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After / IHSAHN
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-04-02 21:26:00)
2010年発表の3rd。
3部作の最終章となる作品という事ですが…3部作構成なんて最初からあったっけ(笑)?

雑誌のインタビューでは、「前2作とは異なる作風のアルバム」という趣旨の発言をしていましたが…確かに、前2作が「プログレッシブなエクストリームメタル」だとしたら、今作は「エクストリームなプログレメタル」と言えるかもしれません。ブラストやヘヴィなリフ自体は当然残しているんですが、「攻撃的な音楽」からは明らかに距離を置いてる感じ。

サックスの導入、静パートの増加など表に出ている部分だけでなく、ブラストパートでも決して直截的な攻撃性だけに留まらず、より深く精神に作用する音になっている気がします。前2作と比べると、アルペジオやサックスで引っ張るパートが増えているんですが…それらのパートにこそ、個人的には凄みを感じるんですよね。

各フレーズが、水の流れのように自然で、聴いていると何か本能に訴えかけるような情景が思い浮かびます。パートによってはサックスが主導部を握ったりもしているんですが、その自然さや、ブラックメタル由来の暗黒美を損なうどころか、更に深いものにしているのが凄い。…私としては、またもやIhsahn卿の才能に平伏す結果となりました(笑)。
リフなどのフレーズをどう生み出しているかという質問に対して、「体の奥から自然に湧き出してくる」だそう。…そりゃ、スランプとかなさそうですよね…(笑)。

Ihsahnは、インナーサークルに所属している時、自分の中の邪悪な部分を探してみたが、全く見つからなかった…と言っていますが、少なくとも本能的な「畏れ」を呼び起こす音楽を作る才能は持っていると思う。EMPERORの無敵な感じは、インナーサークル所属バンドの持つ「恐怖」と、彼の与える「畏れ」が合わさって成り立っていたのかもしれませんね。

3部作の最終作にして、プログレブラックとして行き着くところまで行った作品だと思う。それだけに、今後の動向が気になりますね…まぁ、機材に全財産を注ぎ込みそうになっているのを奥さんに止められてるくらいだから、近いうちにまた何かやってくれそうですが。

ちなみに、歌詞は公開していないらしく、輸入盤にも国内盤にも歌詞は付いていないらしいです。…DVD付き輸入盤買った人が一番勝ち組みかも…。

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