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ACTION / B'Z

空気 ★★ (2009-09-19 12:42:00)
スランプで曲作りが難航したと言われているが、それ故に努力の賜物といっても良いぐらいの名曲揃いのアルバム。まさに「ACTION」という彼らが投げかけるメッセージに相応しい。あれこれ悩みながら試行錯誤したことが良い結果へとつながっている。20年というロングキャリアを経て、さらに新しい壁を乗り越えようとする彼らの姿勢には感服。
しかし、それぞれ個性を持った17曲だが、後半で若干だれるのが残念。
これに関しては、もう少し収録曲を減らしても良いと感じた。
軽くパッと聴いただけではあまり新鮮さが伝わらないがじっくり聴いてみると、アレンジャーに寺地氏を起用したためか、ライトな音作りになっていることがわかる。
そのため聴きやすいサウンドになっている。
中でも必聴なのは
・純情ACTION
コーラスが少々ダサく感じてしまうが、メッセージは
「何かおかしいことに気づいたなら僕は今こそ変わらなくちゃいけない」
「無言の重圧を感じるたびに卑屈になる なんてバカな感情の浪費だ」
と、非常に説得力のあるもので素晴らしい。
行動することの大切さを歌っている。一見簡単なようで実は奥深い。
ラストのサビでの「これ以上泣かせたくないから」というフレーズに心を打たれる。ギターソロもなかなかの出来。
・黒い青春
とことん卑屈でネガティブな心情を歌っている。爽やかな青春ソングとは裏の世界。
これには驚かされた。稲葉ソロに近い世界観。
「今日も無理やり笑顔を見せます そして退屈を乗り切る」と、とことん暗い歌詞だが、絶望感のような重苦しさとは違い、なんとなくあきらめに似たような気持ちにさせられる。
サウンドもダークでこれまでのB'zにはなかったもの。ラストのシャウトも超絶。
・パーフェクトライフ
この曲は歌詞に関しては特に言うことはないが、Bメロの構成が曲全体のメリハリを持たせていて非常に細かいところでのアレンジに凝った曲だと思う。ギターの音量も控えめで聴きやすい。
・一心不乱
歌謡曲とロックを融合させたような曲で哀愁を帯びた曲。渋いです。
Aメロの歌い方が良いアクセントになっている。
歌詞は松本の高校時代をモチーフにしたと思われる。
・ONE ON ONE
これまでと変わってきたのはギターが以前よりメロディアスになったこと。
特にギターソロで、速弾きと違いメロディを重視したところが曲全体に心地よい印象を持たせている。どこか懐かしい印象も。ジャズっぽいアレンジとスポーツ用語をちりばめた稲葉の作詞に注目。
・わるいゆめ
稲葉ソロ作品「peace of mind」に入っていそうな曲。
歌詞の解釈は・・・難しいがどことなく重苦しい空気に包まれた曲。
こういった重い曲がこのアルバム全体の印象を引き立てていると思う。
・HOMETOWN BOYS'MARCH
ブラスを交えた非常にポップな曲。前の曲と違い非常にポップでアットホームな曲。跳ねたシャッフルで「Wonderful oppotunity」に近い。曲のラストには笑ってしまいましたが(笑)
・光芒
本作最大の目玉。イントロから重苦しい張り詰めた空気に包まれていて、悲痛の叫びのようなサビが素晴らしい。歌詞はかつての「Rasing River」と似ている。
この曲の素晴らしいところはこれだけにとどまらず、ラストに隠されている。
大サビで急に明るいメロへと転調する。歌謡曲テイストのサウンドに乗せて「光を求め歩き続ける 君の情熱がいつの日か 誰かにと手の光となるでしょう 誰かにとっての兆しとなるでしょう」と歌い上げる。
これを聴いて感動しない人はいないだろう!と言いたいほどの大名曲。
「純情ACTION」と並んでこのアルバムで彼らの伝えたいメッセージが一番詰まった曲だと思う。
名盤。