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The Book of Burning / VIRGIN STEELE
ゴリャートキン ★★ (2009-03-01 18:36:00)
(「THE BOOK OF BURNING」発売に至る経緯)
スラッシュまたはヘアメタルというシーンの二極化の中で活動の場を失い、ジャック率いるBURNING STARRは90年代に入ると同時に消滅。ジャックはデヴィッド・ディフェイとブルーズバンドを結成。かつて二人はバンド名の権利を巡って争ったが、向こうは裁判大国だからということなのか、そのことで友情は終わらず、デヴィッドがBURNING STARRのアルバムのプロデュースをやるなど交流は絶えていなかった。しかし上記のブルーズバンドは軌道に乗らず、もともとVSを諦めるつもりのなかったデヴィッドはVSに戻り、ジャックはインストのソロ・アルバムやブルーズ・アルバムを作るも表舞台からは消えていった。その後、VSが「The Marriage of Heaven and Hell」の2作で復活したことに刺激を受けたジャックは97年にデヴィッドを訪ね、4曲のデモ「Sacred」を作成、そしてレコード契約を取るようデヴィッドに託すがこれは芽を結ばず。しかしVS復活効果なのか、ギリシャや南米のレーベルが触手を伸ばし、ジャックはB.STARRの再発にこぎつける。その後、2001年にデヴィッドがジャック在籍時の初期2枚のCD化を手掛け始めると、ジャックはそれに反発。そして自身のニューバンドGUARDIAN'S OF THE FLAMEを始動させ、久しぶりにシーンに復帰すると、メディア上でデヴィッドを口撃し始めるのであった。
レコード会社をデヴィッドが見つけて来るという条件で、97年に制作された4曲の権利はジャックとデヴィッドで折半されることになった。しかしデヴィッドはレーベルを探さなかった…これがジャックの言い分である。それに対してデヴィッドは、NUCLEAR BLAST、MASSACRE、そしてVSの契約するSANCTUARY/NOIZE/T&Tと話をしたがダメだった、と言っている("Rain of Fire"が97年にギリシャのメタル雑誌の付録CDに収録されたので、何らかのプロモートをしていたのは事実だろう)。レーベル側としても、バンドでもないプロジェクトものには興味なしといったところか。一方ジャックはこのデモのことを「REUNION」と呼んでいるので、思惑の違いがあったのかも知れない。だがデヴィッドにはエドワードという従順かつ優秀な片腕がいる上、欧州の新たなファンは初期VSの復活を望んではいなかった。正直、VSには3年しか在籍していなかったジャックがなぜそこまで拘るのか、なぜB.STARRではないのかが分らないが、個人的な見方では、欧州でVSがビッグになったことに対する羨望の気持ちが強かったのだと思う。さて、では楽曲についてはどうか。ジャックは権利が半分盗まれたかのようなことを言っている。それに対してデヴィッドは正面からは反論せず、アルバムに収録するにあたって改めて曲を作りなおした、とボカしている。だがジャックのHPで"The Chosen Ones"が公開されているが、それを聴くとアレンジにさして違いもない。ただ楽曲の方向性を考えると、ジャック一人で作ったものとも言えない気がする。ジャックが「デヴィッドは作曲や作詞には全く関わっていない」「デヴィッドのところに言った時には曲は完成していた」とまでは言わないのが気にかかる。また、デヴィッドが作曲に全く関わっておらず、権利を半分持っているだけなら、そんな愛着の湧かなそうな曲をアルバムに収録するだろうか。ジャックにも金が行ってしまうのに。
2001年、デヴィッドは自費を投じて初期2枚のリマスターを始めるが、デモの件で不信感を募らせていたジャックはそれに待ったを掛ける。この再発でのデヴィッドの取り分が幾らかを明らかにしなければ、再発には応じないというのだ。これにはデヴィッドだけでなくSANCTUARY側も反発し、「ではウチはリメイク・アルバムを作らせますから」と宣戦布告。これが「THE BOOK OF BURNING」である。これに対してジャックは他の初期メンバーを誘って「このリメイクアルバムではオリジナルのプレイは聴けない。ファンを騙すな」と署名して抗議。同時に独自に、自分の所持しているマスターを使っての初期2作の再発を画策。しかしそもそも法律的に綱渡りな上に、ジャック所持のマスターは何曲か破損、さらにレーベルは米国のインディーということで、ほとんど海賊盤的な出来になりかねなかったらしく、これはデヴィッドが弁護士を通じてストップ。その後、どういった和解策が計られたのかハッキリしないが、2002年の後半に初期2枚のCD化がついになされた。しかしちょうどその頃ジャックがシーンに復帰し、メディア上でのデヴィッド口撃が始まる。それに対してはデヴィッドは「泥試合をする気はない。彼はもうVSに20年もいないのだし、自分のことをやるべきだ」といった対応。バンドが軌道に乗っている彼からしたら、わざわざ反応するメリットは確かにない。だがジャックの口撃はほとんど悪口といったレベルまでエスカレート。「最近のVSはMANOWARのパクリ」みたいなことも言っていて、90年代にはデヴィッド自身がMANOWARへのシンパシーを表明して「恩恵にあやかろう」としているようにも見えていたのが、その後MANOWARとの比較を嫌がるようになったのは、このことがキッカケのようにも思えるのである。なお、俺は今のVSが好きなのでデヴィッド贔屓だが、ジャックにも他意はない。彼はどん底をくぐりぬけてカムバックした男であり、喧嘩上等のギターヒーローであり、憎めない男なのだ。YOUTUBEには彼本人かフィアンセのシャロンがアップしたと思われる動画が多数あり、強烈なギタープレイを披露しているので要チェックだ。
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