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Thorns / THORNS
Spleen ★★ (2010-02-07 14:20:00)
ブラックメタルの冷たさというと、多くは「寒々しい無人の荒地」、もしくは「冷徹な人間性」を想起させるものでした。
しかし、このアルバムの音からは景色も人間も浮かびません。冷たい金属、機械ばかり。
Satyriconの「Filthgrinder」も機械を連想する音で、レビューに「『人間圧搾機』を思わせる」と書きましたが、こちらの機械には血すらついていません。
無機質なサウンドはインダストリアルとの融合と言えますね。MinistryにしろSkinny Puppyにしろ、ノイジーで無機質ながら「歪んだ性格」を感じさせましたし。ただし、性格云々についてはスノーレ・ルーシュの作品として捉えた場合に考えられることであって、サウンドには人間性ゼロ。ブラックに取り入れると、インダストリアルがこれほどまでに冷たくなるものとは。
Zyklon-Bでは狂ったようにがなっている感の強かったAldrahnですが、本作ではサティアーに負けず劣らず、無機質な不気味さを醸し出していて良かったです。
もっとも、一番無機質で不気味だったのは、ラスト曲「Vortex」におけるスノーレのボーカルでしたが。ボーカルというより語りでしたが、壊れる間際の機械の再生媒体に残されていた最後の音声みたいで。

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