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Neoheresy / HELLVETO
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2009-02-27 21:49:00)
2008年発表の11th。
某雑誌で、SAMAEL、MELECHESH、SATYRICONなど私的に鼻血もののラインナップが引き合いに出され、かなり好意的にレビューされていたので興味を持ち、購入に至ったんですが…すっごいですよ、これ…。

他のペイガン系のバンドを引き合いに出すなら、パーカッシブなリズムを上手く用いて異教的な情景を描く近年のGRAVELANDのスタイルに、幽遠なシンセや雄々しいクワイアを用いて風景を描くLORD WINDの手法を足した感じ、でしょうか。

これらのバンドが風景の描写や異境思想の伝達など、一般的なメタルの価値観とは別の所に独自の価値観を成立させている(そもそもLORD WINDはシンセ音楽だし)ように思えるのに対し、このバンドはリフは重いし、ブラストもするし、よりメタリックな感じ。
パーカッシブなリズムを刻みリフの重さが更に引き立てていたり、ブラストが野蛮な雰囲気をより強いものにしていたり、ペイガン的な価値観をメタリックな音によってより強固なものにすることに成功しているという印象。

メロディ、シンセの音色、アコギの鳴らし方などフレーズの一つ一つにいちいち異教の文化のロマンや力強さが息づいていて、聴いていて取り込まれそうになってしまいますね…。個人的には、アンチキリスト的な過激さだとか、異教的な禍々しさだとかよりも、美しい景色を見た時のような胸を打つ感覚、そうしたものを聴いていて感じられるアルバム。
何か根源に訴えかけるものがある作品だと思います。ヴォーカルが野蛮な唸り声で少し好みから外れているのを差し引いても、衝撃作であり名盤。ペイガンに少しでも興味があれば必聴。

しかし、このアルバム、明らかに凄く作りこまれてると思うんですが…こんな作品を独りで、何作も作り続けているL.O.N.氏はちょっと異常だと思う(良い意味で)。

→同意