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A Sense of Purpose / IN FLAMES
KAKIZAWA ★★ (2009-07-17 14:59:00)
9TH。
8THに比べると、エッジが削られてアグレッションが急降下。ボーカルにおける実験的なアプローチも、失敗して普通声化、ってのが著しい。これで本当に、『スクリームにメロディを持たせる』ってのが成功してると言えるのかな。まあ、初心者には聴きやすくて良いんじゃないの?とは思うが……。その上、ミドル・スローテンポの曲が増えていて、タテノリに首を振れる曲が少ない。
そして、コンセプトアルバムか?と思わせるような楽曲のヴァリエーションのなさ(アートワーク的にはコンセプトアルバム『らしさ』を感じさせるが)……これは8TH『Come Clarity』にも通じることだけど、彼らにはメロディやリフの引き出しが少ないように思う。何より、これまでの彼らのアルバムのどこかに必ずあった、慟哭とも表現される感情の迸りが弱いのがかなり痛い。
確かに、6TH以降の超絶アメリカン路線よりも、ちょっとそれを外れたこっちの方が彼らのアイデンティティが感じられる。その点で見れば好盤といえるのかもしれない。が、同じ6TH以降の音だったら、7TH『Soundtrack To Your Escape』の方がはるかにカタルシスがあったなあ、と感じてしまう。
バンドロゴが初期のような禍々しいデザインに戻っていることから考えて、メロディック・デスメタルバンドとしての自覚を取り戻したのかもしれないけれど、これでは1ST~5THのころのファンを呼び戻すことも、6~8THのどれかではまった人の耳を満足させることも出来ない気がする。
とはいえ好きな曲はちらほらと。PVが妙に現代日本社会を思い起こさせる①、アコギのイントロが印象的な③、何故か浮遊感を感じる⑥、8TH二曲目を思わせるイントロの⑦など、佳作級は多くて、そこまで残念がる出来でもない。でもこの不完全燃焼ぶりは……やっぱ不満(苦笑)
後、まさかの普通声オンリー(最後の方に後ろで叫んでるようなのが聞こえるけど)なスローテンポ曲⑧は、アンダースの息抜きか?まさかとは思うけど、これが本当にやりたいことだったりしてね。
ちなみに私はシングルとアルバムの抱き合わせリミテッド・ツアー・エディション(輸入版)を購入したのですが、ひょっとして日本盤のボーナストラックはシングルと同じ曲目だったのかな(シングルは①The Mirror's Truth、②Eraser、③Tilt、④Abnegationって曲順だった)。
【72点=普通】
→同意