この曲を聴け! 

The Book of Burning / VIRGIN STEELE
ゴリャートキン ★★ (2009-02-12 10:12:00)
2002年1月発売の企画盤。
未CD化だった1st/2nd/2nd後のEPから8曲リメイク、3rd時のボツ曲の新録音1曲、
3rdと同時期の女ボーカル・スラッシュプロジェクトORIGINAL SINに提供した曲の新録音2曲、
そして1st2ndの頃のバンドの顔だったギタリストのジャック・スターと97年頃に作ったデモの曲の新録音4曲。
(さらにそのデモの序曲的な小曲が1曲。これはジャックのクレジットがなく、97年当時に作ったのかは不明)
後追いのファンとしては、当時まだ未CD化だった初期2枚の曲が聴けるのがありがたかった。
初期のリメイクの出来としては、デヴィッドの歌が格段に上手くなっているのが大きい。
それだけでなく、本作では楽曲の方向性もあってかなりストレートにロックボーカルを歌っている。
近作での、感情表現を優先して裏声を使ったり唸り声をあげたりの歌唱が苦手な人には是非一度聴いてほしいアルバムだ。
一方、演奏に関しては、カチッとまとまっている分、オリジナルにあった破天荒な勢いが失われている部分もある。
選曲の基準に関しては、本人曰く「自分が関わったモノの中から選んだ」。
他にデヴィッドのクレジットのある初期の曲では、"Danger Zone""Still in Love with You"なども聴きたかったが…。
なお、これら本作でリメイクされた曲はライブでも今なお演奏されることがあるが、デヴィッドは言う。
「"On the Wings of the Night"(4th収録のメジャー感漂う明るいメタル)のようなことをいつかまたやるかも知れないが、
初期2作の頃に戻ることはない。当時のVSと今のVSは別の生き物だから。」
16.A Cry in the Nightはジャックの泣けるギターソロが無くなったのは痛いが、このアコースティック・バージョンも悪くない。
3rdのボツ曲で新録音の12.Hot and Wild は陽気なロックンロール。
1.Conjuration of the Watcher と8.Succubus はかつてスラッシュ・プロジェクトで使った曲で、前者は99年の「アトレウス1」の頃に録音されたようだ。
どちらもかっこいいスピード曲だが、特に前者はアルバム1曲目にふさわしい出来。
同時期に出たベスト盤の方に収録することも検討されたが、オーケストレーションのないストレートな楽曲なので取りやめたとのこと。
そして、ジャックと97年に作った4曲入りデモ「Sacred」の曲だが、これはどれも本作でリメイクされた初期の曲、
つまりデヴィッド一人、あるいはジャックとの共作の初期の楽曲と似た音楽性である。
骨太のリフ主体のハードロックで、アラビックなムードも漂う。
7.The Chosen Ones にはデヴィッドの姉(プロの演劇歌手)も参加。
他、当時ベーシストとしてバンドに加わったばかりのジョシュア・ブロック(本職は7弦ギタリスト)や
長年エンジニアを務めているスティーヴ・ヤングがギターを担当している曲も多く、当時はエドワード・パーシノの立場を心配したりもした。
ドラムでは、ツアーのヘルプをしたりと準レギュラー扱いのフランク・ズモも参加している他、3曲で打ち込みが使われており、後者は残念。
音楽的には、確かにデヴィッドの言うとおり、今のVSとは「別の生き物」だと思う。
楽曲のスタイルは今のバンドの音の方が好きだ。
だが、デヴィッドのストレートな歌唱が聴ける点に本作の旨味がある。
1.Conjuration of the Watcherは特にオススメだ。
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