましたが、ちょっと不満も…
相変わらず血管が浮き出そうな太く、擦れるまで無理して出してるようなハイトーンや
ヒステリー起こして喉を掻き毟りながら叫んでそうなシャウトなどは相変わらず素晴らしいし
今回は女性の悲鳴や嬌声を思わせるスクリームまで飛び出してやっぱり凄い。
でも、シャウトの時ヴォーカルに膜がかかったようなミックスになるの何とかならないんでしょうか。
前作は歌とシャウトのバランスが程よかったのでそう気になりませんでしたが、今回の様に
シャウト多めならもっと耳元で叫ばれるような迫力あるミックスにして欲しい。
詞はかなり不満。
確かに日本語部分は「おっ」と思うような表現もあるんですが、英詩はいまいち。
卑猥な英単語を覚えたての中学生の如きファック連発とか正直萎えます。「ファック・ファック
ファック・ユー・アー・マザーファッカー」とかデトロイト・メタル・シティの出来の悪い
パロディにしか思えない…もちろん四文字単語も使いようでは良い詞になるだろうし、
単語レベルでしか英詩を使えてなかった初期と比べれば進歩しているんだろうけど…
「言葉の奥にあるものを感じる」のを阻害する要素にしかなっていない気がします。
そのせいで、歌詞カードの文字を読みにくくする意匠も「言葉の奥にあるものを感じる」事を
助けるものというより、稚拙な英詩を隠すものに思えてしまい余計だと感じられてしまいます。
思いっきり辛口に書きましたが、アルバムの質自体には満足。
っていうかだからこそ、言いたくなってしまうというのもありますね。
買うならば2枚組の方がお勧めです。そこまで高い訳じゃないし、アンプラグド版の曲は
単なるアコースティックじゃなくて実験的要素もあってなかなかです。
→同意