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Electrify / PARADOX
火薬バカ一代 ★★ (2008-05-05 01:06:00)
数々の困難を乗り越えて、ジャーマン・スラッシュ・メタルの雄PARADOXが、前作から実に8年振りに発表した、待望の4thアルバム。
家族との度重なる死別や、自身も大病を患って病床に伏せるなど、バンドのリーダー、チャーリー・シュタインハウアーを
襲った不幸の連鎖を思えば、「長いこと待たせやがって」なんて台詞は間違っても出てこないが、
しかし本作が、長いこと待たされた甲斐のある、優れた内容に仕上がっているのも、また事実。
ザクザクと荒々しくシュレッドされる勇猛なGリフ、怒涛の突進力、憂いに満ちたメロディを歌う雄々しいVo、
そしてドラマティックなツイン・リードG・・・と、PARADOXというバンドの魅力の粋を結集したかのような名曲①だけでも
完璧に心を鷲掴みにされてしまうが、それ以降も、“HIGHPERSPEED "のタイトルに偽りなしの高速疾走曲⑤や、これまた本編ラストを
激烈に締め括る、パワー/スピード/メロディの三拍子揃ったアルバム表題曲⑩といった楽曲に代表されるように、80年代の彼らの
美点をしっかりと受け継ぎ、尚且つ現代的にアップデートされた劇的なパワー/スラッシュ・メタル・チューンが目白押し。
ただ今回は、チャーリー・スタインハウアーの溜まりに溜まったフラストレーションが一気に噴出したのか、
その作風はかなりアグレッシブ。例えば、前3作で見られた、アコギを用いて「静」の美しさを演出するようなパートは
殆ど見当たらず、頭からケツまでひたすらスピーディ且つヘヴィに押しまくる。
まぁそうは言っても、NWOBHMを思わせる、暗く湿ったメロディの魅力に鈍りがない事は、正統派へヴィ・メタリックな⑥や、
PARADOXなりのバラードと言えそうな、ヘヴィでメロウな⑨を聴けば明らかなのだが。
楽曲のクオリティといい、曲間を切り詰め、全編を流麗に展開させていくドラマティックな構成といい、
まさに期待に違わぬ力作に仕上がった本作。あとは来日公演あるのみ!
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