この曲を聴け! 

Le Secret / ALCEST
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2007-06-02 23:22:00)
2005年発表の2曲入りEP。

…まず目を惹くのが、ジャケを含むアートワークの素晴らしさ。表、裏ジャケともに人物の写真をセピアで加工したノスタルジックさを感じるもので、特に森の写真とコラージュされた裏ジャケの美しさは特筆もの。歌詞カードの川や森、蛙の像などの写真はNeige本人の手によるものらしく、中でも蛙の像は何気ない情景で音楽性を示唆するもので、Neigeの繊細な感性が良く表れていると思います。美術は良く分かりませんが、アートワークだけでも元は取れたと思えるほど良いです。

もちろん音楽の方もアートワーク以上に素晴らしい。
クリーントーンでのアルペジオやキーボード、優しげな普通声などをフィーチャーした大作主義のドラマティック・ブラックなんですが、メロディにかなり個性的な美しさがあり、独特のサウンドになっていると思います。ブラックと言えばやはり「邪悪さ」ですが、この作品に登場するメロディは「邪悪」とは反対に位置すると言っても良い「清浄」かつ暖かなもので、聴いていると心が洗われていくような感じがします。この聴いていると浄化されるような感触は同じくNeigeのバンドであるAMESOEURSとも共通するものですが、こちらの方が更にそういう方向に特化したサウンドだと思います。

音質はギターの歪みがかなり強めである上に、2曲目ではBURZUMを更に悲痛にしたような絶叫がフィーチャーされていると言うのに、殆ど暴虐性や過激さを感じないのが面白い。両方とも、曲を「感情的」なものにしているという印象。確かに憂鬱(メランコリック)な音ではあるんですが、陰鬱(ディプレッシブ)ではないのがミソ。けれど人によってはこういう音の方により心を動かされるかもしれません。感受性が強い人が聴いたらNeigeの感情が曲から伝わって泣いてしまうのではないでしょうか。

…そういう訳で、ブラックに「邪悪さ」「暴虐性」「思想の過激さ」辺りを求める人には向きませんが、作り手の感情の発露みたいなものを感じたい人には本当にお勧め。そういう意味では、NARGAROTH辺りが好きな人であれば気に入るのではないかと思います。ちなみに、2曲と曲数は少ないので割高に感じるかもしれませんが、一曲が長くトータルで30分近く(27分)あるので、安心して買ってください(笑)。波長が合えば宝物になるかも…

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