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ISOLATION / ISOLATION
Usher-to-the-ETHER ★★ (2010-02-14 09:53:00)
2008年発表の音源集。
「Hier am Ende der Weld」デモ(3,4,6曲目)と「A Prayer for the World to End」デモ(2,5曲目)に加え、イントロとアウトロを付け加えて一つの作品として纏めた編集盤。

AUSTEREともスプリットを出しているので、鬱ブラック好きの間での知名度は結構あるほうだと思いますが…このバンドが演っているのも、当然ながら筋金入りの鬱ブラック。ただ、このバンドはメロディから受ける感情が「悲痛さ・哀愁」>>「鬱・絶望」という感じなのが特徴。メロディの構成要素が、鬱ブラック要素9割に加えて、ブルーズの哀愁が1割くらい混じっているような哀感なんですよね…あくまでも「印象」ですが。

そのメロディに加えて、ミディアム基調ながら単調でないリズムの構成など、鬱ブラックなのに何故か「動的」な印象を受けるんですよね。音質は曲によりますが、大概の曲ではギターのノイズ質が霧のようにうっすらと掛かる音が、曲に奥ゆかしさを与えていてかなり良い感じだと思います。一部リフをスラッジ/ドゥーム的な引き摺り方もする場面もありますが、個人的には前者の方が好み。

…全体的に、曲としては音響路線(=アヴァンギャルド)や行き過ぎた狂気、不条理さを志向するバンドが多いこの界隈においては、音楽的にかなりまともな方ではないかと思います。…いや、行き過ぎてるのもそれはそれで好きですが(笑)。

ただし、曲のまともな哀愁とは裏腹に、ヴォーカルはまともからは程遠いですね(笑)。もうこれ、「悲痛な感情を(高音で絶叫する事で)表現している」ってレベルじゃないですよ…。殆ど鳥の鳴き真似レベルの超高音と、怒りを込めた咆哮を使い分けてますが…特に前者の逝きっぷりが半端ない。初期FLUERETYより多少マシな程度。しかもどちらもかなりの擦れ声なので、聴いてて遣る瀬無くなりますね…。

しかし、鬱ブラックって殆どの場合、「哀愁/絶望系メロディ」「スロー/ミディアム中心の展開」「絶望感や自棄な雰囲気を感じさせるヴォーカル」とか、多くの縛りを持つ筈なのに、どのバンドもその中で個性を発揮していて面白いですよね。この(音楽的な)面白さが、「現代社会において疲れた精神と、病んだ音楽が同調する」という以上に、鬱ブラックをマニア間での人気ジャンルたらしめているのかもしれません。

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