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Warring Factions / ANSUR
Usher-to-the-ETHER ★★ (2008-12-22 23:34:00)
2008年発表の2nd。
ZYKLON、ex-EMPERORのSamothのレーベルよりのリリース。
1stを聴いた限りでは、大味な部分もあるとはいえENSLAVEDを思わせるプログレッシブなブラックメタルを演っていて、このままスピリチュアルかつエクストリームな方向に行くのかな…と思ってたら、何だか凄い方向に舵を切ってきましたね…。
ブラストやトレモロといったブラックに典型的な要素はほぼ廃し、ハモンドの音色や複雑な展開を多用した、プログレメタル的な音像に変化。更にブルージーな泣きギターソロやカントリーっぽいパートまで飛び出し、リスナーの意表を付くという意味ではエクストリームメタル屈指といえる音に。ただ、音自体は十分面白く聴けますが、それに伴ってヴォーカルから殺気が消え、汚いおっさん声になってしまっているのは個人的には超マイナス。正直、聴いててイラっと来る声かも…。
変態メタルとしては一級品だと思いますが、これは賛否両論あるんじゃないかと思います。例えばAKERCOCKEが前衛要素を取り入れて禍々しさを、SATYRICONがロック要素を取り入れてスピリチュアルな暗黒性を、それぞれ普通のデス/ブラックより強めているのに対し、このバンドは変態的要素を(おそらく意図的に)ブラックの価値観に全く貢献させていない印象。ブルージーなソロが入るパートでは普通に渋い泣きの雰囲気に、カントリーっぽいパートでも普通に長閑な雰囲気になっている感じ。私はパートによっては置いてきぼり喰らった感を覚える所も…プログレ性が前に出すぎて小洒落てるような箇所まであるし。
ブラックメタルに何を求めるかによって、評価の大きく変わるアルバムだと思います。それが「奇抜さ」「新奇性」「変態性」であるなら買って損はないかと。
→同意