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angL / IHSAHN
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2008-06-03 19:10:00)
2008年発表の2nd。
「Unhealer」にはなんとOPETHのMikaelがリードヴォーカルで参加してます!

路線的には前作同様、Ihsahnらしい品格に満ちたメロディをたっぷりと鏤めた、シンフォ&プログレッシブなブラックメタルですね。ソロ1stやPECCTATUMの3rdなど、EMPEROR4th以降のIhsahn主導の作品って、フレーズを複雑に組み合わせて世界観を構築する傾向が強いように思いますが、今回の作品はその傾向が今までよりも更に強まったように思います。

ただ漫然とトレモロや刻みリフを弾いてみました、アルペジオを入れてみましたみたいな箇所が一枚を通じても殆ど見られず、どの音にも必然性があって、印象的なフレーズが組み合わさって一つの芸術的な音世界を構築する様は正に圧巻。この人、やっぱり天才・異才の類ですよ…。

個人的にはPECCATUMの3rd等でも感じられた、圧倒的な芸術作品を前にしたときの我を忘れて取り込まれるような感覚がこの作品でも味わえました。バンドサウンドでこういう感動を味合わせてくれる作品ってほんと希少だと思います。また、リフもメロディアスなものが多いですし、ギターソロも多めなのでプログレメタルやブラックメタル好き以外にも、メロデス好きにもお勧め。

メロデスではグルーヴ重視の作風に走るバンドが多いですが、Ihsahnはあくまで構築美を重視してくれるのが良いですね。…非難するつもりはないですが、グルーヴってメタル以外の音楽でも味わえると思うんですよ…その点、こうした構築美とエクストリームな音像の両立はメタル以外には無い魅力ではないでしょうか。

そうした意味で、PECCATUMではアヴァンギャルド/アンビエント、HARDINGROCKではフォーク方面に接近してましたが、Ihsahnってやっぱりメタラーが本質なのかもしれませんね。
ただ、楽器の絡みを聴いているだけで恍惚となれるし、前作よりもクオリティを上げた素晴らしいアルバムだとは思うんですが、「Homecoming」のようなプログレッシブなメタルバラードや大作「The Pain Is Still Mine」を上手く配置し、ドラマティックな構成で聞かせてくれた1stの方が作品全体の流れは良いかもしれません。

とはいっても、十分名盤といえるアルバムだと思いますが。しかし、同時期に発売されたのにもかかわらず、国内ではメディアの盛り上がりはOPETHの方が断然上なのがちょっと悔しいかも(笑)。少なくともメロディセンスや構築美では全く引けを取らないと思いますが…昔のプログレを分かりやすく取り入れてないからでしょうか。
ギターのフレーズも凝りに凝ってるし、バンド雑誌とかにも載ってもいいくらいだと思うんですけど。

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