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Walking Wild / NEW ENGLAND
火薬バカ一代 ★★ (2008-05-04 01:13:00)
図らずもNEW ENGLANDのラスト作となってしまった、'81年発表の3rdアルバム。
投票数の少なさからも察しの付く通り、一般的に余り評判の芳しくない作品であり、プロデューサーの
トッド・ラングレンのセンスが反映された、モダンで小洒落たサウンド・メイキングや、プログレ色が後退し
産業ロック度がいや増したアレンジの数々、シンプル且つコンパクトにまとめられ、ドラマ性が薄れた曲展開など、
不人気の理由は色々と思い付くが、やはり最大の原因は、メロディから叙情味が薄れてしまったことだろう。
捨て曲なしのクオリティの高さを誇った前2作に比べると、楽曲の出来・不出来にかなりの差が見られるのもマイナスで、
特に、序盤に並ぶ楽曲のフックの弱さは、従来の感傷的な泣きメロを満載した、ノスタルジックで
ドラマティックなプログレ・ハード・サウンドに涙したファンには、正直、かなり物足りない。
とは言え、それでも収録曲のクオリティの高さは、相変わらず凡百のバンド群を寄せ付けぬレベルを維持しており、
「掴み」にこそ失敗してはいるものの、60'Sロック風の軽快さが心地良い⑤を皮切りに、アルバム後半には、
ポジティブなエネルギーを発散するアップテンポの⑦、珍しくVoがパワフルな歌声を披露する⑧など、聴き応え十分の
楽曲が数多く並ぶ。特に、前作に収録されていてもおかしくない、叙情的で、シンフォニック且つドラマティックな⑥は、
間違いなく本編のハイライトにして、NEW ENGLAND屈指の名曲の1つでしょう。
結局、聴き終えてみれば「うーん、やっぱりこのバンドは最高!」となっているのだから、流石は叙情派ロックの帝王。
尚、本作が再発された時のインタビューで、再結成アルバムを製作中と応えていた彼らだが、その後全く音沙汰なし。新作はまだですか?
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