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Dark Space Ⅱ / DARKSPACE
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2007-08-15 22:32:00)
2005年発表の2ndアルバム。3曲入り54分。原盤は500枚限定で手書きナンバー入りでしたが、06年に再発されました。

このアーティストもアーティスト名の示す通り、ブラックメタルを通じて宇宙を表現する音楽を演っていると言えると思いますが、LIMBONIC ARTやARCTURUSの描く宇宙が星空や星雲だとするなら、DARKSPACEはブラックホールだと思います。他のシンフォブラックを引き合いに出すなら、LUNAR AURORAの最新作が感性的には近いかと。あっちよりメタル色は薄く、ノイズ色濃厚ですが。盤面も同じく黒ですし(笑)

音楽性はアンビエント・ブラックと言うカテゴライズからも分かるように、ブラックメタルとノイズ/アヴァンギャルドの中間という感じで、ブラックホールの持つ膨大な質量を表しているかのような非常にノイジーで暗いギターの音が特徴。パートによってはブラックの棚より、ノイズやアンビエントの棚に置くのが適切と思える音。もちろんブラストビートや絶叫など、ブラックの要素もちゃんと入ってますが、それらは全てギターのノイズに飲み込まれて、まるで一つの景色と化しているかのような印象。

また、キーボードもかなり使用されていますが、これがギターノイズと相まって、非常に奥行きのある、暗い美しさを秘めたサウンドスケープを描き出してます。ノイズの奥からとは言え、トレモロリフやキーボードによる神秘的なメロディも出てくるので、ブラック好きにはそれ程敷居は高くない音になっていると思います。

展開もミニマルだし、メタル要素を音像が飲み込んでいるような作風なので、メタル視点ではもしかするとあまり楽しめないかもしれません。2曲目なんて最早メタルじゃないし。しかし音響作品としての素晴らしさは一級品だと思います。私なんかMYSPACEで試聴後、次の日すぐに買いに走りましたもん(笑)。

この作品も、ALCESTやBLUT AUS NORDの近作と並んでブラックメタルの可能性が無限大である事を示した一枚といえるかもしれません。ブラックが好きで、ノイズにも抵抗が無ければ是非聴いてみてください。SEっぽい部分はちょっと長めですが、ブラックホールに接近するまでの宇宙遊泳だと思えば楽しめるのではないかと。

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