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Fas - Ite, Maledicti, in Ignem Aeternum / DEATHSPELL OMEGA
Usher-to-the-ETHER ★★ (2007-07-29 22:53:00)
2007年発表の、遂に発表された4thアルバム。
私を含め、心待ちにしていたブラックメタラーも多いはず!

作風的には、大量の膿が渦巻いて襲い掛かって来るようなグロテスクな、ブラックの中でもレベルが高いと思われるリフ捌き、トップスピードがちょっと有り得ない事になってるドラム、Mikko社長の威厳、野蛮さ、悪意を兼ね備えたがなり声、大作主義でカオティック、かつプログレッシブな曲構成と、基本的にはKENOSEやVA提供曲の路線を押し進めた感じですね。

今回はドラミングが更に凄くなり、疾走パートなんてブルデスやグラインド並みの、速さが記号化する寸前の凄まじさで音質もダイナミックになっているし、不協的なピアノやメロディアスなリードフレーズが恐い箇所もあったりしてしっかりレベルアップしてる印象。曲の展開も割と極端で、ほとんどが全力でブルータルに爆走するパートか、聴き手の不安を煽るような不穏な空気を含んだパートで、その中間の、普通に疾走…みたいなかっこよさがあるパートは余りないです。BURZUMのCountやDSO自身も詞に引用した事のあるイギリスの詩人William Blakeも「対立が力を生む」という発言をしていますが、それを音楽で実践している感じで、お互いがお互いを引き立てあい、更にサウンドの神秘性を増していると思います。

ただ、爆走パートが強化されたのは個人的には一概に喜べなかったり…KENOSE以降で特に顕著な、このバンドの不穏なリフ捌きが凄く好きなんですけど、今作はちょっとドラムの音が強すぎる印象も。とは言え、歌詞の一語一語、フレーズの一音一音に深い意味が込められていそうな、深遠で謎めいた雰囲気を感じさせる音は今作でも健在。

ブラック好きなら買いだし、爆走パートの凄まじさからデス好きも楽しめるのではないかと思います。

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