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The Kindred / PARIAH
火薬バカ一代 ★★ (2007-10-30 20:12:00)
英国にて70年代末から、SATAN~BLIND FURY、そしてまたSATANと、メンバー・チェンジに泣かされつつも、改名を繰り返しながら
活動を続けてきたスティーヴ・ラムゼイ(G)が、心機一転を図るべくバンド名をPARIAHと改め、'88年に発表した1stアルバム。
後期SATANは、ポップ路線にも目配せの感じられる作風だったが、本作ではそうしたポップ色は一掃され、
スピーディに疾走するリズムに乗って、如何にもイギリス的な暗い湿り気を帯びたリフが荒々しく刻まれ、
マイケル・ジャクソン(Vo)が鋭角的なシャウトを響かせる・・・といった具合に、NWOBHM期のSATANを、
更にアグレッシブにしたかのような、スラッシュ・メタル・サウンドが展開されている。
楽曲の構築美やメロディの魅力に関しては、'89年発表の2nd『BLAZE OF OBSCURITY』に一歩譲るものの、
曲中を縦横無尽に動き回るスティーヴ・ラムゼイと、彼と学生時代から行動を共にする盟友ラス・ティッピンズが
華麗に織り成すツイン・リードGは既に健在だし、何より、スラッシーなカッコ良さにかけては、こちらの方が上。
特に、急かされる様に疾走する②、緩急の効いた劇的な構成が光る③、インスト曲⑤を経て、
印象的なツインGをフィーチュアして突っ走る⑥、ドラマチックな導入部を備えた⑨といった楽曲は、
スラッシュ・メタルの攻撃力と、ベテランらしい巧みなメロディ使いが組み合わさった、技ありの名曲群。
これだけ優れた作品を作りながらも、メタル衰退の著しい英国では活動も思うようにならず、結局、3rd発表後に
バンドを解散させたスティーヴは、今度はSABBATを脱退したマーティン・ウォルキーアと組んで
SKYCLADを始動させる事になる・・・のだが、それはまた別のお話。

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