この曲を聴け! 

For kunsten maa vi evig vike / KVIST
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-02-02 18:26:00)
96年発表の1st。
みなさん仰ってますが、これは確かに名盤だと思います。今、ブラック好きを集めて90年代ブラックの名盤を選出したら多分入ると思うくらいに。

路線的には、ジャリジャリしたギターリフによる寒々しいメロディと、チャーチオルガンやストリングス系の空間系キーボードによる荘厳なメロディック/シンフォニックなブラックメタルで、取り立てて特別なことをしているという訳ではないんですが…
曲の良さと、各楽器の音色が何か魔術的なものを感じるほどに上手く嵌まり、90年代屈指のメロディックブラックの名盤として仕上がった…そんな印象を受ける作品。

おそらく、ギターの音色やキーの音色が少しでも違ったなら、ここまでの作品にはならなかったのではないでしょうか。それ位奇跡的なアルバムだと思う。唯一、1曲目のドラムの音がイマイチだと思ったんですが、何故か2曲目からは改善されてるのも不思議。
個人的には、聴いていると雪原を餓えた狼が彷徨っているような、「冷たく、恐ろしく、そして不条理な自然の情景」を思い浮かべます。

…近年、有名バンドを脅かすほどの質を備えた無名バンドが急激に台頭したり、ブラックの可能性を押し広げるような実験性を持ったバンドなどは出てきていますが、こういう初期ブラック本来の残酷で美しい情景を描けているバンドは少ないのではないでしょうか。
CODEが(手法は違えど)描きたいのは、もしかしたらこういう情景なのかもしれませんね。

このバンドはURGEHALの前身ということですが…URGEHALはURGEHALで素晴らしいアルバムを作っていると思うし、本当に失礼だと思いますが、メンバーや作風に変化が無かったとしてもこれほどの作品を量産できたかは疑問。どんなバンドであれ、作を重ねると多かれ少なかれ変化や洗練に向かいますもん。このアルバムは、本当に「これでなければ出せない」雰囲気がある。

→同意